ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

D0C-12

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匿名ユーザー

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大統領の思考が再開したのは出発直前の早朝だった。
朝靄の中、眉間に手を当て、これからどうするかを考え始める

(まず…アルビオンに行く事はほぼ確定だろう、私一人ならともかくルイズがいる以上は止むを得ない
 そうなると行く為のルートはどうするかだが土地勘がない上に現場は戦地だ、どうなるかわからない、
 いずれにせよ情報が少なすぎる)

これ以上考えても仕方がないと大統領は軽くため息をつき、自分の身を任せることとなる馬の首を少しだけ撫で、
ルイズとギーシュ、二人の方へ向く。

「アンタねえ、これから行く所はアルビオンよ!ジャイアントモールを連れて行けるわけないでしょ!」
「そ、そんな!離れ離れなんて辛すぎるよ、ヴェルダンデ!」
(どうもギーシュが使い魔を連れて行けなくてぐずってるようだな。)

暫く見つめていたが、ギーシュの使い魔の巨大モグラがルイズに覆いかぶさるようにすりよってルイズを押し倒す、
「おい、アレは何をやってるんだ?」
「う~ん…多分ルイズが持ってる宝石じゃないかな?僕のヴェルダンデは希少な宝石に目がないから」
「そうか、主従そろって女癖が悪いかと思ったよ。」
ギーシュの心にグサリとくる一言を言い放つ、大統領は内心自分がイラついてる事を自覚しだす、
だが、運は大統領を見放したのかそんな大統領の神経を更に逆撫でする人物がやって来る事となる。


大統領がルイズから巨大モグラをどかそうとすると突風が吹き荒れ、モグラを弾き飛ばした。
敵か?と大統領は警戒し、レイピアを抜き放つ、ギーシュは自分の使い魔が傷ついたことに絶叫していた。



ゆっくりと…恐らくは風の魔法を放ったであろう人影が近づいてくる、朝靄で姿が見えない。
やがて立ち止まり、落ち着いた口調で人影は話し始めた。
「僕は味方だ、武器を下ろしてくれないか?」
朝靄が晴れていき、姿が鮮明になっていく…蓄えたヒゲと羽根飾りの帽子が目立つ男だった。
「いきなり攻撃してきて“味方”だと?」
てめー頭脳がマヌケか?と言いたそうな大統領の顔を一瞥すると、男はルイズの方に顔を向ける。
「すまない、婚約者がモグラに襲われていて、いてもたってもいられなくてね」
大統領が口を開こうとすると脇からルイズが大統領を押し退ける、
「ワルド様!」
駆け寄っていくルイズをワルドと呼ばれた男は抱きかかえる
「おお!僕のルイズ!相変わらず軽いな、君は!まるで羽根の様だ!」
甘ったるい空気というのはああいうのを言うんだろうな、と大統領は冷めた目で眺めてながら再び現在の状況を確認する

(アイツがルイズの婚約者か、なぜこの任務を知っているか…あの王女に聞いたか?身内なら心配ないとでも思ったのか?)

そこまで考えると、ワルドがこちらに振り向く
「自己紹介が遅れたね、女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ」
「…ルイズの使い魔、ファニー・ヴァレンタインだ。」
少し、困惑したような表情を“作る”

(爵位持ちでしかも近衛…実力は間違いなくスクエア、最低でもトライアングル以上は確実か)
大統領の頭はさらに回転する
(王女はなぜコイツを…このワルドだけを行かせなかったか?簡単だ、信頼できないからだ、あくまでコイツはルイズのオマケ
 …ルイズの護衛役でしかない、だがルイズにコイツを御せると思っていたのか?)
そこまでで大統領は考えを止める、ワルドに関しては今のところはどうもしないが“警戒することは絶対に止めない”という事で落ち着く。

というより、これから戦地に行くことを考えると内憂にこれ以上関わっていられないのだ。



ついに出発となるところでワルドが加わった為。
ルイズがワルドと共にグリフォンに乗り、大統領、ギーシュは馬に乗ってそれに追随する形となった、


大統領自身SBRの上位選手に匹敵できる程の名騎手だが
空を飛ぶグリフォンに地面を走る馬が平行できる筈もなく、距離はどんどん離されていく。
ギーシュは普段馬に乗っていないため、大統領についていくので精一杯である。
(状況が状況だから急ぐのはわかるが…あそこまで速めるか?)
グリフォンの速度があまりにも速すぎるため疑問に思ったが思考を即座に中断すると同時に手綱を引いて馬も止める。
先行した大統領が止まったのを見てギーシュも大統領に近づいた頃合で馬を止めると大統領に声をかける

「どうしたんだい?急に止まって」
「ギーシュ、魔法を放てる準備をしておけ、ゴーレムでいい」

切り立った崖…更に自分たちの方に遮蔽物がない為、襲撃に適した場所だと大統領は理解する。
その上で大統領の第六感が警報を鳴らす…。
ギーシュは困惑したが大統領の真剣な目を見て青銅のゴーレムを即座に作れる準備をする

