ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ディアボロの大冒険Ⅱ-6

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匿名ユーザー

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ヴェストリ広場に向かう途中、ルイズに出会ったディアボロ。
「ギーシュと決闘するって本当なのディアボロ!?」
ついさっき起きたギーシュの決闘発言を聞いたようだ
閉鎖した空間ならではの噂の広がりの早さは異常である。
「そうだが?」
「早くギーシュに謝りなさいよ!私からも許してくれるように言ってあげるから!」
ルイズはディアボロを心配そうに見つめてくる。
平民の変態でも自分の使い魔は心配なのだろう。

「それはできんな」
厨房の奴等に恩を売る機会なので拒否するディアボロ
「!?ギーシュはメイジなのよ!……平民のあんたならわかってるでしょ!?
 平民はメイジに絶対に勝てないの。怪我して死んじゃうかもしれないのよ!?」
「自分の使い魔を信じるぐらいしたらどうだ?」
ルイズはこの現実を見てない使い魔にムッとした。
ディアボロがどんな妄想をしてるのか分からないが、貴族>平民の方程式を崩す事は出来ない。
それがルイズの中の常識だ。

「私の使い魔が怪我するのを黙って見てるわけにはいかないじゃない!」
「…………」
ディアボロは歩き出した。諦めないルイズがその後を追って行く。
「ちょっと!待ちなさいよディアボロ!」

普段人気のないヴェストリ広場は、話しを聞いた生徒達で溢れ返っていた。
「決闘だ!」
ギーシュが薔薇の造花を気障ったらしく掲げる。
その姿に周囲から歓声が上がる。

しかしそんな中、ルイズは不安げに黙りこくっていた。
その視線の先に居るディアボロは何時もの姿勢でギーシュを見詰めている。
(あのバカ……平民が貴族に勝てる訳ないって散々言ったのに)
「ふふふ、逃げずに来た事は褒めてあげるよ」
「逃げる必要が私には無いからな」
その言葉を聞いたギーシュのコメカミがヒクヒクと震える。
「平民の変態が貴族を馬鹿にしたらッ!どうなるか思い知らさせてやるよッ!」
ギーシュが薔薇の造花を振ると、花びらが一枚離れ金属製の女騎士が一体出現する。
「ゴーレム…『ワルキューレ』僕が青銅のギーシュと呼ばれている所以だッ!
  僕はメイジ、だから魔法で戦う。文句は無いね?」
平民が自分に勝てる訳が無い……絶対的な勝利を確信して笑みを浮かべるギーシュ。
だが、それに反して
「それが『土』の魔法か」
あくまで自然体のディアボロ、何処と無く感心しているようにも見える。
それを見るギーシュのコメカミの血管がプッツンと切れ、次の瞬間。
「行けッ!ワルキューレ!」

ワルキューレが猛然と走って行く。
全身これ凶器なゴーレムが至近距離にまで接近してもディアボロは動かない。
だが、妙な事をディアボロがやっているのにギーシュは気付いた
(あれは……素振り?)
拳を目の前に振っているディアボロ。
平民の変態がパニックになったと解釈して、取り敢えずワルキューレに死なない程度にぶん殴らせる命令を出す。

(殺されるつもりなのディアボロ!?)
それを見ていたルイズが心の中で叫んだ。
そして、当のディアボロだが。

(C・F・Hが出ない?体力は全快なのに何故だ?)
体からもう一本の腕と炎の塊が飛び出してこないことに微妙に焦るディアボロ。
だが、数瞬でその原因を思い出す。
(そう言えばマルトーにDISCを渡したままだったな・・・・・・まあ良いだろう)
ディアボロは、コック長に攻撃用DISCを外して預けたままなのであった。
ついでに、あのコック長は大の貴族嫌いだった事も思い出す。
(エニグマの紙から他のDISCを取り出して装備するのも駄目だな)
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い精神で、あのコック長は魔法も大嫌いだろうとディアボロは推測。
ここは平民らしく戦って、ギーシュに勝てば更なる好印象でウハウハだろうと思い。
紙から別のDISCを装備して戦う方とは別に、そのまま素手で戦う方を選択。
目の前に迫ったワルキューレに向かってディアボロは拳を構えた。

ボゴォ!
ワルキューレの顔面にディアボロの拳が直撃!
『ディアボロはワルキューレに3のダメージ!』
何処からかの声がディアボロにだけ聞こえた
割と盛大な音を立ててるが、顔面が少し凹んだだけでワルキューレはまだまだ行動できる。
己の優勢は変わらないとばかりに、ギーシュは笑った
ゴスッ!
『ワルキューレはディアボロに1のダメージ!』
お返しとばかりに、ディアボロの顔面に青銅の拳が突き刺ささった!
(ディアボロ!?)
それを見ていたルイズは悲鳴を上げかけた
ギーシュが死なない程度にやらせているとは言え、常人なら数日は寝込む程の威力だ。
だが――――――

