ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

偉大なる使い魔-38

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匿名ユーザー

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床に散らばった氷を見てモンモランシーはブチブチと文句を言った。
「ちょっと、どうするのよこの氷。タバサ、もう一度氷を作ってよ」
しかし、タバサは首を横に振る。
「今から戦いになる、無駄な精神力は使えない」
そう言いながら氷を拾い自分の顔に押し当てる。
モンモランシーもブツブツ言いながら氷を拾い顔に押し当てる。
「それでルイズ。今何か起こっているのかしら。
これから戦いになるってなんなの?」
モンモランシーの問い掛けにより、その場にいる全員の目がわたしに向いた。
皆に現状を理解してもらう必要があるわね。
「プロシュートが無差別攻撃をしているのよ」
わたしの答えを聞いたモンモランシーの首がナナメに傾く。
「プロシュートって、ルイズの使い魔じゃない。確か死んだんじゃなかったの?」
「そう、それよ!私も、それが不思議だったのよ」
キュルケがモンモランシーを押しのけ前に出てきた。
「アルビオンの貴族派に偽りの生命を与えられ操られているのよ」
あの夢の通りならプロシュートは『虚無』によって生き返ったはず・・・
「偽りの生命・・・それってアンドバリの指輪のこと?」
モンモランシーの口から耳にしたことが無い名前が出てきたので思わず
聞きなおした。
「アン・・・なんですって?」
「アンドバリの指輪。水の精霊の秘宝。伝説のマジックアイテム。
知ってる人は殆どいないんじゃ無いかしら」
「なんでそんな事知ってんのよ・・・って確かモンモランシーの家は代々交渉役
を勤めてたんだっけ」
「ええ、そうよ。昔の話だけどね」
モンモランシーは肩をすくめた。

なんだかおかしな話になってきたわね・・・どういう事かしら。
仮説その一。
クロムウェルは生命の『虚無』を使えるしアンドバリの指輪も別に存在する。
仮説その二。
クロムウェルは誰も知らない(限りなく知る人が少ない)アンドバリの指輪を
使い『虚無』の担い手と称して皇帝に納まった。

      • ヤバイ。証拠なんて全然ないけどハマリすぎてるわ。
もしこれが当たってるとしたなら・・・
オリバークロムウェル・・・あのペテン師め・・・

「ルイズ!」
モンモランシーが目の前で大きな声をあげる。
「なっ、何よ。ビックリするじゃないモンモランシー」
「さっきからボーっとして、ボケた?」
「ちょっと、それシャレになんないわよ。
気になる事があって考え事をしてたのよ」
モンモランシーがタメ息をついた。
「まあいいわ、続きをお願い」
「えっと続きね、プロシュートが操られた所まで説明したのよね」
わたしの言葉にモンモランシーが頷く。
「それで無差別攻撃って何なの?」
まだモンモランシーは状況を把握して無いようね。
「いま体験した老化現象の事よ」
「これを、あの使い魔がやったって言うの?」
「やったと言うか、今も継続中なんだけどね」
全員の顔に緊張が走る・・・回復したとはいえ、まだ終わって無いのだから。
「じゃあ、ここでプロシュートの能力について説明するわね」
わたしの発言にキュルケが異を唱える。
「ちょっとルイズ今更説明なんて意味あるの?それよりも早く彼を倒さないと」
このアマ・・・
「キュルケ」
タバサがキュルケの名前を呼ぶ、キュルケはその呼びかけに応じ
タバサの方を見る・・・
「わかったわよ、おとなしく聞くわよ」
      • あの短いアイコンタクトで一体なにが・・・
そういえばマリコルヌの持ってた絵・・・いや・・・まさかね・・・
「あのね、あんた達はプロシュートの能力を中途半端にしか知らないから
全部説明しようって言うのよ。ギーシュ!」
「なっ、なんだね?」
いきなり呼ばれたギーシュは目を丸くしている。
「あんた、あの広場の決闘を憶えてる?」
「ああ、兄貴が僕のワルキューレを追い詰めてたね」
「あんた、おもいっきり負けてたじゃないの!」
わたしが言う前にモンモランシーのツッコミが入る。
「ああ!あれ全然老化と関係無いわね」
キュルケが逸早く気付いたようね。
「そう、あれこそがプロシュートの『スタンド』よ」
「「「スタンド?」」」
キュルケ、ギーシュ、モンモランシーの声が重なる。
タバサは黙ったままだった。
「ルイズ『スタンド』とは何だね?」
ギーシュが挙手して質問してきた。
「プロシュートが、そう呼んでいたのよ幽霊みたいなモノと思っていいわ」
理解してくれたかしら。全員の顔を見渡すとタバサが顔面蒼白になっていた。
死んだ魚の色みたい・・・

