ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

S.H.I.Tな使い魔-07

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匿名ユーザー

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康一が部屋に戻ると、まだご主人様(仮)は毛布を頭から被って丸まっていた。
何時に起こせ、とも言われていないのだが(というより時間が分からないが)、康一はとりあえずルイズを起こすことにした。
「ねぇ、君。起きなよ。」
毛布を揺さぶる。
だが、ルイズは「違うもん・・・食べないもん・・・使い魔食べないもん・・・」だのと寝言をつぶやきながら起きようとはしない。
「もう、しょうがないなぁ。ほら、いい天気だし、起きろってば!」
康一は無理矢理、がばっと毛布を剥ぎ取った。
息を呑んだ。
長い桃色の髪の毛が、ゆるやかなウェーブを描いてシーツに広がり、太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。
その中で胎児のような格好で眠る少女は、急に毛布が奪われたせいだろう。雪のように白くて細い手足を更に縮こめて眉根を寄せた。
康一は何か見てはいけないものを見てしまった気がしてあわてて視線を逸らした。
「あ、朝だよ!起きなくていいの?」
康一が明後日を向いたまま声をかけると、それまで丸まっていた少女が、シーツの上でゆっくり伸びをして、起き上がった。
まだ寝ぼけたようにぼんやりとした表情で、あんた誰?と聞いた。
康一は呆れた。
「昨日君に無理矢理召還された広瀬康一だよ。もう忘れたの?」
ルイズはあー、そういえばそうだったわねー。とつぶやいて。それからようやく昨日の夜のことに思い至ったのだろう。
「あ、あのねー。昨日のことは・・・」
「分かってるって。でも、ぼくが何も持ってないことはわかっただろ?」
ルイズはまだ言い足りないようだったが、まぁいいわと自分を納得させたようだった。
そして自分の格好に気づく。
「わたし、あのまま寝ちゃったんだわ・・・」
ルイズは康一が気絶した後、どうしようどうしようと一通りおろおろしたあと、もうどうにでもなれ!とそのままベッドに飛び込んだのだった。
康一に毛布をかけることにまで気が回ったのはまさしく奇跡といえる。
ルイズはもう一度大きく伸びをして、それからブラウスのボタンに手をかけた。
ボタンをはずしていくほど、その奥の下着が垣間見えて行き、康一は悲鳴をあげた。
「ちょ、ちょっと!何でいきなり脱ぐんだよ!」
ルイズは、はぁ?と怪訝そうに言った。
「だって、昨日着たものをそのまま着てたら気持ち悪いじゃない。」
「ちがうよ!ぼくが見てないところで着替えてくれって言ってるんだ!」
「なんで?」
「なんで?って・・・乙女の恥じらい・・・とか。」
康一はぼそぼそとつぶやいた。
「あのねー。もう一回断っておくけど、あんたはわたしの使い魔なのよ?使い魔に見られたくらいでいちいち恥ずかしがってられると思ってんの?」
ルイズはブラウスを脱ぎ捨てたところで腰に手を当てた。
本当に恥ずかしくないらしい。
昨日あれだけあわてたのも、単に体面の問題だったようだ。
もう本当に男として見られてないというか、犬猫の扱いなのね・・・。
康一は改めてがっくりときた。
ルイズは肩を落とした康一をしばらく見ていたが、気にすることなく今度はスカートを脱ぎ始めた。
康一はあわてて背中を向けた。
そこにルイズから声がかかる。
「下着。」
「は?」
「気が利かないわねー。取ってっていってるの。」
「し、下着くらい自分で取ってくれッ!」
「あんた使い魔なんでしょー。それくらいやるのは当然じゃない。」
うぐっ!康一はさらに言い返そうとして言葉を飲み込んだ。
康一はこの世界の『使い魔』について何も知らない。
確かに自分は使い魔になることを承諾した。しかしまさかこんなことまでさせられるとは!
「(お姉ちゃんの下着だと思おう。お姉ちゃんの・・・)」
康一はいろいろと後悔したが、とりあえず言うとおりにすることにした。
背を向けた後ろで、するすると下着を外す音がする。
そりゃー、そうだ。新しい下着を着るには古い下着を脱がなくちゃいけないですよねー!
「(お姉ちゃんが着替えてるだけだ。お姉ちゃんが着替えてるだけ・・・)」
康一は心の中で繰り返して乗り切った。
「ブラウスとスカート。」
もう言い返す気力もない。同じくクローゼットをあさり、下着姿のルイズを見ないようにして手渡した。


