ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの番鳥-5

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匿名ユーザー

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「決闘なんか申し込んでどうすんのかしらね?」
「・・・・・・・・・・・・」
ペットショップとギーシュ、後その他諸々が出て行って閑散とした食堂
だが、キュルケとタバサはまだ優雅に昼食を進めていた
「トライアングル級かそれ以上の『水』の魔法を使えて空を飛べるんだから、ゴーレムなんて良い的にしかすぎないってのにさ」
「・・・・・・・・・・・・」
冷静に双方の実力差を判断するキュルケ。タバサは何も言わずに黙々と食事している
「唯一の手駒がゴーレムだけじゃ、負けは決まったようなもんなのにねぇ、それも分からないのかしら?」
あの鳥がギーシュ相手に手加減するとはとても思えない、それを考えて痛みがする頭を押さえるキュルケ
キュルケの頭の中では、何度も何度もギーシュとペットショップの戦いのシミュレーションが行われたが、結果は体に無数の氷柱が突き刺さって死亡するギーシュの姿が浮かぶだけ
まあ、ペットショップはギーシュを殺す気は無かったが、そんな事を知らないキュルケの頭の中ではギーシュの死亡は100%確定している
あんまりギーシュと仲良くは無い、しかし、知り合いが死なれると夢見が悪い。
そこで溜息を一つ突くと、最後に残ったワインを口に流し込んで立ち上がった。
視線の先には幸せそうな顔で眠っているルイズ。
朝の死闘や教室での惨事を思い出すキュルケ、あの傍若無人な鳥もルイズの言う事には素直に従っていたのを見た
決闘を納められるのはペットショップのマスターであるルイズしか居ないだろう
「ルイズ!起きなさいルイズ!!」
故にルイズを起こしてヴェストリ広場に向かわせようとした、が。
「うーん・・・・・・zzz」
キュルケの大声は届かなかった、夢の世界から帰還できないルイズ。
それを見たキュルケは先程の溜息より更に大きい溜息を突くと、持っている杖を思いっきり振り被った
そして躊躇無く振り下ろす――――杖の先にはルイズの頭が

ボカッ!


突然魔法の才能が覚醒した私は、ライバルのキュルケと決闘した!
だが、卑怯にもキュルケの奴はタバサと組んで私をコテンパンに叩きのめそうとする
しかし!グレートな才能に目覚めて歴史に残るほどの魔法使いになった私相手には力不足も良い所!
「何か分からないけどとにかく凄い魔法をくらえッ!」
ドカーン!
「うーん」「ルイズ凄い」
土下座するような体勢で気絶しているキュルケと私の実力を素直に賞賛するタバサ
私は仁王立ちで高笑いしていた
幸せの絶頂―――――ボカッ!

「あ痛ッ!」
突然の痛みに意識が覚醒した。頭を押さえて悶える私
涙が出てきそうな目を開けると前方に呆れた顔のキュルケが見えた
何をするだーッ!朝の事も思い出した相乗効果でプッツン!その時私の中で決定的な何かが切れた!
即座に杖を振り上げて呪文を唱え、憎きキュルケを吹き飛ばそうとする!
「・・・・・・・・・・・・・」
だけど、私が魔法を使うより先に、何時の間にか背後に回っていたタバサが羽交い締めしてきた。はなせぇ!
暴れる私の前に宥めるようなキュルケの声
「アナタの使い魔だけど、ギーシュと決闘しに行っちゃったわよ?止めなくて良いの?」
へっ?ペットショップが?ギーシュと?なんで?ご飯抜いたから?
私の疑問に、床を拭いていたメイドが何故か立ち上がってこっちに向かって来・・・・・・うん?何か臭い。
「あの・・・・・・ペットショップさんのマスター様でしょうか」
ペットショップ・・・さん?何でさん付けなの?あのアホ鳥がまた何かやらかしたの?また何か弁償しなければならないの?
混乱し続けてまともに働かない私の頭、目でキュルケに助けを求める。
キュルケの簡潔な説明では、ギーシュに苛められてたその子をペットショップが助けて、ヴェストリ広場に決闘しに行ったらしい。

 ・・・・・・「何よその目」
私の胡散臭いモノを見るような目に気付いたのか、鼻を鳴らして威嚇してくるキュルケ。
助けた?あいつが?一緒に過ごしてまだ2日も経ってないけど、ペットショップがそんな心を持ってるとはとても思えないのよね。
まあ、いいや。今の私には何を持ってしても最優先でやるべき事がある。
「とにかく分かったわキュルケ」
「なら早く行きなさい、アナタの足の長さじゃ急がないと間に合わないわよ?」

私の言葉に憎まれ口で返すキュルケ。よし、油断してるわね!今がチャンス!
自然な動作で杖を握り、私のできる最速の動きで杖を振って呪文を唱える!

ドカァァン!

爆発が起きた。キュルケは吹っ飛んだかしら?

「ななな何すんのルイズ!?」

チィ・・・・・・寸前で回避したようね。煤は多少付いてるけど殆ど無傷だ
「何すんのって?勿論あんたを吹き飛ばすためじゃない!」
大体、ペットショップがギーシュと決闘?嘘ね!
どうせ何も無い広場にのこのこ行った私を嘲笑うつもりね!?
無関係な平民のメイドまで用意して周到に備えたようだけど、このルイズ様を騙すのは100年早いわよ!
もう一度呪文を唱えようとする。狙いは完璧!・・・・・・あっ!?逃げた!
「待てぇ!」


食堂から飛び出したキュルケと、それを追撃するルイズ
その場にはポカンとしたシエスタと我関せずなタバサだけが残った。


所変わって、ここはヴェストリ広場。普段は人気のない場所だが、今は生徒達であふれ返っている。
中央に向かい合って立つのは少年と鳥、ギーシュとペットショップである
「諸君! 決闘だ!」
ギーシュが薔薇の造花を掲げて決め、それに歓声が答える。が、その中には低い笑いと生暖かい視線も少しあった。
「『ゼロ』の使い魔相手にマジになってどーすんだギーシュ」
「飛ばれたらどうすんのよ?」
冷めた目でそれを見つめる少数の生徒。だが
基本的に刺激に飢えている子供達は殆ど全員が面白がってこの『決闘』と言う名の『演劇』を見ていた
「では、行くぞ!」
薔薇の造花を振って一気に数体のゴーレム『ワルキューレ』を生み出す
ギーシュの戦法はこうだ。
まず、ゴーレムを生み出す、そしたらあの使い魔はゴーレムの攻撃を恐れて、空に飛びあがり遠距離から氷柱を発射してくるはず。
そしてあの使い魔がギーシュの手駒をゴーレムだけだと判断した油断は隙となるだろう。
それにドンピシャのタイミングで、『つい先日』取得した『魔法』石礫をカウンター気味にぶつけるのがギーシュの狙いだった。
しかも石礫を霧吹きのように広範囲に飛ばす事で、あの鳥がどれだけ速かろうとも、時を止めない限りは絶対に回避不可能!
(あの鳥がどれだけ頭が良いか分からないけど、所詮は獣だ、恐れるに足らないさ)
見えてきた見えてきた!勝利への感覚が見えてきた!なギーシュ
それに対して、ペットショップは

「キョキョキョ」

何と地面に立ったまま動かない!
しかも翼を「掛かって来い」と言わんばかりの態度で振っている。
これにはギーシュもカチンと来た、ルイズの使い魔に舐められていると自覚する。
「やれえッ!ワルキューレ!」
円陣用の数体を残して、残りのワルキューレを突撃させるギーシュ
ワルキューレとの距離が10メイルを切り5メイルを切り―――遂には2メイル手前まで接近されても微動だにしないペットショップ
いや。
「キョキョ!」
一鳴き後、氷柱を瞬時に形成。
そのまま前進を続けるワルキューレの頭部に射出。
しかし、それを見たギーシュの顔に笑みが浮かび、ババッ!と大袈裟なポーズを決めて気障に叫ぶ。
「その動きは読めている!」
氷柱が発射される寸前に、ワルキューレは頭部を自身の腕で覆っていた。
ガンッ!
氷柱は砕けて破片を撒き散らしただけで、防御したワルキューレはほぼ無傷。
そしてペットショップに最も接近した一体がそのままの勢いで足を大きく振り――――

ゴガッ!

思い切り蹴飛ばされたペットショップは、ボールのように地面を跳ねた!
バウンドして空中に跳ね上がったペットショップの体をもう一体のワルキューレが補足―――硬く握り締めた拳を叩き付ける!

ドゴッ!

これまた凄い音を立ててペットショップの体が地面と水平に飛ぶ!
そのまま10メイル以上吹き飛ばされたペットショップは、木に衝突した後漸く、重力を思い出したかのよう地面に落下する。
時が止まったかのような静寂から数瞬―――広場を歓声が埋め尽くした。


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