「ふ、はぁ~~~…」
アンリエッタはあくびを噛みころしながら、今日起きたことを思いかえしていた。
自分が召還した使い魔、コーイチ。
平民の者にしては姫である自分を前にしても落ち着いていて、優しそうな「いい人」だった。
そのコーイチは自分とは別の所で寝たいそうで、アンリエッタはかまわないと言ったのだが別の部屋に行ってしまった。
アンリエッタはあくびを噛みころしながら、今日起きたことを思いかえしていた。
自分が召還した使い魔、コーイチ。
平民の者にしては姫である自分を前にしても落ち着いていて、優しそうな「いい人」だった。
そのコーイチは自分とは別の所で寝たいそうで、アンリエッタはかまわないと言ったのだが別の部屋に行ってしまった。
メイジの実力を見るには使い魔を見よ。
この言葉通りならばアンリエッタは自分がメイジとして落ちこぼれなのではないかと思う。
それを考えるとコーイチは悪い人間ではないが、少しだけ憎たらしく見えるような気がした。
しっかりと準備をして召還の儀に望んだはずなのだが…。
そんなことを考えながら、まだ残っている書類仕事を片付けるため頭を回転させ始める。
この言葉通りならばアンリエッタは自分がメイジとして落ちこぼれなのではないかと思う。
それを考えるとコーイチは悪い人間ではないが、少しだけ憎たらしく見えるような気がした。
しっかりと準備をして召還の儀に望んだはずなのだが…。
そんなことを考えながら、まだ残っている書類仕事を片付けるため頭を回転させ始める。
ギィィ………
不自然に、ゆっくりと、きしむような扉の開く音。
いつもなら必ずノックがあるはずなのだが。
不審に思いアンリエッタがフッと振り向くとそこには
「エアハンマー」
杖を構えたメイジの姿が。
いつもなら必ずノックがあるはずなのだが。
不審に思いアンリエッタがフッと振り向くとそこには
「エアハンマー」
杖を構えたメイジの姿が。
突然の杖を構えられるという行為。
反射的にアンリエッタは飛びのいて背中をなぶる風から身をよじったッ!
反射的にアンリエッタは飛びのいて背中をなぶる風から身をよじったッ!
ドゴォッ!!
魔法が何かに当たったようで、破壊音と共に物が壁にブッ飛んでいくッ!
「キャアァァァッ!」
魔法の余波で軽く吹き飛ばされた。
バラバラと何かの砕けた破片のようなものがアンリエッタの体を打ち据える。
鞭打つような痛みに顔が歪み、頬を涙がこぼれた。
「キャアァァァッ!」
魔法の余波で軽く吹き飛ばされた。
バラバラと何かの砕けた破片のようなものがアンリエッタの体を打ち据える。
鞭打つような痛みに顔が歪み、頬を涙がこぼれた。
痛みを抱え、動揺しながらアンリエッタは考える。
何が起こったのか。何をされたのか。何をしなければならないのか。
今、何をするべきなのかと思ったときにハッと自らの杖のことを考える。
杖。水の力を蓄えられた自分の杖。力を発揮するための自分の武器。
何が起こったのか。何をされたのか。何をしなければならないのか。
今、何をするべきなのかと思ったときにハッと自らの杖のことを考える。
杖。水の力を蓄えられた自分の杖。力を発揮するための自分の武器。
混乱したままだが思いついた行動をとろうと頭を働かせる。
こんな轟音がすれば誰かが様子を見に来てくれる。
こんな轟音がすれば誰かが様子を見に来てくれる。
今は身を守らなくてはならないッ!
戦うことでは勝ち目はないッ!
ただ自分の身を守り、亀のよーに首を縮めて甲羅に閉じこもらなくてはッ!!
戦うことでは勝ち目はないッ!
ただ自分の身を守り、亀のよーに首を縮めて甲羅に閉じこもらなくてはッ!!
杖を掴むために周りを見回すが杖は見当たらない。
急がなければ。今は魔法の風で見えにくくなっていますが見つかればもうツギはないッ!
