ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

D0C-06

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匿名ユーザー

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アルヴィーズ大食堂



「アンタ何してんの?」
「何と言われてもな・・・デザート配ってる」
自分の使い魔であるファニー・Vを外に待たして、昼食を済ませ、
デザートを心待ちにしていたルイズは他のメイドに混じってデザートを配っていたファニーを見て
軽く混乱していた

「質問を変えるわ、なんでデザートを配ってるの?」
「ああ、個人的な理由だここの使用人たちにちょっと世話になってな、
その恩返しだ、と言っても君に迷惑はかけないから安心してくれ」
そう言って大統領はルイズのテーブルにデザートを置いて踵をかえして行ってしまった
何かを言う前に立ち去った大統領にルイズは不満げだがデザートを食べていくうちに機嫌は戻っていく

(やれやれ、食事を奢ってもらったなんて言ったらお目玉くらいそうだし、逃げるに限る)
大統領がルイズの席から離れた場所でデザートを配っていると・・・
(ん?)
コロコロ・・・
席に着いている金髪の少年のポケットから小さな瓶が転げ落ちた
大統領はそれを拾って無言で少年のテーブルに置き、再びデザートを配り始める
途中後ろが騒がしくなるが、大統領は気にせず続ける、すると
「待ちたまえ!そこの平民!」
大統領はその声に振り向くと髪と服がびしょ濡れ、片方の頬が赤く腫れている金髪の少年がいた
先ほど落とした小瓶の持ち主だろう、
(いったいこの数十秒の間にあの少年に何が起きた?)

大統領は少し気になり話を聞くとどうもあの小瓶は彼の二股の証拠らしく、
二股がばれた彼に、二股をかけられていたモンモランシーという女性がワインを頭から彼にかけ、
もう一人ケティという一年生が彼の頬に強烈なビンタを食らわせたそうだ
「そうか、で?君の二股と俺に何の関係がある?」
「良いか、よく聞きたまえ、君が不用意に香水の瓶を拾わなければ
あの二人の名誉に傷はつかなかったんだ」
「理解できないなお前の言ってる言葉の意味は」
大統領は「お前頭脳が間抜けか?」という表情で少年をみる、
その表情が少年の神経を逆撫でるが、少年はしょうがないという表情で
「・・・ああ、平民に貴族の礼儀を分かれというほうが無理があるな、
もういい、行きたまえ」
「お前の言う貴族の礼儀を世の中で実践してみろ、『ナプキンを取る前にテーブルから弾かれる』ぞ
そんなモノは薄汚く敗北していく者の礼儀だ、そんな礼儀を高尚なものの様に言うお前もまた同じだ」
「どうやら君は・・・貴族に対する礼儀を知らないようだな」
「さっき言ったことが理解できないのか?貴様の言う礼儀を理解したうえで侮蔑したんだ、私は」
その一言を最後に少年は決心したようにこちらを睨み付ける

「良いだろう・・・貴族の礼儀を侮辱するというのならその侮辱を撤回させないとね・・・
決闘だ!!」
最後の決闘という言葉に周りが騒ぎ出す、しかし大統領は意に介さない
「わかった・・・ここでやるのか?」
「ここは食堂だ、平民の下賎な血で汚したくはない、ヴェストリ広場で執り行おう」
「そうか、だがデザートを配り終えたらすこしだけ“用事”がある、30分程まってくれないか?」
「フンッ!先に待っている、逃げるなよ」
その言葉を最後に少年は食堂から去って行った、と同時に何時の間にかいたルイズが大統領に話しかける
「ギーシュに謝りなさい!今なら許してくれると思うから」

「・・・断る」
「あのね!平民は貴族には勝てないの!怪我するだけじゃすまないかもしれないのよ!」
そう言うルイズに言い返そうとする大統領の服の裾を掴む人がいた、シエスタだ
「ファニーさん・・・貴族の方を本気で怒らせてしまったら・・・殺されてしまいます」
声が少し震えていた、止めようと必死なのだろう
(やれやれ・・・私が負けることを二人は確信している、だが・・・『退く理由が無い』、
この世界のメイジの実力を計る良い機会だし、ルイズに力を示して信頼してもらう・・・一石二鳥だ)
「心配してくれる二人には悪いが・・・私は・・・ギーシュ、だったか?あいつとの決闘は止めない、
それじゃあ私はこれから決闘の前の用事があるので・・・先にヴェストリ広場で待っていてくれ」
「ちょっと!ああもう!肝心な時に主人の言うこと聞かないんだから!」


