ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ディアボロの大冒険Ⅱ-7

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匿名ユーザー

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今日は虚無の曜日で授業は一切無かった。
生徒達は思い思いに街に出かけるなり、学園でのんびり過ごすなりして、大切な休日を楽しんでいる。
ギーシュはあまりのショックに部屋の中で寝込みつづけている
そして、ルイズは部屋で出かける準備をしていた。
何故ルイズが外に出かけるのかと言うと

「ディアボロ、あんたに剣買ってあげるわよ」

その一言が始まりだった。
ギーシュとの決闘を見ていたルイズ。
素手でゴーレムを倒したのには驚いたが、剣で一刀の元に切り裂いたのも驚いたのだ。
使い魔はご主人様を守るのが仕事。だから剣を買ってやろう……そうルイズは思った。
で、肝心のディアボロだが。
「いらん」
そう短く答えるのみ。
しかし、ルイズが「はいそうですか」などと言う筈も無い。
「ご主人様の言う事は聞きなさい!街に出かけるわよ!」
と言って、強引に連れ出した。
ディアボロ自身もこの世界の街に興味があったので、それ以上断る事も無かったが。
この学園の地形や地理はハミパDISCで確認してバッチリ頭に入っている。

今のディアボロに問題があるとするならば、激しい食い溜めをしたとは言え、往復で6時間の道のりに耐えられるかどうかだけだった。

ルイズとディアボロがトリステイン城下町に向かって行って数分後――――
それを見ていたキュルケはとある生徒の部屋に飛び込んだ。
その部屋の主人――タバサの読んでいた本を強引に取り上げ焦った顔で叫ぶ。

「タバサ!レッツゴーよ!タバサ!」

まずはちゃんとした言葉で喋れと思うタバサ。
「何?」
取り敢えず話しだけは聞いてやろうとする少女。良い子だ。。
辛抱強く、要領の得ないキュルケの説明を聞いてやったタバサ。

『ディアボロとルイズが街に出かけた。』
『ギーシュとの決闘を見物していたキュルケはディアボロの事が気になっている』
『何処に行って何するのか知りたい』
『だけど、今からではタバサの風竜じゃないと追い着けない』

要約すると、以上のような事をキュルケは喋った。
「虚無の曜日」
興味も無いし、折角の読書を邪魔されたので、拒否しようとするタバサ
そのままキュルケが取り上げた本を取り返そうとするが。
「それは私も分かってるわ!でもね?今はそんなこと言ってられないの!恋なのよ!恋!」

身を翻してタバサの手を回避しながら喋り続けるキュルケ。
キュルケの二つ名を思い出して溜息を突くタバサ。
このまま不毛な事を続けるよりは、追い駆ける方が良いだろうと判断して。
渋々頷く。

「ありがとう! じゃ、レッツゴーよタバサ!」
タバサにとっては正直迷惑と言うレベルじゃねーぞ!。って感じだが
キュルケは親友の自分にしかできない事で頼ってくれるなら悪い気もしない。
そして数秒、寮から広い背中にタバサとキュルケを乗せたドラゴンが飛び出して行った。

一方その頃、ルイズとディアボロの二人はトリステイン城下町に到着していた
その中、ブルドンネ街通りを歩いている。
「狭いな」
ディアボロは5mしか幅の無い道を見て正直な感想を述べた。
「狭い?これでも大通りなんだけど…………なんでそんな風に歩くの?」
ディアボロは人にぶつかろうが、物にぶつかろうが、関係無く最短の距離を歩いている。
「歩く人の迷惑じゃない」
「……私の趣味。と言う事にしておけ…」
どんな言い訳なのだろうか、ルイズの頭に疑問符が浮かぶ。
実際は腹減りを抑えるための行動だったのだが。
(クソ……億安のDISCとプリンがあれば良かったが)
「何言ってんの?まあ、いいわ。迷子にならないようにちゃんと付いて来なさいよ?」

