ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

割れないシャボンとめげないメイジ-2

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割れないシャボンとめげないメイジ
シーザーの目的

「マンマミーヤ…」

 一体ここは何なんだ。魔法使いのような格好だけならまだしも、人が空を浮いていた。
 自分自身平凡とは言いがたい人生を過ごして来たつもりだがここでは更にその上を行っている!

「それでシニョリータ、流石に俺に説明してくれるんだろ?」
シーザーは何故か彼らの後を付いていかないルイズに対して尋ねた。
「俺はさっき一体何をされたんだ。それにここは何処なんだい?」

 いい加減こっちも何が起こったのか知りたいんだ。
 さっきまで死んでいたといっても過言ではない傷を負っていたッ!
 波紋を使った治療でもこんなにキレイに治すというのは不可能なのだからッ!

波紋を使った治療はあくまで応急処置程度が普通だ。
ジョセフの祖父ジョナサンは私の祖父ウィル・A・ツェペリの波紋の呼吸法の伝授により骨折を治した上に枯れた木に花まで咲かしたらしい。
しかしそうなるのは本当にごく一部だ。
波紋はあくまで生命のエネルギー!軽い程度の物ならば直ぐにでも治せるが、彼の体は重傷という範疇ではなかった!

しかし、それに対するルイズは苛立った声で応えた。
「いいわよ、あんた本当に田舎から来たみたいだしね」
「グラッツェ、早く説明してくれると助かる」
ルイズはシーザーの真剣な眼差しに気圧されたが、所詮は平民と話を進めた。

「ならいいわ、答えてあげる、さっきしたのは『契約』の儀式よ」
「『契約』だって?」
俄かには信じられない。契約なんていう単語は彼の常識では物事に関する売買に関係する意味だからだ。
勿論その中には雇ってもらって仕事をするという意味も入っているのだが、今言われた中でキッカリと当てはまるような意味はない。
「使い魔の体にルーンを刻んだの、さっきあんたの体に起こったのがそれよ」
まずルイズは最初の質問に答えた。

 なんなのよこの何処から来たのかもわからない田舎者。
 こんなのが私の使い魔?冗談じゃないわとルイズは思った。

「じゃあ次の質問に答えてくれるかいシニョリータ。ここは一体何処なんだ?少なくともスイスではないようだ」
「スイス?なによそれ。一体何処の田舎よ、聞いたことないわ。ここはハルケギニアのトリステイン王国よ!」

 スイスを聞いたことがないだって?観光地として有名なスイスを?
 だがまだ結論を下すに早すぎる。そういう国もあるかもしれない。だが、スイスから俺を移動させるのならば近くでなくてはならない!
 しかし少なくても地図にはそんな国は無かったはずだ!それにハルケギニアなんて聞いたことがない!

「続けて良い?そしてここはかの高名なトリステイン。トリステイン魔法学院よ!」
「ま………魔法だって?」
シーザーの頭の中では更に疑問が追加された。

 俄かには信じがたい!しかし、さっきの宙を浮く人間の姿を思い出せ!
 あのような事は例え究極生物の名を冠するカーズ達でも無理だ!ましてや俺達『波紋使い』でもだ!

「じゃあさっき飛んでいたのは魔法使いということなのかい?」
「そりゃそうよ、メイジが飛ばなくてどうすんのよ」
何を不思議がっているのか、本気でそう思っている顔で続ける。
「そしてわたしは二年生のルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。今日からあんたのご主人様よ。よく覚えておきなさい!」
シーザーはあまりのことに呆然とし、力が抜けた。

