ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

依頼! 風のアルビオンを目指せ! その④

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依頼! 風のアルビオンを目指せ! その④

「おはよう使い魔君」
翌日、まだはしばみ草の後遺症で体調不良な承太郎に、朝っぱらから爽やかな声でワルドが声をかけてきた。
「…………」
無言で応える承太郎。いや、無言なのだから応えてないのだろうが、一応微妙に態度で反応してみせたのだから十分と言えるだろう。
相手がジョースター一行ならば。
しかし今回の相手はワルドである。顔を合わせて二日目である。
通じる訳がない。
「無視とは連れないな。僕達は仲間じゃあないか……」
「……一時的には、な」
「ところで君は伝説の使い魔ガンダールヴなんだろう?」
「さあな……。何の事だ……? 解らないな、ワルド」
「隠さなくてもいいよ。フーケの一件で君に興味を抱いた。
 グリフォンの上でルイズに聞いたが、君は異世界から来たそうじゃあないか……」
「……ガンダールヴとかいう言葉も、ルイズから聞いたのか……?」
「……いや。ルイズにも訊いたが……彼女はガンダールヴという言葉すら知らなかったよ」
探り合うように承太郎とワルドの視線が交錯する。
ガンダールヴの件はオスマンとコルベールしか知らない事だ。
それを知っているこの男、何者か?
もし「ルイズから聞いた」などと口にしてたら、
即座に歯をへし折って這いつくばらせて尋問を開始するところだ。
そんな承太郎の考えを読んだのか、ワルドは説明を開始した。
「僕は歴史と強者に興味があってね。フーケを尋問した時、君に興味を抱いた。
 王立の図書館で君の事を調べていたらガンダールヴにたどり着いたという訳さ。
 そして……土くれを捕まえた君の実力に興味を持った。
 困難な任務を同じくする仲間として君の正確な実力を知っておきたい。
 …………手合わせ…………願えるかな……? ……使い魔君……」


「断る。今日は気分が悪いんでな」
「二日酔いかい? もう少しじっくり話し合おうじゃあないか」
「あいにく……俺はこれ以上この場に留まるつもりはない」
「ほう、なぜだね?」
「解らねーのか? 俺はすでに……用をすませているんだぜ……」
「なるほど、ごもっとも。では僕も早々に用をすますとしようか」
こうして承太郎は宿のトイレから退室した。入れ替わりにワルドが入室した。

「やあ使い魔君」
承太郎とギーシュが朝食のスープを飲んでいると、ワルドが現れた。
彼は承太郎達と同じテーブルに着くと、店員に朝食を注文した。
「今日は清々しい決闘日和だと思わないかい?
 食後の運動として一汗かく程度なら君も構わないだろう?
 これは二日酔いの薬だ。飲むと楽になるよ」
「二日酔いじゃあない」
押し殺した声で承太郎は言うと、静かにスープを飲んだ。
「何だ、違うのか。それじゃあいったいどうしたんだ?」
「別に…………」
「ああ、実は昨夜タバサが――」
ズドッ。承太郎のフォークがテーブルに突き立てられた。
それを見たギーシュは顔面蒼白になりながら笑顔で、
「いや何でもないよアハハハハ」
と滑稽な笑い声を上げた。
結局承太郎の不調の理由が解らずワルドは首を傾げるのだった。

