ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

一章十四節~使い魔は上を向いて立ち上がる~(前編)

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
 宝物庫を出たルイズたちは、いったんそれぞれの部屋に戻って簡単に身支度を済ませ、運ばれてきた食事をとった。そしてすぐに学院を発った。無論、徒歩ではなく馬車である。手綱は、フーケの小屋を知るロングビルが握った。
 馬車と聞いて、リキエルは童話の挿絵などにあるような立派なものを想像していたが、実際に馬車回しに出ていたのは、見た目に粗末な一頭立ての四輪だった。屋根も幌も、ろくに座れる席すらもないような代物で、いっそ馬に荷車を引かせたようだった。
 しかも『固定化』をかけられずに長く放置してあったとかで、あちこちが傷んでいる。縁の部分などは背をもたせかけるとびっくりするくらい軋むし、乗る前にちらと目をやった心木は、わずかに歪んでいるように見えた。屋根がないのは、突然の襲撃を考えて見渡しがきくようにとのことだが、どうも別の不安を煽られる。
 そんな馬車の上で、めいめいは好き勝手にしている。憮然としたリキエルの隣では、張り詰めたものを吐き出すようにルイズが深呼吸しているし、その向かいでは、キュルケが部屋でし切らなかったらしい化粧を直している。タバサはここでも本の虫だった。それぞれの、この任務への意気込みがうかがえる絵である。
「そういえば」
 浅い森を三つ抜けたあたりで、ようやく化粧に満足のいったキュルケが、手鏡をしまいながら言った。
「どうして、ミス・ロングビルが手綱を握ってるんですの? 道案内はわかるけど、手綱は付き人にでもやらせればいいんじゃ?」
「いえ、いいのです」
 くるりと首を回して、ロングビルは答えた。
「わたくし、貴族の名はむかしになくしましたから」
「え、でも貴女、オールド・オスマンの秘書なのでしょ?」
「あの方は、身分や生国にはあまりこだわりませんから。性差は別ですが」
 この会話を聞きながら、リキエルはなるほどと思っていた。メイジ嫌いで通っているマルトー親父が、厨房にロングビルを出入りさせている理由が、いまの話でだいたいわかった。権威をかさに着て横柄な態度をとる貴族は断然気にくわないが、魔法が使えるだけの有能秘書ならば一考の余地はあるというわけだ。もちろん、彼女が美人であることも理由のひとつに決まっている。
 もうひとつ合点のいったことがあった。ロングビルの態度のことである。リキエルは何度か彼女と話をした中で、その言葉遣いやちょっとした所作にどこか違和を感じることがあったが、これも貴族でなくなったという話と絡めれば、そう難しく考えることもなさそうだった。大部分は平民の生活に馴染んでいても、わずかに貴族時代の習慣が残っていたりもし、見え隠れする。それが違和感に繋がっているといったところだろう。
「そのむかしのこと、もう少しお聞かせ願えません?」
 興味を誘われたキュルケが、心持ちロングビルのほうに体を傾けた。
「いえ、聞かせるほどのことは……そう面白くもない話です」
「それは聞いてみないことにはわかりませんわ」
「はあ」
 曖昧に笑って、ロングビルはすっと顔を前に戻した。それきり黙ったのは、これ以上話すつもりがないということだった。一種のかたくなさを持った、明らかな拒絶である。
 キュルケは腕組みして薄く笑い、身を乗り出して、ロングビルの肩に手を伸ばした。素知らぬふりして、だんまりを黙許と取ることにしたのである。みすみす流させやしないわと思っていた。
 それに、案に反して踏み込んでこられれば、普段は物静かなロングビルも驚いて、面白い顔を見せてくれるかも知れなかった。それはもう趣旨が違ってしまっているが、要するにキュルケは、暇潰しが出来ればなんでもいいのである。
 ロングビルの大人しくも乾いた感じのもの言いが、キュルケのどこかに火をつけていた。その火の燃えるまま手は伸びる。
「よしなさいよ」
 キュルケの腕を、ルイズが横合いから掴んで止めた。
「言いたくないことを無理に言わせるなんて、トリステインでは恥ずべきおこないとされるのよ」
「別にそんなつもりはないわ。ちょっとしたおしゃべりよ」
「根掘り葉掘り聞き出そうとしてるじゃない、この手は誰のよ。それとも、あんたのお国じゃ軽いおしゃべりなんかで、重大な秘事とかも明かさなくちゃならないの? そんなら失礼な態度にも納得がいくんだけど」