ボゴォ!
『ディアボロはワルキューレに2のダメージ!
ワルキューレの拳をくらいながらディアボロは反撃した。
彼の拳は再度青銅のゴーレムの顔面に直撃する!
ワルキューレも黙ってくらっているわけではない。
ゴスッ!『ディアボロはry
ボゴォ!『ワルキューレはry
ゴスッ!『ディアボロはry
ボゴォ!『ワルキューレはry
面白くない顔をするギーシュ、心配そうなルイズ、歓声を上げながら見る生徒達に見守られながら殴り合いを続ける事、十数秒。
その殴り合いの最中、ワルキューレの拳が何回かディアボロの周囲に纏った砂に逸らされた、が。
一瞬の事、故に観衆は気付いていなかった。

ドサッ

先に地面に倒れたのはワルキューレだった。
原型を留めないぐらい頭部を拳で圧搾され、遂には粉砕された青銅の女騎士が豪快な音を立てる。
その瞬間、ディアボロにだけ聞こえる音と声がした。
『ワルキューレをやっつけた60の経験値を手に入れた』
続いてファンファーレの音が聞こえ―――
『ディアボロはレベル4に上がった!』

(ジャッジメントを思い出す、が……あのブ男土人形より力は無いが硬いな)
息も切らせず、冷静に思考しながらギーシュを見やる。
そんなディアボロも無傷ではない、そこら中に青銅の騎士の拳による痣が出来ている。
だが、彼は平気だった。
ディアボロは全身の9割9分9厘を棺桶の中に突っ込んでいても普通に動けるのである。
こんなのは傷の内に入らない。

一方、素手でワルキューレを倒されたギーシュだが。
余裕の表情は崩さないままディアボロに向かって叫ぶ。

「平民にしては中々タフなようだね……だけど!」

ギーシュは再び薔薇を振った。
六枚の花びらが舞い、さっきと同じようにワルキューレが現れた……六体も
しかも、さっきは素手だったのに対し、今の六体のゴーレムは剣や槍や斧など様々な武器を持っている。

底意地の悪い笑みを浮かべながら、ディアボロに告げるギーシュ。
「この六体のワルキューレと戦うかな?それとも降参する気になったのかな?
 土下座して!『貴族様に逆らった私が間違っていました!』と言えば許してあげるよ!」
そのギーシュの言葉に対し。
「…………」
ディアボロは無言で手招きするのみ。
そのまま六体のワルキューレがディアボロに突進しかける寸前―――
ピンク色の髪をした女の子―――ルイズが間に割って入った。

「ディアボロ止めなさい!それ以上やったら本当に死んじゃうから!」
体中痣だらけのディアボロを割りと本気で心配している、が。
「退け」
ルイズの懇願を邪険に押しのけて、前に出るディアボロ
そんな彼に、ギーシュは微笑みを浮かべながら説得に入る。

「ルイズの言う通りだ平民君
 貴族には勝てないのが常識だよ。土下座しても恥ずかしくは無いさ」
ギーシュの言葉に体を震わせるディアボロ。
それを見たギーシュはもう一押しと判断。
「平民にしては貴族相手に良くやったよ。それを誇りに思えば良いさ」
更に体の震えが大きくなるディアボロ。そろそろ限界かな、とギーシュが思った瞬間。

「ップ……ハハハハハハハ!!!!!!」

突然、ディアボロが笑い出した。
「気、気でも狂ったのか!?」

ギーシュの困惑した声に、笑った時に出た目蓋の涙を拭いながら応えるディアボロ
「いや……何。お前があまりにも滑稽すぎてな………
 人形が私に敵わないとなれば、言葉による懐柔に出て…
 それも通じないと知れば、日頃からバカにしている『ゼロ』を頼るしかない。
 さすがは、二股を掛ける事と、メイドを苛める事しか出来ないタンカスだな……ククク」

プッツーン
あまりの嘲りにギーシュの血管が切れた。

そのまま無表情に薔薇を振ると。花びらが、一本の剣に変わって地面に突き刺さる。
「分かるかな?それは剣だ。平民達が貴族に一矢報いようと磨いた牙さ。
 その剣を取りたまえ、君に名誉ある死を与えてあげるよ……」
地面に突き刺さった剣を引き抜くと(デザートの並んだトレイは食堂に置いてきたのでディアボロのアイテム欄には余裕があった!)
ディアボロは剣とギーシュを交互に見詰めて、大袈裟に肩を竦める。

