ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

S.H.I.Tな使い魔-23

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匿名ユーザー

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 この場にいる全員が驚いたのは間違いない。
 しかし一番驚いたのはピカピカ光っている当人である。
「うわぁ!」思わずデルフリンガーを投げ出す。
 途端光が消える。
「こら!もっと丁寧に扱え!」
 床に落とされたデルフリンガーが文句を言う。
「ご、ごめん。」
 康一がデルフリンガーを再び握ると、やはり手が光を放つ。
「あ、あんた。なんで光ってるの?」
 ルイズが恐る恐る尋ねた。
「知らないよ!この印、ルイズがつけたんじゃないかぁ!」
「ダーリン。体はなんともないの?」
「うーん、なんともない・・・かな?」
 キュルケは気遣ってくれるが、なんともないどころか体に力がみなぎる気がする。
 ほかの剣を握ってもやはり光るようだ。
「へ、へぇ?最近の従者さんは光るんでございますねぇ。綺麗なことで・・・」
 わけのわからない店主が無意味なお追従を言う。
 タバサがぼそりと言う。
「あなたはたぶん特別。人間が使い魔になれたのも、あなたの『能力』もそう。」
 じっと康一の目を見つめる。
「あなたは、誰?」
「誰?と言われても困るんだけど・・・。」
 ぽりぽりと頬をかいた。
「そういやこいつは『使い手』って言ってたなぁ。」
 康一は剣に聞いてみることにした。
「ねぇ。『使い手』って言ってたけど、君はぼくのこと知ってるわけ?」
「しらねぇ。でもおめーが『使い手』ってことはわかる。俺は『使い手』に使われるためにいるからな。」
 店主が口を挟んだ。
「そいつの名前はデルフリンガーでさ。頑丈ではありますが、錆びは浮いてるし、口は悪いしで買い手がつかなかったんで。まったく、剣にしゃべらせるなんて誰が始めたんでしょうかねぇ。」
 しかし康一は面白いと思った。どうせ剣として使う気もないんだから、しゃべり相手になればいいや。
 それにこの良く分からないルーンについて、この剣は何かを知っていそうだ。
「じゃあ、ぼくはこれを買うよ。」
「おっ!分かってるなぁ!これからよろしくな相棒!」
 デルフリンガーが嬉しそうにはしゃぐ。
 しかしルイズは渋い顔をした。
「そんな錆ついたのより、もっと綺麗なのにしなさいよ。」
 実際引き抜いて見ると、デルフリンガーはあちこちにがたが来ている様子で、正直見栄えはよくなかった。
 しぶるルイズに、店主がこっそりと耳打ちをした。
「あの剣でしたら、新金貨で200・・・いや、100で結構でさ。もちろん鞘もお付けしますよ。」
 とたんにルイズの態度がころりと変わった。
「しょ、しょうがないわね!コーイチがそんなに欲しがるんだったら、それでもいいわよ!」
 あの2000エキューの剣をねだられて、ツェルプストーの前で恥をかくのに比べれはずっといい。
 それじゃあ・・・。とキュルケが進み出た。
「あたしは、このシュペー卿の剣を買ってあげようかしら。」
「な!?」
 ルイズは驚愕した。いくらツェルプストーとはいえ、2000エキューは大金のはずである。
 しかし、キュルケはふふっ、と笑うと店主のいるカウンターに身を乗り出した。
 大きな胸がたゆんと揺れる。
「ねぇ、ご主人?この剣を買って差し上げるわ。でも、もうちょっとお勉強していただけるとうれしいのだけど・・・」
 主人はごくりと唾を飲み込んだ。
「そ、そうですねぇ。それでは、1800エキューってところでいかがでしょ。」
 キュルケは店主から視線をはずさない。
「えーっと、それじゃあ1600エキューでは?」
「ねぇ、店主さん。あなたお名前は?」
「へ、へぇ。ゴドーといいますが・・・」
 キュルケが人差し指で店主の頬をなでる。
「ねぇ、ゴドー。あたし、あなたはもっと出来る方だと思っていたのだけど・・・」
 店主の背筋にぞくぞくとした快感が走った。
「は、はぁ。それじゃあ、なんとか1200までがんばらせてもらいます。」
「ミスタ・ゴドー・・・。ちょっと暑くなってきたと思わない?」
 キュルケがブラウスのボタンをひとつはずした。
 胸の谷間がさらに奥まで見えそうだ。店主は鼻の下を伸ばした。
「わ、わかりました。赤字覚悟で800までがんばります。」
 次のボタンをいじりながらキュルケが店主を見つめている。ああっ!お胸のお目目が見えそで見えない!!
「400!400で!」
「ごめんなさい。あたし、新金貨しか持ち合わせがないのだけれど・・・」
 さらに前傾になる。最後のボタンがはち切れそうだ。
「し、しししし新金貨で結構でございますぅー!!」
 キュルケがにこりと笑った。
「あら、そう。ありがとね♪」
 途端にするするとボタンを元に戻し、金をドンと置いた。
「いい取引ができたわ。また機会があればよろしくね。ダーリン。それじゃいきましょ?」
 あっけにとられる店主を残し、シュペー卿の剣と康一を持って店を出て行ってしまう。
 タバサはだまってそれについていく。
 ルイズはまだぽかん、としていた。
 生き馬の目を抜くどころの話ではない。強引に色仕掛けで毟り取っていったのだ!
「な、なんて女・・・!」
 ルイズは店主(ゴドー)と顔を見合わせた。


 ルイズが金を支払い、あわてて外に飛び出すと、三人がルイズを待っていた。
 キュルケがひらひらと手を振る。
「ルイズ。遅かったわね。どうかしたの?」
「どうかした、じゃないわよ!何よさっきの!色仕掛けだなんて何考えてるのよ!!」
「安く買えたんだからいいじゃない。」
「恥ずかしくないのかっていってんのよ!」
 キュルケは髪をかきあげた。
「そんな小さなことばっかり言ってると、いつまでも胸が大きくならないわよ?」
「な、なんですってぇー!?」
 ルイズは手で胸を隠すようにしている。わたしだって・・・わたしだってそのうち大きくなるんだから!
「そんなことより、あなたが買った剣。あれでいいわけ?」
「何がよ。」
「あなた、杖を買いにきたんでしょう?あんな杖の代わりにならない剣を買っちゃったりして・・・。」
「いいのよ。どうせ魔法なんて使えないんだから。」
 康一が口の前に指を立てたジェスチャーをした。いっちゃだめだよぉー!
「あ・・・。」
「へぇぇぇぇぇ。それなのになんで杖を買ってあげようなんて思ったのかしらねぇー。」
 してやったりとキュルケがにやついている。
 ルイズはばつの悪そうな顔をした。
「まぁ、どうせこの間ダーリンが呼び出した『ゴーレム』のためなんでしょうけどね・・・」
「な、何でそんなこと分かるのよ!」
 ルイズがあまりに動揺しているので、キュルケはおかしくなった。

「だってあなたたち、分かり易すぎるんですもの!」

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