「その疑問にはお答えできかねますわね。あたし、あんたとおしゃべりする気はないんだもの。これっぽっちもないのよ。ゼロなの、ゼロ。ゼロゼロゼロ」
「黙りなさいよ!」
 叫んでルイズは立ち上がった。とそのとき、ちょうど石にでも乗り上げたか、ボロ馬車がごてっと揺れた。ルイズは簡単に平衡を失い、あるまじき悲鳴をあげて背中から道に落ちそうになる。泡を食ったリキエルが、咄嗟にマントの裾を掴んで支えた。
 震えの混じった息を整えてから、ルイズは邪険と言えるほど乱暴な仕草で、リキエルの手からマントを引き外した。それからあらためてキュルケを睨み、唸る。キュルケはそんなルイズを眺めて、嫌みたらしく鼻を鳴らした。
「なによ、キュルケ。言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」
「ゼロゼロゼロ――」
「黙りなさいってば!」
「あんたがゼロのくせしてカッコつけたおかげで、こっちはとんだとばっちりってことよ。泥棒退治なんて、面倒くさいったらないわ」
 今度はルイズのほうが、ふんと鼻を鳴らした。こちらは単に、憤って荒くなった鼻息が、意図せず漏れただけのようにも見えた。
「言いがかりはよしてよね。あんたが自分で志願したんじゃないの」
「あんただけじゃ、リキエルが危険だもの」
「なんでよ」
「その板切れに手を当ててみなさいな」
 キュルケが揶揄して言った。
「泥棒相手に、いったいあんたは何ができるの? 魔法なんて言わないでね。あたしは、死ぬときも五体満足で美しくありたいの」
 どういう意味よと、ルイズはまた叫ぼうとしたが、喉まで出かかっている声は、しかしそこまでで止まってしまった。一度は開いた口も、勝手に唇を噛む形に歪んでいく。言い返してやると力めば力むほど、いっそう強く歯は食い込んだ。眉をしかめて目を精一杯にすがめて、睨みを深くすることしかできなかった。
 キュルケのほうも、張り合うようにより険しい顔になって、ルイズを見た。
「……なぁ、もういいんじゃあないか? もう喧嘩はよォ。もうそこらへんでよォ」
 リキエルが遠慮がちに口を挟んだ。はじめは、飽きずによくやるくらいに思って黙って見ていたが、本格的に溝が深まりそうな気配に、ついに見かねたのだ。
 二人の仲がよろしくないのはもう仕方のないところまで行ってしまっているらしいが、いまは状況が状況である。一応は、一致力を合わせようという場面だ。荒事に馴染みのない一般人にも、それくらいはわかる。ただでさえ昨日の決闘のこともあるのだ。これから危ない目にあうかもしれないときに、さらに余計な軋轢など欲しくない。
 とりなしが功を奏したか、ルイズもキュルケも、しぶしぶといった感じではあるものの、互いに相手から視線をそらした。
「ま、ダーリンが言うのならね」
「…………」
 しなを作ってくるキュルケとは対照的に、ルイズはリキエルと顔を合わせようともしなかった。馬車の進む方向に首を向けて、かたくななほど動かない。ほとんど無視する形である。
 ルイズのこの態度は、実は昨夜から続くものだった。もっと言えば、土ゴーレムに踏み潰される寸前で、タバサのドラゴンに拾われてからずっとである。今朝起きたときの挨拶をほかにすれば、食事をするときも、宝物庫から部屋に戻ってまた外に出るときも、ルイズはリキエルと一切口をきこうとしなかった。
 だが見ていれば、ほかの人間とは普通に話をしている。そうなると原因はオレにあるんだなと、リキエルにもあたりはついてくる。そしてたぶん、その原因と言うのは、あのときゴーレムの足元で交わしたやり取りなのだ。むしろそれ以外となると、ちょっと思いつかない。
 しかも昨夜寝る前には、ひどく屈託ありげな顔をしたルイズを見ている。怒っているふうではなかった。焦れているような悲しんでいるような、そんな顔である。ルイズ自身置きどころに困る、複雑なものがある感じだった。これまでにそんなルイズを見たことはない。やはりタイミング的には、あのやり取り以外に無い。
 リキエルは、いつまでも没交渉というのはいただけないし、そのあたりから問いただしてみようかと思った。悩みがあるのなら、まさか自分に解決はできないだろうが、話くらいは聞くべきだろうと思ったりもした。が、いまのところ不通のままである。
 これはリキエルのほうにも問題があった。たとえば、リキエルが間を見計らって話を切り出そうとすると、ルイズは慌てたようにそっぽを向いたり、下手なくしゃみや咳の真似をしたりして、あからさまに牽制してくる。するとリキエルは、そこで無理くりにというふうにも出来ず、口をつぐんでしまうといった具合だ。まずきっかけを作れないのである。
 なんでオレと口をきかないんだ、とさっと言うだけでも十分なはずなのに、それも出来ないのは、ルイズの気持ちを慮っているわけではなく、単に意気地に欠けているのだった。口をきかないことで文句を言えるほど、オレとルイズは親密な関係じゃあない、という考えが先に立つのである。
 切り出せない理由は、もう一つあった。自分の思っていることはまったくの的外れで、ルイズが口をきかないのには、もっと別の原因があるのかもしれないという疑いが胸をかすめるのである。
 こいつはあまり悩まないたちだろうというのが、リキエルのルイズに対する見方である。単純と言いたいのではない。つらい境遇で生きてきて、といって自分のように悲観することもなく、諦観めいた考えに足を引きずるでもなく、希望を持っていられる。悩んで足を止めるより、ひたむきに歩いていこうとする。そういった意味で、むしろ尊敬するところなのだ。そういうルイズが、鬱屈したものを抱えて懊悩しきっている姿は、リキエルにはどうも想像がつかなかった。
 あるいは、昨夜の様子こそその姿であるのかも知れなかったが、それじゃあ昨夜のやり取りの中で深く悩ませるようなことがあったかとなると、正味な話思い当たる節はない。逃げろ、逃げないの押し問答が思い起こされるばかりだった。
 それもこれも、核心はやはりルイズに聞いてみるより無いらしかった。手詰まりである。
 リキエルは馬車の縁に背をもたせた。やはり相当に軋んだが、思い切って体重をかけてみると、存外に頑丈に出来ているのがわかった。それから、何気なく通ってきた道を見た。昨日、城下町に行くのに通った道もそうだったが、よくならされた道である。草がなく、砂利が端のほうに散っているのを見ると、よくひとが使うらしかった。そういえば二つ目の森を抜けたあたりで、遠目に農村らしきものを見た気もする。
 空を見上げた。雲はなく、今日もいい陽気だった。少し風が出ていたから、喉を通る空気は幾分乾いて感じられたが、それでも暖かなものである。州鳥か何か、猛禽らしい大きな鳥が空を切り取るように大きく円を描いている、と思う間に、兎でも見つけたのか、遠くの丘の向こうに落ちていった。
そのまた向こう、もっと遠くの山の上には、遠近が狂いそうになるほど巨大な入道雲が出ていて、見ていると圧倒される気分になった。
 ――あ、そうだ。
 はたと思いついた感があった。オレの思い過ごしってこともあるのか。そう深刻なものじゃあなく。
 そう考えるとルイズの挙動は、単にそういう気分なのかも知れないと、あまり気にならなくなるようだった。そう見えないだけで、実際は機嫌が悪いということはよくある。そちらのほうが自然とさえ思える。何か忘れている感じがしたが、それこそ思い過ごしというやつだろう。
 リキエルは思考をぱたりと折り畳んで、顔を正面に戻した。


 その考えは、不意に頭の中に入りこんできたようである。
 途中わずかな休憩をとったあとは、馬車は止まることなく進み、これから深い森に入ろうというところだった。奥に進むと開けた場所があり、そこにフーケの小屋はあるのだという。
 いよいよという場面に来た緊迫がそうさせるのか、はたまた実感が湧いていない証拠なのか、リキエルはいま、少し場違いなことを思っている。道中で考えていたことに通じる部分はあったが、こちらは割合、どうでもいいようなことだった。
 ――どうしてオレは、ルイズだけは逃がそうとか思ったんだっけ? ゴーレムの足の下で。……わからねえぜ、どうしてだろうな。
 あのときは意識を取り戻したあとも、半ば朦朧としていて、まともにものを考えられなかった。しばらくは夢見心地でいた。そんな気分に浸っているときに、必死な顔ですがりついてくるルイズが視界に入ったのである。そして同時に、ゴーレムが近づくのが見えた。そのとき、はっきりしない頭が急に冴えわたって、すぐに浮かんできた考えが、ルイズを逃がすというものだったのだ。自分でも驚くほど冷静で、割り切れていた。
 それが腑に落ちなかった。人間、ああいう場面ではもっと自分のことを考えるものだろう。ルイズが縄を外そうと躍起になっているのを見ても、もろとも踏み潰されるということには考え及ばずに、あるいは気づいたとしても、自分の命惜しさにさせるままにするところだ。
