夢 - ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

夢を見ていた。
シーザーはその夢の中で友を見ていた。今でこそその場所は遠いがこの間まで居た場所だ。
しかし、たかが数日離れただけなのにやたら懐かしく思えた。
それだけその友と過ごした日の密度が高かったのだろうか？

　あいつは俺が死んだと思って落ち込んでいるのかと思っていたが違っていやがった。
　だが俺はこの通り生きてるからなッ！
　もしも酷く落ち込んでいやがったら俺の奥義のシャボンランチャーを食らわしてやるッ！
とかなり物騒な思考であったが。

その友は夢の中で俺を倒したアイツをやっつけた。
それはシーザーにとっても気分が良かった。別に仇だからどうこうじゃなく、友は俺を超えていったという所が嬉しかったのだ。
しかし夢はいつか覚める。
そしてその夢の終わりは友が宿敵と半ば相打ちになった所でシーザーは目が覚めた。

割れないシャボンとめげないメイジ
夢

「ハッ！」
シーザーはまだ夜も明けきっていないにも関わらず目を覚ました。

　ここは何処だったか？
　ホテルに近い雰囲気だけれども…

だが、彼の傍で気持ちよく寝息を立てている『主人』を見ると今までの事を思い出した。
しかし、そんな事よりも今は重要な事が彼にはあった。
彼が先ほど見ていた夢である。

　夢の中のアイツはJOJOに違いないが、なんで俺が居なくなったその先を見たんだ？
　夢っていうのは過去の記憶の整理によって見るものだから自身の体験したものしか見ないと聞いた。
　じゃあなんで俺はあんなに鮮明に夢として見たんだ？

そう思うとシーザーは途端に胸が締め付けられるような不安を感じた。

　馬鹿馬鹿しい！たかが夢だッ！
　まさかJOJOが夢の通りになった訳じゃない！

だがさっきまで見ていた夢にはある種のリアリティが有ったという事もまた無視しがたい事実でもあった。

　まったく、俺のガラじゃねぇ…
　最後の一瞬で寝汗が一気に出たのかしらねぇが気持ち悪い…

まだ夜も明けきっていないが体を拭こうといった気持になる。ついでに目の前の少女に頼まれた洗濯もしておこうと思った。
そうと決まれば早目に行動だ。
しかし、水場が何処にあるのかわからないので誰かに尋ねなければならない。

　取りあえずここは貴族のための教育施設だ。
　そしてここは俺たちが波紋を習ったヴェネチアのエア・サプイレーナ島に似ている。
　あそこはスージーQが雇われていた。ここでも何人かが奉公人として雇われているだろう。

まだ満足に明るくないが、食事の支度等で働いている人間は居るとシーザーは踏んだ。
そして寝る前に放られた洗濯物を手近な籠の中に入れてルイズの部屋を後にした。
部屋を出た後、適当にシーザーがウロウロしていたら一人のメイドの姿をした少女に出会った。
これ幸いとシーザーは水汲み場などの場所を尋ねようと彼女に近づいた
「そこのカワイイ人、すまないが尋ねたいことがあるんだ」
「そんな、カワイイだなんて…」
目の前の少女は褒められるということに慣れていないのか顔を真っ赤にし、手に頬を当てイヤンイヤンと頭を振っている。
そんな反応をされるとシーザーの好みとは少し歳が低いが目の前の少女を口説こうという心が頭をもたげてきた。
「なにを謙虚することがあるんだいシニョリーナ、君が可愛いのは事実だよ」
と、すっかり口説きモードに入ったシーザーだったが手に持っている籠を見て肝心の目的を思い出した。
「あぁ、そういえばぼくの主人に洗濯を頼まれてね。洗濯する場所とか教えてくれないかい？」
「あ、あなたはもしかしてミス・ヴァリエールの使い魔ですか？」
「不本意ながらね」
「なんでも、召喚の魔法で平民を呼んでしまったって噂になってますわ」
シーザーにとっては嬉しい噂ではなかった。どうせ噂ならかっこいい使い魔が呼ばれた―とかの方がよっぽど嬉しいからだ。
「それで、洗濯する場所は？」
「今から案内します、付いてきてください」
シーザーは目の前のメイドに水汲み場へと案内されると彼女の名前を聞いていないことを思い出した。
「ありがとう。ところで君の名前はなんていうのかな？ぼくのことはシーザーと呼んでくれ」
「私はシエスタっていいます。では、ここに道具を用意しておきますので遠慮なく使ってください」
道具には洗濯板に桶、石鹸やタオルなんかもあった。
「本当にありがとう、カワイイ人！」
「もう、またそんなこと言って！」
だがシエスタ自身も満更じゃないようで、心の内を明かすようにスキップしていった。

　場所も教えてもらった事だしさっさと片付けるか。

シーザーはまず洗濯から片付けていき、自身の体は最後に水で濡らしたタオルで拭いた。
汗を拭うごとに不安も消えていくようであった。
まだまだシーザーのこれからの一日は始まったばかりであった。

←To be continued？

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