ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの兄貴-12

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匿名ユーザー

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決着は互いに剣を買って終結した。
もっとも武器としての剣を欲していたのではなく話す剣から情報を引き出すのが目的だったのだが。

剣の名はデルフリンガーというらしく相変わらず兄貴と呼んでくる。
長い上に兄貴と呼んでくる事もありペッシと呼ぶと言うと
泣きながら?『デル公でもいいですからペッシだけはやめてください兄貴』と言われた。そんなに嫌か?ペッシは

3日程経過
特に何事も無く時間の流れに身を任せていたが、プロシュートは奇妙な違和感を感じていた。

「……この視線…人の物じゃあねぇな。とすると…使い魔か…?」
ここ数日明らかに何者かに監視されているという感覚がある。さすがにどこぞの吸血鬼のように『貴様見ているなッ!』というわけにはいかない。
人ならば誰が見ているかというのは分かる。だが探ってみても自分を見ているヤツなど確認できない。
とすると残る選択肢は使い魔を通しての監視しか無い。

夜になりルイズの部屋でどの辺りかを考える。
だが心当たりが無い。イタリアに居た時ならそんな心当たりなぞそれこそ星の数程あったが生憎この世界ではそんな心当たりは無い。
「昼間は仕掛けてこねぇとは思うがな…」
「…何か言った?」
「オメーには関係ねーこった」
「あんたの関係無いは私の不幸に直結してる事が多いから不安なのよ!」

(向こうからこねーならオレ自身を餌にして早めに炙り出す…か)
暗殺者という職業柄プロシュート達は徹底した現実主義者だ。
危険を危険として受け止め、それに対しての対策を素早く練りそれが終われば後は日常と変わらずに過ごす。
先の恐怖を先取りし縮こまるという事はしない。だからこそボスの娘の情報が手に入った時即座に行動を起こしたのだ。
(監視の時点で悩んでも仕方ねーことだな)
そう考えると探りたければ探らせればいいという結論に達し…寝た。
(今は……な)

「…でプロシュートはどちらの剣を使うのかしら?」
翌々日例によってルイズとキュルケが揉めていたのだが、その内容がルイズとキュルケの買った剣どっちを使うかというものだった。
武器としての剣が欲しいのではなく欲しいのは情報なのだが二人にとっては意地の張り合いというものがあり揉めていた。
なんだかんだで第三ラウンドに発展し出た結論が
「「決闘よ!」」
「オレの関係無いとこでなら好きにしろ」
我関せずを貫こうとするプロシュートだが決闘内容が「自分を吊るしてそのロープを魔法で切った方が勝ち」などという提案が挙がった時は無言で二人を見据え
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨
(この目は…)
(間違いなく…)
( (老化させてやろうか?と思っているッ!) )
二人がそう思った瞬間
「「ごめんなさい」」
さすがの二人も年取って放置されるというのは絶対に嫌らしく同時に謝っていた。

夜になりルイズとキュルケ、タバサの三人が中庭に集まり決闘を始めようとしてるがプロシュートは居ない。

二つ出ている月の元の草原。そこにプロシュートが佇んでいる。無論、月を見ているわけではない。
「早いうちに炙り出されてくれると楽に済むからな…」
学園からある程度離れた場所、夜、そして一人。襲撃するにはこの上ない条件と言える。
襲われる事を知っての行動。
相手もそれは承知の上だろうが確実にやるならこの条件しか無い。
自らを釣り餌にした行動だ。

しばらく経ったが何も起こらない。

――が僅かな匂いを感じた瞬間
(毒かッ!?)
瞬時にそう判断し姿勢を低くつつ風上に向かう。
風上に移動しつつ周辺を探るが辺りに人は見当たらない。
だがその間も流れてくる匂いは途切れない。

