ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

slave sleep~使い魔が来る-7

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
『青銅』のギーシュ④

「やったッ!彼は行動をとらなかった!つまり、彼は負けを認めたのだッ!
ついに、ついに勝った!勝ったぞッ!!」
(クソ・・・もう・・・限界だ・・・!この戦いにかけた『覚悟』は・・・奴のほうが・・・上だった・・。
オレとしたことが・・・こんな結果に・・・。オレの・・・完敗・・・か・・・・!)

彼に一体なにがあったのか?彼は何を果たせなかったのか・・?
把握のため少々時を戻そう。では・・。

BITE THE DUST 『バイツァ・ダスト』!!(負けて死ね)


「「行くぞッ!!」」
互いが戦闘を再開するッ!!
「石礫だッ!!」
ギーシュのその一発がブチャラティの右手に当たるッ!!
「ぐっ!!」
「その『足』・・・・やすやすと開放させないよッ!!」
(くそっ!コイツやはり貴族のボンボンにしては強いッ!)
ブチャラティは、さっきルイズに教えてもらった"系統"と"クラス"の事を思い出した。
(さっき言ってた事が正しければ・・・奴は"土"のドット。メイジとしての強さはまるでないはずだ・・。今日一日ルイズのそばで授業を見ていても、数少ないラインと比べたらそいつらは奴の出来を上回っていた・・・。)

「ワルキューレ!!」
新しく青銅のゴーレムが増えるッ!!
「『7体』・・・・・だな・・?」
「・・・・!?」
ブチャラティが囚われてない方の足で立ち上がろうとしながら言う。
「お前は・・・・オレがワルキューレを破壊してもどんどん次のを生み出していたが・・・。
さっきから見ているとお前は動ける奴の合計が『7体』以下になるように生み出している・・・。
これはお前の魔力の限界・・。『おまえの限界が7体まで』だということがわかった・・・。」
「フン・・・。見抜いたか・・・。そうさ。所詮ドットの魔力でできることなんてこれが限界・・。
だがね・・!僕はそのことを君よりもずっと前から知っているッ!なんせ僕自身のことだから
ね・・・。」

バキンッ!
ワルキューレに殴られるッ!
「だがだからこそ僕はその弱点をカバーするために力を強めるだけでなく、弱い力を最大まで
活用する戦い方を覚えたッ!・・・君と巡り合うまでにラインになることは出来なかったが、
それでも今ではラインはおろか・・・油断している奴ならトライアングルにも通用すると
思うよ・・!」
バキッ!ドコッ!ボカッ!
続いて2体攻撃に参加する!
「ブローノ・ブチャラティ君・・・。君のそのスタンド、それにその・・・明らかに実戦の中で磨かれた戦い方・・・。
以前何をやっていたか知らないが君は間違いなくトライアングルにも匹敵するであろう実力を持っている・・・!
だがそれでも!君の『隙』!その『隙』を無駄なく確実に狙う戦い方をすれば僕にも勝機はあるッ!!」

ガスッ!バコッ!メリッ!ドカッ!ズドッ!ボコッ!
これはひどい!フルボッコだッ!
だがっ!
バラッ!
ヒュン!ヒュン!
輪切りのワルキューレ!礫返しッ!ブチャラティはリンチ紛いの攻撃を
受けながらなお攻撃をやめないッ!!
(コイツの考え方は・・・・オレたちスタンド使いの戦い方にも通じるものがある・・。
スタンドのパワーの良し悪しなど・・・戦略次第でどうとでも覆せる・・・・。
時には最弱すら最強と化してしまう戦い・・・。偶然かそれを奴は魔法で再現しているのか・・・。)
お互いの攻撃がさらに過激になった時ッ!
「やむをえんッ!"スティッキィ・フィンガース"!!オレの腕に"ジッパー"をッ!!」
ブチャラティのジッパーが螺旋状に貼り付くッ!
「コイツ・・・自分の腕をッ!あの形状・・・・ハッ!まさかコイツ!ワルキューレ!遠慮などするなッ!
確実に再起不能に持ち込むんだッ!!」
だがそれを止める事はかなわなかったッ!
ブチャラティがもう片方の腕でジッパーを貼った腕を持ち・・・。
「行けッ!」
ブン投げたッ!そしてその腕から・・・!
「そこからなら・・・・射程距離内だッ!!!」
スティッキィ・フィンガースの腕が襲いかかった!

「何ィーーーーーッ!?そんな使い方が!?」
対応が遅れたギーシュ!石礫を放つが・・・!!?
ドゴォ!!
「ぐべぇッ!!!」
一手遅かったッ!!パンチのほうが先に決まるッ!!