 基本的にルイズのことは憎からず思っているし、肩入れしているのは自覚するところだ。だがそうかといって、命を捨てるほどの義理を感じているかとなると、また話が違ってくる。
 そう思うとともに、リキエルはふと、自分が考えこむことはだいたいいつも同じようなことだなと思った。自分でやったことを、後になっていちいちぐちぐち考えて、オレはけっこう暇な頭してんじゃないのか? と思ったのである。
「どうかしましたか?」
 そのとき、ロングビルが声をかけてきた。
「は、あ? ……ん?」
 俯いていたので気づかなかったが、座り込んでいるのは自分ひとりで、ほかの四人はとっくに馬車を降りてしまっていた。慌てて馬車から飛び降りた。その踏み切りで馬車が大きく揺れ、馬が色めきたった。
「すいません、ぼうっとして」
「どこか具合でも?」
「いや、考えごとしてただけなんスよ」
 似たようなやりとりを、前にロングビルと交わした記憶がある。間抜けである。胃袋を楊枝でつつかれるようなばつの悪さを覚えて、リキエルはごまかすようにきょろきょろと周囲に目をやった。
 あたりは木々が根を絡ませんばかりに密集していて、それに押される形で、これから先の道もかなり狭くなっている。とても馬車では進めそうになかった。わざわざここで降りるわけである。
「では行きましょう」
 適当な木に馬を繋いでロングビルが言い、先頭に立って歩き出した。
 時折あらわれる、獣道ともつかない小道には入ることなく、一行はまっすぐに進んだ。風の音一つしない空間に、それぞれに違う土を踏む音が、規則的とも不規則的ともとれる間隔で満ちる。この中にもし盗賊の足音が混じっていたとしても、気付けはしないだろう。もっと別の何かがいても同じである。それは、ひどく不気味なことかも知れなかった。
 もうそろそろ、正午をまわった頃かと思われた。蓋をするように茂った葉の間から、わずかな日射しが縦に入りこんで、地面に無数の小さな点を作っている。外界と裏腹に、森の空気はやたらと湿っぽく、しかも冷えていた。ノースリーブにこれは少し寒いぜと、リキエルは腕をさすった。
 進めば進むほど道は狭くなり、やがて登りになった。さした勾配があるではなく、意識しなければ登りということもわからないほどである。だがその半端な負担が、かえって不快なようでもあった。
 周りには高木だけでなく、いったい何を栄養にするのか大量の灌木も見られるようになって、その枝葉が手足を引っ掻くのもうざったらしい。もうちょっとすれば、ここは虫たちの天国になるだろうなと、埒もない考えが泳いだ。
 なお歩いて行くと、道はまただんだんに広くなり、風を感じられるようになってきた。そして急に視界が開けた。森を抜けたのかと思えるほど広く、明るい空間に出ていた。
 空間はちょうど円の形になっており、中心に炭焼き小屋と、それに付随して小さな物置が建っている。小屋は屋根に一箇所、朽ちて落ちたらしい大きな穴が開いていて、壁にも無数の隙間が出来ている。物置は腐ってしまっているのが一目でわかった。ひとの生活する場が持つ、独特のにおいといったものが、微塵も感じられなかった。
「あの小屋ですわ」
 ロングビルが振り向いて、皆に言った。
「すぐに踏み込みますか」
「でも、ここからじゃ中の様子もわからないわよ。罠とか無いかしら」
 とキュルケが言った。それに応じたものか、タバサが五歩ばかり来た道を戻って、右手にある灌木の茂みに身を潜めた。つられるように全員が同じ繁みの中に入る。それを確認すると、タバサは落ちていた枝で地面に図を引き、おおよそ次のようなことを言った。
 まずひとり、囮の人間が探りを入れる。これは、足のあるリキエルに任せる。状況によって合図を送り、フーケをみつけた場合は誘いをかけ、外におびき出す。そこに、隠れた自分たちが四方から奇襲をかける。ゴーレムを出される前にそうするのが望ましい。不測の事態があり、散々な撤退を余儀なくされた時は、各自馬車のところまで戻ること。
 さすがは騎士とでも言うところなのか、指示するときのタバサは饒舌ながらその内容は端的で、言い終えたあとの動きも渋滞しなかった。茂みから飛び出したかと思うと、雑多な木立に猟犬のような敏捷な動きで分け入って、瞬く間にその姿を消す。小屋を挟んで、ちょうど正反対にある雑木林が、タバサの決めた彼女の持ち場だった。