「なるほど!?平民に負けたのではなく、剣に負けたと言い訳するのか……立派な貴族様だ」

その言葉でギーシュは怒りの限界を突破した。
「ワルキューーレェェェェ!!!!!」
六体のゴーレムがディアボロに牙を剥く。
自分の勝利を確信するギーシュと、ギーシュの勝利を確信する観衆。
ルイズはディアボロを止める事が出来なかった事を悔やんでいたが。

ワルキューレの剣がディアボロの体を裂いた。続いたディアボロの剣がそのワルキューレの首を断つ。
ワルキューレの槍がディアボロの体に刺さった。続いたディアボロの剣がそのワルキューレの肩から腹を袈裟懸けに両断する。
ワルキューレの斧がディアボロの体へめり込んだ。続いたディアボロの剣がそのワルキューレの兜事、頭を粉砕する。
ワルキューレの―――ディアボロの―――

全身に傷を負いながらもディアボロは一体一体殲滅を続ける。
そして、六体のワルキューレが全滅!それは、10秒にも満たない短い出来事。

「な、な、な、な、なぁ!?」
「私の勝ちだな?」

唖然とするギーシュの前に立ってそう告げるディアボロ。
体中傷だらけだと言うのに、その声は負傷など感じていないかのように平静だ。
そんなディアボロを見たギーシュは
(殺される!?)
失禁寸前のまま、尻餅を突いた体勢のまま後退りを始めようとしたが。

「造花から人形に剣か……面白い物を見せてくれたな、礼を言うぞギーシュ」

ディアボロの言葉に再び唖然とした。
「へ?」
予想外過ぎて、間が抜けた声を出すギーシュ。
「ぼ、ぼ、僕をこ、殺さないの?」
「必要が無い」
ディアボロはそう言うとそのまま、ギーシュに背を向けると歩き去って行く。
慌てて、その背中に叫ぶギーシュ。
「杖はまだ無事だ!僕が魔法を使ったらどうするんだ!?」
「その時は又遊んでやる・・・・・・その時までには新しい芸を身に付けて来い」

振り向かずに喋るディアボロ。何処と無く面白げだ
『遊んでやる』その言葉に、最初からディアボロの眼中に入っていなかった事を知ったギーシュ。

肩を落として呆然と呟く。
「負けた…僕が負けた……」
それを見たギーシュがうな垂れ
凍りついたようになっていたギャラリーが一斉に歓声を上げた。
キュルケもギャラリーの中ですっかり興奮しており。
無関心だったタバサも、ディアボロがワルキューレを殴り倒した辺りから注意深く見ていた、


そして、ディアボロは先程の行為を戦闘だとは感じていなかった。
厨房の連中に恩を売って、ついでにメイジをおちょくって、戦闘で使う魔法も見れたら良いな~
ぐらいにしか考えていない。

(造花から人形を出した事にも感心したが、剣も出せるとは面白いな
 あれでドットメイジなのだから、ラインやトライアングルやスクウェアはどれぐらいなのだろう……面白い。本当に面白い)

そこで自分の手のルーンを見るディアボロ

(剣を持った時、光って体が軽くなった感じがしたな……一体何なんだ?)

つらつらとそんな事を考えていたディアボロだが、ルイズが駆け寄ってきた。
「なんだ?」
「この……馬鹿バカばかバカ馬鹿バカバカ馬鹿!」
寄ってくるなり、いきなりディアボロを罵ってくるルイズ。

「何でご主人様の命令を無視するのよ!?ちょっと間違ったら死んでたわよ!?」
「自分の使い魔を信じてみるものだろ?」
「質問に質問で返したら0点って教わらなかったの!?もう!医務室に行くわよ!」
「必要無い」
「何言ってんのよ!傷だらけじゃ……!?」
そこまで言ってルイズは気付いた。
ディアボロの体には傷が一つも付いてない事を。
目をゴシゴシと擦っても変わらない、服に血が付いているだけで無傷だ
「必要無いだろう?」
手を広げてルイズに無傷をアピールするディアボロだが。
ルイズは納得いかない。いくはずがない。
「あ、あ、あんたギーシュのゴーレムから刺されたり切られたりしてたわよね!?」
「それは目の錯覚だ」

そのままルイズを置いて食堂に向かって行くディアボロ
自分は何を召喚したのか――――ルイズは今更ながら疑問に思った。

戦績
ワルキューレ×7体撃破。420の経験値ゲット

『ディアボロはレベル7に上がった!』



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