バタッ!!
ギーシュが倒れるッ!だが今の一撃で『頭部と右腕』と『左腕と下半身』に別れそうになっている!
「ヤ・・・ヤバイ・・・!早くつなぎ直さないと・・・!」
焦りながらもなんとか繋ぎなおすッ!
ガバッ!
「ブチャラティは!?」
起き上がってみて、ギーシュは思った。なぜそのまま攻撃に繋げない・・?
だがその時ギーシュは見た。
「これは・・・まさか・・・?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・!!!!

動かない。ブチャラティはピクリとも動かないのだッ!!
(な・・・・体が・・・・・動かない・・・・?)
あのリンチ紛いの攻撃が効いていたッ!!ブチャラティの体にはとうとう限界が来ていたのだッ!!

ブチャラティの中では、動きを止めた隙に足を開放し、一気にラッシュで畳み掛けるつもりだった。
すでに『足』は開放した。だが彼にはすでにその足で立つ気力がなかったのだ!!
(くそッ!動けッ!あんな一撃では再起不能になってるはずがない・・!)
「まさか・・・・?いや、もしかしたら罠か・・・?」
ギーシュが造花をかまえて言うッ!!
「ブローノ・ブチャラティ!!やられたフリをして僕を罠にはめようとしているならやめたほうがいいぞッ!!
      • だが本当に降参するなら『参りました』の一言を聞かせてもらおうかッ!!」
『ふざけるな』と言おうとしたが、もはや声が届かない。
「もはや声が出ないか・・・・・・?それならば行動で示してもらおうッ!!」
ギーシュが何かを投げるッ!!
(これは・・・・・・・?)
「それは平民がメイジに対して戦うために作った牙・・・そう、『剣』さ!
まだ戦う意思があるならばそれを拾ってみろ!」
その時、ワルキューレが取り囲む!
「だが拾った瞬間僕のワルキューレを容赦なく叩き込む。それでもいいのなら!」
(く・・・コイツ・・・・!)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・!

「さあ!戦うか!降りるのか!ハッキリ行動に出してもらおうッ!ブチャラティ!!」

ギーシュは思った。
(僕の行動を見て・・・きっと見ている人はぼくが油断していると思うんだ・・・・。
だが僕は断じて油断などしてはいないッ!!
目の前には剣・・・。これを拾えば確かにブチャラティの武器は増える・・・。
だが僕との距離は5メイルも離れているんだ・・・。果たして武器を取ったところで、
ワルキューレの攻撃をかいくぐってぼくにたどり着けるか・・・?
そう考えているうちにどんどんプレッシャーは増え、ましてやあのダメージ、
アイツは確実にボロボロにできるッ!
これはプラフだ!ぼくが確実に勝つための精神的な攻撃ッ!!)


一方ブチャラティは・・・。
(この剣を取り・・・反撃を・・・・!)
―――――――これ以上戦って何になる・・?
(このままなめられているわけにはいかない・・・・。)
―――――――そんな薄っぺらい理由で戦うのか?
今のおまえにはあの男は倒せない。そんな志の低いおまえなどに。
(なん・・・・だと?)
―――――――今のおまえとあいつとでは戦いに対する『覚悟』が違う。
そうでなくても、あの時でさえお前は自分の仲間をみすみす死なせてしまっている。
そんなお前に勝てると思うか・・?
(黙れ!過去がどうあろうと、オレは立ち止まりたくない!戦い続ける!)
ブチャラティは剣に手を伸ばす。
―――――――何のために?全てが終わった今、お前に心から果たしたいと思ってないお前に
何が出来る・・?

ブチャラティが剣に手を伸ばすのを見たギーシュは造花を構える!
(来るか・・・!?)
だが・・・・。

パタッ
ブチャラティの手が地に伏せる音だった。これが意味する事はッ!!

『ブチャラティは心の中で負けを認めた。』

「ク・・ククク・・・!!!ハハハハハ!!!負けを・・・・『認めたな』!
僕の力に対し、ついに屈服したかッ!!
やったぞ!僕はとうとう!自分の運命に勝った!やったんだ!!」
(オレが・・・・違う・・!負けてなどいない・・!)
だが彼の手は動いてくれなかった。彼の直感は、本能は、真の覚悟をした
今のギーシュに勝てない事を意味していた・・・。
(オレは・・・負けた・・・。あいつの覚悟に・・・・。もう・・・限界か・・・!)

