ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

D0C-10

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
「やれやれ…こいつを開発したのが我が愛しの祖国だと良いんだが。」
ゴーレムから少し離れたところから破壊の杖を使った大統領がそう呟く。
(ベストタイミングって奴だな、あそこまで破壊されればもうゴーレムも動くまい)
破壊の杖を降ろし、ゆっくりとルイズ達の方へ歩いていく
(さて、どう言い訳しようか…)



爆発が終わった後も、ルイズ、キュルケ、タバサの三人は唖然としていた、
タバサは多少の予想はしていたのでいち早く大統領の仕業だと気がついた。
周りを見回し、大統領の姿を見つけ、駆け出していく
そんなタバサの後姿を見て、残りの二人も気づき、大統領へと向かう
特にルイズは全力疾走で向かっていく。



大統領は三人を見て(特にルイズを)無事を確認し安心したと同時に焦る、
「ファニィィィィーーー!!」
絶叫と同時にルイズは大統領に飛び掛る、大統領はルイズを受け止めたため破壊の杖を手放し、
それをタバサが素早くキャッチする。


大統領はルイズの顔を覗く、ムスっとした顔から徐々に目に涙が溜まっていく、
「ゴーレムに…踏まれて、死んだかと思ったわよ…バカ。」
消え入りそうに呟くルイズの顔を胸に寄せる。
キュルケはやれやれと言った表情でルイズの後姿を眺めている
タバサの方は破壊の杖を調べた後、大統領をジッと見つめ、ボソリと呟く。

「どうやって?」
大統領はタバサと睨み合いになる形で視線を合わせる、
ルイズも泣き止み、疑問が噴出す事となったが、大統領は話を逸らす
「なあ、その前にミス・ロングビルを探さないか?ずっと姿が見えないんだが」
「「あ!」」
ルイズ、キュルケは忘れていた為、バツが悪そうに顔色を悪くするが
(話を逸らされた…)
タバサ一人だけが大統領が秘密にしたいことに気づいた。


「皆さん!ご無事でしたか!?」
話に出た直後、ロングビルが姿を現す。

(タイミング計ってたようだな…)
目元を歪ませながら大統領はロングビルを見る、
ロングビルは全員の無事を確認した後、破壊の杖を自身に預けるように言う、
タバサは大統領の目を見ると、大統領が頷くのを確認し、ロングビルに破壊の杖を手渡す。


「しかし…ゴーレムを一撃で倒すとは凄まじい破壊力ですね…」
うっとりと破壊の杖を眺めながらロングビルはゆっくりとルイズ達から距離を取り、
破壊の杖をこちらに構えた。


「ミス・ロングビル、やはりお前がフーケか…」
大統領の発言にルイズとキュルケはパニックに陥ったのか動きが完全に止まっていた、
「あら?気づいてたの?」
「あまりにも不自然すぎたんだよ…フーケの発見、行動、どれも“納得できない”」
「フフフ、で・も、破壊の杖がこちらにある以上貴方達はチェックメイトよ。」


大統領は腕を組みながら目を瞑り、苦笑し始める
「ククク…チェックメイト、ね…」
ミス・ロングビル、改め土くれのフーケはその様子を見て訝しむ。
「何がおかしい、頭がイカレちゃったのかしら?」
「こういう風に笑うのはな、勝利を確認できた時の笑いだ…フーケ、お前の敗因は相手を知らなかった事だ」
大統領の言葉にフーケは混乱する
「敗…因?」


フーケが言い終わったと同時に弾ける様に大統領はフーケに向かって走り出す、
「なっ!…くっ」
少し意表を突く形になったが、フーケは素早く反応し、破壊の杖を使おうとするが
ゴーレムの時のような爆発は起こらず、ただ虚しく引き金の音が鳴る。
「残念だがそれは単発型でね…」
「!ああっそうかい!」
フーケは片手に杖を持ち、大統領へ構える。
「詠唱は終えてるよ!勝った!」
予め詠唱を唱え終えているらしく、構えただけで放てるようだしかし…
「なんども言わせるな、勝ちはこちらだ。」
大統領が言い終えた瞬間、フーケの杖が手元から弾き飛ばされる。



「ご苦労様だ、ミス・タバサ」
「…問題ない。」
フーケと同じように詠唱を終えていたタバサは
大統領がフーケを捕まえるのに手間取った時に放てるようにしていたのだ。
再び意表を突く形となり、D4Cを重ねた手刀をフーケの首筋に叩き込む、
「フン、少し注意深ければ勝てた知恵比べだったな、フーケ。」
(まあ、今の魔法が無くともD4Cの射程距離内まで近づけていたからいざとなったら
殴って気絶させていたが…)
倒れこんでいるフーケを見つめていると、ルイズ達三人が近づく。