(風上に移動してるってのに誰も見えねぇ上に匂いも途切れやしねぇ…どういう事こった…?)
視界が良好というわけではないが月明かりがある。誰かが居れば分かるはずだった。
(何の毒が知らねーが…これ以上はマズイな…探す発想を『四次元』的にしなくてはいけないんだ…!
   使い魔で監視するって事は相手はメイジって事だ…ヤツらを探すにはオレ達の常識外の発想が必要だッ!)
移動しながら考えるがある事に気付き――
「なるほどな…同じ高さで見つからないって事は下か上って事だ」
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上を見上げる…居た。プロシュートから10メートル程離れた上空に揺れるようにしてそいつが居た。
「オレの移動に併せ絶えずそれを流し続けてたってわけか…」

「気付いたみたいね…でもあいつの射程は精々1~2メイル
    ここまでは絶対に届かない。次はあの薬で――」
そう言おうとした瞬間己の身に力が入らない事に気付いた。
「気温が低い夜とは言え…老化は確実に進行しているんだぜッ!!」
最初に香りを感じた瞬間スデにグレイトフル・デッドの広域老化を発動していたのだが気温が低めな夜という事もあり効果が出るのに時間が掛かった。
「何で…!?あの時は近付いてなきゃ攻撃できてなかったのに…!」
高度が下がり始める。効果は低いとはいえ疲労感を起こさせるには十分だ。よろめいたように地面に着地し…その時それが誰か分かった。

「テメー…あのマンモーニに香水ブチ撒けてたヤツか。確かモンモランシーとか言ったな…
    どういうつもりか知らねーがオレを倒す覚悟があるって事は倒される覚悟はできてるんだろうな…」
モンモランシーは答えずこちらを凝視してきている。攻撃を仕掛けるべく近付くが
「何…ッ!?」
急に体の感覚が無くなった。正確に言えば、触覚が完全に麻痺し体の動きも鈍い。
「さっきの匂いの正体は…麻痺毒ってわけか」

「麻痺毒?少し違うわね…麻痺してるのは確かだけど痛覚だけは残すっていう高尚なものよ」
「趣味の悪りぃもん作りやがったな…」
「『悪魔憑き』に趣味が悪いって言われたくないわ、ギーシュを虫ケラみたいに殺しておいてッ!」
杖を向け魔法を唱えてきた。恐らくは水系統の魔法。
迎撃しようとするが体の動きが鈍い。つまりグレイトフル・デッドの動きが鈍くなり迎撃が不可能だ。

全て命中した。命中したはずだったがプロシュートはそこに平然とというわけではないが依然として立っていた。
「命中した…はずなのに!」
「賭けだったが…魔法ってのはスタンドに干渉できねーようだな…」
スタンドはスタンドでしか傷付ける事はできない。それを利用し命中する直前グレイトフル・デッドを全面に展開させ全て『受け止めた』のだ。

体の動きが鈍いがG・デッドを前面に出し突き進む。
魔法が飛んでくるが全て命中しない。いや、命中はしているが当たる直前で弾かれている。

触覚が無いため平衡感覚が取れてないが何とか接近し――掴んだ
だが、掴んで互いの目が合った瞬間何を狙っていたのかを理解する。
ああ、そうかこいつのこの目

――こいつ…テメーの命を的にしてやがる

バギィ
杖をヘシ折りそのままの勢いで投げ飛ばす
「…どうして殺さないのよ!ギーシュを踏み潰した時みたいに!」
「ハン!こんな人気の無い場所でオレがオメーを殺せば今度は決闘の時みてーにはいかねーからな」
この状況下で正当防衛を主張したとしてもあの連中の事、プロシュートが不利になるのは自明の理だ。

「今のオレの任務は『護衛』だ。この状況でオメーを殺るとルイズを護衛するしない以前の問題になるからな…」
唯でさえ状況が危ないのにここでモンモランシーを殺せば確実にルイズが責任を取らされる事になる。
それでは護衛の失敗だ。
本来なら老死させるとこだが、プロシュートの能力が老化という事はスデに知れ渡っている。
暗殺者とヒットマンの違いがこれだ。暗殺者は常にバレないように相手を殺す。
ギーシュの時は自身の能力を見せ付ける事で恐怖心を周りに植えつけさせこれ以上決闘なんぞを挑まさせる気を無くすのが目的だったが今回はそれが仇になった。

「…ここで私を殺さないとまた襲ってくるかもしれないわよ?」
「来たければ来やがれ、そのぐらい『覚悟』している
   だが、一つ言うがオレの任務は『護衛』だ。オレじゃあなくルイズを狙えば容赦はしねぇ」
「…………」

その場をふらつきながらに立ち去るプロシュートをモンモランシーはただ黙って見送るしかできなかった。

モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ ―― 完全敗北(再起可能)
                          二つ名  香水


「思ったよりヤバいな……」
麻痺しかけた体を半分引きずるようにして中庭まで戻ってきたが毒が回ってきたのか本格的に体が動かなくなってきた。

「助けてくれ兄貴ィィィィィィイイイ!」
遥か上空から声が掛かり上を見てみると…デルフリンガーがロープに吊るされていた。
そしてその下に杖で構えている問題児が二名。
「……何やってんだ?」

「決闘よ。ロープを魔法で切った方の剣をプロシュートが使うかを決めるためのね」
「兄貴ィィィィィイイイ死んじまうぅぅぅぅぅ」
「…別に剣を吊るす事たぁねーだろ」
上の方から「そうだぞー」という声が聞こえるが
「そっちの方がやる気がでるじゃない」
と、スデにやる気満々で止める術は無い。

ルイズがロープを狙い杖を構え魔法を使ったが――
ドッグォーz_ン
「テメェェェェェェ俺を殺す気かァァァァァァアアアア」
デルフリンガーの後ろの壁が見事に爆発しヒビが入った。
「失敗しても爆風でロープが切れると思ったのに…!」
「最初から爆発が前提ェーーーーーッ!?テメー魔法ナメてんのかァァァァァァアアアア」
ギアッチョの如くデルフリンガーがキレる。当然だがキュルケは大爆笑だ。
「ロープじゃなく壁を爆破するなんて『ゼロ』は本当に器用ね!あっはっは!」
敗戦ボクサーのように膝を落とすルイズを後ろ目に今度はキュルケが狙いを付ける。
「『微熱』の二つ名の由縁見せてあげるわ」
杖の先から火球が現れロープに向かい真っ直ぐに飛んでいく。
キュルケの十八番『ファイヤーボール』だ。

「兄貴ィィィィ落ちる!落ちて折れる!折れて死ぬぅぅーーーーーーッ!」
地面に落ちていくデルフリンガーだが上空でシルフィードと共に待機していたタバサが『レビテーション』をかけ激突は免れた。
「私の勝ちね、ヴァリエール!」
勝利宣言も高らかに勝ち誇るキュルケだが、敗者の方はというと…ショボーンという音が聞こそうに座り込み『の』の字を書いている。

だが、地面が揺れる。
「な、なに!?」
全員が思わず息を飲む。
「ゴ、ゴーレム!?でもこんな大きいの見たことない!」
ギーシュ(故)のワルキューレなどとは比べ物にならない程の大きさだ。
蜘蛛の子を散らす。そんな表現がピッタリ当てはまる勢いでルイズとキュルケがゴーレムの移動線上から逃げた。

だが、一人逃げない者が居た。否、逃げれなかった者が居た。
「くそ…今頃回ってきたか」
地面が派手に揺れたせいで倒れたのだが体が麻痺しているせいでこれ以上動けないのだ。
その場を動かないプロシュートに我を忘れたルイズが駆け寄る。
「な、なんで逃げないのよ!あんたってば!」
「後始末の後遺症でな…!」
ゴーレムが近付き二人の頭上でその巨大な足を上げる。
「オレに構うなッ!」
「く…重いのよあんた!」
引きずってでも動かそうとするが体格差が大分ある二人だ。ゴーレムの足からは逃れるには至らない。

覚悟を決めた瞬間シルフィードが滑り込み二人を足で掴み上げた。そしてそのまますり抜けるようにして上空に舞い上がった。
その下でゴーレムがひびの入った壁を破壊し中に進入。
しばらくしてからまた肩に乗りモンモランシーと戦っていた草原へと向かっていく。
「土のゴーレム!?…あの大きさだと操ってるのはトライアングルクラス…以上ね」
「…随分と派手にやってくれたじゃあねーか」

体さえ動けばゴーレムの肩に乗ってロープを着ているヤツに直触りを叩き込んでやるとこだが生憎体は言う事を聞いちゃくれない。
そうしてるとこにルイズが自分を危険に侵して助けようとした事を思い出した。
「助かったから良いが『構うな』と言ったはずだぜ?」
それにルイズが当たり前のように言い放つ
「問題があるとは言え私の使い魔なんだから見捨てたりするわけないじゃない」
「……言ってくれるじゃあねーか」
そう言い放ちまだ少しだがルイズの『覚悟』を認めた。

翌日…当然の事ながら学院は大騒ぎだ。
何せ宝物庫の壁を物理的な力のみでブチ破り壁に
『破壊の杖、確かに領収致しました。土くれのフーケ』
と犯行声明が残されていたのだから。

「土くれだとッ!?盗賊風情が魔法学院に手ぇ出すなぞナメやがってクソッ!」
「HOLY SHIT!衛兵と当直は何をやってたんだね!」
「OH MY GODッ!破壊の杖を盗まれるとは…ドジこいたーーーッ!こいつはいかーーん!王室がお怒りになられるチクショーーー!」
とまぁ教師達がディ・モールトベネな具合にテンパっている。

完全にテンパり責任の擦り合いをしている教師達を尻目にオスマンに眼鏡の女性―ロングビルがフーケの居場所を掴んだ事を知らせていた。
「至急王室に報告を!王室衛士隊に頼んで、兵を向かわせなければ!」
そうU字禿コルベールが叫ぶがオスマンがその年齢らしかぬ怒気を含んだ叫びを上げる。
「王室なんぞに知らせている間に逃げられたらどうするんじゃ!S.H.I.Tッ!!
     それにこれは我が身の不始末!魔法学院の問題を我々で解決できねばどうする!」
オスマンが捜索隊を結成するため有志を募るが…教師陣は誰一人として杖を掲げようとしない。全員お互いの顔を見合わせるだけだ。
「おらんのか?おや?どうした!フーケを捕まえて、名を上げようと思う貴族はおらんのか!」
犯行現場を見ていたため呼ばれていたルイズが杖を掲げる。
「何をしているのです!あなたは生徒ではありませんか!ここは教師に任せて……」
「誰も掲げないじゃあないですか」
『覚悟』を決めた強い言葉がシュヴルーズの言葉を遮らせる。
それに続くようにしてキュルケ、タバサが杖を掲げた。
それを見てオスマンが笑った。
「そうか。では頼むとしようか」
幾人かの教師達が生徒達だけでは危険だとオスマンに進言するが
「では、君達が行ってくれるかね?」
と問われると全員黙り込んでしまう。

「彼女達三人に勝てる者が居るなら一歩前に出たまえ。
   居らんじゃろう?それに彼も居る事じゃし心配あるまいて」
全員の視線がプロシュートに集まった。
「「「悪魔憑き…」」」
どちらかというと教師達はルイズ、キュルケ、タバサの三人よりプロシュート一人にビビっている。
得体の知れない力で一瞬にして人を老化させメイジを顔色一つ変えず殺す事ができるのだからそれも無理ない事なのだが。
誰も前に出ない事を確認するとオスマンが四人に向き直った。
「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する」
ルイズとキュルケとタバサが真顔になり直立し――
「杖にかけて!」
と同時に唱和した。

プロシュート兄貴 ―― ザ・ニュー任務!
  二つ名   悪魔憑き


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