ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

サブ・ゼロの使い魔-4

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匿名ユーザー

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「おい、起きな」
ガン!とルイズのベッドを蹴り飛ばす。しかしルイズは起きない。
ガン!もう一度、更に強く蹴り飛ばす。しかしルイズは目覚めない。
ドガン!更にもう一度、勢いをつけて蹴り飛ばす。しかしルイズは気付かない。
ベッドを蹴り飛ばしていた男の眼がスッと感情をなくす。
「クソガキ・・・このオレがわざわざ早起きまでして仕事をしてやってる
ってェのによォォ~~」
ギアッチョの糸より細い堪忍袋の緒は音も立てずに切れた。
「ホワイト・アルバム」
ギアッチョがその言葉を口にした途端、ルイズの部屋は北極の海にでも
投げ込まれたかのように急激に冷え始めた。
ビシィッ! 窓が凍る。
ビシィィッ!壁が凍る。
ビシビシィッ!!絨毯が凍り、
ビキキキキッ!!シーツが凍り始めたところで、
「さ、さささ寒ッ!!?」
ルイズはようやく眼を覚ました。
「ようやくお目覚めかァ?お嬢様」
「なななななッ!何してんのよあんたはァーーーッ!!危うく二度と起きられ
なくなるところだったじゃないッ!!」
「別にいいじゃあねーか そうなりゃ二度と早起きしなくて済むんだぜ 
それによォ これでおめーは『起きなきゃ殺される』って事が理解出来た
わけだ 明日からはちゃんと目覚められるんじゃあねえか?ええおい」
ギアッチョの詭弁にもなっていない発言にルイズがブチキレかけた時――

バガンッ!

ドアを開けたとは思えないような音を立ててキュルケが部屋に入ってきた。

「何やってるのよあなた達ッ!私の部屋まで凍り始めたわよッ!!」
「このお嬢様がいくら起こしても起きねェもんでよォォ~~ 手っ取り早く
起こす方法を取ったってェわけだ もう解除はしてある 安心しな」
勢いで飛び込んできたもののギアッチョは正直怖い。キュルケは怒りの
矛先をルイズに向けることにした。
「ああそう・・・それにしてもルイズあなた何歳よ?それとも睡眠に何か
こだわりでもあるワケ?生死を賭けた状況になるまで起きないなんて
そうそう出来ることじゃあないわよねぇ」
「うっ、うるさい!昨日は色々疲れてたのよ!」
昨日の礼を言うどころか罵倒で返してしまった。これだから私は、と
ルイズは内心自分が情けなくなる。
「やれやれ、それじゃあ私は部屋に帰るわ。明日はこんなことになる
前に起きてよね」
そう言い残してキュルケは去って行った。
「ギアッチョ!あんたのせいよ!」ルイズはギアッチョをキッと睨む。
「あんたは今日から雑用だからね!まずは私の服を着替えさせてそれから
――、って!どこ行くのよッ!!」
ルイズが気付いた時にはギアッチョは既にどこかへ行ってしまった後だった。
「あのダサ眼鏡・・・どうやら使い魔としての自覚が足りないようね・・・!
私の従者としての立場を教育してやる必要があるわッ!!」
喉元過ぎればなんとやら。ギアッチョの呼び方があなたからあんたに戻って
いることといい、どうやらルイズは昨日の恐怖をすっかり忘れ去って
いるようだった。

あの後、結局ギアッチョは部屋に戻ってこなかった。ルイズの怒りは
収まらないようで、「せいぜい勝手に歩き回って朝食を食いっぱぐれれば
いいんだわ!」と怒りもあらわに一人食堂に向かった。

食堂に入り、適当な場所を探していたルイズだが――

ドグシャアァ!!

というおよそ食事をする場所では耳するはずのない音を聴いて振り返り。

そして奴を発見した。

ルイズ言うところのダサ眼鏡は―貴族専用の椅子にどっかりと鎮座し、
テーブルを殴りつけながらワケの分からないことを叫んでいた。
「テーブルマナーってよォォォ~~ イギリス式とフランス式で作法が
違うんだよォォォ~~~ スープの飲み方とかフォークの置き方とか
よォーーーッ それって納得いくかァ~~?オイ? オレはぜーんぜん
納得いかねえ・・・ どういう事だッ!どういう事だよッ!クソッ!オレを
ナメてんのかッ!一つに統一しろッ!ボケがッ!」
何度も殴られたテーブルは形が歪み始めたが、そんなことおかまいなしに
ギアッチョは暴れ続けている。一方ルイズは、口の端を引きつらせたまま
完全に固まっていた。
数秒して我に返ったルイズが採った行動は、とにかくこの場から逃げる
ことだった。「あいつが私の使い魔だってことがバレたら・・・!」と思うと
ルイズの心臓は凍りつきそうだった。が、1秒後彼女の心臓は脆くも
ブチ割れることになる。
「ああ~?ルイズじゃあねーか 遅ェぞご主人様よォォ~~!」
その瞬間食堂にある数十対の目が全てルイズに集まり―彼女は本気で
泣きたくなった。

「何やってんのよあんたはァーーーーーーッ!!!」
ルイズは激怒した。必ず、この横暴無比の使い魔を躾けねばならぬと決意
した。ルイズには裏社会の事がわからぬ。ルイズは、貴族のメイジである。
杖を振り、失敗を重ねて生きてきた。けれども無礼に対しては、人一倍に
敏感であった。
「見なさいよこれッ!テーブルがバキバキにヘコんじゃってるじゃないのよ!
ああっ!?しかも貴族用の料理を平らげてる・・・食前の唱和すら始まって
ないのに!!」
「ああ?何か悪かったかァ?こっちのルールはまだよく知らないもんでよォォ」
「このバカッ!周りを見なさいよ!誰一人食事をしてないのに待たなきゃ
いけないってことがわからないの!?いやそれ以前にあんたの世界じゃ
テーブルは殴り壊していいってルールでもあったわけ!?ええ!?」
物凄い剣幕である。しかも涙目。これにはギアッチョもちょっとだけ悪い事を
した気分になった。
「そりゃあ悪かったな。ま・・・次からは気をつけるとするぜ」
しかしその余裕の態度が更にルイズの怒りを燃え上がらせる。
「・・・あんた 今から私の部屋を掃除してきなさい!それが終わったら
教室の掃除よ!授業が始まるまでにね!」
「ああ?」
「ご主人様には敬語を使いなさい!私が上!あんたは下よッ!!私の
事はルイズお嬢様と呼びなさい!そして常に私の後ろに控えていることッ!
良いわね!!」
そこまで言うと一瞬ギアッチョの眼が温度をなくしたように見えたが、ルイズ
は負けじと睨み返した。
「・・・やれやれ 仕方ねえ・・・ 掃除をさせていただくぜェェ ルイズお嬢様
よォォー」
どうみても敬意はこもってなかったが、
「わ、解ればいいのよ!行きなさい!」
ルイズはとりあえず妥協することにした。なんだかんだでやっぱりギアッチョの
眼は怖かったようである。


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