ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

S.H.I.Tな使い魔-05

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匿名ユーザー

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「とりあえず座りなさい。」
 部屋に入ってそうそう、ルイズは命令した。
「・・・座るってどこに?」康一は尋ねた。
 広い部屋である。うちのリビングくらいの大きさかなぁと康一は思った。
 扉から入って正面には大きな窓が開いている。もう暗くて外の様子はわからないが、二階だし景色はよさそうだ。
左手には大きなクローゼットと姿見の鏡が置いてある。そして右手には大きなベッド。ベッドの近くには窓に面するように机と椅子が置かれていて、机のうえにはなにやら分厚い本が開いたままになっていた。
「そうね・・・そこの椅子でいいわ。」マントを入り口近くの帽子掛けにかけながら、ルイズが机の前に置かれている椅子を示した。
康一は言われたとおりに椅子に座り、きょろきょろと辺りを見回した。調度品も一つ一つが飾り気があって、いかにも高そうに感じる。
そうしていると、ルイズがやってくる。腰に手を当てて溜息をついた。
「やっと二人きりになれたわね・・・」
とびっきりの美少女にこんなことを言われてドキドキしない男がいるだろうか!だが、えてしてそういった期待は裏切られるものなのである。ルイズは椅子に座った康一の前に立つと眉を吊り上げた。
「さぁ、白状してもらうわよ。あのゴーレムはなに?」
召還してから今まで、無視されたり教師に割り込まれたりと、質問を邪魔され続けてルイズは我慢の限界にきていたのだ。
やっぱりね・・・。康一は半ば予想はしていたものの、がっくりとうなだれた。
「君にも見えてるんだよねやっぱり・・・ぼくの『スタンド』が。」
「それ!それよ!あんたそいつをどこから出したわけ?」
「どこから・・・といわれてもなぁ・・・」
消えている間、『スタンド』がどこにいるのか、なんてあまり考えたことはなかった。
「まぁ、あえて言うならぼくの体から、かなぁ。」
「嘘!どこかにマジックアイテムを隠してるんでしょ。見せて!」
と手を突き出す。
「そ、そんなのないよ!」
「しらばっくれるんじゃないわよ!あんたみたいな平民がゴーレムを作るなんて、絶対ありえないんだから!」ルイズがつかつかと近づく。
「だから、ゴーレムじゃないったら!それにさっきから平民平民言ってるけど、なんでそんなことがわかるのさ!」
確かに自分は庶民的な家庭の出だが、見ただけでそんなことが分かるのだろうか。
「何言ってるのよ。あんた杖を持ってないし、マントも着てないじゃない。・・・ていうか、あんたって魔法を見たこともないんだったわね。じゃあ貴族にも会ったことがないんだ・・・」
貴族・・・どうやらこの世界では「貴族=魔法を使える人」「平民=魔法を使えない人」ってことらしいぞ?と康一は気づいた。
「まぁそんなことはどうでもいいわ。早く見せなさい!」
ルイズがずいっと近づいてくるので、康一は椅子から立ち上がって後ずさった。
「そんなものはないったら。あれはぼくの『スタンド』だよ。」
「じゃあ、その『スタンド』を私に渡しなさい。」
「だから『スタンド』は渡せるようなものじゃないんだったら!」
ルイズが詰め寄り、康一が下がる。二人はぐるぐると部屋の中を回る。
「ええい、もう!じれったいわね!」
ルイズは痺れを切らして康一を突き飛ばした。康一はちょうど後ろにあったベッドに倒れこんでしまう。
「いいから出しなさい!」
ルイズが康一の上に覆いかぶさり、康一の学生服を脱がそうとする。
「ちょ、ちょっと待って!何をしてるんだぁー!」康一はびっくりして叫んだ。
「うるさいわね!あんたが大人しく出さないのが悪いんでしょ!どこに隠してるの!?」
すごい力である。康一よりも小さいはずの女の子が、抵抗する康一から無理やり服を剥ぎ取っていく。
「だからマジックアイテムなんかないったら!大体もしあったとして、なんで君に見せないといけないのさ!ああっ!ズボンは!ズボンはやめて!」
「やっぱりあるのね!わたしはあんたのご主人様なんだから、使い魔の全てを知る権利があるのよ!!」
「そんな無茶苦茶なぁー!」