「ギーシュ、ゆっくりと進め、ゆっくりとだ」

大統領の声に応じ、馬を歩かせる、大統領もギーシュより一歩出遅れた形で進む。
進むにつれ大統領の“布”を握る手が強くなる、ギーシュも大統領の雰囲気にただならぬ事と感じ、周囲を警戒する

すでに空にグリフォンの姿は見えなかった。


鋭い音を立てて馬の足元に矢が突き刺さると同時に崖の上に幾つもの松明の明かりが見え始めた。
いきなりの事で驚いた馬を大統領は落ち着かせる、

「ギーシュ!ゴーレムを出せ!盾にする!」
大統領の声に一喝されると同時に準備していたゴーレムを出現させる。
(数が多すぎるな…さてどうするか)
大統領は崖の上の松明と撃たれる矢の量からおおよその敵の数を把握するとその対応に悩む。
(D4Cはこういう一対多数は苦手なんだが…まあいい、“やりよう”はある)
「ギーシュ、ゴーレムで馬と自分の身を守っていろ、いいな?」
「君はどうするんだい!?」
「何、連中を片付けてくる」
言った後、大統領はゴーレムにその巨体を守られるよう“伏せさせた馬”と地面に挟まれた。
ギーシュが一瞬唖然としたが気を取り直し、どこにいるとも知れない大統領に告げる

「僕のゴーレムはあくまで青銅だ、そう長くは持たない!速くしてくれよ!」

ギーシュがそういい終わった時、すでにゴーレムの身に何本かの矢が刺さっていた。





[視点変換]~襲撃者side~

(運が良いねえ~俺たちは…)
ホクホク顔で状況を見ていたその盗賊は振って沸いた儲け話に喜んでいた、
(あの“白い仮面の男”から貰った金+こいつ等を即片付けてアルビオンへ行き略奪で大儲け…ウプププ!)
本来、戦況が決まるまで両者に加担せずどちらか一方が圧倒的優位になるまでまつつもりだった、
そして現状、反乱軍が圧倒的有利という条件で“略奪専門”で加担する腹積もりなのである。

(もしヤバそうな相手だったら即トンズラ!あのヤローに義理立てするつもりもないしな。)
彼らにとってこの襲撃は“頼まれたもの”であって“前菜”なのだメインは王家の宝の略奪であり、
そもそもグリフォンがそのままいたらする気も起きなかった、そのまま金を頂きアルビオンへ直行すれば良い、
それでも彼らが襲撃を起こしたのは何か金目の“モノ”でもあるかもしれないという文字通り、骨の髄までを地で行った結果である。

(本当に運が良いぜ…低レベルのメイジなんてよ~)
当初相手がゴーレムを使ってきたのには驚いたが、遠目からみても数が少なく、盾代わりにしているため、
大きな魔法を使うための時間稼ぎかと思われたがその様子もない、つまり守るので精一杯だと言う事だ
(つまりこの数をどうこうできるほどの実力はない、それなら か~んたんに捕まえれるぜ、メイジなら高く売れるだろうしな)
そうして満面の笑みを浮かべ、今から奴隷屋との交渉を考える事にした
虎穴に入らずんば虎子を得ず、しかし虎子が虎穴からでてくるとは僥倖と言えただろう、
しかし…虎子が虎穴から出てくるのならば“親”も一緒に出てくるのも当然といえる。


不意に「なあ」と後ろから声をかけられる、
取らぬ狸の皮算用を中断され、不機嫌そうに振り返った瞬間、
声帯ごと頚動脈を切断され男は果てた。


[視点変換]~大統領side~

(とりあえず、声を出させずに始末したがこの数は骨が折れるな…)
D4Cによって平行世界に移動した大統領は襲撃者達の後ろ側に回りこみ、無防備な後ろから攻撃していく算段であった、
(ギーシュの方は…悩んでる時間もないらしいな、仕方ない、片っ端から仕留めていくとしよう。)

足跡がしないという特性を活かし、あるものは首を切断し、あるものは異世界へ飛ばす、やられたものは声を出す暇もない。
そんな形で十数人ほど減らした辺りで竜の嘶きを聞く。


大統領が空を見上げると自分の使い魔に乗ったタバサとキュルケの二人が居た、
襲撃者はいきなりの事態に戸惑い、混乱していた、大統領は手近な一人に当身をおこない気絶させて置く。
タバサの唱えた風の魔法だろう、突風が吹き荒れ襲撃者達を吹き飛ばしていった、
風竜から降りたタバサとキュルケに笑いながら話しかける、
「なぜここに?」
「…付き添い」
「ダーリンがルイズと一緒に朝早く出かけるのを見かけて大急ぎで追っかけてきたの」

逃がさないわよ?と言った目でこちらを見てくるキュルケにフッと大統領は息を吐く
(自分はつくづく…しつこい女性に“助けられる”らしいな…)

そうして見上げた空にはグリフォンが飛んでいた。



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