通りは活気に満ちていた。
鬱病持ちの人間には耐えられないと思われる程である。
モンスターハウスを思い出して嫌な気分になるディアボロ
彼は全体攻撃DISCを使おうか真剣に考え始めていた。
危険人物と化しているディアボロの前でルイズが振り向きもせずに喋り出す。

「ディアボロ?財布は大丈夫でしょうね?スリには気をつけてよ…魔法を使われたら危ないんだから」
「貴族の中にスリをする奴が居るのか?」
「しっつれいね!メイジの全てが貴族ってわけじゃないのよ!?」

マイノリティーを貴族全般と同列に扱われて怒ったルイズはディアボロに話し始めた。
「……………それで、色々な事情があって貴族から放逐されたメイジが傭兵や犯罪者になるのよ!分かった!?」
喧騒に負けない程のルイズの叫びに、分かった分かったと頷くディアボロ。
「安心しろ、絶対にスリは私から物を盗る事はできん」
自信たっぷりに胸を張るディアボロ。
(大層な自信ね……本当に分かったのかしら?)

そして、ルイズに連れられて裏路地に入っていく。
ゴミや汚物が道端に転がっていてかなり汚い。
自分が初めてレクイエムによって死んだ場所を思い出して、ちょっと嫌な気分になるディアボロ。
四辻に出ると、ルイズはきょろきょろと辺りを見回した。
「えっと…秘薬屋の近くにあるはずなんだけど……」
「あれじゃないのか?」
ディアボロが一枚の看板を指差す。
ハミパDISCで周辺の地図が頭に入っている彼にはすぐ分かった。
ルイズとディアボロは扉を開き、店内へ入った。
薄暗い店だった。壁や棚にところ狭しと武具が並べられ、店内を歩き回るのには一苦労する。
奥から出てきた主人は値踏みするようにディアボロとルイズを見た。

「剣を買いに来たんだけど?」
ルイズの言葉と、付けている紐タイ留めの五芒星で貴族の客と理解した親父。
急に愛想が良くなって、両手を揉み始める。

「へへぇ。こりゃ失礼しました、はい。貴族様方が剣を使うとは思ってもいなかったもので」
「使うのは使い魔よ」
「ほぅ、なるほど!こりゃ忘れていました!最近は従者に剣を持たせるのが流行っていましたな!」
変態を見る目付きでディアボロを見る親父。
「こちらの変態の方ですか。お使いになられるのは」
口にまで出している
「そうよ。適当に持って来て頂戴」
しばらく店の奥に引っ込む親父。
幾らか経った後、立派な剣を持ってきた。
「店一番の業物でさぁ!」
確かに見事な剣である。宝石がちりばめられ、刀身の光といい、柄拵えといい、一見しただけではかなり立派な剣だった。
「おいくら?」
「へへぇ、これはかの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿の傑作でしですね。魔法がかかってるから鉄だって一刀両断なんでさあ。」
「私は値段を聞いてるんだけど?」
「ははぁ、これは失礼いたしました!」
芝居じみた動きをしながら親父は値段を述べた
「本来なら値段が付かない程の物ですが……そうですな、エキュー金貨で二千。新金貨なら三千ってところでさ」
「ちょっと高すぎるんじゃないの?それ程の物がこの店にあるとは思えないんだけど」
ごちゃごちゃと二人が話している間。
ディアボロはその剣を手に取って呟いた。
マルトーに攻撃用DISCを預けたままなのでディアボロのアイテム欄には余裕がある。

「……これはエキュー金貨で千枚程なはずだが」

ディアボロはそれが店の中ならば、始めて見たアイテムでも値段を見分ける事が出来るのである。
値段をズバリ言い当てられた親父は焦った。
「お、お、お客さん。ウチの品物にケチをつけるのは止めてくださいや」
「出る所に出ても私は良いんだが?」
「う!……あっ!ちょっとその剣には先約が付いていたのを思い出しやした!別の剣に取り替えます!」
そのまま剣を引っつかむと店の奥に逃げるように走って行く親父。
その親父を憎憎しげに見つめるルイズだが、すぐ顔をディアボロに向けた。
「あんた剣の値段なんか分かるの?」
「ただの勘だ」
「そんなんでよくあんな風に言い切れたわね…」
「お前はあの剣を買う金があったのか?」
「そんな大金持ってるわけないでしょ!?」
「どっちにしても、あの店主を殺れば幾らでも手に入るから問題は無いがな」
「ちょっと!危ない事言わないでちょうだい!」

