ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

S.H.I.Tな使い魔-14

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匿名ユーザー

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小さな少年である。
女の子ですら、大体が見下ろす形になる。
男と比べると、頭一つ分以上は低い。
メイジでもない。強そうにも見えない。
しかし、その目を見た群衆は、なぜか自分から道を開けた。

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

康一は、驚くルイズの肩に手を置いた。
その手からは「もう大丈夫だから。」という覚悟が伝わってくる。
康一はルイズの前に進み出た。
ギーシュは、突然しゃしゃり出てきたチビの平民を見下ろした。
「なんだって?よく・・・聞えなかったんだが。もう一度言ってくれるかな、平民。」
「ぼくがお前に決闘を申し込む。そういったんだ。」
ギーシュはようやく、目の前にいるのがルイズの使い魔だということを思い出した。
「ああ、君はルイズが捕まえてきた平民だったか。どうせ使い魔召還が出来ないからといって、その辺の子どもをさらって来たんだろう。平民の出る幕じゃない。どきたまえ。」
「嫌だね。」
康一はギーシュを指差した。
「おまえはルイズの『誇り』を不当に侮辱したッ!その償いをしてもらう!」
「ふん、ばかばかしい。君になにができるというんだね。」
「お前をじゃがいもだって目を背けるようなぼごぼごの顔面にしてから、ルイズに言った言葉を取り消させるッ!」
ギーシュは目を細めた。
「平民の癖に口だけは達者だな。その勇気に免じて見逃してやろう。さっさと『ゼロ』を連れて逃げ帰るがいい。」
「逃がしてください。の間違いじゃないのか?」
「・・・なんだと?」
ギーシュは聞き返した。
「『僕は女の子に振られて恥をかいたので、ルイズにやつあたりをしました。この上平民にぼこぼこにされるのは嫌なので、見逃してください。』お前はそういうべきじゃないのか?」
ギーシュは覚悟を決めた。ここまで侮辱されて放っておいたら、貴族としての沽券に関わる。
「いいだろう。そこまで死にたいのなら相手をしてやる!ヴェストリの広場まで来い!」
ギーシュはマントを翻し、食堂を出て行った。
「ギーシュとルイズの使い魔の決闘だァー!」
ギーシュの友人達がわくわくした様子でそれについて行った。
周りに集まった人垣も、この面白そうなイベントに興味津々だ。
既にヴェストリの広場への移動を始めている。
自分もそれについていこうとした康一をルイズがしがみつくようにして引き止めた。
「あ、あんた。何言ったか分かってるの?死ぬわよ!?」
ルイズはさっきまで自分が追い詰められていたのをすっかり忘れてしまったのかのようだ。
「あのくそったれな貴族をぶっ飛ばして、君に謝らせる!」
「無理よ!」
ルイズは悲鳴をあげた。
「ギーシュはあれで強いのよ?『ドット』メイジだけど、一度にたくさんのゴーレムを操れるの!同じ学年で、あいつより強い奴なんて数えるほどしかいないわ!」
康一は袖をつかむルイズの手を押さえた。
「ぼくはこの世界のメイジについてあまり知らない。ひょっとしたらぼくなんて相手にならないほど強いのかも・・・。でも、あれはぼくが今戦わなくちゃいけない敵なんだ!」
「だから、君はぼくを信じてほしい。大丈夫!ぼくは負けるつもりなんてこれっぽっちもないからね!」
康一はルイズの手を離させると、ヴェストリの広場に向かって歩き出した。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
ルイズは康一の目に、思いがけず強いものを感じて、うろたえながらも彼を追いかけた。


ヴェストリの広場は、『風』と『火』の塔の間にある普段人気のない中庭である。
群集について行った康一は大きな人垣があるのを見つけて、そこに分け入った。

人垣を抜けると、すでにギーシュは薔薇の造花を手に待ち構えていた。
「とりあえず、逃げずに来たことはほめてやろう。」
「這い蹲るのはお前のほうだ!逃げる必要なんかこれっぽっちもないねッ!」
そのとき、康一はギーシュの奥の人垣の中に、知っている人を見つけた。
「(シエスタだ!)」
きっと騒ぎを聞きつけて駆けつけたのだろう。
シエスタは野次を飛ばす観衆の中で、懸命に「コーイチさん!逃げてください!」と叫んでいる。
「そっか・・・」
康一は気づいた。自分がこれから『スタンド』を使えば、普通の平民でないことがばれてしまう。
「(ごめんね、シエスタ。騙すつもりはなかったんだ。君によくしてもらってすごくうれしかった。)」
 シエスタは裏切られたように感じるだろうか。康一は心を痛めた。

そのとき、康一の体に光る粉のようなものが振りかけられた。
「なにっ!?」
「ギーシュ!大丈夫だ!この平民、『マジックアイテム』はもってないぜ!」
声がしたほうを振り向いた。さっきギーシュと一緒にいた仲間の一人だ。
「お前ぼくに何をしたッ!!」
「何って、『ディテクト・マジック』さ・・・」
かわりにギーシュが答えた。口元に笑みを浮かべている。
「君が魔力を持った品を持っているかどうか調べた。当然だろう?これは僕と君との一対一の決闘だ。他人の魔法に介入されるのは不愉快だからね。まぁ、持っていないようで少し感心したよ。」
ギーシュは薔薇の造花を振った。
一枚の花びらが地面に舞ったかと思うと、甲冑を着た女戦士のような人形が現れた。
「僕の名はギーシュ・ド・グラモン!『青銅』のギーシュだ。当然自分の魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」
これが『ゴーレム』・・・!人間程度の大きさだが、全身が金属でいかにも堅そうだ。
それに自分に比べるとずいぶんと大きい。体重が違いすぎる。まともに殴りあえるわけがない。
「いくぞ!!叩きのめせ!ワルキューレ!」
ギーシュが命令すると、ゴーレムがドン!と土煙をあげて突進してきた。
康一は身構えた。
「(でも、君は勘違いをしている。ぼくの『エコーズ』は『マジックアイテム』なんかじゃない。ぼく自身の能力!)」
「そのワルキューレが、ACT3の重さに耐えられるか試してやるッ!」
康一は声高にACT3を呼

『異端者は通常火刑に処せられるわ。』

「はっ!?」
康一は、突然ルイズが言っていたことを思い出した。
そうだ・・・『エコーズ』が『マジックアイテム』じゃないことがばれてはいけないのだ。
つまり、今ここで『スタンド』を使うわけにはいかない!?

康一が気づいたときには、ワルキューレが目と鼻の先まで接近していた。
「しまった!!」
避ける間もなく、ワルキューレの青銅製の右拳が顔面を捉え、康一は吹き飛んだ。

ギーシュは地面に這いつくばった康一を見下ろし、大きく手を広げた。
「さぁ。哀れな平民に貴族との『絶対的な差』というものを教育してあげよう。」

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