ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

亜空の使い魔-5

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匿名ユーザー

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生徒達が一同に会した食堂
既に席についている大勢の生徒達の後ろをルイズに従いついていく
「流石貴族、といったところか」
長テーブルに並ぶ豪勢な食事の数々にヴァニラは素直な感想を述べた
視角からの情報と匂いに胃袋が空腹を訴える
「感謝しなさいよ。あんたは特別な計らいでここで食べれるんだから」
後ろを振り返らず、どこか嬉しそうな口調で返すルイズだが
その顔は心の底から込み上げるうぷぷ、という笑いを堪えるのに必死だった

先ずルイズが腰を下ろし、ヴァニラが横に座ろうとするが
「ちょっと、何やってるのよヴァニラ」
「何だと?」
不意にルイズに遮られ腰を浮かせたまま訝しげな視線を向ける
「アンタはこっちよ」
ルイズが指差したのはなんと床ッ!
しかも置かれていたのは硬そうな黒パンと濁ったお湯と間違えられそうな麦のスープ!!
「・・・・・・・」
「使い魔が主人と同じ食事を食べられる訳ないでしょ。アンタはそれ食べてなさい、
よく味
わってね」
最高の笑顔で告げるルイズ
ヴァニラはまた癇癪を起こしそうになるがDIOの顔を思い浮一瞥をくれ
「御蔭様でな。先に部屋に戻るぞ」
くるっと背を向けると食堂から立ち去った
残されたルイズはその背中に軽く舌を出しフォークを口に運ぶが直ぐに顔を顰める
「アイツっ!」
肉の刺さっていたフォークの先端は綺麗に削り取られていた


食堂を後にしたヴァニラは相変わらず空腹を感じていた
空腹を感じる、先程は気づかなかったがどうやら今のヴァニラにはDIOの血の効果は及んでいない。つまり吸血鬼ではなくなっているようだ
「血を吸わなくて済むのは助かるが、これからアノ食事が毎日続くようではな・・・」
ヴァニラは思わず溜息を零す。不意に
「きゃっ!」
今後の対策を考えながら廊下を歩いていると厨房から現れたシエスタに気づかずぶつかってしまい、尻餅をつかせてしまった
「ああ、すまない」
ヴァニラは反射的に手を伸ばし、助け起こす
「すいません、ヴァニラさん」
はにかんだ笑みを浮かべ立ち上がったシエスタは深々と頭を下げ
「ミス・ヴァリエールはまだお食事中のようですが・・・・どうかなさったのですか?」
と、首を傾げる
「生憎私に饗されたのはパン一つにスープだけでな、もう食べ終わった」
そう答えるのとほぼ同時にヴァニラの腹が鳴り、なんともばつが悪そうな表情を浮かべる
「そうでしたか・・・・あ、でしたらそこで賄いを食べていかれませんか?貴族の皆様のに比べれば見劣りしますが味は保障しますよ」
「いいのか?それは助かるが・・・・」
シエスタの申し出を素直に受けたいがそれによって彼女に迷惑が及ぶと自分に返って来る事となる
返事を躊躇しているとそれを察したのか
「大丈夫ですよ、残り物ですしそれでも結局多過ぎて残っちゃうんですから」
そういって笑みを浮かべる
成る程、あの人数分からだと残り物でもかなりの量になるだろう
「分かった。世話になる」
ヴァニラも漸く納得しシエスタの後について厨房に入る

「・・・・美味いな」
案内された使用人のためのテーブルでまともな食事にありついたヴァニラは率直に賞賛を述べる
「本当ですか?お口にあってよかったです」
甲斐甲斐しく給仕をしていたシエスタは嬉しそうに笑みを浮かべる
「これはお前が作ったのか?」
「ええ、私このくらいしか取り得がありませんし」
確かに昨夜の行動を見ているとどこか抜けたところがあるようだがそれを差し置いてもこの料理は美味かった
出された料理を綺麗に平らげるとヴァニラはシエスタに向き直る
「御蔭で助かった。何か礼したいんだが・・・・何かあるか?」
DIO様以外に借りを作るのは私の主義に反する、その思いがヴァニラを行動させた
「そうですね・・・・・では、デザートを配るのを手伝っていただけますか?」

