ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

割れないシャボンとめげないメイジ-1

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俺はもう死ぬだろう…だがその前にこの自分達以外は下等と見下す鼻持ちならないクソッタレに見せなければならないッ!
「俺が最期にみせるのは代々受け継いだ未来にたくすツェペリ魂だ! 人間の魂だ!」
「JOJO―――― おれの最期の波紋だぜ――― うけとってくれ――ッ」
別に後悔はしていない、ジョセフや先生、師範やという心強い味方が居る。ナチスといった軍隊という名の集団も居る。
俺がここで死んでもカーズ達を必ず滅ぼしてくれるだろう…
そして俺は死んだ筈だ。目が閉じてしまう前に傍らにあった鏡を心の片隅で疑問に思っていたがもう詮無いことであった。

「あんた誰?」
空は出来すぎた絵のような青、まかり間違っても雪山の空ではない。なにしろここはワムウと戦っていた館の中でも雪原でもないからだ。
声を発したのは目の前に居た少女のようだった。彼女の髪は冗談のような色の鮮やかなピンクだ。黒いマントを羽織っており手には本などに出てくる魔法使い然とした杖を持っている。
よく周りを見渡せばこの様な格好をした者達が多く居た。
「それで、あんたは一体誰なのよ!?」
彼女は質問に答えられなかった少々苛立っているようだ。只でさえ彼女は『サモン・サーヴァント』に失敗しており、ようやく成功したと思ったら見知らぬ男が出てきたのだ。
すぐさま尋ねたくなるのも理解できる。
しかし、先ほどまでに人類を遥かに超越した生物と死闘を繰り広げていた彼にはそこまで理解できない。
 俺はさっきまでワムウと闘っていた…そして敗れた…
 だが何故俺は生きている!?ワムウの大理石の柱をも捻じ切る『神砂嵐』をその身に直撃した!
 食らった後で奴の『死の結婚指輪』をなんとか奪い取ったが致命的なまでに血を流していた!なのに完全に治っている!!
 何故だ!?

「いいから早く私の質問に答えなさい!あんたは誰なのよ!!」
いい加減質問に答えられなかった彼女はヒステリック気味に叫んだ。
「俺は……シーザーだ。シーザー・A・ツェペリ…」
「どこの平民よ、全く」
彼の頭には日常生活では聞かない単語に反応し、疑問に思った。

 平民?たしかに貴族といったものに生まれついたわけでもなければむしろ逆のスラム街に住んでいたこともあった。
 ここは一体何処なんだ?死後の世界でもなさそうだが…

「ルイズ!『サモン・サーヴァント』で平民を呼んでどうするんだよ!」
「さすがゼロのルイズ!」
「俺達じゃしようと思っても出来やしないぜ!」
一人が囃し立てると周囲も同調したように一緒になって囃し立てる。
それに対して少女は鈴のような声で周りに対して怒鳴った。
「ち、ちょっと間違っただけよ!」
「間違いなんかで平民を呼べるのはスゲーや!」
どうやら目の前の少女の名前はルイズというらしい。
「ミスタ・コルベール!」
そのルイズが中年男性に向かって叫んだ。
その中年男性は真っ黒いローブに大きな木の杖を持っている。
ルイズと呼ばれた少女はオシャレといってもいいだろう、しかし男性の格好は明らかに浮いている。
その中年男性が呼びかけに答えた。『これから何を尋ねられることは判りきっている!』といった顔だ。
「なんだね。ミス・ヴァリエール」
「もう一回召喚させてください!」
 召喚とはなんだ?一体どういうことなんだ?
「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」
「どうしてですか!」
「決まりだよ。君達は二年生に進級する際の『使い魔の召喚』は今後の属性を固定する。一度呼び出した『使い魔』は変更ができない。例えその使い魔が好むと好まざるでもだ。」
「それに…」
コルベールと呼ばれた男性は言葉を選んで続けた。
「それに付け加えるならばこの儀式は神聖なものだからというのもある。」
「でも!平民を使い魔にするなんて聞いたこともありません!」
 使い魔?なんだそれは?意味がさっぱり理解できない。

「しかし、使い魔として彼が召喚された。それが例え平民だとしても覆せない」
男性は俺を指差しながら宥めながら、しかし言い聞かせるようにそう言った。
「そんな…」
「さぁ早く儀式を続けなさい」
そう言われて少女は俺のほうに近づいてきた。
「オイ、何をするつもりだ」
「感謝しなさい、平民が貴族にこんなことされるなんて一生ないんだから」
貴族?何を時代遅れなことを言っているんだ?と言おうとした矢先にシーザーの口は目の前の少女の口に塞がれた!
「いきなり何をするんだいレディ?」
だがそこはイタリア人!慌てず騒がずしかし、内心は動揺しまくりだった!
「終わりました」
顔は真っ赤で、体も若干震えている。
「ふむ、『サモン・サーヴァント』は何回か失敗したが『コントラクト・サーヴァント』は上手くいったね」
コルベールが嬉しそうにそう答える。心からそう思っているようだ。
「オイ、ここは一体何処なんだ。こっちにも説明をして欲しい」
だが、彼の問いかけに答える人物は一人も居なかった。ルイズをからかっていたからだ。
コルベールはそれを宥めていた。
「マンマミーヤ…一体なんだってんだ…」
だがその瞬間!彼の体が熱くなった!その熱さは普段使う波紋の熱さとは比べ物にならない!!
「ぐぉ!なんなんだ一体!」
波紋によって和らげようとする!しかし………

どうにもうまく行かない…まだ体が慣れていないのか?
俺の体はついさっきまで瀕死だったのだ、まだ波紋の呼吸法がうまく出来ないのかもしれないな…

「ふむ、珍しいルーンだな。」
コルベールがシーザーの左手の甲を持ち上げしげしげと見つめる。
女性なら嬉しいが、生憎と男性だった。
「よし、それじゃ皆教室に戻るぞ」
その時シーザーの目に入ってきたのは信じられない光景だった!
「飛んでるだと?」
シーザーの目に映ったのは空に浮かぶ人間の姿だった。それも一人などではなく多くの人間がである!
彼の敵であった『柱の男達』も飛んではいたがそれは肉体を使った運動の結果であった。
しかし、飛んでいる人間は『柱の男達』のような肉体を持っていない!
「マンマミーヤ…」
彼は自身の疲れやそういったものを全て吐くように自身の口癖が勝手に出てきた。


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