ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ディアボロの大冒険Ⅱ-9

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そして朝
当然の事ながら学院は大騒ぎになっていた
何せ宝物庫の壁を物理的に破壊して、以下のような犯行声明を大胆にも残していたのだから。
『破壊の杖、確かに領収致しました。土くれのフーケ』

「お前が悪い!」
「彼女が悪い!」
「あいつが悪い!」
「私が悪い!」
取り敢えず責任の擦り合いから始めている教師達。かなり混乱している。
それを尻目に問題の解決に悩む学園長のオスマン。
うーむうーむと唸り続ける。そこに、物凄いタイミングの良さで女性が現れた―――秘書兼オスマンのセクハラ相手のロングビルである。
悩むオスマンに、彼女は下手人フーケの居場所を掴んだ事を知らせた。
「農民に聞き込みを入れた所、フーケの居場所が分かりました!
 破壊の杖と似た形状の筒を抱えて、黒ずくめのローブを着た男が、森の廃屋に入って行ったようです!
 そこがフーケの隠れ家だと思われます!」
そのロングビルの朗報に
「王室に報告を!衛士隊に頼んで、兵を向かわせなければ!」
そう言うU字禿に唾を飛ばして叫ぶオスマン。
「このU字禿が何を言うかッ!知らせている間に逃げられたらどうすんじゃッ!残っている髪も全部無くなってしまえッ!
 それにこれは、我が身の不始末じゃぞ!!自分達の不始末を他人に解決してもらってどうするのじゃッ!?」

そこで、一端言葉を切ると、先程とは打って変わった表情でニコヤカに話し合うオスマンとコルベール。
「しかし……それにしても学園長、宝物庫が破られたのを知ったのは何時でしたか?」
「今朝じゃのう」
「そしてミス・ロングビルがフーケの隠れ家を掴んだのは何時でしたか?」
「ついさっきじゃのう」
「数時間も経っていないのに、神出鬼没なフーケの居場所を聞き出す事が出来るなんて有り得るでしょうか?」
「普通はありえないのう」
「そうですよね……フーケ本人かその共犯者以外じゃなきゃ、普通は有り得ない事ですよね」
「まあ、ミス・ロングビルがフーケを超える程優秀だったんじゃよ」
「無理矢理、納得するとしたらそうですね」

そこでいきなりロングビルの方を向くオスマンとコルベール。
グルゥッ!と言う効果音が付きそうな程である。

「「ミス・ロングビルそんなに引き攣った顔をしてどうしたんじゃ」ですか?」
「は、はは、は」
ロングビルは引き攣った笑いを返すしかできなかった。

「では、捜索隊を編成する。我こそはと思う者、杖を掲げよ」
しかし、誰も杖を掲げなかった。明後日の方向を見ながら口笛を吹いている者さえ居る。
「情けないのう……フーケを捕えて、家の名を上げようと思う貴族は居らんのか?」
その時、突然物陰から出て来て、杖を掲げた貴族が居た。
「私がやります!」

教師たちの眼が一斉に――――ルイズに向いた、コルベールが声を上げる。
「聞いていたのかミス・ヴァリエール!? 生徒が出る幕では無いぞ!教師に任せて戻りなさい!」
「誰も杖を掲げてないじゃないですか」
ルイズはプンスカしながらも言い返す。そんなルイズを面白そうな顔で見つめているディアボロ。
ルイズが杖を掲げたのを見て、同じく物陰から出て来たキュルケも杖を掲げる。
「ヴァリエール家が行くなら私も行かないわけにはいきませんわ」
「ミス・ツェルプストー…君までか」
呆れた声を出すコルベール。
最後に物陰から出て来た――タバサも杖を掲げた。

「ふむ…。では、頼むとしようか」
そのオスマンの提案に、一人だけ反対する教師が居た。
「しかしですな学園長、ミス・タバサやミス・ツェルプストーはまだしも、ミス・ヴァリエールを行かせるのは危険すぎますぞ!
 ここはフーケの情報を一人だけで掴んだミス・ロングビルに行かせるべきだと私は愚考しますが?」
その教師、コルベールの顔を見たオスマンはゆっくりと喋る。

「この三人は間違い無く優秀じゃぞコルベール。ミス・ツェルプストーは相当の炎の使い手と聞いており
 ゲルマニアでも優秀な軍人を数多く輩出した名門の出じゃ」
「それは知っています」
(グダグダ喋ってないで、さっさと破壊の杖を奪還させに行けよ……)
と、思う教師達の中、オスマンが次にタバサを見た。
「ミス・タバサは若くしてシュバリエの称号を持つ騎士と聞いておる」
「学園長……それも知っていますが」
しかし、驚いたのはキュルケ。
「え、え!?私聞いてないわよタバサ!」
「言ってない」
ルイズも驚いたようにタバサを見ていた。教師達は如何でもよさげだ。
ディアボロは適当にそれを聞いていた。
(シュバリエ?何だそれは?美味いのか?)

「ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール公爵家の息女じゃ!」
その言葉にジト目でオスマンを睨むコルベール
「学園長…ミス・ヴァリエール本人はどうなんですか?」
「ムグ……ッ!」
(何とかして誉めてやったほうが良さそうじゃな……)
そう考えたオスマンはディアボロを見て思い付いた言葉を口に出す。
「ミス・ヴァリエールは将来有望なメイジになる可能性が否定できないような気がしないでもないような感じがするような……
 それにじゃ!ミス・ヴァリエールの使い魔は平民の変態ながらも、あのグラモン元帥の息子、女垂らしのギーシュ・ド・グラモンと決闘して勝ったそうじゃ!」
「確かにそうですな学園長。彼はガン……」
「ミスタ・コルベール!」
口を滑らしかけたコルベールを叱責したオスマン、当の本人は慌てて口に手を当てる。

オスマンとコルベールがチラリとトディアボロを見る、が。
「…………」
何処と無く呆けているような顔で立っているだけで心配はいらないと判断。
何か突っ込まれる前に、とっとと話を終わらせようと、オスマンは高らかに宣言する。

「とにかく!一人でフーケの居場所を探し当てたミス・ロングビルには劣るかもしれんが
 彼女たち三人に勝てるものはおらんはずじゃ」

そして、四人に向き合うオスマン。
「諸君らの努力と貴族の義務に期待する」
「「「杖にかけて!」」」
女性三名が同時に唱和し、恭しく礼をする。
「では、馬車を用意しよう。ミス・ロングビル、彼女たちを手伝ってやっとくれ」
「了解いたしました学園長」
ミス・ロングビルは頭を下げた、が。
コルベールとオスマンの笑い声が聞こえて来た

「それにしてもフーケか共犯者じゃなきゃおかしいですなぁ」
「そうじゃのう、そうじゃのう」

顔を再度引き攣らせながらも、ロングビルはそそくさとその場を離れた。

「なー、あいぼー、フーケを捕まえられると思ってるのかー?」

出発までの僅かな時間に、ディアボロは厨房で料理をしこたま食らっていた。
特別に作ってもらった特大のピッツァを一秒で食べ切り一息突く。
「ふぅ……フーケが本当にその場所に居たら。の話だがな」
「馬で四時間って事は、往復で八時間って事だろ?腹は大丈夫なのかよ?」
「それを何とかするために、今食事しているんだが?」
料理を次々に平らげながら、先程U字禿が言い掛けた言葉を思い出すディアボロ。しかしそれにしても大食いってレベルじゃねーぞ
(ガン何とかか……あの禿は何を言おうとしていたんだ?)
あの時、ディアボロはただ黙って立っていただけでは無い。
目だけを動かして観察+耳で周囲の情報を聞いていたのだ。
(まあ、考えても詮無き事か)
そんな事を考えながら、デルフリンガーを鞘に収め、コック長のマルトーに向かって歩き出す。
彼の目論見通りに、ギーシュとの決闘後、厨房の連中はディアボロの事を『我らの剣』と尊敬していた。
シエスタやコック長のマルトー等は一種の信者である。
歩いてきたディアボロの姿を見たマルトーは嬉しそうに叫ぶ

「おお!ディアボロじゃないか!何か用でもあんのかい?」
「馬車の中に食べ物を置いてもらえないだろうか?」
「おう!お安い御用さ!今度は貴族の泥棒を捕まえるんだって?頑張ってくれよ!」
土くれのフーケがどんな強さかはディアボロには分からないが。
取り敢えず餓死の危険性が少なくなった事にホッとした。
そして、重要な事を思い出したディアボロ
(任務は『破壊の杖』奪還だったな・・・・・・マルトーにもう一枚DISCを預けて行くか)



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