ケーキの並んだトレイをヴァニラが持ち、シエスタがひとつずつ貴族に配っていく
そんな事をしていると、昨夜ルイズと一緒にヴァニラを探しに来た金色の巻き髪に薔薇をシャツに刺したキザなメイジを見つけた
周りの友人が口々に彼を冷やかしている
「なあ、ギーシュ!お前、今は誰とつき合っているんだよ!」
「誰が恋人なんだ?ギーシュ!」
「つき合う?僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」
昨夜いえなかった文句を言ってやろうかと思ったがあまりの馬鹿らしさにその気も失せた
(薔薇だと?その表現はDIO様にこそ相応しい。お前は路傍の雑草にも劣る)
しかし彼のポケットからガラスの小瓶が落ちるのを見ると、一応教えてやった。
「おい、ポケットからビンが落ちたぞ」
しかしギーシュは振り向かない
無視をしているのか、それとも指摘されたことにすら気づかないヌケサクなのか
ヴァニラはは床に落ちた小瓶を爪先で蹴飛ばした
コッ
ギーシュの踵に小瓶がぶつかり、そこでようやく彼は振り向き足元を見た
「落し物だ」
「これは僕のじゃない。君は何を言っているんだね?」
ギーシュが否定したため、事実彼のポケットから落ちた物だとしても、 これ以上とやかく言わ必要は無いだろうとヴァニラは判断した
昨夜のギーシュではないがこれ以上面倒ごとに関わる気は無い

だがギーシュの周りの友達が騒ぎ出す。
「その香水は、もしや!モンモランシーの香水じゃないのか?」
「そうだ!その鮮やかな紫色はモンモランシーが調合している香水だぞ!」
「つまりギーシュは今、モンモランシーとつき合っている。そうだな?」
「違う。いいかい? 彼女の名誉のために言っておくが……」
ギーシュが言い訳しようとすると、茶色いマントの女子生徒がやって来て泣き始めた。
「ギーシュ様……やはり、ミス・モンモランシーと……」
「彼等は誤解しているんだ、ケティ。僕の心の中に住んでるのは君だけ……」
パチンッ!
ケティと呼ばれた少女がギーシュの頬を引っ叩くッ
「その香水が何よりの証拠ですわ! さようなら!」
ケティが去った後、今度は件のモンモランシーがやって来た
「モンモランシー。誤解だ。彼女とはただ……」
「やっぱりあの一年生に手を出していたのね?」
モンモランシーはテーブルに置かれたワインをギーシュの頭に振り下ろ・・・・すのではなく中身をドボドボと頭にぶちまける
「嘘つき!」
と怒鳴ってモンモランシーは去り、沈黙が流れた

「君が軽率に香水のビンなんか拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
「お前が二股をかけなければ起き得なかった事態だ」
ギーシュの友達はドッと笑ったが、ギーシュは眉を釣り上げる
「いいかい?僕は君が香水のビンを蹴った時、知らないフリをした。話を合わせるくらいの機転があってもいいだろう?」
「私は無視された後一言も喋ってはいない。ヌケサクが」
「ヌケ・・・・ッ」
ヴァニラの台詞に顔を真っ赤にし、それを見たギーシュの友達がまたドッと笑う
「……いいだろう!君には礼儀というものを教えてあげた方がいいようだねッ!」
「ヌケサク如きに教えられるほど落ちぶれてはいない。礼儀を払うべき相手は心得ている、お前は器ではない」
「まだ言うか…!いいだろう『決闘』だッ!ケーキを配り終えたらヴェストリ広場へ着たまえッ!!」
そういい残しギーシュが友人とギャラリーを引き連れ広場の方向へ向かっていった

ケーキを配り終えるとその頃になって騒ぎを聞きつけたルイズが長身のヴァニラに掴みかからんばかりの勢いで、実際掴みかかろうとした

が届かなかったのだが――詰め寄る
「ちょっと!勝手に決闘の約束なんかしてどういうつもりよッ!?」
「大丈夫だ、お前に迷惑はかけん」
ヴァニラの答えに頭痛でもするのか米神を押さえ
「あー、もう勝手にしなさい!その代わりギーシュにあの変な力使っちゃだめだからねッ!」
もう自分は関係無いとばかりに言い捨てると大股で食堂から出て行ったが、曲がった方向は部屋ではないようだ
「あの、ヴァニラさん大丈夫なんですか・・・・?」
心配そうに見上げるシエスタに「心配するな」と、声を掛けギーシュの待つ広場へと歩いていく
その足取りはどこか楽しんでいるような、軽やかなものだった



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