「なにしてんの。あんたが着せるのよ。」
「な、なんだってー!?」
いい加減に我慢の限界だ!
そりゃあ女の子の着替えに立ち会えてちょっと嬉しいのはあるが、この扱いはあんまりだ!
康一はルイズが下着姿なのにも構わず向き直った。
「平民の召使いがいるときは、貴族は自分で服なんて着ないの。知らないの?」
「ふざけるなっ!それくらい自分でやってくれ!ぼくをなんだと思ってるんだ!」
「使い魔でしょ?衣食住を世話するかわりに使い魔をやるんだったわよねー?」
ルイズは椅子に腰掛け、ふふん♪と足を組んだ。
「そ、それは・・・でもいくらなんでも・・・!」
「あんたを誰が養うと思ってんの?さぁ、早くしなさいってば。」
もうぐうの音もでない。
とほほ、な康一は出来るだけルイズのほうを見ないようにしてプリーツスカートを手に取った。


「さて・・・と。」
すっかり着替え終わったルイズは姿見で身だしなみを整えている。
一方の康一はすっかり尊厳を踏みにじられてげっそりとしていた。
「使い魔がこんな大変なものだなんて思わなかったよ・・・」
「何言ってるの。まだ、なーんにもしてないじゃない!」
ルイズは腰に手を当てた。
康一は今のうちに使い魔は何をすればいいのかを聞いておくことにした。
「他にぼくは何をすればいいわけ?」
着替えを手伝ったり雑用をしたりするだけなら、それはただの召使いな気がする。
「そうねぇ・・・」
ルイズはアゴに人差し指をあてて首をかしげた。
「まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ。」
「はぁ」
スタンドとスタンド使いのようなものだろうか。
康一もACT1の視界を借りることで、半径50m程度の偵察を行ったりすることがある。
「でも、無理ね。わたしあんたの見てるものとか聞いてるものがわかんないもん!」
それは正直助かるなぁ。と康一はほっとした。
そんなことになったらプライバシーもなにもあったもんじゃない。

「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば、秘薬とか薬草とか、鉱石とかね。」
でも・・・とルイズは続けた。
「あんたには無理そうね。頭そんなに良さそうにはみえないし。」
康一はムッとしたが、実際学校の成績がよかったわけでもなかったし、秘薬だのなんだのというのもさっぱりだったので何も言わなかった。
「そしてこれが一番大事なんだけど・・・使い魔は主人を守る存在なのよ!あんた、昨日ゴーレム・・・・えっと、『スタンド』だったっけ?それを出してたでしょ?ひょっとして強いの?その『スタンド』」
康一はうーん、と唸った。
康一は自分のスタンドを信頼してはいたが、強いか?と聞かれると返答に困った。
康一は今まで数々の戦いを経験してはいるが、実際1対1で戦って勝ったことはあまりない。
強敵との戦いではいつも誰かのサポート役だった。
『エコーズ(ACT1、2、3)』を他のスタンドと比べると、時間を止められる承太郎さんの『スタープラチナ』は最強すぎるので除外するとしても、
仗助くんの『クレイジー・D』のようなパワーとスピードもないし、億泰くんの『ザ・ハンド』のような一撃必殺の能力もない。
露伴先生の『ヘブンズ・ドアー』には何度戦っても勝てる気がしないし、あの殺人鬼吉良吉影の『キラークイーン』には相手にもならず一度殺されかけている。
そうして考えて行くと、真正面から戦ったら自分が知るスタンド使いのほとんどに、自分は勝てないだろうなぁ。と思う。
自分だけで勝てたのは由花子の『ラブ・デラックス』と玉美の『錠前』くらいだが、『ラブ・デラックス』ともう一回戦ったら手も足も出ない気がするし、玉美にいたっては、戦闘力では一般人と変わらない(玉美は康一よりもさらにチビだし!)。
康一が沈黙すると、ルイズは溜息をついた。
「まぁ・・・そもそもあんたにそんなのを求めるのがおかしいわよね・・・」
ルイズはまだなにやら考え込んでいる康一を眺めた。
第一印象は『チビ』だった。同年代の女の子の中でもかなり小さいほうに入るルイズ(153サント)と目線がほとんど同じなのだ。
多分実際の身長はルイズよりも少し高いとは思うのだが、そのキャラクターのせいなのか、自分より小さく感じる時すらある。
力も弱かったし、何か一芸に飛びぬけているようにも見えない。
そして何よりも、文句ばっかり言うくせに、頼りない性格。当てになるはずがない。
「わかったでしょ?あんたができそうなのって、掃除や洗濯みたいな雑用くらいしかないのよ。だから文句を言わずに働いてよね!」
でも君が思ってるよりは役に立つと思うんだけどなぁ・・・。康一は思ったが、たぶんそれを言い出しても余計に面倒なことになるだろうと思ったので黙っておくことにした。

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