「あ、アンタ最初っから気づいてたわけ!?ミス・ロングビルがフーケだって!」
「いや、怪しいとは思っていたが確証がなくてな、自分から言い出すのを待っていた、
…それにしても、ミス・タバサも魔法を詠唱しておいてくれて、助かったよ。」
その言葉を聞いて、少し間を空けながらタバサは答える
「念のため、…それも読んでいた?」
大統領はフーケを背負いながら「さあてね…」と少しぶっきらぼうに答える、
そして三人の方を向き「早く帰ろう」と呟いて、タバサの使い魔の方へ歩いていく。

ルイズとキュルケはその後を追いかけるが、タバサだけはじっと大統領の方を見つめていた。
(彼は…敵に回ると想像できないほど恐ろしい…)
「けど」っと呟く、
(彼が敵に回る所は“想像”できない)

「タバサー!早く来なさーい!」
キュルケの呼ぶ声に従って、タバサは歩き出す。


ゴーレムが暴れたせいで馬車は壊れ、馬も逃げ出していたが、タバサの風竜のおかげで
帰りの道は早く帰れた、大統領は風竜の背中で行き道と同じく熟睡していた
「どんだけ寝れば気が済むのよ…」
「寝かしておいてあげなさい、ダーリンが一番活躍したんだから。」
(そこまで聞かれたくない事?…彼の手品の種は)
それ以外にも理由があった事をタバサは知るよしもない。




学院に戻った四人はオスマン校長に事のあらましを説明し、破壊の杖を学院に返した。

フーケの正体が自身の秘書だということにあまり驚いていなかったが、
ルイズが雇った理由を聞いたところ、「セクハラをしても怒らなかったから」
という理由で雇ったと聞き、オスマン以外の全員が(このエロ爺)と心中で繋がった。

その後大統領が破壊の杖を使用した事で使用方法をなぜ知っていたのか?という質問に
「故郷に似たものがあったから」という当たり障りの無い答えを出す。
(別に嘘でもないしな)

そして最後にフーケ捕獲の恩賞の話になったが大統領が貴族でないという理由で
恩賞から外れたため、ルイズが抗議にでようとするが…
「別に恩賞のためにやったわけではないし、この国の者でもない私が勲章を貰っても仕方が無い」
と言ってルイズを止め、結局恩賞は無しという形になった。

納得がいかないルイズの機嫌を直そうとオスマン校長が話題を変え、
今夜は舞踏会があると伝える、フーケ捕獲の名誉もあり、今日の主役だとも言っておき
それで話を終わらせる。




大統領はルイズと部屋に戻って舞踏会の衣装を着るためにルイズの服を着替えさせていた
最初は女性の使用人に着替えさせようとしたが大統領が「私がやらなくて大丈夫なのか?」
という問いに「アンタできるの?」と少し驚いていた。

実際はスカーレットが夜の誘いで着せたり脱がせたりを大統領にねだっていた為、
覚えざるをえなかったのだ、大統領に就任し、ファーストレディーになってからは流石に無いが。

「ねえ、本当に恩賞無しでいいの?」
「ああ、私は故郷で公職に就いていたから尚更な…」
ドレスを着せながら大統領は自身の国を思い浮かべた
(私が居なくなったせいで混乱しているだろうな…戻れるあても無し。
だが、遺体と遺体は引き合う、その時、私がここに来た意味もわかるだろう…。しかし、)
続けてフーケが破壊の杖を盗んだ夜の夢を思い出す
(あの夢はなんなのか?…あれだけが目下最大の“警告”だ、決してただの夢ではない!)

思索に耽りながらもルイズのドレスを着せ終え、一息つく。
「よし、立派な淑女になった」
「子ども扱いは止めなさい…」
顔を少し赤らめながらムッとさせるルイズを尻目に、大統領はドアを開ける
「さて、不肖ながら、会場までエスコートさせてもらおう」
大統領のその言葉にルイズはクスリと笑う。
「いっその事、会場までと言わずその後のダンスもお願いするわ、ジェントルマン。」

ルイズの誘いの言葉に、一瞬驚くが直ぐにフッ、と笑いながら答える。
「…畏まりました、レディ」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー