ザー ザー
逃走の足跡を消すように雨が降っている。
土塊の二つ名をもつ女魔術師は内心、ほくそ笑んでいた。
こんなにうまくいくなんて――
しかし突然振ってきた声に、心臓が凍り付く
土塊の二つ名をもつ女魔術師は内心、ほくそ笑んでいた。
こんなにうまくいくなんて――
しかし突然振ってきた声に、心臓が凍り付く
「スイませェん・・・ミス・ロングビル、どこに行くんですか?」
振り向きざま、声のした方に魔法で岩を飛ばす、だが簡単によけられる。
宙に人間が浮いている。
レビテーション、と思いこの奇妙な男が先日召還された使い魔であること、そして魔術師だった事に驚く。この使い魔のマスターは魔法が使えないからだ。
「何持ってるんです?それですよ。その胸に抱えた『包み』・・・!?」
攻撃されたことが何でもないように聞く。
その態度がしゃくに障った。この使い魔をミンチにしてやろうと思った。
「あら?そんなことわかっているんじゃなくてッ!」
そういいながら大きく杖を振る、すると地響きとともに巨岩がせりあがってくる。
一気に距離をとる使い魔に対して杖を向ける。巨大な、人の手を模した岩石の固まりが使い魔にせまる。
宙に人間が浮いている。
レビテーション、と思いこの奇妙な男が先日召還された使い魔であること、そして魔術師だった事に驚く。この使い魔のマスターは魔法が使えないからだ。
「何持ってるんです?それですよ。その胸に抱えた『包み』・・・!?」
攻撃されたことが何でもないように聞く。
その態度がしゃくに障った。この使い魔をミンチにしてやろうと思った。
「あら?そんなことわかっているんじゃなくてッ!」
そういいながら大きく杖を振る、すると地響きとともに巨岩がせりあがってくる。
一気に距離をとる使い魔に対して杖を向ける。巨大な、人の手を模した岩石の固まりが使い魔にせまる。
が、信じられないことが起きた。
強固な岩石群でできたゴーレムの腕がボロボロと崩れたのだ。すぐにもう片方の腕も振るが同じように崩れ落ちる。
何が起きたのかわからなかった。頭が変になりそうだった。風の魔術だとか水の魔術だとかそんなチャチなものではなかった。
呆然とする女魔術師に向かって急降下してくる、そして顔を突き合わせる。
「大したものだが随分バカな事をしたものだ・・・ミス・ロングビル・・・
わたしの『面』がみえますか?」
女魔術師はこの使い魔に初めて恐ろしさのような、得体の知れない何かを感じた。
ただただ驚く事しか出来ない女魔術師にもう一度、焦れたように低い声で尋ねる。
何が起きたのかわからなかった。頭が変になりそうだった。風の魔術だとか水の魔術だとかそんなチャチなものではなかった。
呆然とする女魔術師に向かって急降下してくる、そして顔を突き合わせる。
「大したものだが随分バカな事をしたものだ・・・ミス・ロングビル・・・
わたしの『面』がみえますか?」
女魔術師はこの使い魔に初めて恐ろしさのような、得体の知れない何かを感じた。
ただただ驚く事しか出来ない女魔術師にもう一度、焦れたように低い声で尋ねる。
「見えるか?この『面』が?」
何を言っているかわからず、何も言えないでいる女魔術師の沈黙をNOと捉えた使い魔は『包み』を奪い再び上昇して行く。
「どうやらおまえは違うようだ・・・あの方の元へはまだ・・・残念だ・・・」
女魔術師はへ?と間の抜けた声を出す。その様子に憐れみの目を向けながら、使い魔は続ける。
「どうやらおまえは違うようだ・・・あの方の元へはまだ・・・残念だ・・・」
女魔術師はへ?と間の抜けた声を出す。その様子に憐れみの目を向けながら、使い魔は続ける。
「お前の進退は学園側から通達されるだろう。後の『処理』は学園長が決定する」
女魔術師はいつものとぼけたフリをした老魔術師の顔を思い出す。あの老人を身近で見てきた自分にはわかる。
我が身に降り掛かるであろう陵辱と惨劇を想像し、絶望の声をあげた。
我が身に降り掛かるであろう陵辱と惨劇を想像し、絶望の声をあげた。
「あ あああっ・・・うあああああああああ」
「土塊」のフーケ 行方不明