ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

奇妙なルイズ-5

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匿名ユーザー

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「おお、来おったか、ミス・ヴァリエール」
ルイズは、オールド・オスマンに呼び出されて、学院長室にいる。
呼び出された理由は決闘以外のなにものでもない。
「さて…、今日はヴェストリの広場が妙に騒がしかったの」
「………」
ルイズは答えない、いや、答えられない。そもそもルイズとギーシュの決闘という事であれば、ルイズとギーシュが責任を取らせられるが、あのメイドに責任の余波が及んでしまっては自分のしたことの意味がないからだ。
「そこにある遠見の鏡で見させて貰ったぞ」
「はい…」
力なく答えるルイズ。しかし、そんなルイズを見たオスマン氏は楽しそうに笑い出した。
「ほっほっほ、見事じゃった、ミス・ヴァリエール。これであの小僧も少しは反省するじゃろうて」
その言葉に驚いたルイズは、はい、とだけ答えた。
「遠見の鏡と言ってもな、ある程度は声も伝えられるんじゃ。この喧嘩の原因はギーシュの二股ではなく、メイドの…確かシエスタと言ったかの、その娘が原因のようじゃな」
「はい、ですが」
「それ以上言わんでいい。あの娘はメイドとしての義務を果たしただけじゃ。この学院の人事に関する決定権は女王陛下からワシが賜ったものじゃ。生徒が騒いだぐらいでメイドを路頭に迷わすようなことはせんよ」
「ほ、本当ですか!…ありがとうございます」

学園長のオールド・オスマンは、齢300とも言われる偉大なメイジであり、あらゆる立場の者達に分け隔て無く接する貴族だとも噂される。
格式や血統を重視する貴族達の中では珍しい存在だが、正直ここまで暖かい言葉をかけられるとは思っても居なかった。
「それにあの娘もあと五年…いや二年もすればムッチムチのプリンプリンに…」
訂正しよう、平民相手にも貴族相手にも見境のないエロジジイだ。たぶん。
ルイズの軽蔑するような視線に気づいたのか、オホン、と咳払いをして居住まいを正した。
「さて本題に入ろう。アンリエッタ姫殿下が近々この学院を訪問なさるそうじゃ」
「えっ!姫殿下が…」
「そうじゃ、姫殿下は今近隣の領地を視察されておっての、こ視察の締めくくりとしてこの学園に訪問される。そこで『使い魔の品評会』を開こうと言うんじゃが…」
ゴクリ、とルイズののどが鳴る。
「王家からの使いの方が言うには、欠席は認められないそうじゃ」

ルイズの肩に、久しく感じていないプレッシャーが重みとなって感じられた。
欠席は認められない。メイジとして使い魔が居ないというのは、非常に不名誉なことだ。姫殿下の前で一人だけ使い魔のいない姿を晒すのは何としてでも避けたい。
「具体的な予定はまだ決まってはおらんし、中止の可能性もある。順調なら十日後あたりに朝食で発表され、その翌日か翌々日あたりにでも開催されるじゃろう」
オスマン氏はじっとルイズの顔を見た。真面目な表情のオスマン氏を見るのは珍しい。普段はくだらない冗談を言ったりしている。生徒達にも「本当に偉大なメイジなのか」と疑問を持つ人も少なくない。
しかし目の前に居るオスマン氏は間違いなくメイジの、貴族の顔だ。
これにはルイズも緊張して、体を硬直させてしまった。
「ほっほっほ、まあメイジには特性があるしのう。今は精一杯がんばりなさい」
そう言って笑うオスマン氏の顔は、同一人物とは思えないほど和やかだった。

話が終わり学院長室を出ようとしたルイズだが、オスマン氏が何か思い出したかのように「ああ、そういえば」とつぶやき、ルイズを引き留めた。
「ミス・ヴァリエール。ところで女子寮の中で何か変わったことは起きておらんかね」
「え? いえ、特には…」
「ふむ、それならいいんじゃ。行ってよろしい」
オスマン氏の言葉に何か腑に落ちないものを感じつつ、ルイズは学院長室を後にした。


夜中。
キュルケから差し入れられた『ゲルマニア特性冷え性に効く特効薬』を、
半ば無理矢理飲ませられたタバサは、いつもなら眠っている時間に目が覚めた。

尿意だ。

眠い目をこすって部屋を出て、寝間着のままお手洗いに向かう。
廊下を歩く途中、何かが揺らめいたように見えた。
「…?」
よく目をこらして見ると、身長2メイルほどの白い人影が、ぼんやりと浮かび、消えた。
そしてその翌日から、女子寮では小物が紛失するといった事件が多発するようになる。



余談だが
人影を見た翌日、タバサはなぜか下着を二枚く洗濯していたとか。


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