「ねぇちゃ―ん」
階段の方から妹の騒がしい声が聞こえてくる。どうやら少し前に話していた友人の結婚式を明日に控えているらしく、今日は朝から準備をしていた。
「ねぇちゃ―ん!ドレスって何処にあるか知らねぇか―?」
下の階からでも十分過ぎるほど聞こえる可愛い妹の声に雑誌のページをめくる手を止めた。
スカートでさえめったにはかないあの子がドレスなんて・・・想像すると自然と笑みがこぼれてくる。
「はいはい、探してあげるからこれ以上散らかさないでね」
恐らく素晴らしい程散らかっているであろう彼女の自室を想像してまた笑みがこぼれた。
姉と妹の極々平凡な、何気ない日常の1コマ。
だが、その日常は崩れ去った。
突然に
階段の方から妹の騒がしい声が聞こえてくる。どうやら少し前に話していた友人の結婚式を明日に控えているらしく、今日は朝から準備をしていた。
「ねぇちゃ―ん!ドレスって何処にあるか知らねぇか―?」
下の階からでも十分過ぎるほど聞こえる可愛い妹の声に雑誌のページをめくる手を止めた。
スカートでさえめったにはかないあの子がドレスなんて・・・想像すると自然と笑みがこぼれてくる。
「はいはい、探してあげるからこれ以上散らかさないでね」
恐らく素晴らしい程散らかっているであろう彼女の自室を想像してまた笑みがこぼれた。
姉と妹の極々平凡な、何気ない日常の1コマ。
だが、その日常は崩れ去った。
突然に
本当に突然だった。
姉が扉を開けた瞬間だった。
目の前の空間が歪んだと思うと光る大きな鏡のような物が現れた。そいつがじりじりと、確実に、ゆっくり此方へ向かってくる。
一歩下がればそれだけ近くに寄ってくる、だが光の鏡は姉との距離を確実に詰めて行った。
声を出す訳にはいかない、妹をコレに触れさせてはいけない!絶対にッ!
何故かそれを強く思った。
姉が扉を開けた瞬間だった。
目の前の空間が歪んだと思うと光る大きな鏡のような物が現れた。そいつがじりじりと、確実に、ゆっくり此方へ向かってくる。
一歩下がればそれだけ近くに寄ってくる、だが光の鏡は姉との距離を確実に詰めて行った。
声を出す訳にはいかない、妹をコレに触れさせてはいけない!絶対にッ!
何故かそれを強く思った。
トン
背中が壁にあたる。
――追い詰められた
――追い詰められた
「ね―ちゃ―ん?」
! 妹だ!!
トントントンッと規則的なリズムで階段を上がってくる。
「ね―ちゃん?なぁ、どうしたんだ…」
! 妹だ!!
トントントンッと規則的なリズムで階段を上がってくる。
「ね―ちゃん?なぁ、どうしたんだ…」
妹は開けっ放しのドアから信じがたい物を見た。
自分の姉が、何かよく分からない丸い光に追い詰められている。
「ね―ちゃんッッ!!!」
気付いたら体が勝手に動いていた。姉の静止も無視し、腕を掴みこっちに力一杯引っ張っていた。
姉が自分の後方に倒れ込む。
丸い光が速度をあげて此方に向かってくる。
――飲み込まれ――――・・・
自分の姉が、何かよく分からない丸い光に追い詰められている。
「ね―ちゃんッッ!!!」
気付いたら体が勝手に動いていた。姉の静止も無視し、腕を掴みこっちに力一杯引っ張っていた。
姉が自分の後方に倒れ込む。
丸い光が速度をあげて此方に向かってくる。
――飲み込まれ――――・・・
姉は妹の名を叫んだ、だがそれは妹の名では無かった。何故そんな名前が出て来たのか彼女は分からなかった。
彼女は知らない、それが妹の本来の名前で有ることを。
一巡する前の世界の名前で有ることを。
彼女は知らない、それが妹の本来の名前で有ることを。
一巡する前の世界の名前で有ることを。
「エルメェ―スッッ!!!」
姉の伸ばした手はどこにも届かなかった。
姉の伸ばした手はどこにも届かなかった。
最初に目に入ったのは目に痛いほどの青、自分の頬を柔らかい青草がくすぐる。
どうやら自分は草原に仰向けになっているようだ。
どうやら自分は草原に仰向けになっているようだ。
…?
おかしい有り得ない
有り得る筈がない
自分は自宅で…そうだ結婚式…
最近知り合った友人の結婚式に呼ばれて
そうだ明日だ、結婚式は明日だったんだ
支度をしていたんだ
そうしたらドレスが無かった
それで二階に居た姉に―――
おかしい有り得ない
有り得る筈がない
自分は自宅で…そうだ結婚式…
最近知り合った友人の結婚式に呼ばれて
そうだ明日だ、結婚式は明日だったんだ
支度をしていたんだ
そうしたらドレスが無かった
それで二階に居た姉に―――
「あんた誰?」
今まで真っ青だった視界にいきなりピンク色が入ってきた。顔を覗きこまれている。
今までもうろうとしていた意識が途端に覚醒する。急に人々のざわめき、風の音が鮮明になった。
そして飛び起きる。そりゃあもう、これでもかって位力一杯に。
今までもうろうとしていた意識が途端に覚醒する。急に人々のざわめき、風の音が鮮明になった。
そして飛び起きる。そりゃあもう、これでもかって位力一杯に。
さて、ここで注意点がいくつかある。
1、ピンク頭は仰向けになっていたエルメェスの顔をのぞき込んでいた。
2、ピンク頭はエルメェスの変な(!)髪型に興味シンシンだった。
3、エルメェスは『凄く力一杯』飛び起きた。
1、ピンク頭は仰向けになっていたエルメェスの顔をのぞき込んでいた。
2、ピンク頭はエルメェスの変な(!)髪型に興味シンシンだった。
3、エルメェスは『凄く力一杯』飛び起きた。
もうお分かりだろうか!
『必要以上に顔を近付け』『顔を覗き込んでいた』ピンク頭に向かってエルメェスは『力一杯』飛び起きた。
『必要以上に顔を近付け』『顔を覗き込んでいた』ピンク頭に向かってエルメェスは『力一杯』飛び起きた。
ゴッ
やけに乾いた音が快晴の空の下に響いた。
to be continued →