ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

マジシャンズ・ゼロ-5

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アヴドゥルは暗闇の中、花京院と相対していた。
DIOの能力の秘密と引き換えに死んだはずだが、傷を負っている様子などなく佇んでいる。
「……は…………く……」
何か言っているようだが小さく聞こえ辛い。
意識し聞くため近づこうとすると、足が勝手に止まった。
『行ってはいけない!』はっきりとアヴドゥルを止める。
しかし、花京院も自分と同じような目にあい、生き返ったのかもしれない。
仲間への熱い思いが静止を無視し、アヴドゥルを先へと進めた。
「花京院!大丈夫か!?」
俯き加減で何か呟いていた花京院の肩を掴む。
反応はないが近づいたことにより、声が聞こえるようになった。
「アヴドゥルに『渋い男の世界』なんてありませんよ…ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」
「なッ!?」
いきなり一度やられる前まで、ちょっと意識していた『渋い男』を否定され驚きの声を上げるアヴドゥル。
「いきなり何を言うッ、花ky…「答える必要はない」
言葉に被せられ冷たく拒否される。

「『アヴドゥル』?『アヴドゥル』とはブ男のこと…『花京院』とは美形のこと………
 死に様を壮大に飾った者のことだ。過程は問題じゃあない。読者の心に残らず死んだ奴が『アヴドゥル』なのだ」
ガガガーーーーーッッッンン!!!!!?
アヴドゥルに生涯最大の衝撃が襲い掛かった。
密かに気にしていた事を。
無駄死にキャラスレが立つ度、名前が挙がるのを気にしていた事を!
仲間である花京院から告げられた。
アヴドゥルは衝撃のあまり、立つこともできなくなり膝をついた。
(………何も言い返せん。)
DIOというラスボスの秘密と共に散った花京院。
しかも途中に回想シーンまで付いて、辞世の名言と共に逝っている。
それに比べ自分はどうだ!
仲間の命は救った、しかし、相手は中ボス。
しかもその後、ポルナレフのために命を掛けスタンドを使ったイギーに完全に食われている!
愕然とした差に打ちのめされたアヴドゥルは、顔を上げることすら出来ない。

「しかし!」
花京院の強い否定の言葉が響く。
「アヴドゥルさん! あなたの命がけの行動ッ! ぼくは敬意を表するッ!」
前言と全く違う言葉にえッと、アヴドゥルは驚き花京院を見上げる。
「良いッ! ディ・モールト、ディ・モールト(非常に、非常に)良いですッ!良い死に様でしたッ!」
花京院の一転変わった暖かい言葉に思わず涙ぐみ、下を向いてしまうアヴドゥル。
完全に先ほどまでの罵声をわすれたようだ。
「…………なので」
ぷちッ…ぷちッ…ぷちッ…ぷちッ…何かが外れる音が聞こえた。
続いて、ジィーーーーーッとジッパーを下げる音が響く。
先ほどの静止以上にアヴドゥルの脳内に警報が鳴り響いたが、ツンデレにやられてしまったアヴドゥルは気付かない。
上げた視線が花京院のモノと交わる。
いつの間にかベンチに座っていた花京院は、重く響く声でこう言った。

「 や り ま せ ん か 」

素肌に纏った学生服、そして最大まで降ろされたジッパーの中は………
「ヤッダー バァアァァァァアアアアアッ!!!」
何故か出た謎の魂の叫びと共に、その場から少しでも離れようとする。
しかし、腰が抜けたのか這い蹲ってでしか移動できない。
ゆっくりと近づいてくる花京院を感じ、アヴドゥルは最後の叫びを上げる。
「わたしのそばに近寄るなああーーーーーーーーーッ」
自分の声を聞きながらアヴドゥルは、両手を天使に引っ張られているな感触を受け、夢から覚めた。

がばッ!
飛び起きたアヴドゥルは覚えてもいない夢に酷く恐怖した。
しばらく深呼吸を繰り返し、落ち着きを取り戻す。
(どんな夢だったのか覚えていない。だが一つだけいえることがある。)
心の言葉の最後を口にする。
「ツンデレは危険だ」
深刻な顔でツンデレと発現するアヴドゥル。
そして、正反対に毛布を少し跳ね除け、くー…くー…と涎を垂らし安眠するルイズ。
対照的なご主人様と使い魔の初めての朝であった。


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