ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

砕けない使い魔-7

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匿名ユーザー

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「おまえ…おまえはッ」
「シィッ!!」

ビシィッ

仗助の前に現れた少女は
持っていた棒状の教鞭か何かを近場の棚に叩きつける
家畜か何かをしつけるように

「使い魔がご主人様をおまえ呼ばわり?
 ブンザイをわきまえなさいッ」
「ええ? ああ、いや、アンタは…」

(確かこいつはイキナリ目の前にいて
 オレの髪型をバカにしやがった
 でもそのあと
 なんだかんだでオレをかばって大ケガをしてたよな
 うーん やっぱり状況つかめねェ~~ッ)

そのとき言葉は通じていなかったのに
髪型をバカにされたことだけはハッキリわかっている仗助だった
ある種の原始的な才覚なのである


ハッ!!

「髪型ッ!?」

仗助は気づいてしまった
「あしたのジョー」みたいに片目が髪で隠れてる
ヘンな赤毛の女にサンザッパラ焼かれたのはドコだっけ?
あとで出てきたバーコードハゲ(もっとハゲてたかも)にも
ケッコーひどいことやられた気がする

「鏡だ、鏡は…鏡ッ」
「ちょっと、ご主人様を無視してんじゃ」
「どこかって聞いてんスよォォォ―ッ
 鏡ィィィィ―――ッ!!」

185cmの大男に掴みかからんばかりの勢いで迫られる
これで身の危険を覚えない女がいるか?
さっきのやたら張り切った強気はどこへやら
少女ことゼロのルイズは反射的にすぐそばを指さした

(よく見れば気づかないワケないでしょ)

彼女の心中は呆れと恐怖が半ばであった
ホントにコレと「契約」してよかったのか?
そのためにあげたモノがモノなので
後悔と情けない気分もドンヨリミックスされていた
召喚したときに来ていたオカシな服はあのメイドに預けてあり
今、男が着ているのは、ルイズがとりあえず急ぎで仕立てさせたシャツとズボンである
そして、この世界にいる誰もが知らないことだったが
男、仗助の今の姿は、彼の父ジョセフ・ジョースターの生き写しそのものであった
…つまり

「こっ…こいつは~~~~~~」

ドォオ―z_ン

「うおわあああああああああああああああああああ」

仗助の髪の毛はハデに減っていたッ
ハゲているというほどのことではないが
自慢の髪型、リーゼントに戻すにはあまりに不充分ッ

「お、おれの髪、髪ィィィィッ」
「髪? 真ッ黒コゲだったからメイドに手入れさせたのよ。
 あのヘンな、ハリボテみたいな頭に未練でもあるわけ?」
「髪…………」

知るよしもない以上
それは避けがたい不幸であったのかもしれない
だが、それでも
このルイズにあとわずかでも注意力があったならッ
男が怒りちらした理由をもう一度考え直してみたのならッ

「オレの、髪が…なんだって?」
「…な、なによぉ?」


プッチ~~ン

「ドラドラァ」

ドガ バキ スココン ゴスン ゴスン

「ぶっ、きゃうぅぅ~~~ッ」

ボゴオォン

ドアを破って外の石壁に頭をゴツン!!
そのままルイズはキュウと伸びて動かなくなった

「……」

いつも通り
絶好調にブッ飛ばした仗助
しかしッ

「…あッ……」

(ヤベえぇぇ―――ッ!!
 まだ何も聞く前にブッ飛ばしちまったッ
 待て、そーいう問題でもねー
 いくら髪をバカにされたからって
 「年下」の女ブン殴るのはどうよ、オレ)

毎度の後悔
仮に相手が三歳のガキでも彼はやる
そして頭を抱えるのはいつもやってからだ
手首を欲しがる殺人鬼がいるように
その行動に理屈はない 本能なのだ

「だが安心だ
 こういうときのための、あの力だぜ…」

なんでも元通りに「なおして」しまうパワー
これがなければ彼はとっくに少年院に入っていただろう
どんなにキレてブチのめした相手も、これ一発で全快する
いつものそれと同じ感覚で、今日も仗助は手で触れた
ドアの破片ですり切れてしまったのだろう、少女の頬や手の平に

…えっ?

異変だった
こんなことは今までなかった

「なおらない…だと?」

何度触れても同じだった
わずかににじんだ血が手につくだけで
傷は元通りにふさがっていかない

「いったい…?」

試しにドアをなおしてみると
破片はキレイに集まってゆき
何ごともなかったように、ただの一枚のドアに戻った

「ドア…は、なおる!!
 じゃあ、こいつはどうして…」

ひとつ思い当たる、最悪の可能性に
つぶした虫をなおしたときのことを仗助は思い出していた
すなわち

「…グレート
 まさか、なんてこったよ…」

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
死んだ者はもどらない

失った生命が戻ってくることはない
虫のときはそうだったが
人間相手でもそうなのか?
だが、だとしてもおかしい
それでも、傷がなおらないなどということは無いはずなのに

「生きてるか、死んでるか…」

確かめなければならない
指についた血を近場の壁でぬぐう
それで小さくピースマークを書いてみた

(ま…平和のマークっつーんならよォー
 ご利益あるよなぁー)

そして、ぬぐった後の指を二本
少女の鳩尾の少し上あたりに当てる
幸いにしてブラウスの生地はさほど厚くない

(…でも、これじゃ心臓の動きなんてわかんねェ~
 直接さわって確かめろっつーのかよ、おいッ)

それではまるきりドスケベ野郎だッ
だが、かかっているのは人の生命
死んでからすぐになら、まだ蘇生できるかもしれない

「なら、やるしかねぇってことだよなぁ~」

経緯はどうあれ
彼の心意気そのものは賞賛されるべきものだろう
つまらない羞恥心とはいえ、あっさりとは捨てられないものだ
だが彼は焦りすぎた、急ぎすぎたッ
心臓よりも先に、彼は「呼吸」を気にするべきだったッ!!
息づかいに耳をすますべく顔を近づけたのだったら
少し頬を赤らめた少女に突き飛ばされるくらいで済んでいただろうのにッ

パチッ

トートツに目を覚ました少女ルイズが見たものは
倒れた自分に覆いかぶさり
手を左胸に伸ばしてくる大男の姿だった

「あ、生き…」

ギラッ

「……あ…これは…
 その…よォ……ハハハ…
 …グ、グレート」

照れ笑いでどうにかなると、思ったか?

「くォの、ド変態ッ!!」

ドゴッ ガスッ バキャキャ
ドズッ ドズッ ドボォ

顔面ストレートッ
マウントポジションッ
殴打ッ 殴打ッ 殴打ッ
金的ッ
金的ッ
金的ッ

「ぐえええッ」

仗助の頭は真っ白になった


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