「や…やめろ……」
男は懇願していた。
無敵の能力を手に入れたハズの男が、懇願していた。
目の前のほんの11歳の少年に。
自分がこの手で始末したハズの男の能力を味方につけた少年に。
無敵の能力を手に入れたハズの男が、懇願していた。
目の前のほんの11歳の少年に。
自分がこの手で始末したハズの男の能力を味方につけた少年に。
「エンポリオ……こんなことをッ! ウェザーを止めろ! エンポリオッ!!」
もはや自分の意思で立つことも出来なくなった男のこめかみには、
自分が始末したはずの能力――ウェザー・リポートの拳が押し付けられている。
男の頭蓋骨は、ウェザー・リポートの拳のパワーと床との間でメキ、ミシィと音を立て、今にも押しつぶされんばかりだ。
自分が始末したはずの能力――ウェザー・リポートの拳が押し付けられている。
男の頭蓋骨は、ウェザー・リポートの拳のパワーと床との間でメキ、ミシィと音を立て、今にも押しつぶされんばかりだ。
「こんなことをさせるなァーーーッ!! わたしが到達した、わたしの能力は!!」
必死に言葉を繋ぐ男の頭蓋の歪みは先程よりも確実に大きくなっており、眼球が飛び出しかける。
しかし、男は言葉を繋ぐのをやめない。
しかし、男は言葉を繋ぐのをやめない。
「『神』のご意思だッ! 『神』が望んだ能力なのだッ! 新しい人類が始まり、人間の未来はこれで救われるのだッ!」
「この時の加速が始まったケープ・カナベラル『以前』で……わたしが死んだらッ! 人類の運命が変わってしまうぞッ!!」
そうして言葉を繋ぐ途中、男の頭部がミシリと大きく軋んだ。
ついに頭蓋骨が砕けたのだろうか、先ほどから続いていた男の頭部からの出血がよりいっそうおびただしくなった。
しかしウェザー・リポートが止まることはない。
それどころか、この男のために失われた多くの命を噛み締めるかのように、さらに拳に込める力を強くする。
同時に男の頭蓋の亀裂が、蜘蛛の巣のように広がっていく。
ついに頭蓋骨が砕けたのだろうか、先ほどから続いていた男の頭部からの出血がよりいっそうおびただしくなった。
しかしウェザー・リポートが止まることはない。
それどころか、この男のために失われた多くの命を噛み締めるかのように、さらに拳に込める力を強くする。
同時に男の頭蓋の亀裂が、蜘蛛の巣のように広がっていく。
「きっと違う未来になる! ここで死ぬわけにはいかないッ! ケープ・カナベラルの後ならいくらでも命を捧げようッ!!」
「私がここまでやってきたことが起こらないということに変わってしまうんだッ!」
「人々は時の旅で見た運命を見なくなる! 覚悟を知ることがなくなるんだッ! 『覚悟こそ幸福』という言葉を思い出してくれッ!」
「ここで私は死ぬわけにはいかないのだァーーーーッ!!」
果たして、男の命乞いは届かなかった。
そしてウェザー・リポート発言させた少年――エンポリオは、男に死刑宣告を下す。
この男のために失われた多くの命――空条徐倫、空条承太郎、ナルシソ・アナスイ、エルメェス・コステロ、ウェザー・リポート、フー・ファイターズ――
そしてウェザー・リポート発言させた少年――エンポリオは、男に死刑宣告を下す。
この男のために失われた多くの命――空条徐倫、空条承太郎、ナルシソ・アナスイ、エルメェス・コステロ、ウェザー・リポート、フー・ファイターズ――
――そして自分の母親――
失われた全ての命の最後を今一度思い出し、エンポリオは叫ぶ。
「わからないのか? お前は『運命』に負けたんだ! 『正義の道』を歩むことこそ、『運命』なんだ!!」
それを聞くと同時に、男は自分の望みが完全に潰えたことを悟った。
そして、叫ぶッ!
そして、叫ぶッ!
「やめろオオオオ!! 知った風な口をきいてんじゃないぞオオオオオ!!」
直後、男の頭蓋骨が完全に砕け、頭そのものがブッ潰れるッ!
しかし男は激痛と、屈辱とに身を捩じらせ、怨恨に染まった断末魔を放ったッ!!
しかし男は激痛と、屈辱とに身を捩じらせ、怨恨に染まった断末魔を放ったッ!!
「このちっぽけな小僧があああああああああああああああがあああああああぐばああああああああああああッ!!!!」
そして、男の存在はこの世界から消滅した。
男がこれまでに奪った命と同様に、完全に消え去ったのだ。
男がこれまでに奪った命と同様に、完全に消え去ったのだ。
しかし、それには二つの例外が残った。
一つは、一巡後の世界においても消えることの無かった、ジョースターの血統。
そしてもう一つは――
「や、やったッ!」
「さすがゼロ! 平民を召喚するなんて、俺たちには出来ないことを平然とやってのけるッ! そこにしびれるあこがれ……」
「いやあこがれちゃあダメだろ」
「ですよねー」
自分の周囲でゲラゲラと笑う声に男は目を覚ました。
まず男は突き抜けるほど青い空を見た。
そして、心地よい芝生のにおいを感じた。
そして――
まず男は突き抜けるほど青い空を見た。
そして、心地よい芝生のにおいを感じた。
そして――
「あんた、誰よ?」
ピンク色の髪を風にたなびかせる少女を、男は見た。
男はまったく状況がつかめなかったが、とりあえず、
「………エンリコ・プッチだ」
そう、名乗った。