その時、バタンという音がして突然扉が開いた。ベッドに入ろうとしたところでのルイズの部屋からの大騒ぎに、文句をつけに来たキュルケである。
「うるさいわよルイズ!こんな遅くに何大騒ぎして・・・」
その後に言葉を続けることはできなかった。
なぜなら。ちょうどその時康一はパンツ以外の全ての衣服を剥ぎ取られたところで、最後の砦であるパンツが引き摺り下ろされるのを阻止すべく、必死の防衛戦を繰り広げており、
ルイズは「ここね!ここに隠してるんでしょ!」といいながら、髪を振り乱し、乱れる服装も意に介さず康一にのしかかろうとしていたのだ。
時が止まった。
固まるキュルケと康一をよそに、ルイズは自分の状態にまだ気づいていないようで、
「なによキュルケ。今忙しいから話なら後にしてくれない?」と息を荒げながらのたまった。
「えーっと・・・」キュルケはぽりぽりと頬を掻いた。
「ルイズったら、思ったよりも情熱的なのね。わたしは襲うより襲われる女になったほうがいいと思うけど、それは個人の自由だものね。」
ルイズはキュルケの言葉をしばらく考え、ようやく今の自分の状態に思い至ったようだ。ぱっとパンツから手を離すとキュルケに詰め寄る。
「ちちちちちちち違うのよキュルケ!これはそんなのじゃなくて・・・!誤解よ!誤解だわ!」
「いいのよヴァリエール。気にしないで。恋愛の形は自由なのだから。ただ男の子に好かれたかったらもう少し慎みを持ったほうがいいとだけ忠告しておくわね。」
といいながら扉へと戻っていく。
「待ってキュルケ!話を聞いて!」
「『ご主人様なんだから使い魔の全てを知る権利があるのよ』ねぇ。あのルイズが言うわねぇ。」
ルイズは耳まで赤くして、それはそういう意味じゃないわよ!と言おうとしたが、キュルケはその間にするりと扉の向こうへ逃げてしまった。
「それじゃ、ごゆっくり~♪」
バタン
 ・・・・・・・・・・・・・。
ルイズはその場にぺたんと座り込み、頭を抱える。
キュルケは面白おかしくこのことをみんなに話してしまうだろう。そうしたら自分の評判は地に墜ちてしまう・・・!
「嫌がる使い魔を初日で手篭めにした・・・」とか「使い魔に手を出すなんて・・・欲求不満がたまっていたのね。」とか「ミス・使い魔イーター」とか呼ばれてしまう・・・!
「おはよう!ミス・使い魔イーター!」
「あっ!使い魔イーターがこっち見てるぞ!」
「隠せ隠せ!ぼくらの使い魔も美味しくいただかれてしまうぞ!」

「破滅・・・破滅だわ・・・」

康一はルイズが正気にもどったのを見て取ると、剥ぎ取られた服で体を隠しながら、ルイズの肩を叩いた。
「えーっと、落ち着いたんだったら。ぼくのズボンを返して欲しいんだけど・・・」
ルイズは座り込んだままぼんやりとした目で康一を見て、視線をおろした。そしてようやく自分がまだ手に康一の学生ズボンを後生大事に握り締めていることに気がついた。
その瞬間、それまで脱力していたルイズの叩きつけるようなビンタが飛んできた。
「あんたのせいだからねっ!!!」
バッシィィ――z__ン!!!!
威力が強すぎたらしい。康一は吹き飛びながら、ぼくが何をしたっていうんだ・・・と思いつつ気絶した。

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