ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

反省する使い魔!-4

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反省する使い魔!  第四話「使い魔人権ヘッタクレ!」


音石は窓の外から来る日差しと
チュンチュンとなく鳥の鳴き声で目が覚めた。
音石は元々一度寝れば昼頃まで起きないような人間だったが
三年も規則正しい刑務所で暮らしていたせいで
その生活習慣が体に完璧に染み付いてしまっていた。

目を覚ました音石は周りを見渡し
立ち上がり、服に引っ付いた藁を払うとルイズを見た。

(やっぱり夢じゃなかったか…まあ、別にいいけどな)

音石はルイズのベットの向こう側にある窓を開け喚起をする。
すると窓からは気持ちのいい風が入ってきた。

(空気が美味いってのはいいもんだ…杜王町じゃなかなか味わえないぜぇ………お!)

窓から音石の目に入ったのは湧き水のようなものがでてる水汲み場だった。
ちょうどいい、まだ時間はあるし顔でも洗ってくるか…
音石は愛用のギターを手に取り、ルイズの部屋を後にした。

ついでになぜわざわざギターを持って行くのかというと
目を離している隙にルイズが目を覚まし、勝手にギターに触って
ぶっ壊される可能性があるからだ。


「【バチャバチャバチャッ】……ぷはァッ!……あースッキリした」

水汲み場で顔を洗い、部屋に戻ろうと移動するが
水汲み場の角を曲がる際、メイド姿の少女とぶつかってしまった。

「きゃあっ!」

ぶつかった衝撃でメイドが持っていた洗濯カゴから洗濯物が空中に散布した!

(ああ!?なんて事!貴族様の服がぁ~~……)
【シュバババババババ!!】
(え!?あ…あれ!?なんともない…)

気が付く散布したはずの洗濯物が元に戻っており
洗濯カゴは目の前の男が持っていることに少女は驚いた。

「よぉ、大丈夫かよ?」
「あ…はい!どうもすみません!私の不注意で…」
「気にすんな、オレの方こそ悪かったな」

そう言って音石はそのメイドに洗濯カゴを渡す
するとメイドは音石の顔を見た瞬間、
あっ!と目を見開かせた。

「もしかして、ミス・ヴァリエールが召喚したっていう…」
「…どうやらだいぶ有名らしいな」
「ええ、顔に大きな傷がある平民だって…それに
サモン・サーヴァントで人間が召喚されるなんて前代未聞ですから」
「そうなのか?」
「普通、召喚されるのは動物や幻獣らしいですから…」

それを聞いた瞬間、音石は昨日の
大勢の見たことも無い生き物を思い出した。

(オレもアレに分類されてるっつーことか?
ひでー話じゃねえか…いや、まてよ?オレの『レッド・ホット・チリ・ペッパー』は
見た目的になんかソレっぽいが……、ん?ちょっとまて)

「らしい?お前さんは、メイジじゃねーのか?」
「とんでもありません!私は単にこの学院で働いている平民です
魔法も扱えないのに貴族様だなんてそんな恐れ多い…」

それを聞いて音石はある事に気付いた。

(なるほど、そーゆー事か…
この世界の貴族は魔法が使えっから貴族と分類され
魔法が使えねー人間の事を平民と分類してるって訳だ…
つまりこいつは)

「メイジならぬメイドってわけだ!」
「………………………………」
「………………………………」
「………………………………」
「ごめんなさい、スベりました…」

やっちゃった音石はかなり悲しくなり
逃げるようにその場から去っていった。

「あ!あ、あの……行っちゃった」


逃げ出した音石はルイズの部屋に戻るが
ルイズはまだ幸せそうにぐっすり眠っていた。
そう言えば昨日、コルベールとか言うハゲ教師が
今日も授業があるとか言っていたのを思い出した。

(しょうがねぇ、一応使い魔なんだし起こしてやるか…)

「おーい、起きろ桃色」
「スー……スー……」
「たくっ…オラ、起きろよ今日も授業あんだろ?」
【ガンッ!!】

音石は呼びかけても無駄だと判断しベットを蹴ってみたが
それでもルイズは目を覚まさなかった。

「…スピー……」
「……………」

音石は無言のまま、自分のギターを手に取った
ギャアアアーーーーーーーーーーンン!!