そんな事をダラダラと喋りながら、陳列してある武器を一つ一つ見ていくルイズとディアボロ。
まあ、ルイズは剣の切れ味など分からないので、ディアボロに付いて何となく眺めているだけだが。
「おい、そこの変態!」
突然男のダミ声が響いた。
ルイズとディアボロが振り返るが、誰もいない。
剣が乱暴に積み上げられているだけだ。
「俺だよ!俺!俺俺!」

声は一本の剣から聞こえた。
どういうファンタジーなのだろうか……剣が喋っている。

「あんたなの?」
「その通りよ!見た所剣探してるようだな? さっきの親父との遣り取り見ておでれーたぜ!
 あの業突く張りを黙らせるなんてすげぇな!そこでだ!俺を買いな!今すぐ!」
いや、何でそうなると。二人は同時に思った。
「この世界では剣が喋るのか?」
「インテリジェンスソードみたいね」
「ふん?」
等、ルイズと会話しながら、その剣を手に持ってみるディアボロ。
剣を適当に触っているとダミ声で剣がまた叫び始めた。
「このルーンは……スゲーぜこの変態!『使い手』だったのか!?」
「『使い手』?」
「買え買え買え買え!!!!俺を買え!」

二人と一振りの会話を聞きつけたのか、店の奥から店主がやってきて怒声を飛ばした。

「デル公! お客様に変な事言うんじゃねぇ!」
「うっはーうっせー!俺はこの変態に売込み中なんだから黙ってろ!
 さあ、いいからこのデルフリンガー様を買え!損はさせねーからよ!」
「これを買おう」
ディアボロのその声に剣――デルフリンガーが嬉しそうな悲鳴を上げる。
「ちょ、ちょっと。もっと別の剣にしなさいよディアボロ」
ルイズが止めに入った。
「いや、これで良い」
所々に錆びが浮いていてボロっちい剣だが。
ディアボロは喋る事と手のルーンを知っている事に興味が湧いたので買ってみる事にしたのだ。
デルフリンガーの切れ味の良さなどは如何でも良いのである。
「はぁ。しょうがないわねぇ……これいくら?」
「はっはぁ。本来はエキュー金貨100枚ですが、厄介払い込みでその半分で結構でさぁ!」
財布を取り出してカウンターに金貨を置いたルイズ
だが、突然、思いもよらぬ方向から横槍が入ってきた。

「彼にそんなのを持たせるなんて……頭がおかしいんじゃないの?」
「ヘッ?」
と、視線をルイズが向けてみれば、入り口にルイズとタバサの姿が見えた。
何故居るのか?疑問に思う前に、取り敢えずルイズは不倶戴天の仇敵に脊髄で答える。
「ディアボロが選んだんだから関係無いわよ!」
「私ならもっと立派な剣を選んであげるのに……センス無いわねぇ」
「どういう事よ!私だってもっとセンスの良い剣ぐらい幾らでも買ってあげれるわよ!」

そのまま乱闘になりかねないぐらいの口論をするルイズとキュルケ
「私は先に戻るぞ」
デルフリンガーを回収してそのまま店の外に出るディアボロ。
「ウヘヘ。よろしく相棒!名前はなんてんだ?」
「ディアボロだ」
「『使い手』に使われるなんて嬉しいぜ!よろしく頼む変態!」
名前を聞くのは如何でも良かったらしい。

(ボーイⅡマンのDISCさえあれば余計な機能を削除できるのだがな)
一巡後の世界では役に立たないので放置してしまったDISCを思い出しながらディアボロは苦笑いした

そのまま迫り来る腹減りに脅えながら一人と一振りは学園に帰って行く。
去ってから数十分後、武器屋の中はエライ事になっていた。



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