そして時は現在に戻る。

「さあ・・・そろそろしゃべれるだろう?そろそろ君自身の口から敗北宣言を聞きたいね。
『参りました』の一言くらい言ったらどうだい?」
だがブチャラティはなにも言わない。心が負けを認めてもそれを素直に行動には取れないのだっ!!
「負けを認めたわりに、往生際が悪いな・・・。いいかげんにしないと・・!」
「もうやめてッ!!」

ルイズがギャラリーを押しのけて言ったッ!!
「どくんだ、ルイズ。」
「どかないッ!もうブチャラティは動かないじゃない!」
ブチャラティも目を見開く。
「ルイ・・・ズ・・・。やめろ・・・。なにも・・おま・・・えが・・。」
「そんな事言ったって!使い魔がここまでボロボロにされて!黙ってられないわよッ!!」
ギーシュは杖をルイズに向けて言う。
「決闘を邪魔するなルイズ。これはどちらかが負けを認めるまで続けるもの!
そう言った時だった。
「・・・・でもブチャラティはもう何もできはしない・・。だから・・・。」
周りがざわめくッ!ルイズが頭を下げたッ!
「主人として・・・。このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールがこの
わたしの使い魔のかわりに・・・。」
ルイズがひざまずくッ!!
「ヴァリエールの名にかけて、伏して申し上げるわ・・・・。どうか、この私の使い魔、
ブローノ・ブチャラティをお許しください・・・・。」
驚愕ッ!あの気位ばかり高かったあのルイズがッ!
王家の近くに連なるヴァリエール公爵の三女がッ!
ブチャラティのためにひざまずいたッ!!

「・・・・・・そうか・・。」
ギーシュが言う。
「非常に・・・・残念だ・・・。」
ブチャラティは歯を食いしばった。
(クソ・・・!手を動かせなかったばっかりに・・・!アイツを・・・ルイズを!
裏切るようなマネをしてしまった・・!ルイズ・・・!この体が動いたら・・!
オレに・・・アイツを上回るほどの覚悟を再び決められたら・・・!)
心から罪悪感が湧き上がる。心から悔しさを感じたッ!
そしてギャラリーが静かに騒ぎ立てる。
ヒソヒソ・・・。
(おい、あのヴァリエールがひざまずいたぜ・・・・。)
(ハッ、すごく無様だな。所詮『ゼロのルイズ』だ。)
(負け犬の使い魔と並んで、すごくお似合いだぜ・・。)
(アイツなんかにはどうせああやって頭をヘコヘコ下げるしかできることなんかないよ・・。)
ルイズはその陰口を聞いて、歯をくいしばった。
普段から叩かれていた陰口が普段よりさらに心に突き刺さるッ!
「悲しいな。君にはそれだけしかできないのか?
僕と対等に戦ったブチャラティと違って、君は実に情けなく見えるよ。」
ギーシュが冷たく言い放つ。周りの嘲笑がさらに上がる。
ルイズは心から苦しみを感じていた。
(やっぱり私は『ゼロ』なんだ・・・。私にできることなんてコレくらいしかない・・。
私には・・・こんなことしかできない・・・!)
とうとう涙を流す――――その時だった。


「何が・・・・可笑しい?」

「えっ!?」
突然の一言!喋ったのは・・・・!?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・!

「今のルイズの行動を・・・・・・笑うのか?」
ブチャラティだったッ!!ブチャラティが立ち上がったッ!!
「うわああああああああーーーーーっ!!!へ、平民が・・・蘇ったぁーーーーーーーーーッ!!」
「ルイズは・・・・・自分のプライドより・・・・オレの無事を取った・・・。
貴族のアマチャンはこういう事すら困難なのはわかってる。だがアイツは・・・。
もともとキツイ性格だから余計難しかったであろう、しかしアイツはプライドを捨ててのけた・・!」
ギーシュはそこで!初めてブチャラティが本気で怒っていることを理解したッ!!
「お、おい・・・。」
「そう・・・ルイズは最初いい印象がなかった・・。会っていきなり使い魔とやらになれだとか・・。
服を人に着替えさせるわ・・、朝食はまともな物をよこさないなんてこともやった・・。
その上、無駄につまらないプライドが高いし、それなのに魔法がまるで使えないと来た・・・。」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・!