大統領はルイズの制止を聞かず、昨日自分が床で寝るときに被っていた毛布を取りに行った
(まあ、これでいいだろう、広場には“挟むもの”があまり無いからな、
しかしあのギーシュとかいう奴に用事と嘘をついたが、
あいつなら決闘の準備と言っても油断してOKしてくれたかもな・・・)
まあいいか・・・と呟きながら大統領は次の準備にとりかかる為、
ルイズの部屋の入り口のドアと壁の間に“挟まった”

三十分後ヴェストリ広場

「諸君!決闘だ!!」
ギーシュの掛け声と共に周りから歓声が上がる
(やれやれ・・・こんなに集まるとはな・・・ここにいる生徒の連中は皆暇なのか?)
周りの野次馬を一瞥しながら大統領は広場の中央まで歩いていく

途中、ルイズとキュルケ、そしてみなれない青い髪の少女と出会った、
「来たわね、もう一度言うわ、ギーシュに謝りなさい、その・・・私も一緒に謝るから」
最後の一言に大統領は少しだけ驚く
(ふむ・・・どうやら案外私が思っているより信頼されているのかもしれないな、
あの意地っ張りな彼女がここまで言うとは、だが・・・)

「なら私ももう一度だけ言わせてもらう、私は決闘を止めるつもりは無い、
そして・・・負けるつもりも無い・・・勝算はある、」
「アンタねえ、ギーシュはドットだけどそれでも平民の何倍も強いのよ!
アンタの言う勝算なんて・・・「青銅のギーシュ、土のドット、人間程の大きさのゴーレムを7体まで出せる
、他に石礫などの魔法も」
大統領がギーシュの実力を的確に言った事にルイズは驚き、
キュルケはヒュウッと口を鳴らし、青い髪の少女は少しだけ目を光らす

「アンタどうしてそれを」
「敵の情報を知れるかどうかで勝率は大きく違うものだ、
そして、先ほど言った程度の相手に勝つ算段なら私には幾らでもある。それじゃあ言ってくる」

それでも尚、大統領を止めようとするルイズをキュルケが止める
「ちょっと!離しなさいよキュルケ!」
「いいじゃない、本当にまずくなったら貴方が止めれば良いし、勝つ算段があるって言うなら任せてみたら?」
「でも・・・」
「貴方は自分の使い魔が信じられないのかしら?」
その一言にルイズは口を紡ぐ
「タバサ、貴方はどう思う?あの使い魔、ギーシュに勝てそう?」
タバサと呼ばれた青い髪の少女は本を読みながらその問いに答える

「・・・少なくともただの無鉄砲ではありえない、情報を知っていることで勝利に大きく関わるのは当然、
知ると知っていないとでは大違い、ただ彼の言う勝つ算段というのが不明、
でもギーシュの情報を正確に知っている以上は何かしら効果的であるはず」

「つまり・・・」
「わからない」
そういうとタバサは本から大統領へ目を移す、
(・・・彼から足音が聞こえなかった・・・)
それだけ考えるとまた本の続きを読み始める

広場の中央で大統領とギーシュが対峙する
「逃げずに来た事は褒めてやろうじゃないか」
「・・・決闘の決着はどう決めるんだ?」
「本来決闘はどちらかが死ぬまで終わらないが・・・それじゃあ平民の君が可哀想だ、
特別にどちらかが参ったと言ったらそこで終わりにするルールにしてやろう」
「そうか・・・」
「ああー先に言っておくが僕は貴族だ、だから魔法を使う、よもや文句は無いだろうね」

「逆に聞くが魔法を使わずにどうやってお前が私に勝てるんだ?」

その一言にギーシュの心はイラつく
「・・・もし僕が攻撃する前に参ったと言っても許してやるつもりだったが、
気が変わった、君は少々痛い目を知るべきだ!」
ギーシュが手に持っていた薔薇の造花を振ると甲冑を着た女戦士を模った人形が現れた
「ちなみに・・・僕の二つ名は『青銅』、青銅のギーシュだ、
したがって僕の青銅のゴーレムである『ワルキューレ』がお相手するよ」
そう言いながらギーシュは握っていた薔薇の造花を大統領へ向ける
しかし大統領はワルキューレを見ても驚いていない、
それどころか少し呆れた様子ででギーシュを見ている

その大統領の態度に更にギーシュはイラつく
「行け!ワルキューレ!あの生意気な平民を仕留めろ!!」
ワルキューレが猛然と大統領に向かって突進する、大統領との距離が近くなるが大統領は逃げない
そしてワルキューレの拳が大統領に向かって突き出された瞬間、
大統領は“消えた”、正確には大統領がいた場所に一枚の毛布が落ちていた



