ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

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匿名ユーザー

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「……な! なによあれ……!?」
ルイズは目を見張る。
自分が呼び出した使い魔が人間二人――しかも平民ということで、さらにショックは二乗倍だったのに。
自分を散々おちょくって逃げ出した男が、魔法を使ったとしても、あそこまで遠く跳べるか、と思うほどの大きすぎる跳躍をやってのけた。
「ちょ、ちょっとルイズ! あんた何呼び出したのよ!」
流れ星のように遠くに消えていく男に見とれていたキュルケが、ルイズを振り向かせて問いただす。
「わ、わかんないわよ私だって!」
「あ、あんたどっかの魔法使い呼び出したりとか――、して、ないわよね。」
「だからわかんないんだってば!」
二人でぎゃあぎゃあと問答を繰り返していると。コルベールが近づいて、二人の口論に割って入る。
「ふーむ……。サモン・サーヴァントで魔法使いが魔法使いを呼び出した事実はこれまで一度もありません。……が、無いとは言い切れないでしょうが」
彼は魔法使いではないでしょう。と教師は言った。
「魔法使いじゃ……ない? な、ならミスター・コルベール。あの平民は一体……」
「わかりませんよ、ミス・キュルケ。そのあたりは彼から直接聞いてみるのが一番良いでしょう。ところで、ミス・ルイズ」
不意に名前を呼ばれて、ルイズはきょとん、とした。
「彼をこのまま逃がしていいのですか? 彼も貴方の使い魔でしょう。契約を完了できなければ」
退学ですぞ。と言われ、少女の頭から血の気が失せる。
「た、退学ぅ!?」
「そうです。これは重要な儀式であると同時に、試験でもあります。自分が呼び出した使い魔を使役できない魔法使いに単位など与えられません」
彼を追って使い魔の儀式を完了するか。退学になるか。二つに一つの道。
「あ、あ、あう、あう……。わ、わかりました! 必ず! 必ず儀式は完了させます!」
踵を返して、男の消えて行った方向へルイズは駆け出していく。
全力疾走で追っていく彼女に、頑張んなさいよー。とキュルケは激を飛ばした。

「……キュルケ」
彼女の後ろから、声がした
「なぁに? タバサ」
タバサ、と呼ばれた小柄でメガネをかけた少女が、キュルケと向き合う。
「……いいの?」
「どうしたのよタバサ。いいって何が?」
「ルイズ……退学しても」
いいの? と少女は上目で見つめる。
キュルケは、彼女が何を言っているかは理解できるが。
「あっははー。タバサってば何言っちゃってんのよ。私とあいつが犬猿だっての知ってるじゃない」
そう、気持ちとは裏腹に答えた。
確かに犬猿ではあるけれど、いなくなってしまうと、張り合いが無くなる。
それは彼女にとっても、つまらないし、淋しいことだった。
「……」
タバサは、無言であったが、じっと視線を、キュルケに向けていた。
「な、なによぅ。タバサ、その目やめてってば」
「……」
「あぁん、もう。……タバサの、意地悪」
タバサの視線に根負けしたキュルケが、師へと向き直り、
「ミスター・コルベール。使い魔の儀式の途中、契約前の使い魔が逃走した場合――この捕獲を補助することは、違反になりますでしょうか?」
と、尋ねた。
「いいえ。捕獲の補助であれば、何ら問題はありません」
「それでは、わたくしキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは、これより級友ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔捕獲の助力に赴きます!」
そう言って、キュルケは、ルイズに杖を盗られて空になった右手を上げる。

「……助力します」
それに、タバサが手を上げる。
「タバサ、別にいいのに。何も貴方まで……」
「か弱い女性ばかりに任せておけません。それではこの僕、ギーシュ・ド・グラモンもお力添えします。二つ名の(青銅)魔法、存分にお見せいたすことにしましょう」
「ギーシュが行くなら」
そう言って、手を上げたのはモンモランシー。
続いてマリコルヌが手を挙げ、その隣の生徒がそれに続く。その隣の生徒も。
気がつけば。学級の全員が、ルイズの助力に賛同していた。
まさに、このときでいえば、最高の包囲網には違いなかった。
ただ――、全員がルイズを心配して参加したのかといえば、そうではなくて。
半分くらい、手に入れたばかりの使い魔を、思いっきり使役してみたかった。という考えも、あったのだが。


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