ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

絶頂の使い魔-16

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舞踏会に参加せず、そのまま眠りについたディアボロと共にドッピオも眠っていました
本当は夜遅くまでしていた舞踏会についていけず先にドッピオは眠ってしまっていたのですが

『・・・ドッピオ・・私の可愛いドッピオ』
何ですか?ボス
『私は・・・幸せになってはいけない』
なにを言ってるんですか、ボス。らしくないですよ?
『私は消え去ろう。ドッピオ、お前は残ってこの世界で幸せになれ』
待ってください!ボス!なんでそんなことを言うんですか!?
そんな・・いなくならないでください!ボス!
幸せはボスがつかむべきです!
・・・ボス?なんで喋ってくれないんですか?
ああ・・・きっと電話の調子が悪くなったんだ
いつものように電話くださいよ・・・待ってます・・・電話

朝、ドッピオはまだ日が上がる前に起きました
(・・・あれ?寝汗がすごい。変な夢みたのかな)
とても怖い夢を見たような気がします
ですが気にもしていられません。朝の仕事をこなそうと起き上がり洗濯をしようと洗い場に向かいます

もはや言う必要もなくなるほど自然となった使い魔の仕事を終えていつもの通りの一日でした
いつもと違うところといえばカードを使ったと言うことがマルトーたちに広まり
ポーカーで大勝利したぐらいでしょうか(もちろんエピタフを使いました)
夜、ドッピオは一人でカードをいじっていました
ルイズが寝る前は誘ったのですが勝ちすぎて逆にふてくされて眠ってしまいました
コッ・・・コッ・・・
・・・ドッピオの中でデジャブが起こりました。品評会前日、とても似たような足音を聞いています
「・・・ルイズさん、起きてください」
「なによ・・・もうカードなんかやらないわよ」
「違います。お客さんです」
「お客?こんなじかんに誰よ・・・」
ルイズは渋々着替えます
コンコン・・
ノックされます。ドッピオはドアを開きます
案の定そこにいたのは女王アンリエッタでした
「ルイズ!あなたにしか頼めない重要な依頼があるの!」
ドッピオはすぐにカードに意識を向けました

「今から話す事は誰にも話してはいけません」
とアンリエッタが言いました。ドッピオは動かずカードをしています
「ちょっと気を利かせて席を外すとかないの?」
「メイジにとって使い魔は一心同体。席を外さなくても結構ですよ」
「あ・・・そうですか」
「・・・・・・」
ドッピオはまだカードに意識を向けています
ルイズは不遜な態度を取っている使い魔を怒ろうとしますがアンリエッタの話のほうが大事と思い怒るのを止めました

アンリエッタはゲルマニアの皇帝に嫁ぐ事となりました
このことにルイズはとても驚きましたがドッピオはまだカードに意識を向けています
嫁ぐ理由はアルビオンの貴族が反乱を起こし、今にも王室が潰れそうな事
反乱軍が勝利すれば次はトリステインに侵攻してくるに違いないという事
それに対抗するにはゲルマニアと同盟を結ぶしかなく、同盟のために結婚せねばならないという事
そして女王としてはともかく、一人の女性としてアンリエッタはその結婚を望んではいないと言う事
直接、結婚は望んではいないとアンリエッタは言っていませんが
悲しそうなさみしそうな口調を聞けばそれは誰にでも解る事でした
ドッピオはまだカードをいじっています。ルイズはいい加減頭にきました
「ドッピオ!姫殿下がこんな不遇な状況に立っているって言うのに何もないわけ!?」
「・・・それが王族としての義務というものじゃないんですか?
 それが上に立つ者として生まれた義務でしょう」