「だが・・、アイツはオレに再び『命』をくれた・・・!なぜそれがオレだったのかはわからない。
だが理由はどうあれ、オレに再び時間を与えてくれたんだ・・!そして今・・・。オレを助けるためにその頭を下げた・・・!お前たちにここまでできるか・・?お前たちの中にここまで出来る奴が一人でもいるのか・・?」
ブチャラティが一歩、また一歩と歩き始めるッ!
「ま、待て・・!落ち着いてくれ・・!」
「ルイズは辛かっただろうッ!だがこいつはオレを助けてくれた!その姿は・・・・お前たちの何倍も輝いている!もうルイズはオレにとっての『恩人』なんだッ!」
ルイズは―――――いつしか涙を流した。
いままで、『ゼロのルイズ』と馬鹿にされ続けた自分を、親からも上の優秀な姉たちに比較され涙をのんできた自分を、やっと理解してくれた人間と出会えた!そのため涙を流したのだッ!辛かったルイズは今、嬉しさで涙を流せたのだッ!
「ブチャ・・・・ラティ・・・・・。」
「だからこそ!オレはこんなところで倒れてはいけないッ!ギーシュ。お前からは確かに素晴らしいほどの『覚悟』を・・『黄金の精神』を感じた・・。だがそれはルイズの今の行動を嘲っていい理由にはならないッ!!」
ブチャラティは今ッ!かつてネアポリスでジョルノと出会った時のような気持ちになったッ!
折れそうになった覚悟を!『黄金の精神』を取り戻したのだッ!
ルイズのプライドを捨てての行動は!ブチャラティの心をみたび蘇らせたッ!!
そして――――ブチャラティは剣に手をかけたッ!!
「おいちょっと待て。さっき言ったな?それを抜いたら攻撃を叩き込むと!」
ギーシュが再び造花に手をかける。

「ブチャラティ!もういいわッ!さっきの言葉だけで十分嬉しかった!
これ以上傷つく必要ないじゃない!!」
「いいや・・・・それでも・・・オレは戦う・・!お前の覚悟を見た以上、オレが倒れているワケには
いかないッ!!」
剣を抜いたッ!!
「抜いたな・・!つまり君はまだ戦う意思があると『行動』で示したわけだ・・・!」
ギーシュが再び集中を始める!
「なんで!?なんで戦うの!?平民がメイジに負けたって、恥でもなんでもないのよ!?」
「恥とかそう言う問題ではない。この決断はオレが『正しい』と思ったからやったんだ。」
「え?」
ブチャラティは剣を構え、スタンドを、S・フィンガースを発現させる。
ズキンッ!
「クッ・・。後悔はない…こんな世界とはいえ、
オレは自分の『信じられる道』を歩いていたい!!」
「いけっ!"ワルキューレ"!」
ワルキューレが襲い掛かる。その時。―――――――――左手が輝いた。

―※―
「なるほど・・・。その青年のルーンを調べに調べた結果、
それにたどり着いたということじゃな?」
オスマンがコルベールに言う。その真剣な目つきはいつもの茶目ッ気ある行動からは予測不能だっ!
「ええ・・・。彼の左手に現れたのは、この『始祖ブリミルの使い魔』にかかれたこのルーンでまちがいありません。」
そう言って指したページにかいてあったものは、ブチャラティのルーンと同じ!
「彼のルーン・・・それは『ガンダールヴ』の物と同じルーンなのです!!」
「『ガンダールヴ』か・・・・。」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・

「だが、コルベール君・・。『ガンダールヴ』はただの使い魔ではない・・・。
これによると、『ガンダールヴ』は、始祖ブリミルの詠唱時間の長い呪文を唱えている間の
守護者と聞いている・・・。そんな使い魔がミス・ヴァリエールの使い魔になったのか?」
「私も・・・疑問に思いました。ですから実は召喚時、"ディテクト・マジック"で彼を調べさせて
もらったのですが・・・。」
コルベールは言葉を詰まらせた。
「その結果は、契約前と契約後では結果が分かれましたが・・・。どちらも『異常』としか思えませんでした・・・。」
「何っ!?」

「『異常』とは・・・どのように異常だったのかね?」
「まず契約前・・・。彼は一見我々と同じ人間ですが・・・。契約前の彼は、精神エネルギーと、生命エネルギーにおいて、あきらかな『異常』がみられました。」
「精神と・・・生命エネルギー?」
「精神エネルギー・・・。これが、我々の使う魔法のそれとほとんど同じだったのですッ!!」
「む・・。つまり彼は“メイジ”だとでも言いたいのか?」
「いいえ。全くの別物です。我々の場合は、杖などの媒体を用いて、自らのエネルギーを
魔法へと変えていますが彼は違う。彼の場合は、精神エネルギーそのものが魔法とよく似た波動を放っているのですッ!!」
オスマンは水パイプを吸いながら言う。
「精神エネルギーそのものが魔法だと・・?それじゃあまるで“先住魔法”・・。」
「『エルフ』・・・ではありませんよ?彼の身体的特徴は全て我々と同じものです。
つまり、彼は『何者でもない』。平民でもメイジでも・・・エルフでもないのです。
そして生命エネルギーのほうだったんですが・・・。」
「どうだったんじゃ?」
オスマンが息を呑む。
「『ゼロ』でした。」
「何!?」
「正確には、“ディテクト・マジック”でさえ認識できないほど生命エネルギーがなかった・・。
どの道、あの時の彼は『死人』も同然だったんです・・・・。」
コルベールが汗を拭きながら言った・・。