(とりあえず・・・ここまでは予定通りだな・・・、後は私の作戦が上手く行くかどうか)
大統領は既にギーシュの情報を手に入れていた・・・わざと決闘を三十分遅らせたのは、
平行世界の決闘を先に見るためだった、恐らくはギーシュとの決闘という
シナリオはここハルケギニアの“基本”の方の世界でも行われているだろうという考えがあったが
それが当たっていた、平行世界でのギーシュとの決闘をみてギーシュの戦力を知る事に成功した、
ギーシュが出せるゴーレムの数は7体までという事、他にも石礫という大量の石を相手にぶつける魔法もあるという事
(正直、殺すだけならこれからするような策は使わなくていい、
だがこれだけの大群衆の中でD4Cの能力をフルに使うと少々面倒なことになるだろうな)
「どこだ?・・・あいつは・・・あの平民はどこに“消えた”!!」
ギーシュは混乱していた、ワルキューレでボコボコにしようと思っていた相手がいきなり消えたのだ
(どこにいるんだ?どうやって一瞬で消えた?消えたと同時に現れた毛布、あの毛布が何かあるのか?)
ギーシュはワルキューレを使って毛布を調べる、“何も無い”・・・毛布を地面に捨て、周りを見ながら大統領を探す
「どこだ!!どこに隠れている出て来い!!この青銅のギーシュに恐れをなしたか!!」
大声を上げて挑発するが大統領が出てくる気配は無い、
言葉とは裏腹にギーシュの心にはどこかこの状況に対して不気味さを感じていた、


やがて、フワリ・・・と毛布がワルキューレとギーシュの間に移動する、


風でも吹いたのだろうとギーシュは無視しようとしたが・・・
(突風でもないのに人が被れるくらいの大きさの毛布が移動するか?)
という疑問が吹き出てもう一度毛布を注視すると、

“毛布の下から大統領が現れた”!!

(ば、馬鹿な!?その毛布はワルキューレで調べていたのに!)
大統領は驚いているギーシュに向かって走りながら向かってくる

(ワ、ワルキューレを!いや間に合わない!なら!)
「石礫だァーーー!!」
ギーシュは薔薇の造花を振り大量の石礫を飛ばす、
ゴーレムに比べてこちらの方が短時間で発動できるからだ、
しかし大統領は向かってくる石礫に恐れず、ニヤリと笑っていた


(計画通り!!)


大統領は持っていた毛布をD4Cを使い二つに引き裂く、そして飛んできた石礫を引き裂いた毛布で

上と下から“挟み込んだ”!!

「ドジャアア~~ン、石礫は“消させてもらったぞ”」
「は!?」
ギーシュは自分の起死回生の石礫を防がれたせいで完全にパニックに陥った、
この時点で完全に大統領に二手上回れてしまったのだ

(駄目だ!もう魔法の発動は間に合わない、どうなるんだ僕は?あの石礫のように消されるのか!?)

大統領はD4Cを自分の腕に重ねて振る、振るわれたその腕を見てギーシュは目を瞑る・・・
しかし自分の体に攻撃は来ず・・・ただ一言耳にした

「まだやるか?」

その声に目を開けると、自分の薔薇の造花が握った先から無くなっていた、
その先は地面に落ちていた、杖を折られたのだ。

「僕の・・・負けだ」
ギーシュの降参を聞いた周囲から驚きの声が上がる、“平民が貴族に勝った”と・・・
大統領はその声を聞いて満足したのかギーシュに背を向けて去る

(ギーシュを殺さずに済んで“良かった”ウェカピポの二の舞は御免なんでね)

大統領の元部下であり、裏切り者であるウェカピポ、
彼は自分の妹が婚約者に暴力を振るわれているのを知り、その婚約を解消すべく決闘するが
相手の父親の地位が余りにも高いため、勝っても負けても、全てを失うという形になっていた
ウェカピポ本人は話そうとしないが、大統領は雇う段階で既にウェカピポの素性を調べていた

(それに・・・私は私を“捨てられなくなっている”、
これからもこういう方法は必要になってくるだろう)

大統領はこの世界に来てからD4Cの能力の最大の特徴である、“自分を捨てる”
つまり、即死でなければ並行世界に行き生き返れるという方法が使えなくなっている事に気がついた
このハルケギニアでの大統領の世界は“基本”でないため、ほかの平行世界に大統領は居ないのである
このため大統領は即死以外でも死んでしまう可能性がでてきた。

(元の世界よりナプキンを取る事が難しくなったな、
しかし頭部以外の遺体が体に入っている以上、常に後一歩の位置ではあるが・・・)

口に手を当てながら考えていた大統領にルイズが近づき声を掛ける

「待ちなさいファニー!今の決闘、自分の姿や石礫をどうやって消したの!」
「ルイズか・・・今のは私の“得意技”だ、手品の様な物だよ」

それだけ言うと大統領は千切れた二つの毛布を持って、学院へ向かっていった。


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