ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

S.H.I.Tな使い魔-12

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ルイズと康一は、素直にコルベール先生のところへ行くことにした。
ルイズが手に怪我をしてしまったことを話すと、コルベール先生は片付けはもういいから医務室で治療してもらいなさい、と言ってくれた。

「でも、その『スタンド』っての。人前では使わないほうがいいわね。」
治療してもらった帰り、ルイズは思いついたようにいった。
手は水属性のメイジによる治療の後、包帯が巻かれている。
これで、一日もすればほとんど傷はふさがるのだそうだ。
「え、なんで?」
康一はびっくりして尋ねた。
「その『スタンド』のことがあんまり広がると、多分まずいことになるのよ。」
ルイズは歩きながら考えた。
「あんたは知らないかもしれないけど、ここでは『系統魔法』は絶対なの。あんた『スタンド』を杖も詠唱もなしで呼び出せるじゃない。『先住魔法』だと思われる可能性があるわ。」
「『系統魔法』はさっき授業で言ってたけど、『先住魔法』って何?」
「『先住魔法』は『自然の力を借りて事象に干渉する魔術』よ。エルフや一部の幻獣が使うと言われているの。」
康一が詳しいね、というとルイズは少し得意げに、「座学なら誰にも負けないって言ったでしょ?」と胸を張った。
「でも、始祖の与えたもうた『系統魔法』以外の異能の力はみんな『先住』として人くくりにされてしまうことが多いのよ。だからあんたの『スタンド』も『先住』として扱われる可能性があるわ。」
「『先住』だって思われたらどうなるの?」
「異端者は通常火刑に処せられるわ。」
康一は首をひねった。
「『カケイ』って・・・なに?」
「火あぶりのことよ。」
「ゲエエエェェェー!!」
ひ、火あぶりだってぇー!あの磔にされて下から火をつけられるって奴ですかぁー!?
「ど、どうしよう。ぼく、ACT3をみんなの前で使っちゃったよぉー!」
「今のところは大丈夫よ。みんな『ゴーレム』を作り出すマジックアイテムを持っていたんだろうって思ってるから。」
康一は、マジックアイテムを探すため、服までひん剥かれたことを思い出した。
「だから、誰かに問い詰められたら「ロバアルカリイエのマジックアイテムです」って言っておけば、とりあえずごまかせるはずよ。」
「ロバアルカリイエ?」
「エルフが住むサハラよりも東の世界のことよ。エルフといつも争っていて、かなり技術が進んでいるらしいの。」
「ふーん・・・。」
日本も世界の東の端だし、まぁ嘘は言ってないかな。
とりあえず火あぶりにはされないらしい、と康一は安心した。

それからルイズと康一は一度部屋に戻った。
ルイズがあまりにもぼろぼろなので着替えるためだ。
体を水で塗らした布で拭い(水は康一が汲んできた。)、まっさらな服に袖を通すと、ルイズは大きく息をついた。
「あー、さっぱりしたわ!」
やっぱりこちらの目を気にせず裸になるので、康一は全力で背中を向けている。
「もう大丈夫?」康一は目を瞑ったまま聞いた。
「ええ、こっち向いていいわよ。」
康一はほっとして振り向いた。
「でも、いつまでも恥ずかしがってちゃ、困るわね。使い魔なんだから、それくらい慣れなさいよ。」
とルイズは腰に手を当てた。

「無茶いわないでよ・・・。むしろぼくは君につつしみってやつを持って欲しいんだけど・・・。」
「って、あんたも顔、汚れてるじゃない。」
ルイズは康一の嘆願を無視して歩み寄ってくる。
そして手に持った布で康一の顔を拭ってくれる。
「(それ・・・さっき君の体を拭いたやつなんじゃ・・・)」
だがルイズに気にした様子はない。やっぱり男としてみられてないのね・・・別にいいけど。
ルイズは拭きながら尋ねた。
「そういえば、『ACT1』と『ACT3』がいるなら、『ACT2』もいるわけ?」
「まぁね。ぼくの『エコーズ』は三つの形態があるんだ。それぞれ、『射程』とか『パワー』とか『能力』が違うんだよ。」
「能力?」
ルイズは首をかしげた。
「なんか特別なことができるわけ?」
康一は自分のスタンドについて説明しようとしたが。
カラ~ンカラ~ンカラ~ン
どこからか、鐘の音が聞えてきた。
「もうこんな時間なのね。」
ルイズが手に持った布を手桶に戻した。
「あの鐘、なんなの?」
「昼休憩の予鈴よ。さ、食堂に行くわよ。」


アルヴィーズの食堂に入った二人に、無数の視線が突き刺さった。
「そりゃあ、そうだよなぁー」康一はたらりと汗を流した。
ルイズの爆風をもろに食らったミス・シュヴルーズはあの後すぐに回復したものの、今日の二年生のクラスは、一日自習という形になったからだ。
そのほかにも怪我をしたり、使い魔が再起不能しかけたり(水のメイジの治療で問題なく回復したらしいが)した人がたくさんいる。
ルイズのことを知らずに指名した教師の責任でもあるのだが、ルイズを恨むなというのも無理な話だろう。
だがルイズはそんな視線などまるでないかのようにして、自分の席へと座った。
「(タフな性格だよなぁー。こういうところはちょっと由花子さんに似てるかも。)」
康一はルイズに尋ねた。
「えーっと、ぼくも座ってもいいのかな?」
ルイズは振り向いた。
「朝もいったでしょ。ここは貴族の食卓よ。あんたは座っちゃダメ。」
康一はしょぼくれた。はぁー、そりゃそうだよね・・・。いや、正直ちょっと期待してたんだけど・・・。
とぼとぼと出て行こうとする康一をルイズが呼び止める。
「ま、待ちなさいよ!」
え?と康一が振り向くと、ルイズがテーブルに置いてあったバスケットを康一に押し付けた。
「さっき、厨房にあんたの食事を頼んでおいたのよ。ここは貴族の食卓。あんたは座っちゃダメ。だから、これをそのへんで食べてきなさい!」
康一はバスケットを覗き込んだ。中には美味しそうなサンドイッチが入っている。
「ルイズさん・・・」康一はちょっとうるうるときてしまった。
「ば、馬鹿ね。何泣いてるのよ!うっとうしいからどっか行きなさい!」
ルイズは照れくさそうに康一を追い払った。
「食べ終わったら、入り口で待ってるから!」
康一は手を振った。
康一があまりにも分かりやすく喜ぶので、なんだかルイズも嬉しくなってしまった。
ルイズは小さく頷いた。

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