ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

見えない使い魔-4

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匿名ユーザー

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決闘が終わり、授業そっちのけで騒いでいた生徒たちは当然教師たちからお説
教と罰を受けた。しかしそんなものではメイジに勝利した平民への好奇の熱は
冷めることがなかった。
事実、ルイズがンドゥールを伴って教室に入るときはさっと空気が入れ替わる
ようになったのだ。そのほかにも学院で働く平民は彼に羨望のまなざしを送る
ようになり、中でもシエスタはひときわ違った意味での熱視線を注いでいる。
そして、教師陣もンドゥールに興味を持つようになった。それだけ衝撃的な
ニュースだったのだ。
「おぬし、出身はどこなんじゃ?」
「エジプトだ。そんなところはないのだろうが」
ンドゥールはいま、学院において最高権力の持ち主であるオスマン学院長の
もとにいる。ルイズの担当教師を通じて呼び出されたのだ。
「そのとおりじゃ。エジプトというところはない。にしてもなぜ知っている
んじゃ? 自力で調べるようなことはできんと思うが」
「どうということはない。ただ推測しただけだ。とはいえ、そんな詳しいこ
とはわからん。知っているのはこの世界がハルケギニアという名前であり、
この国がトリステイン、他にもゲルマニアなどの国があること。そしていま
菓子を出したのはロングビルというあなたの秘書の女性ということだ」

オスマンが目を見開く。
「……自己紹介をしてもらったのかの」
「いいえ。しておりません」
「話を聞いただけだ」
「盗み聞きをしておったのか?」
「そういうことになる」
「しかし、おぬしがこの部屋にきたのは今日が初めてのはずじゃが」
「ルイズの部屋で耳を傾けていた」
「すごい聴力じゃの」
オスマンは感心した。仮に彼がうそをついているのだとしても、誰にも気づ
かれずにこれだけ情報を収集したというのはある種の脅威に値するのだ。
だがしかし、彼がわざわざンドゥールを呼んだのはそんなことを聞くためで
はない。秘書が出した菓子を食い、先日起こった不可解なことについて尋ね
た。
「おぬし、ギーシュのゴーレムに一体なにをしたんじゃ?」
あの決闘を、彼も覗き込んでいたのだ。
「なにをしたと問われてもな」
「とぼけんでもいい。あやつは確かにまだまだ未熟者じゃが、ひとりでに
つぶれてしまうようなゴーレムを作るような腕ではない。わしも遠くから
見ていたんじゃが、およそ重大な欠陥は存在しておらんかった。となると、
おぬしがなにかをしたとしか考えられん」
「なるほど。そうだな。そのとおりだ。しかし、答えるのはやめよう」
そう言ってンドゥールは椅子から立ち、部屋の扉に近づくと、おもむろに開
いた。

「んきゃあ!」
「ミス・ヴァリエール!」
ロングビルが驚きの声を上げる。室内にルイズが転がり込んできたのだ。
扉に耳を当て、盗み聞きをしていたのだろう。それでも悪びれることなく彼女
はンドゥールを見上げた。
「……なによ」
「別に、なんでもない」
ルイズは立ち上がり、パンパンと服をはたいた。顔は仏頂面だが、すぐにオス
マンとロングビルに向かって謝罪をする。
「申し訳ありません。私の使い魔がなにか粗相をしたのではと気が気でなりま
せんでした」
「いやいや、かまわんよ。おぬしにも聞きたいことがあったのでの。
ンドゥール、足労じゃったの」
「では失礼する」
頭を下げ、扉を閉めて彼は退室した。盲目だというのに一連の動作にすこし
のよどみもなかった。
「それでミス・ヴァリエール、あの男について何かわかったことはあるかの」
「……いえ、何一つわかりません。ただ、少々気になることがあります」

ルイズは決闘の際の、水筒のことについて話した。
「なるほどの。確かに自然にそうなるとは考えられん。ミス・ロングビル、お
ぬしはどう思う?」
「そうですね。偶然だということも否定はできませんが、彼がメイジだという
可能性が高いです」
「じゃの。それも水系統の」
「ですが学院長、あいつは確かに杖を持ってますがあれはそのためのものでは
ありません! だから、メイジではないはずです!」
どこか悲痛さの混じった声でルイズは言った。
「そうじゃが、仮にメイジではないとすると、いったい何者なんじゃろうな」
「ええ。それだけでなくあの異常な聴力、彼の言葉がすべて本当ならいまこの
会話さえも筒抜けということですわ」
「謎だらけじゃのう。ミス・ヴァリエール、ちょいと頼みごとをしてかまわん
か?」
「は、はい。なんなりと」


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