そうだ、テーブル。杖はテーブルに置いたのだ。
テーブルは部屋の中心付近。ここからなら二歩でつかめるハズッ!
急がなければ。今は魔法の風で見えにくくなっていますが見つかればもうツギはないッ!
そうだ、テーブル。杖はテーブルに置いたのだ。
テーブルは部屋の中心付近。ここからなら二歩でつかめるハズッ!
「そ、そんなッ!」
しかしアンリエッタは絶句してしまった。
なぜならアンリエッタはとてもツイていなかったからだ。
先ほどの風の魔法でテーブルごと、杖は壁ぎわまで「吹き飛んで」破壊されたテーブルの瓦礫に埋もれていたのだからッ!
しかしアンリエッタは絶句してしまった。
なぜならアンリエッタはとてもツイていなかったからだ。
先ほどの風の魔法でテーブルごと、杖は壁ぎわまで「吹き飛んで」破壊されたテーブルの瓦礫に埋もれていたのだからッ!
「ハッ!」
顔を向けたアンリエッタの視線の先。自分に襲い掛かったメイジと目があってしまった。
自分が絶句したときのこぼれた声。
その声を耳で拾ったメイジがこちらを見つめていた。
顔を向けたアンリエッタの視線の先。自分に襲い掛かったメイジと目があってしまった。
自分が絶句したときのこぼれた声。
その声を耳で拾ったメイジがこちらを見つめていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「誰も………来ないな…」
「え、あッ!」
「え、あッ!」
誰も来ない。
こんな轟音が自分の部屋から聞こえてきたら誰かしら様子を見に来るだろう。
ならばこの目の前のヤツがッ、目の前のヤツがッ!
こんな轟音が自分の部屋から聞こえてきたら誰かしら様子を見に来るだろう。
ならばこの目の前のヤツがッ、目の前のヤツがッ!
「少し…細工を、しておいた………待っていても、誰も、ここには来ない」
メイジはのそりと杖を構えた。この距離では魔法をよけることは出来ない。
逃げるにはドアを出なければならないが、その間にはメイジがいる。
頼みの杖は、手に取る前に呪文を唱えきられて終わりだ。
メイジはのそりと杖を構えた。この距離では魔法をよけることは出来ない。
逃げるにはドアを出なければならないが、その間にはメイジがいる。
頼みの杖は、手に取る前に呪文を唱えきられて終わりだ。
杖に魔力が満ちてきた。終わりだと、アンリエッタは思った。
もう終わりだと誰もが思う瞬間メイジが取った行動は意外だった。
意外や意外ッ!突然メイジは後ろにスバヤク振り向いたのだッ!
意外や意外ッ!突然メイジは後ろにスバヤク振り向いたのだッ!
ドシュッ!
放たれた風の一閃。それは飛んできた「剣」を弾き飛ばすッ!
弾き飛ばされた剣は勢いで壁に突き刺さったッ!
弾き飛ばされた剣は勢いで壁に突き刺さったッ!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
「何者、だ…お前……なぜここに…」
メイジが問うて、少年は少し息を切らせて答えた。
「さっき廊下を案内されてたとき、チラッと見てたんですよね……
こーゆーお城にありそうな剣が壁に掛けられてるの……」
こーゆーお城にありそうな剣が壁に掛けられてるの……」
「それでちょっとばかり借りてきたんですよ、その剣。
意外と重くてキツかったけど、それほどじゃありませんでした」
意外と重くてキツかったけど、それほどじゃありませんでした」
全く関係のないことを答えはじめた少年。
「オレは…なぜ、ここに、来たのかと……聞いてるんだッ」
初めてメイジの声が震えた。
「オレは…なぜ、ここに、来たのかと……聞いてるんだッ」
初めてメイジの声が震えた。
「なぜって……決まってるじゃないか」
ザワザワと立ち上がる髪の毛。そして覚悟が、勇気が瞳に満ちる。
「僕が使い魔ってやつだからだッ!」
ザワザワと立ち上がる髪の毛。そして覚悟が、勇気が瞳に満ちる。
「僕が使い魔ってやつだからだッ!」
バァァ―――――z______ン