そう、アンリエッタの結婚と判断は王として正しいものです
王の義務として、国を国民を守るため身を売るのは正しい事
王として生まれた瞬間、王としての運命を受け入れなければならないのです
アンリエッタは自分の結婚話という前置きを終えると、いよいよ本題を語り出します
アルビオンの貴族はトリステインとゲルマニアの同盟を妨害するため、婚姻を妨げる材料を血眼になって探している
そしてその材料は存在するのです。それはアンリエッタが以前したためた一通の手紙
その手紙の内容はさすがに言えないらしいのですが問題は、その手紙がアルビオンにあるという事
敵の手中に陥った訳ではなく、反乱勢と争う王家のウェールズ皇太子の手にあるのです
遅かれ早かれウェールズ皇太子は反乱勢に囚われてしまいます、そうしたら手紙も見つかります
そうなったらトリステインは一国でアルビオンと対峙せねばならない
だからその手紙を何としても取り戻して欲しい
――が、アンリエッタは本気でルイズに依頼をしに来た訳ではなかったのでした
「貴族と王党派が争いを繰り広げているアルビオンに赴くなんて危険な事、頼める訳がありませんわ・・・」
だがルイズは力強く王女の願いを聞き入れた。
「例え地獄の釜の中だろうが、竜のアギトの中だろうが、姫様の御為とあらば、何処なりと向かいますわ!
 このわたくしめに、その一件、是非ともお任せください」
「ああ・・・ありがとう。ルイズ」
「この杖と姫殿下から授かったシュヴァリエの爵位にかけて必ず成功させて見せましょう!」

「・・・それで話はまとまったようですね。なら今すぐに向かったほうがいいでしょう」
「少し待ってください」
アンリエッタがなぜか呼び止めました。そしてドッピオに左手を出します
「頼もしい使い魔、ドッピオさん。私の大事なお友達を、これからもよろしくお願いいたしますね」
これは、手の甲にキスしろというジェスチャーなのでしょう
なるほど確かに王族らしい行為です。ですが
「・・・僕のような平民に手を許していいですか?」
はっきり言ってそんなことするつもりはありませんでした
自分に合わないこと、この上ありませんし何より
(・・・ドアから見てるのがばれてないと思ってるんだろうなー)
ドアから覗き見る目が羨ましい・・・もとい恨めしい目でした
「そうですよ姫様!使い魔にお手を許すなんて!」
「いいのですよ。忠誠には、報いるところがなければなりません」
「・・・僕が忠誠を誓っているのは主だけです
 忠誠に報いると言うのならそこのドアの向こうにいる人にしてください」
「「な!?」」

「・・・フ、バレてしまっては仕方がない」
そんな感じで入ってきたのは
「ギーシュ!?なんであんたがここにいるのよ!」
「薔薇のように見目麗しい姫さまのあとをつけてきてみればこんな所へ
 それで鍵穴からまるで盗賊のように様子をうかがえば・・・
 姫殿下! その困難な任務、是非ともこのギーシュ・ド・グラモンに仰せつけますよう」
「グラモン? あの、グラモン元帥の?」
「息子でございます。姫殿下」
ギーシュは深々と礼をし、アンリエッタの表情が明るいものに変わります
「ありがとう。お父様も立派で勇敢な貴族ですが、あなたもその血を受け継いでいるようね
 ではお願いします。この不幸な姫をお助けください、ギーシュさん」
「もちろんです!」

ウェールズ皇太子がアルビオンのニューカッスル付近に陣を構えていると聞かされ
ルイズはアルビオンの地理に明るい事から出発の準備はほぼ整ったといえます
そこでアンリエッタは、机に座ると羽根ペンで羊皮紙に手紙をしたため始めます
そしてしばし自分の書いた文章を眺めた後、悲しそうな顔をして呟きました
「始祖ブリミルよ・・・この自分勝手な姫をお許しください
 でも、国を憂いても、わたくしはやはり、『この一文を書かざるえない』のです・・・
 自分の気持ちに、嘘をつく事はできないのです・・・」
アンリエッタは手紙を巻いて杖を振り、魔法で手紙を封ろうして花押を押しました
「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください
 すぐ件の手紙を返してくれるでしょう」
それからアンリエッタは、右手の薬指から指輪を引き抜くとルイズに手渡した。
「母君から頂いた『水のルビー』です。せめてものお守りです
 お金が必要なら、売り払って旅の資金にあててください
 この任務にはトリステインの未来がかかっています
 母君の指輪が、アルビオンに吹く猛き風から、あなた方を守りますように」

余談ですが結局ギーシュはアンリエッタにキスすることは出来ませんでした


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