 こんなこと親父が俺のことを助けてくれた時以来だぜ…
 もっとも、あの時のショックとは方向性といったものが真逆だけどな…

そしてシーザーはある単語に注目した!
「ちょっと待ってくれないかシニョリータ。さっきご主人様と言ったね?」
「ええそうよ諦めなさい、私も諦めたから。なんでこの私の使い魔がこんな平民なのよ。」
「ドラゴンやグリフォンといわずにワシでもフクロウでも良かったのに…」
「ドラゴンやグリフォンだって?そんな生き物が居るわけないだろう?」
「いるわよ?なんで?」
こうしてシーザーは徐々に自身の知る常識とルイズから齎される常識との違いを確認していった。
そしてわかったことは、『ここはハルケギニアという所である』、『メイジと呼ばれる魔法使いが居る』
『貴族や平民という身分制度』、『空想上の生物が居る』といった物である。
知れば知るほどに自分の生活していた所とは違うという確信が溢れてくる。
「これで尋ねたいことは全部?」
「これから先尋ねる事もあるかもしれないが今のところは無い」
シーザーは納得できないといった面持ちだが認めざるを得ない。

 ここはスイスでも何処でもない場所のようだ…しかも魔法使いの使い魔だって?
 俺の体が治ったのも魔法なんだろうか、もしそうだとしたら目の前の少女は恩人だ。
 しかし、俺にはやる事があるんだッ!何が何でもJOJO達の元に戻らなければッ!
 戦力は多ければ多いほど良いだろう、しかも『波紋使い』ならば尚更だッ!

それならばとシーザーの目的は決まった。何が何でも元居た所に帰ることッ!
ならば目の前の少女に自分の要望を言わねばならない。
「シニョリータ、俺にはやらなければならない事があるんだ。今すぐ帰して欲しいッ!」
しかしルイズは次にある種、非情とも言える台詞を言った。
「それは無理よ」
「何故だ!?呼ぶ方法があるのならばその逆の方法も有ってしかるべきだろう?」
無論シーザーもその点に関しては必死だ。なにしろ今この瞬間にもジョセフ達は戦っているのかもしれない。
みすみす殺されはしないだろうが容易に倒せる相手ではない。早く加勢に行かなければいけないッ!

それに対してルイズは答える。
「だから無理なのよ!『サモン・サーヴァント』は呼べることは出来るけど帰す方法なんて元からないの!」
それに…とルイズが続ける。
「それにわたしの使い魔として契約をしちゃったのよ。一回契約したらもう動かせない」
「なんなんだそれは…」
「わたしだってイヤよ!なんであんたみたいな平民が使い魔なのよ!」
ルイズは今まで溜めていた鬱憤を爆発させるような大きな声で怒鳴った。
彼女は今まで散々馬鹿にされてきた。
だがもし使い魔がドラゴンやグリフォンといったモノならば皆の鼻を明かす事が出来ると固く信じていたからだ。
しかし召喚できたのは只の平民、その前には散々失敗したというオマケもある。

 もう!なんで私だけがこんな事にならなきゃいけないのよ!
 この犬みたいに汚い平民が私の使い魔!?冗談じゃない!

だがルイズはすでに召喚し、かつ契約もしてしまったのだ!
こうなったら『使い魔とメイジは一心同体』という言葉を思い出す。クヨクヨしてても事態が好転する訳ではないのだ!

 この平民とわたしは『契約』してしまったんだッ!
 ならばもう仕方がないことなんだ、とルイズは思った。

しかし、シーザーはそんなルイズの考えは知った事ではない。
シーザーは自身の考え事で頭が一杯で他の事に対する余裕がなかったからだ。
現在の状況は良いとは言えない、ならばとシーザーは考えた。

 俺は必ずJOJO達の元に帰らなければならないッ!これは一番の目標だッ!
 しかし、帰る方法が無いと目の前の少女は言っている。ならこのまま使い魔とやらをして帰る手立てを探した方がよっぽど効率的だ。
 下手に探し回って野たれ死んでは意味がないと、そうシーザーはそう結論付けた。

「仕方ない、ならシニョリータ俺はこれからどうすれば良いんだい?」
「ふん!ようやく使い魔としての心得が現れたようね、それで良いのよ」

かくして『波紋戦士』のシーザー・A・ツェペリは彼女の使い魔としての生活が始まった。


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