ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

マジシャンズ・ゼロ-15

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サンドイッチを貪るルイズ。話が決闘のことに移り、期待でキラキラした目で決闘のことを訊ねるシエスタ。
メイド服の少女に、尊敬の目で見られ満更でもないアヴドゥル。
どこか幸せそうな三人は置いておいて、時間をアヴドゥルが広場から去った直後に戻す。
ケティの消失。モンモランシーの憂鬱。ギーシュの分裂。コルベールの驚愕。オスマンの動揺。キュルケの暴走。
……裏側の物語が始まる


-ケティの(淡い恋の)消失
ギーシュは決闘後、笑ったまま動かない。
周りの友人達は助け起こそうと近づいたが、『ギシュ茶』に気付き…
「うわッ!ギーシュ漏らしてやがる!?」
「まじまじ!?」
「あ~ホンとだ」

「……ギーシュ様!」
ビンタをし走り去ったが、決闘と聞き心配し見にきたケティ。
彼女は『ギシュ茶』を確認すると心の中であっさりギーシュを棄てた。
言っておくが、ケティは別に非情な女ではない。ギーシュのことも本気だった。
モンモランシーと二股を掛けられていたが、それでもギーシュへの憧れの気持ちに変わりは無かった。
……だが。平民に負け、命乞いするように蹲り、『ギシュ茶』まで漏らされると百年の恋も冷めるというもの。
こうしてケティの淡い初恋は『ギシュ茶』の独特の臭いと共に、終わりを告げた。
「私の初恋…ギーシュ様……アリーヴェデルチ!」
一つ大人になった少女-ケティは敬礼し、まだ笑い続けるギーシュと決別した。


-モンモランシーの(深い愛ゆえの)憂鬱
「はあ~」
薄暗い保健室でモンモランシーは何度目かの溜息を付く。先生には外してもらっている。
目の前には、錯乱したまま戻らないため強制的に眠らされたギーシュ-ズボンとパンツを脱がされ下はタオル一丁。
モンモランシーはギーシュに恋…いや愛していた。
その愛は深く。口にはしないが、いつか結婚してもいいかな~と考えていたほどだ。
だから…二股掛けられようが、平民に決闘で負けようが、『お茶』を漏らそうがモンモランシーの思いに変わりは無い。
健気なモンモランシー。
確かに、二股を掛けられ頭にき、絶交宣言したが本気で言った訳じゃない。
そういう男と理解した上で、モンモランシーはギーシュと交際している。
(こいつを相手できるのは私くらいよね)
そんなことを、少し誇らしげに思ってもいた。まあ…ギーシュの浮気性を止めさせようとも思っていたが。
なのでむしろ怒りは、ケティを悲しましたことの方が大きい。
(あの子…悲しんでないかしら)
自分に良く懐いてきた可愛い後輩-ケティ。
この前、自分にもようやく素敵な彼氏ができたと嬉しそうに言い。紹介したいから今度連れて来ると言っていた。
(このバカ!よりにもよってケティに手を出して)
アホ面-モンモランシー視点で眠るギーシュを睨む。ここで叩き起こさないのがモンモランシーの優しさである。
某『ゼロ』のお嬢さんにも見習って欲しい。
しばらく、顔を見ていると…ギーシュが目を覚ました。


「……ん」
「ギーシュ!?大丈夫?何とも無い?」
「…ここは?」
「保健室よ。あなた錯乱して大変だったんだから」
「…錯乱?」
「そうよ。……覚えてないの?」
「僕は…どうしたんだ?」
「決闘よ決闘。ルイズの使い魔との「うわわァァーーー!!!」キャッ!」
モンモランシーが決闘のことを口にすると、突然大声を出すギーシュ。
そのまま、自分の肩を抱くようにし丸くなる。
「ギーシュ!?」
行き成りの行動にどうすればいいか解らず、とりあえず名前を呼ぶモンモランシー。
……ここで、先生を呼びに行っていれば二人の未来は変わっただろう。
だが、モンモランシーはギーシュを一人にできず部屋に残った。
それが、二人の関係に終わりを告げるともしらず……


-ギーシュの(精神の)分裂
眠りから覚めたギーシュにとって解らないことだらけだった。
なぜ保健室で寝ているのか?
なぜモンモランシーが必死な顔でこっちを見るのか?
なぜ下半身がスースーするのか?
なぜ起きたばかりなのに尿意がないのか?

