ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

亜空の使い魔-6

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匿名ユーザー

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「逃げずによく来たね。一応褒めてあげるよ」
広場ではギーシュが杖として使う薔薇の造花を片手にギャラリーを引きつれ待っていた
ゆっくりと歩いてきたヴァニラを見とめるとキザったらしく髪を掻き揚げ薔薇の造花を向けるが
「お前如きを相手をするのに何故逃げねばならん」
ヴァニラの対応は冷めていた
「クッ!何処までも減らず口を・・・・!」
ギーシュは苛立った様子で素早く薔薇の造花を振るう
その動作に伴いはらりと花弁が舞い、それが地面に落ちるや否や等身大の人形へと変化した
「おっと言い忘れたな。僕の二つ名は『青銅』ッ!青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するッ!!」
ギーシュはそういうと騎士が宣誓するような動作で薔薇の造花を額に当て、青銅の木偶も徒手ではあるが同じ動作をとる
「・・・・・・・構わん、来い」
ギーシュには格好付け以外には何の他意も無いのだろうが、ヴァニラはその動作に間接的にではあるが自分に止めを刺したポルナレフの姿

を重ね、静かに苛付いていた
「いけ!ワルキューレッ!」
ギーシュの掛け声と共に青銅のゴーレムがヴァニラへと殴りかかる
一瞬ヴァニラは驚いたように目を見開き、避けるでも構えるでもなくゴーレムの接近を許した。しかし
ガオンッ
「何ッ!?」
殴りかかった拳は、それどころか右肩から先が、綺麗に消え失せていた
バランスを崩したワルキューレは無様に地面に転がり、それを尻目にヴァニラがギーシュへと一歩、前進する
「何だあの平民、いったい何をしたんだ?」
「先住魔法?」
「まさか、あいつはただの平民だ」
「錬金が甘かったんじゃないのか?」
「でも破片が無いぞ?」
ギャラリーが口々に憶測を並べるが、そのどれもが違う事はギーシュ本人がよく判っていた
(僕の錬金は完璧だった、だがあの平民に触れる直前に腕が消し飛んだ・・・・もう一度だッ!)
無言でヴァニラを睨みつけ、地面に転がっていたワルキューレを今一度ヴァニラへと突進させるが
ガオンッ
今度は胴体にぽっかりと真円の穴が開き、上下の半身に分断されたゴーレムは今度こそ動かなくなった
(削っている!どうやっているのかは分からないが奴は僕のワルキューレを削り取っている・・・・ならッ!)
ギーシュは再び薔薇の造花を振るい、六枚の花弁が舞う
先程のように6体のワルキューレが現れたが、今後は銘々ボディーと同じく青銅の槍を携行していた
「平民のクセにおかしな力を使うようだが・・・・・キミのその力、射程は精々1メイルといったところみたいだな。
 おまけに削り取る範囲は狭い、6体のワルキューレの攻撃ッ!避けられるかな?」
ワルキューレは穂先をヴァニラに向けたまま3メイルほどの距離を置き、ぐるりと包囲網を敷く
これでは一体を消し飛ばしたところで残る5体の攻撃を避けようが無い
「・・・・・・・」
だがヴァニラは自分を囲むゴーレムを一瞥しただけで無言のままその場に立ち尽くした
その態度にギャラリーもギーシュも勝負を諦めたものと思い、誰もがその後起こるべき結果に興奮していた
「ちょっとヴァニラッ!何ぼさっとしてるのよ!?」
突然ギャラリーの中からルイズが飛び出した
「ミス・ヴァリエール、邪魔をしないでくれたまえ」
折角勝利を目前にした高揚感を害されたギーシュはルイズを軽くあしらおうとするが相手はそれを無視し
「確かにギーシュにあの変な力を使うなといったけど負けるのは別よッ!」
要するに気になってこっそり見ていたがヴァニラが負けそうになったので堪らず出てきたらしい
「お前に迷惑はかけないといったはずだ。部屋に戻って結果を待っていろ」
しれっと返すヴァニラにルイズはまた喧しくがなりたてるが今度はギーシュがそれを遮った
「いい加減にしたまえ!いいだろう、ミス・ヴァリエール・・・・では使い魔くん、これを使いたまえ」
あくまでも気取った動作で薔薇の造花を振るうと今度はワルキューレの包囲の内の地面に一振りの剣が突き刺さる
「わかるか?剣だつまり『武器』だ。平民どもが、せめてメイジに一矢報いようと磨いた牙さ。未だ噛みつく気があるのなら、その剣を取りたまえ」
ギーシュとしてはルイズがこれ以上文句を言い出す前にさっさと決闘を終わらせたいがための行動だったのだろうが、それがヴァニラには気に食わなかった
「小僧・・・・調子に乗るなよ」
全身からドス黒いオーラを噴出させ自らを囲むワルキューレを無視してギーシュへと歩み寄る
「ふんっ!この状況で何をしようというんだね、ワルキューレ!!」
号令一下、6体のワルキューレが槍を構え、ヴァニラを串刺しにするべく突進する。だが
「だからお前はヌケサクだというんだ」
何を思ったかヴァニラはバク転でもするように空中に身を躍らせる
「もうおそい!脱出不可能よッ!」
ギーシュが勝ち誇り、ルイズが思わず目をそむける
誰もがヴァニラが串刺しになるものと思ったが、彼はどこにもいなかった
「何だと!?」
ギーシュが驚愕の声を上げる
止める間も無く、6体のワルキューレは勢いの付いたまま互いをお互いの槍で突き刺していた
「馬鹿な!奴は何処に消えたんだ!?」
「催眠術や超スピードとかそんなチャチな(ry」
ギャラリーがざわめく中で動かなくなったワルキューレたちの上に突然ヴァニラが姿を現す
傍目には何も無いところから突然現れたように見えただろうが、実際はクリームの口内から這い出ていた
「脱出不可能といっていたが、女関係と同じで詰めが甘いな」
「く、クソッ!!」
薔薇の造花を振るい『石礫』の魔法を放とうとするが、それよりも早くヴァニラの蹴り飛ばした剣がそれを切断した
「あ・・・・・」
――杖を落とされたら負け。それが決闘のルール
そして何よりも杖を失ったメイジは無力、誰かから教えられた訳ではなかったが魔法を使う度に振っていれば手の内をさらしつづけている様なものだ
「うぁ・・・・あ・・・ま、参った・・・・」
がっくりと膝を付き、呻くようにギーシュは降参した
ギャラリーからは野次と喚声の入り混じった声が溢れ、その騒ぎは当分止みそうになかった


ギーシュ・ド・グラモン―一時的に再起不能(一部でヌケサクが定着)




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