ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

おれは使い魔になるぞジョジョー!-6前

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匿名ユーザー

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ディオは一人考える。主人が『ゼロ』なら使い魔の評価もそれに準ずる。ルイズはともかく
自分の事を周囲に認めて貰うには贄が必要であると…

おれは使い魔になるぞジョジョーッ! 第六話①

時は遡る。ルイズは昼までかかって部屋を片付けた。ディオに命令してやらせようかとも思ったが、殴られた恐怖は簡単に消えず、
結局自分で片付ける事にした。だが掃除が昼前に終わったのは、いつの間にかディオが手伝ってくれた為である。
最もディオが掃除を手伝ったのはディオは主人を見捨てる使い魔であるといったようなマイナスイメージを避けるためのものであったが。

昼食を取る為に食堂に行くルイズ。ディオは相変わらず姿を消したようだ。いつまでその態度が持つか、ルイズはディオと根競べをする事に決めた。
ディオもまた人間である以上兵糧攻めをすれば勝のはこちらなのだ。ルイズは勝利を確信してほくそ笑んだ。

「…フンッ!」
ディオもまたルイズに屈する気はなかった。使い魔に身を窶しても床で食事を取るくらいなら餓死を選ぶ、それがディオである。
誰もいない廊下を歩きながらディオは考える。
(そう、今朝纏めたようにおれに今必要なのは必要な時に利用できる『友達』だ。だが、あのガキは『ゼロ』のあだ名の通り
 生徒どもから馬鹿にされているッ!その『ゼロ』の使い魔であるこのディオがきっかけを掴む為には誰か適当なメイジを倒し
 おれの株を上げる事が一番いい。だが、いきなり喧嘩を売るわけにもいくまい。どうすればこちらに後を引く非がなく
 適度な強さのメイジを皆の目の前で倒す状況に持っていくか…)
考えていると腹の虫が鳴る。悲しいかな、いくら鍛えていても人間である以上腹は減る。
「くそッ!忌ま忌ましいッ!本来だったら今頃、おれは人間を超越した存在になっていたはずだッ!それが今、
ガキの我が儘ごときに我慢しなくてはならないこの状態が気に入らないッ!」思わず壁を叩く。
「あの…」
どこかで聞いたような声がしたので振り返ると、今朝会ったメイドがいた。


「ふむ、なかなか…いや、とても美味しいよ」
数分後、ディオは厨房で食事を取っていた。朝出会ったメイド、シエスタは厨房で働いていたのだ。
(今朝の縁がこんなところで生きてくるとはな…。)
ディオの顔に黄金色のお菓子を目の前にした悪代官のような笑みが浮かぶ。
(だが!それよりもルイズの鼻を明かしてやった事がなによりも愉しいッ!ンッン~~♪ 実に! スガスガしい気分だッ!
  歌でもひとつ歌いたいようなイイ気分だ~~フフフフハハハハ…)

そんなディオをシエスタは料理を喜んでくれていると思い、ニコニコと見つめる。
やがて、そんな二人を見つけて太った中年のオヤジが近づいてくる。料理長のマルトーだ。
「あ…私、デザートを配ってきます!」
マルトーを見つけたシエスタは思い出したように立ち上がると、デザートを乗せたお盆を持って厨房を出ていき、
代わってマルトーがディオの隣に座る。
「あんたが貴族に召喚されたって平民か?シエスタに聞いたよ。しかも主人は高慢ちきだって話じゃないか。
 ついてないもんだな。確かディオだったかな?自己紹介が遅れたが俺はマルトー、ここで料理長をしている」
握手を求めるマルトーを上手く避けながらも慇懃に答えるディオ。

「マルトー…さんがこの料理を作ったのですか?」
「ああ、そうとも!この料理は賄い物だがあの食堂でくっちゃべってる貴族サマとおんなじモノだ。
奴ら、自分で言うのもなんだがこんな美味い料理を三食食って当たり前ってツラしてやがる。理不尽だとは思わねえか?」
どうやらこのマルトーとかいうコックは貴族を嫌っているらしい。
「あいつらは、なに、確かに魔法はできる。土から鍋や城を作ったり、とんでもない炎の玉を吐き出したり、果てはドラゴンを操ったり、
 たいしたもんだ!でも、こうやって絶妙の味に料理を仕立て上げるのだって、言うなら一つの魔法さ。そう思うだろ、ディオ」

