ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

D0C-05

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トリスティン魔法学院のアルヴィーズ大食堂にて

「・・・大した造りだな、」
「貴族は礼儀やマナーも守って当たり前、礼儀作法もここで学ぶものだから造りもそれ相応になってるの」
ふむ・・・と大統領は呟きテーブルを見ると豪華なフルコースが並んでいた
(アレが朝の分か・・・恐らく大半は残すだろうな、私の世界の貴族社会でも無駄が美徳らしいしな)
「何ぼさっとしてるの!椅子引いて」
「ああすまない考え事をしていた」
慌ててルイズの席の椅子を引く
「全く・・・」
ここで大統領はある事に気づく
「ところでルイズ俺の席はどこだ?」
ルイズは「そこ」と言いながらで床を指差す
「そこ」には味の薄そうなスープと食パンでいう全体が耳の部分のパンがふた切れ
「まさかとは思うがこれが俺の食事か?」
「あのね、使い魔は本来外、アタシの特別な計らいで床」
(そうか・・・『これ』でも譲歩した方なのか・・・)
大統領は身に沁みて貴族社会を覆した革命家達の偉業を理解した、
(頭ではなく『心』で理解できた)
『心』で理解した大統領はスープ、パンが入った皿を持って食堂の外に出ようとする
「ちょっと!どこ行くのよ!」
「これではまるで見世物だ、他の使い魔と同じように外で食べてくる」
「・・・フンッ!勝手にしなさい、あっ 食事が終わったら
私の部屋のカゴに洗濯物があるから洗濯しときなさいよ!
で、終わったら東の塔の教室で授業があるから迎えに来ておきなさい!」
大統領は後ろに向かって手を振りながら食堂を後にした

「パンの方はともかくスープの方は中々行けるな・・・物足りなくはあるが」
フウッと一息つくと大統領は立ち上がり、食べ終えた食器を調理場に持って行き、
ルイズの部屋から洗濯物を持って外へ出るが
「そう言えば洗濯場所を聞いてなかったな・・・」
誰かに聞くか・・・と言っても人が見当たらない、
洗濯場所を探そうと適当に歩いてみる

途中、洗濯カゴを持ったメイドと曲がり角でぶつかってしまう
「おっと、すまない余所見をしていた」
「いいえこちらこそ、ところで貴方は・・・」
「ああ、私はルイズの使い魔の・・・」
「あ、ミス・ヴァリエールの使い魔さんですか」
「・・・有名なのか?」
「ええ、平民を使い魔にしたって」
(やはり平民を使い魔にするのは特殊なことらしいな)そうか・・・君の名前は?」
「私シエスタって言います貴方のお名前は」
「ファニー・V(ヴァレンタイン)だ」
「素敵なお名前ですね」
「ありがとう、ところでシエスタ、洗濯物持ってるようだがここの洗濯できる場所はどこなんだ?」
「どうしてですか?」
「ご主人様に洗濯を命じられてね・・・」
「私がコレといっしょにやっときましょうか?」
コレ、シエスタが持っていた洗濯物だろう
「いや、遠慮するよ、私の仕事だし何より君に任せたってばれたら怒られそうだ」
「そうですか、じゃあ付いて来てください案内しますよ」
ニッコリ笑いながらそう言う彼女に付いて行く大統領
(なかなか優しい娘じゃないか、貴族連中の第一印象は軒並み最悪だったからな)
そう思いながら洗濯場所に着く。


「洗濯お上手ですね」
「一応軍隊に居たからな身の回りの事は自分でしなきゃならなかった」
「兵隊さんだったんですか・・・あ!でもそっちの服はシルクなのでそんなに強く擦っちゃ駄目ですよ」
シエスタから多少教わりながら洗濯を完了させる
「とりあえず終わったな、さてこれからルイズの所へ戻らなきゃな」
「お急ぎなんですか」
「教室で授業があるから終わったら迎えに来ておけとさ」


シエスタから東の塔の教室の場所を教えてもらい向かう途中妙な会話を聞いた
「さすがゼロのルイズだよ、あれだけ教室滅茶苦茶にするなんてよ」
「シュルヴルーズ完全に伸びてたぜ、まあそのおかげで
授業チャラになったからある意味ゼロのルイズ様々だな」
(・・・凄く・・・いやな予感がする)

教室に入ると荒れ果てた教室にぽつん、とルイズが立っていた
「あー・・・あえて聞こうコレはどういう状況だ?」
「・・・失敗したのよ錬金の魔法を、それでこの教室を片付けておきなさいって」
「あまり深く聞かない方がいいだろうがその・・・失敗してこうなったのか?」
「そうよ、魔法を使おうとすると爆発するの、アンタ聞いたわよね、
二つ名について、アタシの二つ名はゼロ、使える魔法ゼロ、魔法成功率ゼロ、
それでゼロのルイズ、そう呼ばれてるの」
「分かった、じゃあ・・・とりあえずこの教室を掃除しようか、さっさと終わらせよう」
大統領は散らばった机や椅子を元の場所に直し始める
その様子を見たルイズは拳を震わせながらぽつりと呟く
「なんで何も言わないのよ?」
「何か言って欲しいのか?」
その言葉を聞いた瞬間ルイズは声を上げた
「どんな簡単な魔法も使えないゼロだって皆から言われてきたわ!!
どんなに努力しても駄目だった!!詠唱が完璧でも!杖の振り方が完璧でも!
先生だって実家のメイド達だって学院の使用人達もアタシをバカにしてる!!
アンタだって内心じゃアタシの事をゼロだってバカにしてるんでしょ!!」

ルイズの叫びを聞いた大統領はルイズの方へ近づき、しゃがみ込んでルイズと目線の高さを同じくする
しばらく見詰め合うと大統領は口を開いた
「ルイズ・・・私は昨日今日君と会ったばかりだ、
君がどれだけ努力してるか、君がどれだけ悔しいかなんて分からない、
もしかしたら君は今後一生魔法が使えないのかもしれない、」
最後の一言にルイズは「やっぱり!」と言おうとするが大統領の声がそれを遮る

「だが、!いやだからこそもっと高い視点で物事を見るんだ!
今居る場所より更に高い場所からだ!魔法だけ見るんではない、
あらゆる物事を観る事が重要なんだ!でなければ!
いつか君は目先の事に囚われ最大の場所で最悪の失敗を犯すことになる!!」
ルイズは大統領の気迫に完全に飲まれていた、しかし徐々にルイズを飲み込んでいる
気迫も優しいものに変わっていく、
そしてその優しい雰囲気を纏わせながら「それに・・・」と大統領は付け加える
「君は私を召喚した、その時点で既に君がゼロだという前提はもう存在しない」
大統領の言葉を一つずつ噛み締めながらルイズは冷静になっていく、
先ほどの叫びを上げた時ほどの激情はもう瞳に宿っていなかった。
「・・・平民のアンタなんか呼び出したって失敗と変わりないわよ、
『メイジを見るなら使い魔を見ろ』って言葉があるんだから」
「そうか・・・だが、少なくとも私は君が私をここへ呼び出した事には意味があるんだと思う」
その一言を最後に大統領は掃除の続きにとりかかった
大統領の後姿を見ながらルイズは呟く
「・・・高い視点から観る・・・ね」
「・・・?何か言ったか?」
「う、うるさいわね!そう言えばアンタさっきアタシが一生魔法使えないかもとか言ったわね!」
「いや、それは例え話で」
「お黙り!罰としてファニー!アンタ昼御飯抜き!」
「ただでさえ朝があれだけだったのに昼抜きはキツイな」
「うるさい!今は教室掃除しなきゃならないのよ!キビキビ動く!」

(やれやれだ、まあ私の名前を呼んでくれたということは
それなりに信頼してくれたということ、後は・・・言葉だけじゃない実際に私自身の動きを見せねば
更なる信頼は難しいだろう・・・。私を呼び出した彼女自身の力もそうだが、
この世界と私を繋ぎ止めている者はルイズに他ならない。
彼女から信頼される事が今一番必要な事なのだ)

そして昼食が始まる少し前に掃除が終わり、食堂へルイズと一緒に向かうが
当然の如く大統領は外で待たされた。

「餓えは・・・慣れるものじゃないな」
壁に背を預け、空を見る、竜のような生物が空を飛んでいるのを見ながら大統領は餓えを紛らわせる、
そうしていると、横から声が掛かる、
「あれ?ファニーさんじゃないですか?」
「シエスタか」
「こんな所でどうしたんですか?」
「いや、ちょっとルイズに昼食抜きにされてな」
「え、どうして・・・」
「気に障る事言ってしまったらしい」
「そんな・・・あ、だったら内緒で食べませんか?調理場の賄い余ってると思うので」
「本当か」
「ええ、付いて来てください」
「助かる」

調理場のテーブルで賄いのシチューを貰う、朝食べた物より量があるのもそうだが味も美味い
「おかわりあるんで遠慮しないでくださいね」
「ありがとう、ところでどうしてここまで親切にしてくれるんだ?」
「それは、同じ平民だからです」
「同じ平民だから?」
「ハイ、貴族様と違って平民は非力ですから一致団結しないと!」
「そうか・・・一致団結ね、それなら私も恩を返さないとな、何か手伝えることあるかい?」

「それならデザート配るの手伝ってください」


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