だが、それらの疑問はモンモランシーの一言。
『ルイズの使い魔との決闘』で吹き飛んだ。
「うわわァァーーー!!」
自分の叫び声とモンモランシーの心配気な声がやけに遠くに感じる。頭に甦ってくるさっきのこと……
二股。決闘。勝利を確信した自分。炎。驚愕。恐れ。友人からの嘲笑の声。平民からの侮蔑の視線。
そして、今向けられている。モンモランシーからの自分を…ギーシュ・ド・グラモンを哀れむ視線。
全て-ほとんど被害妄想から来たモノを理解したギーシュ。

ギーシュは女好きだ。二股なんかいつものことだ。それが原因で同学年の女子からはほとんど相手されない。
それでもギーシュは構わなかった。一番愛している大事な人-モンモランシーが居てくれたからだ。
だが今、そのモンモランシーに棄てられようとしている。それはギーシュに人生最大の焦りを生んだ。
平民に決闘で負け、見っとも無くうろたえ、『ギシュ茶』まで漏らした。
客観的に見て、これで嫌悪感を抱かない女性はいない。ギーシュはどうにかして取り直そうとする。
(モンモランシーにこのままでは棄てられる!)
「ギーシュしっかりし「モンモランシー聞いてくれ!?」
心配し何度も声を掛けていたモンモランシーに言い寄る。


「えッ、ええ」
「あの決闘はわざと負けたんだ」
「……え」
「前もってあの使い魔君と相談していてね。八百長ということさ」
「ちょっとギーシュ!?」
「向こうが打ち合わせ通りにしないものだから、少し慌てて「待って!」
起きて早々。叫びを上げたらと思ったら、訳の分からないことを言い出すギーシュの手を掴みモンモランシーは落ち着かせようとする。
「ギーシュ落ち着いて。あなたまだ錯乱してるのよ」
「ぼ、僕は錯乱などしていない!」
被害妄想が甦り、情緒不安定になるギーシュはモンモランシーにキツク言う。
「君まで僕をバカにするのか!?」
「バカになんてしてないわ」
「違わない!」
ギーシュはさっきまでのモンモランシーへの思いを忘れ、掴まれている手を払いのける。
「あのメイドだってそうだ…わざわざ僕に恥をかかす気で瓶を拾って」
メイドを罵倒しだすギーシュにモンモランシーは驚く。
「それは違うでしょ!?ギーシュ!あなた反省してないの!?」
「反省?反省ってなんだい、モンモランシー。あれはメイドが「そうじゃない!」
「二股よ!あなたが二股掛けたのがそもそもの原因でしょ?」
「二股?」
ギーシュは不思議そうに濁った目で反復する。
「おお、モンモランシー。君は勘違いしているんだ」
「……勘違い?」
「ああそうとも。彼女-ケティとは馬の遠乗りをいっしょしただけさ」
「そうなの?」
ケティから聞いていたことと食い違い、アレッと思うモンモランシー。
「僕がモンモランシー以外に目を向けるはずないのに。それを何を勘違いしたのか、勝手に舞い上がって全く迷惑だよ」
ギーシュが言葉を続けようとし、モンモランシーはそれがとても『不吉』に思えやめようとする。
……しかし、ギーシュは続ける。

-ギーシュの名誉のために言うが、彼は普段女性にかなり気を使う紳士モドキだ。
 今回のことは一重に錯乱しているため、口走っただけで心からのモノではない…と思う。

「顔を叩いて、痣が残ったらどうするんだあの『バカ女』は」
プツッ
「『頭が弱い』のかね彼女は」
プツッ
「遠乗りしただけで恋人になったと思うなんて『妄想癖』でもあるんだね」
プツッ
数回、細かく頭の中で何かが切れる音を聞くモンモランシー。
震えのあまり声を出すことが出来ない彼女は思う。
(ギーシュ……こんなことを言う人だったの)
多少女性にだらしなかったが紳士であろうとしていたギーシュ。
そんな彼を好ましく思っていたモンモランシーの心に失望感が芽生える。
徐々に増す失望感にモンモランシーは考えるのを放棄した。
(私が思うたしかなことはねギーシュ。次ケティを貶された瞬間。私はたぶんプッツンするだろうということだけ)
モンモランシーは自分に笑いかけ話してくるギーシュを見ながら冷静に思う。

そして…最後の言葉が紡がれた。
「馴れ馴れしく近寄って来て。あの『淫売』は、恥を知らないだね」
プッツーーーーーン
ギーシュのソノ発言で、モンモランシーは頭の中の大切な何かが切れた音を聞いた。
それはギーシュへの思い-愛だったのかもしれない。
「『淫売』なんて誰も相手しnバキィ!
ギーシュがこれ以上話すのが耐えられず、鉄拳で黙らせるモンモランシー。
呆然とモンモランシーを見上げるギーシュに零れる涙と共に言い捨てる。
「あなたがこんな人だとは思わなかった」
涙を拭い。もう二度と感じることのない思いに別れを告げる。
ギーシュは殴られた頬を押さえ呆然と見送った。
「さよなら…ギーシュ。愛しかった人」

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