完全に自分の世界に入っているマルトーにおざなりに同意すると続いて大笑いする。忙しい男だ。

「気に入った!お前さんわかってるじゃないか!いつでも食べに来てくれ!大歓迎するぞ!」
これで食の問題は解決した。次はメイジの件だが…
その時、少年の怒号とシエスタの詫びる声が聞こえた。
「どうしたんでしょう。ちょっと見てきます」
とディオは立ち上がる。丁度良く向こうから機会がやってきたらしい。ディオは罠にはまった獲物を見つけた猟師のような笑みを浮かべると、
騒ぎの現場へと足を向けた。
「どうしてくれるんだ!君のせいでボクの制服が汚れてしまったじゃないか!」
先ほどから怒っているのはトリステイン王国屈指の名門であるグラモン伯爵の四男、ギーシュ・ド・グラモンである。
どうやらデザートを配っていたシエスタが向こうから取り巻きとやってきたギーシュにぶつかってしまったらしい。
ぶつかったとは言っても軽く触れただけだが、その少し前に付き合っている相手、ケティから他に交際相手がいるのではないかと
問い詰められていた為、機嫌が悪かったのが災いした。平民とメイジの階級の違いの故かギーシュの取り巻きはもちろん、
他の生徒も遠巻きに囲んで眺めているだけであり、誰もギーシュを制止しようとしない。

「お願いします!どうかお許し下さい!」
シエスタは必死に懇願する。経過はどうであれ平民がメイジを怒らせた以上、最悪殺されるかもしれないのだ。

その様子を見てギーシュは内心たじろぐ。相手は若い女の子でしかもなかなか可愛い。女の子を泣かせるのはギーシュとしては苦手な事であったし
今は何も言わない周りもこの状況が続けばギーシュの味方でいつづける確証はない。ちょっと怒ったら向こうがオーバーリアクションを取った。
うん、これで大丈夫。そう考えるとギーシュはその場を納めようとし、


パリン

何かが割れる音が響き渡る。
「おっと、すまないね。きみのポケットから香水の瓶が落ちたんでね、拾おうとしたんだが誤って踏んでしまったよ」
振り返ると最近『ゼロ』のルイズが召喚したという使い魔がニヤニヤしながら片足を上げており、
その下には見るも無惨に割れた紫色の瓶「だったもの」が散らばっていた。

「おい、あれはモンモランシーの香水じゃないか!」
「ギーシュはモンモランシーと付き合ってたのか!」
周りから声が上がる。

「なっ、し、知らない!」
とたじろぐギーシュだが、その時周りの生徒から一年生の女の子、ケティが飛び出してくると
「ギーシュさま…やはりミス・モンモランシーと付き合っていていたんですね!この…大嘘つき!」
と叫び、ギーシュの頬を引っぱたく。
そして女の子と入れ替わりにモンモランシーがギーシュに近づくと、無言でワインの瓶を掴んで逆さにしてギーシュにかけ、
おまけとばかりに向こう脛を思いっきり蹴りつけて去っていく。この三文喜劇の三枚目のようなギーシュに周りの生徒達は大笑いする。

ギーシュは暫く屈んで呻いていたが、やがて起き上がるとまだにやついているディオを睨み付け
「いいだろう、僕を侮辱した事を後悔させてやる。ヴェストリの広場にて待つ!死ぬ覚悟ができたらこい!」
と叫び、見張りの一人を残すと取り巻きを引き連れて立ち去った。

「ちょっと!あんた何してるのよ!」
ルイズが叫びながらやって来る。
最初ギーシュが叫んでいた時は無視していたが、あまりにも騒がしいので振り向くと自分の使い魔がギーシュに喧嘩を売っていたのだ。
だがルイズの身体では人混みの中なかなか二人に近づけなかったのだ。
「なにってこれから高慢ちきなメイジを『少し』懲らしめるのさ」
「あ…あんた…」
呆れたような声をあげるルイズ。
「わかってるの!?メイジに喧嘩を売ったのよ!」
「…それで?」
「なんであんなことしたの!?遅いかもしれないけど私も謝ってあげるからギーシュに謝りなさい!」
とディオの袖を掴み、引っ張っていこうとする。シエスタも我に返ると必死でディオを押しとどめようとする。
だがディオはルイズの手をゆっくりとふりほどく。
「勘違いしてもらっちゃ困るな、ルイズ。ぼくはああいう中身がない癖に威張り散らす手合いが大嫌いでね。それに借りは返す必要がある。」
なぜかシエスタはぽっと赤くなる。

「ばっ馬鹿!いい?平民はメイジに絶対に勝てないの!ってちょっと聞いてるの?」
とルイズはなんとか決闘をやめさせようとするが、ディオはそれを無視して見張りに
「武器を持ってくる時間くらいはくれるだろう?」
と聞き、許可を得るとシエスタに2,3訊ね、厨房へと消えていった。
                                        to be continued…



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