ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

偉大なる使い魔-39

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匿名ユーザー

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「ワルドッ!」
ワルドがいつの間にか部屋の隅に立っていた。
「久しぶりだね、僕のルイズ」
この場にワルドがいるということは。
「プロシュートに、この場所がバレてしまっている!」
キュルケとタバサが杖を構え。ギーシュとモンモランシーが身を寄せ合った。
「大丈夫だよ僕のルイズ。彼は今、上にいるからね。テッペンから徹底的に
荒しまくってやると言ってたかな」
ワルド・・・わたしがここにいるのは偶然。待ち伏せはありえない。
「どこから入ったの?」
「勿論そこのドアからだよ、ちゃんとノックもしたさ。返事は聞かなかったけどね」
おどけた仕草でワルドは答えた。
「サイレント」
タバサが杖を構えながら呟いた。
「ご名答」
ワルドが薄く笑う。
「何時からそこにいたの?」
話している間ずっと気が付かなかったなんて。
「残念ながら話の終わりの方らしくてね。
よければもう一度最初から説明してくれないかな」
「ふざけないで。あなた二日前、タルブ村に居なかった?」
「ほう!よく知っているね、僕のルイズ」
なにが始祖ブリミルの怒りよ!
「やはり、あなただったのねワルド。お尋ね者のくせによくバレなかったわね。」
「フェイス・チェンジというスクエアスペルがあったからね」
顔を変えて潜り込んだわけね。
「じゃあ、手はどうしたのよ?」
わたしはワルドの無くなった手を指差した。
「簡単な事さ」
ワルドは呪文を唱え杖を振るう。するとヒラヒラ動いていた左袖から手が生えた。
「何かおかしくない?」
どこか違和感があった・・・はっきりと言えないが、それは間違い無い。
「気が付いたかい僕のルイズ。これは『右腕』の偏在でね・・・
お蔭で両手が右手の男になってしまったよ」
ワルドが両手を見せ付けるようにワキワキとさせた。
「気持ち悪い」
「はは、手厳しいな僕のルイズ。だけどアカデミーの連中は全く気が付かなく
てね、お陰で笑いを堪えるのに苦労したよ」
「ワルド、プロシュートと組んで学院を攻撃しに来たってワケ?」
わたしの質問にワルドは首を横に振る。
「今回はあくまでも彼一人さ、僕は彼を運び結果を見届けるだけさ」
「スクエアのメイジが運び屋にまで落ちたの?」
わたしの挑発にも動じなく、ワルドはニヤニヤと笑いを浮かべた。
「彼は実に凄いよ僕のルイズ。手足のメイジに始まりオークやミノタウルスまで
あっさりと倒してのけた・・・彼なら、いや兄貴ならエルフですら敵では無いと
僕は信じている!」
この野郎!・・・杖を握る手に力が入る。
「そして極めつけはタ・・・」
「ファイアーボール」
音を立ててワルドが消し飛んだ。
「もう喋るな」
ワルドを消し飛ばしたのに声だけは聞こえる。
「ククク、自分の使い魔を奪われて悔しいかい?悲しいかい?クハハハハハ」
「出てきなさいッ!殺してやる!ブッ殺してやるわ!ワルドッ!!」
「『ブッ殺してしてやる』そのセリフは殺してから言うものじゃないのかい?
僕のルイズ」
「お前がプロシュートを語るな!!」
杖を振りかざした手をキュルケが掴んでとめた。
「離してよキュルケ!」
「いい事を教えてあげるわルイズ」
「何よ」
「女の価値はね、相手にする男で決まるものなのよ。だから自分から価値を
落とす必要はないわ」
「はあ?」
何言ってるのこんな時に。
わたしの疑問を余所にワルドが不機嫌な声をあげた。
「貴様、誰に向かって口をきいているのか判っているのか?」
「誰って、話し相手に自分の姿も見せられ無いマザコンの腰抜け子爵ゥ?」
「貴様ッ!よくも!」
ワルドの言葉に殺気が籠る。
キュルケ、ひょっとしてワルドを怒らして引きずり出す気?
「グググ、ククッ・・・クハハハハハハ」
ワルド、気でも違った?
「思い出したぞ。貴様はラ・ロシェーロで合流した女だな・・・
あの時、彼の力を恐れて駄々を捏ねていたのは一体誰だ?・・・
腰抜け?その言葉は鏡に向かって言え!このゲルマニアの売女が」
キュルケがハシバミ草を噛み潰したような顔をする。
「グギギギギギギ・・・」
「ちょ、キュルケ。手、痛いわよ」
「ごめんなさいルイズ・・・あの子爵、性格ねじくれ曲がっているわよ」
「クハハハハハハハ・・・」
ワルドの笑い声がプツリと途切れた。周りを見渡すとタバサが杖を振っていた。
「サイレント」
「ありがとうタバサ。でもこれからどうする?きっとプロシュートに居場所が
バレてしまったわよ作戦も何も無いじゃない」
これから如何するか決める時に邪魔が入ってしまった。ぶっつけ本番・・・
行き当たりばったり、その場逃れでやるしかないの?
「それなら僕に任せてくれないかな?ルイズ」
薔薇の杖を構えながらギーシュが名乗りをあげた。
「あなたが?止めておいた方が良いわよギーシュ・・・」
「心配は無用だよルイズ。特訓をしていたのは君だけじゃ無いということだよ・・・
キュルケ、早速だが成果を見せる時が来たようだ」
知ってたのねギーシュ。
「やるしかなさそうね・・・」
自信たっぷりのギーシュと自信なさげなキュルケ・・・不安だわ。
「モンモランシー。君は僕が守る!」
ギーシュとモンモランシーが手を握り見つめ合った。
「無理ね。あんた弱っちいもの」
「はーっはっはっはっ!この信用の無さ!泣けてくるね!」
冴えないわねギーシュ。
「まあいいさ、僕の活躍を見れば。きっと僕を見直すだろうからね」
ギーシュが外に出ようと動きキュルケもその後に続く。
わたしも後に続こうとすると、タバサがずっとこちらを見ていたことに気付いた。
「何タバサ、まだ質問があるの?」
「一個借り」
借り?・・・思い当たる節といえば。
「氷の事?別に良いわよ原因は、わたしにある様なもんだし」
「一個借り」
人の話を聞かない子ね。
「あー、無駄無駄。タバサって言い出したら聞かないから」
わたしとタバサの、やり取りを聞いたキュルケが口を挟む。
タバサ・・・結構頑固なとこあるんだ。

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