 続いてルイズとロングビルが茂みを出、キュルケとリキエルが残った。
「じゃあダーリン、これを使ってね?」
 ぼけっと立ち尽くすリキエルに、そう言ってキュルケがすり寄った。差し出したのは例の剣である。
 リキエルは曖昧に答えて受け取った。ルイズのこともあり、微かに遠慮する気持ちが動いたが、丸腰でゴーレムの前に出ることを考えれば、言ってもいられなかった。
 茂みから出ると、リキエルはかがみ込むような姿勢で走り出した。同時に剣を抜く。左手のルーンが淡く輝き、なんとも言えない快さが全身に行き渡る。まずは軽く走るつもりが、全速とそう変わらない勢いが出て、気づけば、もう小屋の壁に張り付いていた。
 緊張で舌がからからに乾き、膝と指先が笑う。やることは中を覗くというただそれだけだが、所詮平々凡々にも満たない人間からすれば、これは一大事である。言ってみれば、銃を持った強盗の立てこもる家屋に警官隊が迫るのと、状況としてはあまり変わらない。ニュースやドラマ、映画の中でしか知らない世界だ。二十余年と生きて来たが、こんな場面に行き会ったことはもちろん無いし、そうなる妄想さえしたことはない。
 リキエルは腹に手を置いた。半ば無意識でそうした。気味が悪いほどの速さと不規則さでもって心臓が鳴っていて、下っ腹にまで響いている。鼻から息を吸い、食いしばった歯の間から一気に吐き出す。二度三度と続ける。十秒ほどかかって、ようやくいつも程度の息苦しさが戻ってくる。膝小僧はぴたりと黙って、拳を握りこむと肉が張って心地よい。動悸はまだ戻らないが、心の準備に何分もかけてはいられない。
 意を決して、リキエルは窓から中を覗き見た。
「…………」
 足の欠けた机。煩雑に置いてある椅子。扉の割れている食器棚。死んでいる暖炉。何より一年やそこらで溜まったとは思えない、見ているだけで喉を刺すような異常な埃っぽさ。やはり、ひとのいる感じは無かった。
 中はそこそこに広いが、そうやって覗けるだけで全部だった。見る限り誰もいないことになる。それでもリキエルは、拍子抜けするようなことは無かった。むしろ余計に緊張した。
 完全に打ち捨てられている空間に、ひとつだけ馴染みきっていない物がある。見た目に新しい、細長い木箱である。十中八九、『破壊の杖』だと思われた。少なくとも自分たち以外に、それも簡単に足の届く場所に誰かがいたのはそれで知れた。もしかすれば、まだ近くにいるのかもわからない。
 リキエルは少し小屋から離れると、腕全体で大きなバツを作った。その合図を見て四人が走り寄ってくる。
「フーケは?」
 真っ先にタバサが聞いた。
「いないようだぜ、少なくともこの中にはな。それよりも見てくれ」
 急き込んでリキエルは言い、窓のほうに目を向けた。
 つられて四人ともがそちらを向いて、窓に近寄った。そしてほんの少しの間のあと、奇怪なチェストに気づいて色めきたった。
「どうだ、あの箱か? あれがそうか? 『破壊の杖』なのか?」
「わからないわ。でもあたし、前に宝物庫を見学した時、杖を見せてもらったことがあるの。大きさはあんなもんだったわね」
 そうキュルケが言い切る前に、タバサは動いている。小屋の扉に向かって杖を振るい、罠の有無を確かめると、躊躇なく押し入って行った。その後をすぐにキュルケが追う。
「リキエルさんも中へ。わたくしは、辺りを偵察してきます」
 そう言って、ロングビルはまた森のほうへ走って行った。
 残った二人は顔を見合わせた。相も変わらず濃厚な拒絶の気配を漂わせながら、先にルイズが顔を背けた。そのまま扉の前で仁王立ちになったのは、どうやら見張りでもするつもりである。リキエルは鼻白みながら小屋に入った。自分が渋い顔をしているのが、鏡を見なくてもわかった。
 案の定、小屋の中は恐ろしく埃っぽかった。無駄と知りつつも、ついつい空気をかき回す仕草をしてしまう。手を左右にしながら、リキエルはタバサとキュルケに近づき、どうだったと聞いた。
「破壊の杖」
 タバサが言った。
「本物」
「…………」
「あっけないわよねー。面倒なんて思ってたけど、これじゃ逆につまらないわ」
 キュルケがタバサの腕からチェストをひったくって、ひょいひょいと危なっかしくもてあそぶ。それを目で追いながら、しかしリキエルの意識は別のことに向いていた。胸のうちで、釈然としないものが首をもたげている。
 ――本当にそうか? マジにこんなにあっけないってのか?