承太郎達が朝食を終える頃、キュルケとタバサが宿に入ってきた。
どうやら朝食は外ですませ、かつ何か買い物をしてきたらしい。
タバサが紙袋から飲み物の入ったビンを承太郎に渡した。
「元気になる薬」
「……助かる」
承太郎は早速封を空け、薬を飲もうとした。
「でも苦い」
承太郎の動きが止まった。はしばみ草の苦さを思い出したらしい。
「毒味は任せたぜ」
空のグラスに薬を少し入れ、ギーシュの前に突き出す承太郎。
「ええーッ!? 僕が飲むの!? タバサにやらせればいいだろう!」
「あてにできると思うか……? タバサの味覚を……」
ズイッとグラスを押しつけられ、ギーシュは飲むしか道がない事を悟った。
「始祖ブリミルよ、我を救いたまえ」
意を決してグラスを飲み干すギーシュ! その量、スズメの涙の如く!
「んっ……まあピーマンと大差無いレベルだね」
それを聞いて一安心した承太郎は元気になる薬を一気にあおった。
幸いピーマンと大差無いレベルだったので今度は吹き出さずにすむ。
はしばみ草も苦味で言えば吐き出すほどではなかったが、異界ならではの独特の苦味というものが承太郎の味覚を爆発させたのだ。
ワサビとタバスコで辛さの種類が違うように、はしばみ草は苦さの種類が非常に特殊だった。
それでもハルケギニアの人間なら異世界レベルの特殊性は無いため、承太郎のように吹き出す事はなかったろうが……。
「ふうっ、薬が効いてくるまでもう一眠りとするか」
承太郎が席を立つ。タバサも読書をしようと思い部屋に戻ろうとする。

「君、確かタバサといったかな」
そのタバサをワルドが呼び止めた。
タバサは早く本の続きを読みたかったので無視した。
するとタバサの前にワルドが立ちふさがった。
ようやくタバサは止まった。
「使い魔君はなぜ体調を崩しているのか、知ってたら教えてくれないかな?」
タバサはしばしワルドの顔を見つめて、
「はしば――」
ワルドの背後に立つ人影を見て口ごもる。
その人影は黒い髪をなびかせ機械のような冷たい目でタバサを睨みつけ、さらにエコーズACT3とホワイト・アルバムと使ったかのように、
空気を重く冷たいものにして┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨していた。
「んッ?」
ワルドが不審に思って後ろを向くと、スタープラチナは一瞬で消えていた。
「私の後ろに何かあったのかい?」
タバサに視線を戻してワルドが訊ねると、再び彼の後ろに幽鬼が立っている。
タバサはフルフルと首を横に振った。視線はワルドの背後に向けられている。
再び不審に思って後ろを振り向くワルド、やはりスタープラチナは消えていた。
「タバサ、私をからかっているのかい?」
もう一度タバサへと視線を戻すワルドだが、タバサはそんな彼を無視して脇を潜り抜け、承太郎の背中を追うように二階への階段を登っていってしまった。
その光景を見ていたキュルケとギーシュは口元を押さえ必死に笑いをこらえていた。
ワルドの質問の矛先はキュルケとギーシュにも向けられたが、キュルケがギーシュにジョータローの情報を吹聴しないよう釘を刺したため、結局ワルドは何の情報も得られなかった。

「使い魔君、いい広場があるんだ。そこで手合わせしないか?」
「見晴らしのいい場所を見つけたんだが、そこで試合をする気はないかな?」
「昼食をおごろう、だから戦ってくれるかなこの僕と」
「正々堂々と決闘を申し込もう。よもや断るとは言わないだろう?」
「賭けをしようじゃあないか。君が勝ったらこの宝石を上げよう」
「ギーシュ戦に続く新たな面白イベントじゃあないか。頼むよ使い魔君」
「お願いだから僕の挑戦を受けてくれ、頼むから、ほんと」
一定時間置きにワルドは承太郎を勝負に誘い、ことごとく断られ、最終的には下手に出るようにまでなったのだがやはり断られた。

ギーシュ談。
「何だか可哀想に見えてきたよ。いい加減決闘を受けてあげたらどうだい?」
キュルケ談。
「しつこい男ってやーねぇ。クールにあしらうジョータローが素敵ッ!」
タバサ談。
「はしばみ草……」
ルイズ談。
「ちょっとジョータロー。何でワルドがあんたに頭下げてたのよ?」

岩の街を染めながら沈む夕陽が紅く燃える頃。
何度目かも解らないワルドの懇願を、ようやく承太郎は受けた。
その理由は――。
「この調子で夜まで絡まれると明日の体調に響く」
だそうだ。
こうして承太郎vsワルドの図式が完成した!
そしてルイズは介添え人としてワルドに呼ばれ、ギーシュ達は野次馬になった。

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