「死人・・・だったじゃと・・?」

ドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・

「ですが契約後。そのときの結果は大きく変わりました。まず生命エネルギーが戻っていたんです・・・。その代わり、妙な反応が『二つ』に増えていた・・・・・。」
「それが・・・・ガンダールヴということか?」
「ええ・・・・。」
オスマンがコルベールを見据え、しかししばらく黙りこくってから言った。
「スマン・・・。君の言い方じゃと、『彼はもう死んだ人間だったが、ミス・ヴァリエールの召喚によって
一時的に復活し、その後契約で命を取り戻したあげくガンダールヴになった』と聞こえるのじゃが・・・。」


「そういうことになります・・・。ですが学院長・・。『その結果』が意味することは・・・。」
コルベールがどこか悲しげな表情で言った。
「うむ・・・。」
オスマンは背を向ける。そして言った。
「彼とミス・ヴァリエールの間に出来た“絆”はこの世で最も美しいのか?それとも最も残酷なものなのか?生憎こんな老いぼれになるまで生きておるのに答えが出せん・・・。」
「私もです・・・・。」
「彼ほど、この言葉が似合う者も珍しい・・・『運命の奴隷』と言う言葉が・・・。

コンコン。
ふとノックの音が聞こえる。
「誰じゃ?」
「私です。オールド・オスマン。」
ミス・ロングビルだった。少々息を切らしている。
「ヴェストリの広場で決闘をしている生徒がいるようです。大騒ぎになっています。
 止めに入った教師がいましたが、生徒達に邪魔されて、止められないようです。」
オスマンは、髭が揺れるほど深いため息をついて言った。
「まったく、暇をもてあました貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるんだね?」
「(アンタもよ!クソジジィ!)まず一人は、ギーシュ・ド・グラモン。」
「なんと・・。あのグラモンところの馬鹿息子か。思えば親父も色の道では剛の者じゃったが息子もその血を深く受け継いでいた・・。どうせ女がらみじゃろう。」
「いえ、もう一人はミス・ヴァリエールの使い魔です!教師たちは、『眠りの鐘』の使用許可を求めております。」
「アホか。たかが子供のケンカくらいを止めるのに、秘宝を使ってどうするんじゃ!放っておきなさい!」
「わ、わかりました・・・。」
ガチャン。
「オールド・オスマン・・・・。」
「うむ・・・。わかっておる。ワシらも行かなくては・・・。」

―※―
「ワルキューレ!容赦などするなッ!再び立ち上がった以上、確実に再起不能にしてしまえッ!!」
ワルキューレが襲い掛かるッ!その時ブチャラティは!?
(何か・・・おかしいぞ・・?)
彼は自分の感覚に違和感を感じた。『周りがゆっくり見える』のだ。
(これは・・・そう。かつてジョルノと戦った時に起こったあの感覚と同じ・・・。)
ワルキューレが迫るッ!もう逃げ場がないッ!!
「ブチャラティ!!・・あれ?」
ルイズは自分の目をこすった。だが見えるものは変わらない。
(あれ・・?何アレ・・・?なにか・・・・ブチャラティの後ろに・・うっすらと・・誰かがいる・・?)
ルイズの目には、ほとんど透明に見える。だが『それ』は確かにいる。そしてソイツの左手には、ブチャラティと同じルーンがあったッ!!
「終わりだぁぁ!!!」


「――――いや。『アレ』とは違う。」

ズバッ!バキズカッ!!
「な、何ィーーーーーーーーーー!!!」
ギーシュは何が起こっているのか理解できなかった。
ほんの一瞬!ブチャラティはほんの一瞬でワルキューレの3体は切り崩しッ!!
4体はジッパーを使うことなく砕き割ったッ!!
「やはり・・・。あの時とは違い、オレ自身がそのままゆっくり動けていた・・!
今度は間違いない・・・!本物のパワーアップが起きているッ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・

「何・・・?何なのあの『霊』のようなもの・・・。ブチャラティ・・・アンタ一体・・?」
「よくわからないが・・・。オレの“スティッキィ・フィンガース”!
まだ動ける・・・。まだ戦えるみたいだッ!!」

ルイズに見えているモノとはもしや・・?そして黄金の精神を取り戻したブチャラティ!
次回、とうとう決着ッ!!

to be continued・・・⇒

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