 追っ手がかかることくらいは向こうも承知だろうから、早めにこの場所を引き払ったというのは十分に考えられる。もしかすれば、どうしてかこちら側の動きを察して、慌てて逃げたものかも知れない。だがそうであっても、女子供に抱えられるような木箱一つ、持って行けずに諦めるようなことは無いだろうし、まして忘れて行くような間抜けはしないだろう。
 泥棒という人種のことはよくわからない。何を考え日々をどう生きているのかなど、知ったことでもない。まるで一般人には想像もできないことを、朝から晩まで思っているのかも知れない。だが、盗んだ獲物を放っておくような奴があるともさすがに思えない。
 ――なんだかわからないが、どうもおかしいよなぁ。
 思った矢先である。外から、背筋の跳ねるようなルイズの悲鳴が聞こえ、次いでその悲鳴も霞む大音がし、小屋が大きく揺れた。リキエルは一瞬、近くに雷が落ちたかとさえ思った。
 ひとときの驚きが去ると、薄暗かった小屋がやけに明るくなっているのにリキエルは気付いた。やおら仰ぎ見てみると、小屋はボロ馬車よろしく屋根が消えていた。呆れのようなものが、胸のうちで泡のように浮かんだ。
 小屋を覗き込むような体勢で、ゴーレムがたたずんでいる。一目で昨夜のゴーレムとわかる威容である。土色の巨躯は日の光の下で、ことさらに大きく見えるようだった。無くなった小屋の屋根が、その右手の中で潰れていた。
 やはりここでも、タバサがいち早く動いた。杖を振り、竜巻を起こしてゴーレムにぶつける。便乗して、キュルケが炎を操り同様にぶつけた。二人とも至って平気な顔でいるのは、初めからこういった罠を念頭に置いていたのかも知れない。こういう局面に、いくらかの慣れがある様子でもあった。
 しかしゴーレムも頑強で、二つの魔法の直撃に煽られもしなかった。どころか、リキエルら三人を観察するように突っ立ったまま、動く気配すら見せない。余裕を持て余しているのだ。
「無理よこんなの!」
「退却」
 交互に言って、キュルケとタバサは走り出した。一拍遅れて、リキエルもその後ろにつく。
 三人が小屋を出たと見るや、ゴーレムはゆるゆると腕を振り上げて、小屋の中心に思い切り打ち下ろした。地面がごろごろと揺れ、粉塵と木屑が舞い上がってリキエルたちに降り注ぐ。直接叩き潰そうとせずに、わざわざこんな嫌がらせに出るところに、リキエルはゴーレムを操るメイジの、愉快犯的な陰湿さを感じた。強力なメイジを相手取って戦う、とそれだけで十二分に気が滅入っているのに、いよいよ嫌気がさしてくる。
 宝物庫でルイズが杖を掲げたとき、考え直すよう説得するんだったとリキエルは悔やんだが、もうだいぶ遅い。春先に土から出たばかりの蛙の足よりも遅い。のろのろしてたら踏み潰された、というのが冗談にも比喩にもならないのが、本当にたちが悪い。
 十分に距離をとってから、リキエルはゴーレムに向き直って、その周囲に目を凝らした。ルイズはちゃんと逃げたろうかと思ったのである。まさか今ので潰されはしなかったろうが、先だっての悲鳴を思うと心配しないのが無理だった。
 桃色の頭はすぐに見つかった。だがリキエルは、一安心するどころか胃を引っぱり上げられるような感覚を味わった。
 ルイズはすり傷一つ無い様子だったが、何を血迷ったのかゴーレムの後ろ側に回り込んでいて、あまつさえルーンを唱えていた。やがて勢いよく杖を振る。やはりと言っては悪いが、爆発が起きた。音と見た目はそれなりだったが、実効はゴーレムの肌をわずかに欠けさせるだけにとどまった。
 ルイズは構った素振りも無く、二度、三度と爆発を起こした。
「ルイズ!」
 腹からリキエルは叫んだ。今は彫刻のように立っているだけのゴーレムだが、いつ積極的に動き始めるか知れないと思った。いまのルイズは言ってみれば鈍重なノミである。簡単にはたき潰されてしまう。
「何してるッ! こっちに来い!」
「…………」
「来いと言ってるだろーが! 聞いてるのかァッ!? 呪文……ルーンだったか? 唱えてる場合じゃあないだろう!」
 一瞬、構えを解いてルイズが視線を寄越して来た。だがそれだけだった。すぐにまた杖を振り上げて、ルーンを唱え始める。
 おもむろに、泰然としいていたゴーレムが動きを見せた。軽い地鳴りを起こしながら、真後ろを向く。ルイズの起こす爆発が、いい加減に疎ましく思えてきたようであった。ゴーレムは無造作に腕を振り上げた。
「この」
 とリキエルは呟いた。そして、握りっぱなしだった剣を脇にして走り出した。
 ゴーレムの拳は、もうルイズの上に落とされ始めている。その様子がゆっくりとした速さで目に入ってくるのは、どうにも心臓に悪いものがあった。青い顔をしたルイズが、必死な形相でルーンを唱えようとして、合わない歯の根を震わせているのも、遅々としているから余計に痛々しい。
 ルイズのもとにたどり着くと、リキエルはその腰に腕を回して抱え込んだ。それからはがむしゃらに走った。さっき頭の上に降ってきたのは小屋の破片だったが、今度飛んでくるものは、もっと大きく、凶暴なものになるだろう。
 そう思った途端、地面が沈むような感覚に足をとられ、次いで盛り上がるような感触に足をすくわれた。ゴーレムが地面を抉ったのだ。疾走の勢いそのままにリキエルの体は宙に浮き、次の瞬間、右肩から地面に叩きつけられた。そこに、ばらばらと拳大の土くれが降ってくる。案に反してそれほどの危険は無かったが、それでも土くれの当たったところには、あざになりそうな感覚が残った。
