ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

L・I・A 第10話

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第10話 零と金剛と料理人と

「オマエェ~~~~~~~ソコでナニをシテイルッ!?」

なんだと言うのだこれは。自分は、とても良い匂いに誘われた。故に本能の赴くままに来てしまった。
ぼーっとしていた頭がクリアになり、自分の行いを振り返る。確かに何も言わずに厨房に入るのはマズイ事だろう。
何故自分もこうなったのか解らない。
しかし何故目の前のこの男は『こんなにも殺気だった目』でこちらを見ているのかッ!
「ミタナァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!」
トニオの修羅か羅刹の如き表情。今、彼の目に映るには、目の前の桃色の髪の少女ただそれのみ。『許せない』『ユルせナイッ!』全くもって許す事は出来ない。
少女はやってしまった。もしもが重なり、何かきっかけがあれば自分の使い魔になっていたかもしれない彼の『許せない事』をッ!
ギュオンッ!
「あうッ!」
何かが飛んできた。包丁だ。私に包丁が投げられた。
ルイズに投げられた三本の包丁は、1つは顔のそばの壁に突き刺さり、1つは右頬を僅かに掠め、1つは彼女の腕を掠める。
つつーっと血が流れる。興奮のせいか狙いが定まらないのか?しかし、三本の包丁は、直撃せずともルイズに恐怖を与えるには十分だった。
「オマエェェーーーーーーーッ!」
息つく暇も無くトニオは一気に間合いを詰める。右手には彼「愛用」の「直方体の物体」が握られていた。
「ヒッ!?」
なんなのよッ!?なんなのよアイツはッ!?
目の前の事態に怯えを隠せない。しかし、ルイズの体は防衛本能のままに反応する。
「(取り敢えず何でもいいからッ!!)」
すぐさま杖を向け、呪文を唱える。『ファイヤーボール』。小火球を放つ火の魔法である。


ドッグォォォォォンッ!!
爆発がトニオの上半身を包む。案の定失敗してしまったがこの場合は逆に好都合ッ!爆発なら殺傷力も高いッ!
「やった!!」
思わずガッツポーズする。しかし瞬時に自分のした事を理解してしまう。
自分は何をしたのか?怒り狂っていた、包丁を投げてきたと言えど料理人に魔法を炸裂させてしまった。しかも殺傷力のある爆発だ。
「まさか、死んじゃったとか・・・・・」
平民相手とは言え、殺人を犯してしまったという罪悪感がルイズを包もうとしていた。だがッ!
「キサマァァァァァァァァ!!!!!!!!」
晴れかかった煙の中から現れたのは今しがた殺してしまったかと思った料理人、その名をトニオ・トラサルディーーーーーーーッ!!!しかも全くの無傷ッ!!!
もうだめだわ。
ルイズは諦めた。そして覚悟した。世界の動きが全てスローモーションで見える。
目の前に迫り、四角い物体を振りかぶっている料理人は、あれで自分の息の根を止めるのだろう。
何故だか恐怖は感じなかった。これから死ぬのだろうに、死の感覚と言うものが感じられなかった。
「(ああ、なんでなのかしら)」
トニオは『愛用品』を振り下ろさんとし、
「トニオさん、何やってんスかァァァァーーーーーー!?」
刹那、扉を開け放たれると共に、仗助の叫びが厨房内に木霊する。
「ココてでハッ!手ヲ洗いナサァァァァァーーーーーーーーーイッ!!!!! !」
・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「「「「・・・・・・・えっ?」」」」
沈黙、そして一瞬の後に間抜けな声。
「え・・・へっ?」
ルイズは訳が解らなかった。目の前に突き出されているのは石鹸。まるで金塊やレンガほどもある巨大なモノだ。
中心には彼女には読めない言語で字が刻まれていた。『真・薬用』と・・・・・


「忍び混ンデ来タのは許セナイッ!しかしッ!もっと許セナイッ!ソンナ汚れた格好でッ!厨房に入ってキテはイケマセンッ!
厨房のヨーナ清潔な場所にはッ!バイ菌が一番の天敵なのデスヨッ!?」
ずいっと石鹸が押し付けられる。
「と、トニオさん・・・・」
絞るように声を出す仗助。
「オーーッ!仗助サン達デスカッ!聞いて下サイ!この人、汚れたママで厨房に入ってキタのデスヨ!?」
そう聞いて向けた目の先には、
「「あ」」
二人の声が重なった。ルイズの目には召喚してしまった挙げ句、逃げられてしまった平民の鳥の巣頭が。
仗助の目にはここに来てしまった原因であり、暫くは側についていてやらなくてはいけないらしいルイズとかいう女が。
「ち、チワース。その節はどうも」
「あ、アンタ・・・・」
最大級の罵倒をしてやらんかとするルイズは
「チョット貴女ッ!」
トニオに全てを遮られた。
「マダ話は終わってマセンヨ!!」
トニオは怒り心頭である。
「いいデスカッ!?アナタには、ココを全て綺麗に掃除してもらいマス!」
それを聞いて仗助は全てを悟った。
見ると汚れているこの少女は、かつての自分と同じ過ちをしてしまったのだろうということを。
そして、汚れたルイズを見て、ついてきた面々もトニオが何故に怒っているのかを理解した。
ちなみに、トニオの思っている事は正論なので、誰もルイズに味方するものは居なかった。
「ちょっと、なんで私がそんなこと!」
ルイズがトニオに噛みつく。


「ミス・ヴァリエール」
「ミスタ・コルベール!!」
コルベールが歩み出てくる。
「その・・・・あのですね、君は、そのミスタ・トラサルディーに従った方がいいですよ?」
諭すように話す。しかしルイズが納得するはずもなく、理解できないとばかりに言う。
「いいッスかぁ~?トニオさんは料理に命懸けてますから、あーゆー風に汚れなんか持ち込んじゃダメッスよぉ~怒られますから」
一方残っている面々にトニオの料理に対する姿勢について説明していた。勿論、逆鱗に触れれば包丁が飛んでくると言うことも。
「納得がいきません!危うく殺されるかも知れなかったのに!!」
一向にルイズは噛みついている。コルベールも困ってしまった。そこで、
「オールド・オスマン。どうしましょう」
「ッ!?」
オスマンにこの場を任せる。頭に血が昇っていたルイズはオスマンがいるなど思ってもいなかった。
「ふむ・・・・・・・」
オスマンは考え込み、暫しの後、
「ミス・ヴァリエール。」
「は、はいッ!」
「腹括って掃除をしなさい」
トニオの言葉通りにする事を命じた。
「そんなッ!学院長まで・・・・」
その言葉にオスマンは
「しかしのぉ・・・」
顔をしかめた後、
「美味いモノ食わせて貰ったしのぉ、ワシも彼には逆らえんよ」
苦笑しながら彼は言うのであった・・・・・・・・


この後、ルイズは一人で広大な厨房を掃除させられた。
その時使ったのは『真・薬用』であったが、今まで中々落ちにくかった頑固な汚れがすんなりと落ちたことに、見ていた皆特にマルトーとメイドの少女の中のトニオへの株が上がったのは言うまでもない。

To Be Continued・・・・・・・

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