「起きろっつってんだろぉ!!起きろやァァァァッッ!!!」
「きゃあああああああっ!なになになになにッ!!?」

音石の大音量でのお目覚めリサイタルは余裕でルイズを
叩き起こした。

「えっ!?あ、あんた誰!?」

ギュウイイイーーーーーーーーーーン!!

「うるさーい!そうそう!昨日私が呼んだ使い魔!
思い出したからその音止めてーーーッ!!」

ピタリとギターが止まるとルイズはキッ!と
音石を睨み付けた。

「ハッ、やっと起きたか」
「起きたかじゃないわよ!あんなうるさい音出されたら誰だって
起きるしビックリするでしょう!!」
「てめェがとっとと起きねーからだろ」
「やり方ってモンがあるでしょう!!」

その時、扉からガチャリと音がし一人の女性が部屋に入ってきた
音石はその女性に見覚えがあった、確かキュルケとか呼ばれていた女だ。


「ちょっとルイズなんなのよ、さっきのすごい音!びっくりしたじゃない!」
「ちょっとキュルケ!勝手に鍵開けて入ってこないでよ!!」
「鍵なんてどうでもいいでしょう!?まったく朝っぱらから…
『ゼロのルイズ』ってのは常識もゼロなワケ?」
「なぁんですって~~~~~~ッ!!」

ドギュウウウウーーーーーーーーーーーーン!!

「えっ!?」
「ひいッ!?」

今にも取っ組み合いになりそうな二人のやりとりを音石が止めに入る。
ルイズはともかくキュルケは聞いたことの無い大音量のギターに
若干びびってしまった。

「お前ら言い争いするのは勝手だがよ~~…、
そろそろ急がねーと遅れんじゃねーのか?」

音石は窓を指さす、確かにそこから見下ろすと食堂に移動中の
大勢の生徒が見える、しかしその生徒たちも音石のギターの音に
なんだなんだと騒いでいるようだ。
どうやら音の発生源がルイズの部屋だということには気付いていないらしい。

「もう!わかったわよ!別の制服に着替えるから手伝いなさい!」
「着替えだァ!?そんなんまでやんなきゃなんねーのかよ!?」
「使い魔なんだから当たり前でしょう!それとキュルケ!
そういうことだからさっさと出て行ってくれる!?」
「もう……仕方ないわね…」【バタンッ】

「あの女、お前の友達か?」
「友達!?そんなわけないでしょう!キュルケの実家ツェルプストーは
私の実家ヴァリエールと先祖代々いがみ合ってきた宿敵よ!!」
「なるほどな…」
「そんなことよりさっさと着替えるの手伝いなさい!
朝食に遅れたらご飯抜きにするわよ!」
「わかったわかった…たくっ、朝っぱらから元気の良いこった」

その後、音石は初めて女物の服を着せることに手間取ったものの
割とうまい事いった為、ルイズから軽く評価された。


「意外ね、なかなか上出来じゃない」
「初めてにしてわな…」
「せっかく褒めているんだからありがたく思いなさい、
さっ、行くわよ」

ルイズと音石が部屋から出ると
そんな二人に続くように隣の部屋から
先程のキュルケが出てきた。

(部屋が隣とは…、そりゃ余計いがみ合うわな…)

「改めておはようルイズ」
「おはようキュルケ」
「そしておはようルイズの使い魔さん、よろしければお名前聞かせてもらえるかしら?」
「音石明だ」
「オトイシアキラ?変わった名前ね」
「昨日もあの教師に同じこと言われたぜ、まあ当然かもしれねーがよ」
「なにが当然なのよ」

ルイズが横から割って入った。

「コッチの話だ、気にすんな」
「ねえミスタ・オトイシ、あなたが持っているソレ
初めて見るけどさっきの音はそこから出したの?」
「ん?ああ、ギターって言ってオレのいた故郷にある楽器の一種だ」
「へぇ~、さっきの音…変わってるけどなかなかイカしてたわよ」
「そいつぁうれしいな、今度また一曲弾いてやろうか?」
「あら、なかなか魅力的なお誘いね♪」
「ちょっとキュルケ!人の使い魔に色目使ってんじゃないわよ!」
「そんなんじゃないわよヴァリエール、ちょっとあなたの使い魔が気になっただけよ」
「はん!どうだか…」