「・・・タバサ、もしかして幽霊が苦手なの?」
タバサがコクリと小さく頷いた。・・・表現の仕方を間違えたみたいね。
「言い方が悪かったわ。見えない『偏在』だと思ってちょうだい」
ワルドとのやり取りでそんな事を言っていたと思う。
「どう、タバサ別に恐くないでしょ『偏在』なんだから」
少しだけ顔色がマシになったタバサが挙手をして質問してきた。
「その『偏在』は全部で何体出せるの?」
「一体よ」
「その『偏在』の活動範囲は?」
「わからないけどプロシュートはあまり離して行動させないみたい」
何だか授業やってるみたい。
「私達には見えないというのが厄介ね」
キュルケが誰に聞かせるとも無く呟いた・・・見えない幽霊の様な存在。
以前何かで読んだことがある。犬や猫が何も無い宙を見つめている時
そこには幽霊が居るということを・・・
もしかしたら使い魔にはグレイトフル・デッドが見えるのかもしれない・・・
それを視覚共有で視れば・・・ダメね、あの姿を見たら戦闘どころじゃ無いわ。
わたしは普段なら逃げる事を良しとしないが、フーケ時は逃げてしまった。
見ればパニックは必至。この方法は提示できない!
「・・・あー、次にフーケを捕まえに行った時の事憶えてる?」
「あの光景を忘れる方が難しいわ」
キュルケが答えタバサも頷き同意する。
「私、知らないんだけど・・・」
「僕も知らないな・・・」
モンモランシーとギーシュが挙手をする。
「今から説明するわ。フーケが気を失いゴーレムが崩れたわよね」
「ええ」
と、キュルケが頷く。
「あの時『偏在』がゴーレムの腕をよじ登って行ったのよ」
「ああ!確かフーケ『何か』が腕を伝ってくるって言ってたわね」
「そう、そして『偏在』は『直』にフーケを掴まえた。その『偏在』に『直』に
掴まえられると、もの凄いスピードで老化するわ、まさに一瞬でね。
そして『氷』で冷やして回復してるけど『直』には関係無いから。
「なんですって!!」
「キュルケ声が大きい!」
慌てて口を塞ぐキュルケ。
「そして最後に無差別老化攻撃。これは今体験してもらっているわ『偏在』を
中心として最低でも約二百メイル内の生きている者全てを老化させる能力!」
「ブボッ」
ギーシュが氷を吐き出した。汚いわね・・・
「な、何だね!そのデタラメな射程距離は!」
「プロシュート曰く『老化』の方に力を使っているからだそうよ」
わたしが説明を終えるとタバサが再び挙手をする。
「これだけの現象を起こす力、精神力はいつまで持つの?」
「残念だけど、それは期待しないで」
「そう」
それっきりタバサは黙り込んでしまった。
「他に聞きたい事はあるかしら?」
手に持ったデルフリンガーがカタカタと震えだした。
「どうしたのよデルフリンガー?」
「いや、聞きたい事じゃねーんだけど頭の片隅に引っ掛るっつーか
喉の奥まで出掛かってるってヤツ?」
「役に立たない剣ね。思い出してから発言してちょうだい」
「悪いね、俺ァ忘れっぽいんだよ」
「さて、もう聞きたい事は無いかしら?」
あと、未確認の情報も伝えたほうがいいのかしら?
「質問いいかな、僕のルイズ」

部屋の隅から居るはずの無い六人目の声が聞こえてきた。


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