 土の雨をやり過ごすと、リキエルはすぐに立ち上がって、ルイズが立つのを手伝った。
 と、肩に違和を感じた。異様に張った感じがする。剣を握った状態でこの様子だと、手放したらちょっとひどいだろう。見てみれば、けっこう血も出ていた。ルイズのちんまい体をかばって、吹っ飛ぶ最中に上体をひねったのが、少々高くついたようであった。
「大丈夫か? どこか打ったりしなかったろうな」
 自分のことは棚の上に置いてリキエルは言い、ルイズの体を、頭から足の先までまじまじと見た。
「見た感じはなんともないな、髪がちょっと汚れてるだけか。……どうなんだ?」
「…………」
「顔くらい合わせてくれてもいいだろうになァ」
 口を歪めて、リキエルが独り言のように呟いたとき、また地鳴りがした。咄嗟に振り向けば、ゴーレムがこちらに歩いて来るところである。どうやら、こちらを本格的に叩き潰すことに決めたようである。
 ――ルイズを抱えてたんじゃあ……。
 逃げられないぞ。リキエルは目をすがめた。普通に逃げようとすれば、ルイズはまたゴーレムと闘おうとするだろう。すると、さっきのように無理やりにでもルイズを抱え上げるしかないが、能力にも限度はあるはずで、逃げ切れる自信も保証もない。
 ただ、自分一人ならば話は別だともリキエルは思った。自分とルイズのどちらもが逃げるためには、まず自分が囮になればいい。そうまでされれば、さすがにルイズも引き下がるだろうという算段もあった。懸念すべきはパニックの発作だが、使い魔の能力があるということで、今はまだ心に幾ばくかの余裕がある。ルイズが逃げるための時間稼ぎくらいは、十分に果たせる。
「ルイズ、キュルケたちのところまで行けよ」
 言ってしまってから、じりじりと後悔の思いがせり上がってくるようだったが、リキエルは深く息を吸って、無視しきった。なんでもない、こんなことはなんでもないことだ、簡単だ。
「オレがあれの気を引いているからよォ~~。……いいな? わかったなッ?」
 そう言い終えるが早いか、リキエルはゴーレムに向かって走り出した。背中に、ルイズが息を飲む気配を感じた。


 ルイズは、呆然と立ち尽くしてリキエルを見送った。止める間もなく、一足飛びにゴーレム目指して走り出したその後姿は、肩から流れる血とあいまって、ギーシュとの決闘騒ぎを思い起こさせた。
 程なくして、タバサを乗せたシルフィードが飛んで来たが、ルイズは動けなかった。リキエルの声が耳の奥で鳴り続けて、思考が半ば麻痺していた。タバサに半ば引っぱられるようにして、ルイズは風竜の背に乗った。
 飛び上がった風竜は、次はリキエルを乗せようと、まずゴーレムの頭上に着けたが、そこからが難題だった。
 不用意に突貫しようとした風竜に、ゴーレムは鋭い手刀を切って来た。風竜は難なく身をかわしたが、それは竜をあわてさせるような、危うい一撃ということでもある。この土ゴーレムは足が遅いが、こと攻撃となると話が変わるらしく、強く速く、しかも正確な動きをした。出し抜くのはいささか骨が折れるようである。
 ルイズは乗り出し気味に、風竜の背から下の様子をうかがった。リキエルが危なっかしく跳ね回って、ゴーレムの攻撃をどうにかやり過ごしている。そして時折こちらを見上げては、大口を開けて何ごとか喚く。よくよく見れば、逃げろと言い続けているのだった。タバサは風竜に指示を出すのに必死で、そのことには気づかない様子である。
「……タバサ! いったんゴーレムから離れて!」
 タバサににじり寄り、膝立ちになってルイズは言った。
「それから、わたしに『レビテーション』をお願い!」
「だめ。轍を踏む」
「『破壊の杖』を使うわ!」
 タバサは腕に抱えたチェストに目をやった。魔法はからきしのルイズだが、マジックアイテムは問題なく扱えるという話をおぼろげに思い出した。以前キュルケから聞いたことだ。
『破壊の杖』というからには、強力な力を秘めていると見ていい。これを使えば、あるいはルイズでも、ゴーレムと張り合えないではあるまい。ともすれば打ち破ることも期待出来た。少なくとも、リキエルとルイズの両方を拾えるくらいの隙は作れるだろう。そう考えて、タバサはルイズにチェストを差し出した。そしてシルフィードに、ゴーレムから距離をとるよう言った。


 岩盤のような巨大な平手が、影を広げながら落ちてくる。見た目とは裏腹な、ゴーレムの軽快な動きに顔を引き攣らせながら、リキエルは左に跳んだ。一歩で影の外に出て、次の二歩でゴーレムの横手に回った。ゴーレムが体勢を直す頃には、付かず離れずというくらいの、すぐに逃げられる距離をとっている。
 そうしようと思えば、リキエルはすぐにでも逃げることが出来た。能力の恩恵はやはり強かったのである。剣を握ってさえいれば、どれだけゴーレムが素早い動きをしても、割合簡単によけることが出来、しかも今度は荷物が無いものだから、さっきのように派手に転げたりもしない。リキエルの思惑は、まず図に当たったと言えた。
 ゴーレムは、今度は過剰なほど肘を引いて、握り固めた拳を横殴りにしてきた。リキエルはそれをすさってよけたが、引き戻される腕を見てぎょっとした。ゴーレムの拳は、もともと細かくなかった造作が、いまやいびつな鉄の塊に変わりきっていた。フーケはなかなかリキエルを捉えられないことに、業を煮やしているらしかった。
 ――それだけでかけりゃあよぉ、十分だろうがッ、土のままでもよォオオ!
