ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

S.H.I.Tな使い魔-17

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二年生最強のメイジ。ギーシュ・ド・グラモンが食堂で女の子を苛めていると、平民の少年がそれを止めに入った。
「まちな!」
「何者だ貴様!」
ギーシュがその少年に杖を突きつける。
「てめーみたいな屑に名乗る名はねぇぜ・・・・」
「平民の分際で貴族に楯突く気か・・・?いいだろう。かかってこい!」
「てめーは俺が裁くっ!」

そして始まる決闘。
「この『平民』がぁー!『貴族』様に勝てると思ってんのかぁー!」
ギーシュはゴーレムを作り出し、少年に襲い掛かった。
「オラァ!」
少年が鉄拳を振るうと、ゴーレムは一撃で砕け散った!
「な、なんだとぉー!?」
「なめるなよ?全力を出せ。貴族!!」
「ひ、ひぃぃ!や、やってやるぅ!!」
ギーシュが杖を振るうと、数十体のゴーレムが少年を取り囲んだ!
「げへへ!平民の分際で舐めた口聞いたことを後悔させてやるゥー!!」
少年に襲い掛かるゴーレム達!
だが、少年はゴーレムの一体を踏み台にして飛んだ!
「な、なにぃぃー!馬鹿なぁー!」
ギーシュは驚愕した。
少年はギーシュの背後に華麗に着地すると、ギーシュをギロリと睨んだ。
「次はてめーの番だ・・・」
「はひぃぃー!」
ギーシュはあまりの恐怖に失禁して腰を抜かしてしまう。
「右の拳で殴るか左の拳で殴るか、あててみな・・・。」
少年はギーシュを見下ろした。
ギーシュはごくりと唾を飲んだ。
「ひ、一思いに右で・・・やってくれ!」
「NO!NO!NO!」
「ひ・・・左?」
「NO!NO!NO!」
「り・・・りょーほーですかぁー!?」
「YES!YES!YES!」
「もしかしてオラオラですかぁー!?」
「YES!YES!YES!OH!MY!GOD!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ――!!」
少年のラッシュでギーシュは「ひでぶ!」と言いながら吹っ飛んだ!
顔面を血だらけにされたギーシュは命乞いをした。
「今まで威張ってすみませんでしたァー!もう平民を馬鹿にしないので、許してくださーい!」
「てめーら貴族が平民を苛めるようなことがあれば、またすぐにボコボコにしてやるからな。」
「わ、わかりましたー!」
ギーシュは土下座をした。
「やれやれだぜ・・・・」
少年はくるりと背を向けた。
「助けていただいて、ありがとうございました!」
苛められていた少女が礼を言うと、
「気にするな・・・」
とだけ言って去っていく。
「ま、まってください!」
少女が叫んだ。
「あなたの・・・あなたのお名前は?」
少年は顔だけを少女に向けて言った。
「俺の名はコーイチ。しがない平民さ・・・」




あれから三日。これが現在平民の間で噂されている決闘の詳細である。



あの決闘を見ていた平民はシエスタだけだった。
シエスタは興奮のままに、平民の仕事仲間に『平民の少年が貴族に勝った』決闘のことを話した。
シエスタから聞いた平民は、またその仲間に聞いた話を伝えていく。その仲間はまた別の仲間に。
「きっと、こうだったのさ・・・!」「・・・だって聞いたわよ!」「・・・だったらしいぜ!」
噂をするうちに膨らんだ想像が付け足されていき、逆にいくつかの情報が抜け落ちていく。
こうして、本人がいない間に、康一は
『弱きを助け、強きを挫く勇者』にされてしまったのだった。


「う、うわぁ・・・」
康一は青くなった。
なんだか、話が無茶苦茶美化されている。
しかも平民の代表みたいにされてるし・・・。
話を聞いていると、まるでその決闘をしたのが承太郎さんだったように思えてくる。
「(少なくともぼくみたいなチビのことじゃないよね。その主人公。)」
厨房にやってきた康一は、集まってきた平民達に取り囲まれ、話ようやくその噂を知ったのだった。
康一は誤解を解こうとした。
「い、いや。そんな大したもんじゃないですよ!実際ぼくだってボコボコにされて、今まで寝てたんですから!」
「でも、ギーシュって貴族に勝ったのは本当なんだろ?」
マルトー親父が尋ねた。
「それは・・・まぁ。そうなんですけど・・・。」
オオオオオオ!
集まってきた平民達がどよめいた。
「しかも素手でぼこぼこにしたって聞いたが?」
「それも、確かにそうなんですが・・・」
オオオオオオオオオ!!
歓声があがる。
「しかもトドメに、その貴族、『ゆるしてください!』って泣いて謝ってきたんだろ?」
「まぁ・・・それもだいたいその通りですけど・・・」
ヒャッホ――――――!
帽子が乱れ飛ぶ。泣き出したり、抱き合ったりしている人もいる。
康一の首にマルトーの毛深い腕が廻される。
「可愛い顔して、おめぇはすごいやつだ!コーイチ!『我らの拳』だ!」
「お、おおげさだなぁ。」
康一は困った。結果的にばれない形になったが、スタンドを使ったわけで、素手だけで倒したわけではない。しかし、
『いやー、実は『スタンド』っていうみなさんの言う『先住魔法』みたいな力を使ったんですよー!』
なんて明るくネタバレした翌日に火あぶりにされたりしたら困る。実に困る。
それになにより、これだけ喜んでいる人たちを悲しませるのは憚られた。
「おおげさなことなんてないぞ!」
マルトーは大きく首を振った。
「俺達平民は、いつもいつも貴族のいいなりにされてるんだ。それに逆らって殺されたやつを、俺は何人も知ってる。」
他の平民も静かに頷いている。
「俺達平民が一人の貴族を倒そうと思ったら、武器を持って数人がかりさ。それだって返り討ちにあうことすらあるんだ。」
それなのに・・・!マルトーはぐっと拳を握り締めた。
「お前は一人で、しかも素手で貴族を倒しちまった!こんな痛快な話聞いたことがない!だからお前は英雄だ!『我らの拳』だ!」
シエスタはその様子を見て嬉しそうに微笑んでいる。
「ちょ、ちょっとシエスタ!なんとかしてよ!それに、その噂すごい誇張してるよね!あいつ別にもらしてなんかなかったし、ゴーレムも7体しかいなかったよ!」
「そのくらい演出の範囲内ですわ。」
シエスタは嬉しげに胸を張った。どうやら話を大きくするのに積極的に関わったらしい。
「俺はお前と知り合えてうれしいぞ!俺がみこんだ男だけあった!コーイチ!俺はおまえの額にキスしてやるぞ!」
とマルトー親父が分厚い唇を近づけてくる。
「うわぁ!マルトーさん!ちょっとまって!キスは・・・!キスはいいからぁー!!」
康一は悲鳴をあげた。

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