そう言うとルイズがプイッとそっぽを向いた。

「でも使い魔にするならこういうのが魅力的よね~、フレイム~!」

キュルケが勝ち誇った余裕そうな顔で叫ぶと後ろから
大きな赤い獣が現れた。トカゲのような姿でその尻尾には炎が灯っていた。

「うわっ、すげェな」

音石は目を見開きながらそう言った。
そばに寄り手を差し伸べると案外簡単に
頭を撫でることができた。

「ほ~れ、よしよし」
『きゅるきゅる~♪』
「あら、フレイムがこうも簡単に甘えるなんて…、あなたフレイムが平気なの?」
「日頃似たようなモンを見慣れてるからな…」
「?」
「ちょっと!キュルケの使い魔なんかほっといて
さっさと食堂に行くわよ!!」
「あ~、はいはい…んじゃあそういう事だから行くわ…」
「ええ、ミスタ・オトイシ、また教室で会いましょう」

その場を後にし音石はルイズを追う
音石が「あいつは食堂には行かねーのかよ?」と聞くと
ルイズが「どうせまたどっか男の部屋に行って一緒に行くんでしょ!」と怒鳴った。
どうやら二人の実家のいがみ合いというのは色々あるらしい…

そんなわけで現在音石は学院の食堂にお邪魔していた。
食事や飾りつけ、なにからなにまで贅沢極まりなかった。
出された食事はなかなか美味そうだったがそれでも
杜王町で仗助たちを調べる際に知ったあの
トニオとか言うスタンド使いが経営する
イタリア料理店「トラサルデイー」には遠く及ばないだろう。
音石も客に成りすまし、試しに行ってみたがまさにあそこの料理は完璧だった。

すると音石の腹から雷鳴が轟いた。
当然だろう、彼は昼ごろに出所しルイズに召喚されそれまで一口も
食べ物を口にしていないのだ。それどころかこの三年間
彼は刑務所で腹が満たされもなければ飢えされもしないような
規律正しい適度な量の食事しか口にしていない。
食堂に出された豪勢な食事はそんな彼の空腹感をよりいっそう強くしていた。

「この食堂は本来、貴族専用なんだけど平民の…それも使い魔のあんたは
外で食べるのが鉄則なんだけど私の温情ある計らいで特別にここでの食事を
許可してあげる」

ルイズが得意げな顔で無い胸を張って言い張る。
こればかりは音石もありがたいと思った、
正直腹がすいて仕方が無い、ルイズの指示で椅子を引き座るのを確認すると
その隣の席に座ろうと椅子を引いた、しかし……

「ちょっとアンタ!平民如きが貴族と一緒の席に座ろうなんて無礼よ!」
「…ああン?」

突然、向かいの席に座っていた女子生徒が音石に怒鳴りかけてきた!
よく見ると周りの連中も自分の事を害虫を見るような目で見ていることに気付いた。
音石は嫌な予感がしながらルイズを見る。

「ご主人様に恥をかかすんじゃないわよ!アンタは床!
そんな事もわからないの!?」

そっと音石はルイズの足元の床を見てみると…見事嫌な予感が的中した。

「…おいおい、マジかよ…」

そこにあったのは食事というにはあまりにも
みずぼらしいスープとかっさかさのパンだった。
こればかりはさすがに音石も唖然した。

(……これだったらまだ刑務所のほうがマシだぞオイ)

そう思いながら音石はスープとパンが乗った皿を
手に取り、移動を始めた。

「ちょっと!どこ行くのよ!!」
「外で食ってくる…、こんな豪勢な食事の前で
こんなもん食ったら別の意味で体に毒だわ……」
「たく、仕方ないわね…、すぐに戻ってきなさいよ!」

はいはいと言う様に背を向け片手を振りながら、
貧しい食事を手に音石は食堂を去っていった。

濁ったスープとパンを嫌々に口にした後、貴族どもの食事を
『レッド・ホット・チリ・ペッパー』でこっそり
いただいとけば良かったと気付いたのは
それまた別の話である…

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