 リキエルは、にわかに焦りを感じ始めた。フーケの執念があまり浅くないらしいとわかったことで、また少し恐怖が増している。
 咄嗟にルイズの姿を探した。囮役もそろそろ潮時である。ゴーレムの攻撃をかわしながら、あちらこちらと視線をやったが、ルイズは見つからなかった。ちゃんと安全な場所まで行ったらしい。
 そう思ったとき、ゴーレムの猛攻がぴたりとやんだ。何かと思って仰いでみれば、昨夜も見たタバサの竜が飛び回っていて、ゴーレムはそちらに気をとられているのである。竜は、時どきゴーレムに肉迫する動きをし、その都度追い払われていた。リキエルには、自分を助けようとしているのだと察しがついた。
 リキエルは逃げろ、あっちへ行けと叫んだ。万一にも、ミイラとりをミイラには出来ない。自分だけならば、別に助けは要らないのだ。しかし、有らん限りの叫び声も、上空のタバサには届かないらしかった。
 なおもリキエルは叫び続けたが、あちらは一向に気づく様子が無い。しかもそうしているうちに、思い出したようにゴーレムの攻撃が再開された。これではいよいよ伝え難くなってくる。
 ――どうすりゃあいいんだッ。……いや、ここはいっそ、タバサはオレが危ないと思って助け舟を出してるわけだしな、先に逃げてしまうかな?
 そんなふうに思ったときである。リキエルは、ぶわりぶわりとゴーレムの鉄拳をさける竜の背中に、ルイズの姿を認めた。しかも都合のよいことに、こちらを注視している。リキエルは再度、今度はわかりやすく大口を開けて、逃げろ失せろと連呼した。
 それが伝わったものか、ルイズは引っ込み、次いでわずかな間を置いて竜は離れて行った。
 やっと行ったぜとリキエルは思ったが、安堵の息をつく暇は無かった。ゴーレムが諸手を挙げて、万歳のような格好で静止しているのに気づいたのである。これからあの巨人が何をしようとしているのかは手に取るようにわかったが、それを想像すると総毛立つ思いがした。
 やがてゴーレムは、器用に爪先立ちをして、こちらに傾いできた。
「オオォォオオオオ、この泥野郎――ッ! マジにやりやがったッ」
 絶叫しながら、リキエルはゴーレム目掛けて走った。股を抜くつもりである。
 初めのジャブとさっきのストレートとで、ゴーレムが地面を揺らすとどうなるかはわかったが、今度はそれが全身で倒れこんで来ている。威力から何から、前二つとは桁違いのものになるだろうことは推すまでもないことだった。ゴーレムに背を向けて逃げれば、勢いよく飛んで来る土やら岩やらに頭をかち割られるか、手足や内臓を潰されることになる。
 ひた走って、ゴーレムの足の間を駆け抜けても、そのままリキエルは止まらなかった。轟音と振動を背中に感じても、振り向こうとはしなかった。そのまま逃げるつもりでいた。初めに隠れた茂みの前まで来て、ようやく足をとめた。一度、ゴーレムの様子を確かめておこうと思ったのである。
 そして振り向いたリキエルは、目を見張って歯を剥いた。既にゴーレムは立ち上がっており、その目の前でルイズが、何か筒状のものを振り回していた。
 ――何をやってるんだ……オイ、そんなとこで。なあ、逃げたんじゃあなかったのか? どういうことだ。どういう理由でルイズッ、お前がそんなとこにいるんだァアアァア!?
 驚きと困惑が去ると、次に目の前がカッと赤くなるようなものを感じた。それはいきなり湧き上がって来たようだったが、木のうろに溜まる雨水のように、ゆっくりとかさを増したものが、一気に噴出したようでもあった。
 苛立ちに身を震わせるリキエルの目に、腕を引き絞るゴーレムの姿が映った。さっきと同じように、ルイズを潰してしまう腹らしい。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー