ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

割れないシャボンとめげないメイジ-7

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匿名ユーザー

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食堂にて実に対照的な朝食を終えた2人であったが、あれからこれといった衝突もなく平穏に食事を終えた2人であった。
それから2人は食堂を後にしたわけであるが、一方は目的を持っているようにズンズンと迷いなく進んでいる。
そしてもう片方はその後を付いてまわっている。
見ようによっては強引に連れまわしている恋人同士とも見えなくもないが、一般的にはエスコートする立場にある男性が頭二つ分程低い女の子の後を歩いているといった時点で既におかしい。

「所でこれから一体何処に向かうんだい?」
「ここは魔法学院だからね、これから朝の講義よ」

『世の中は貴族による魔法によって回っている。それ故、貴族は貴族足らしめる態度を養い魔法を学ぶ』というのが目の前のルイズの弁である。
結論として貴族と平民とでは天と地ほどにかけ離れているという事らしい。
それは単に地位といった物ではなく単純に力によるものであるという事をを知ったシーザーであったが、問題は『使い魔』とはある意味平民よりも地位の低い立場であるという事を知ったということである。
何しろ使い魔はメイジの実力に見合った獣やモンスターが応じる。
それは実力者のメイジには強力なドラゴンがといった具合にである。
よって、現在の立場は貴族の価値からすると下手な平民よりも地位が低い。

 本音を言えば直ぐにでもこの学院を取り仕切っている人物の所にもとに居た所へ帰りたいと掛け合いたい所だが……
 どうにも今の俺の立場は平民と言われてはいるものの、実際にはそれ以下の扱いしか今まで受けてないからな。
 今までのルイズの言動からしてここの責任者への面会も許されない可能性が大きいだろうから自分で調べるしかないか……

使い魔という立場は自然、シーザーの帰る方法は厳しくさせている。
ならばこの小さい少女と一緒に授業を受け、少しでも手がかりを探すためにも暫くは付き従わなければならないという結論にならざるを得なかった。
そんなシーザーであったが、目の前に数多くの『使い魔』を見ると少々気圧されてしまう。
フクロウやネコといった魔法使いのイメージに沿うモノから、巨大なヘビといった『動物』といったカテゴリーに分けられる中では変わったモノも居た。
だがその中でも最も目を引くのはルイズの部屋から出た時に見たキュルケのサラマンダーの様なまるっきり空想の住人であろう。
そしてそのような生き物がごまんと居るのだ。気圧されるのも当たり前とも言える。
そういうファンタジー丸出しな中でも二本足で歩く猫のような可愛らしい生き物も居たのだが、外見が恐ろしい生き物が大半を占めていた。

そんな中でシーザーだけが浮いていた。
何しろ1人だけ人間でその上平民のカテゴリーに入っているからだ。
それだけで既に注目を浴びている。
案の定先に教室へ来ていたこれらの使い魔の主は今しがたやってきたシーザーに向かってクスクスと笑っている。
より厳密に言うならばその主ルイズに対してである。
その嘲りの笑いの中でもルイズは空いている席に腰を掛けた。シーザーも座ろうとしたが……

「ここはメイジの為への席よ。使い魔は座っちゃダメよ」
と睨まれながら言われてしまった。

一応従うという方針ではあるので渋々従うが、床に座ると机が邪魔で見えない。
仕方が無いので帰る方法を探す上では不利になるかもしれないが、ルイズの隣に座る。
今度は何も言われなかったが、それは講師が教室に入ってきたからかもしれない。

「あらあら、春の使い魔召喚は全員大成功したようですね。このシュヴルーズ、こうして色々な使い魔を見るのが楽しみなのですよ」
そうして端から端まで見回したあと、ある一点に視点が定まった。
「まぁ、中には随分と変わった使い魔を召喚した方もいらっしゃいますが」
その言葉の後に周りからどっという笑いに包まれる。
それに対してルイズは抗議の声を上げ、それからは売り言葉に買い言葉。すわ取っ組み合いかと思いきやシュヴルーズが治めた。
ルイズは最初の注意で反省し、周りで笑っていた人間はシュヴルーズによって口を土で塞がれていた。
それからは皆が静かになり、順調に授業は進んでいった。

その中でシーザーが知ったのは魔法の系統、トライアングルやラインといったメイジの実力、そして彼女の系統の土の魔法の一例である錬金。
そしていざ実践ということで用語の解説をシーザーにしていたルイズが指名された。
そしたらば、キュルケがシュヴルーズに困ったように中止を勧めた。
原因をはっきり言わないが、その表情と雰囲気は雄弁に『危険』だと語っている。
キュルケの弁に加えてルイズを除いた全ての生徒が沈黙したまま首を縦に振っているのも説得に拍車を掛けている。

だが、シュヴルーズは彼女が努力家であるということでそのままやらせた。

それがこの惨事を起こすとはシーザーとシュヴルーズは露にも思わなかった。
結果から言えば錬金は失敗した。その失敗は教壇の机ごと石が爆発したのである。
至近距離で爆風を浴びたシュヴルーズは失神し、当の本人は煤にまみれただけ。
他の生徒距離が離れていたので確たる被害は皆無であったが、正しく爆音であったため昼寝をしていたキュルケの使い魔の吐いた炎によって使い魔たちは上に下への大騒ぎであった。
よってこの騒ぎを起こしたルイズは使い魔共に教室の片付けという名の罰を言いつけられたのであった。


「おい、ご主人様」
「何よ。口を動かすなら先に手を動かしなさいよ」

シーザーの手には雑巾、対するルイズは何も持っていない。

「少しは手伝ってくれても良いんじゃないか?」
先ほどから少女はほぼ全てをシーザーに任せっきりであった。
やったことは全ての机に対して雑巾でもって拭いたのみ、それもイヤイヤである。
瓦礫の片付けから窓の運び入れ、窓拭きなんかは全てシーザーの手による物であった。
根っからの女ッたらしであるシーザーも少しは愚痴りたくもなるものである。

 何もよキッカリ半分手伝えとかは思っちゃいねぇが、せめて五分の一位は手伝ってくれてもいいんじゃないか?

「……わかったでしょ?私が『ゼロ』って言われてるのが」
そう、思っていた矢先にポツリと、形の良い唇から零れたのだ。

「――何をやってもダメ、基本的な魔法も爆発になっちゃうのよ
 あんたを召喚した時も失敗ばかり。なんだかスゴい風や石にシャボン玉しか出てこなかったのよ」

「別に俺は魔法が使えるという訳じゃないからな、アドバイスなんかはムリだ。
 けれども、その努力までは無駄にはなりはしないだろう?
 さっきのミセス・シュヴルーズだってシニョリーナの事を『努力家』だと言ってたじゃないか」

「フ、フン!そそそそそんなことあんたに言われなくたってわかっているんだから!さぁ早く食堂に行かないと昼食が無くなっちゃうわ!」


そう、言った後ルイズはシーザーに背を向け歩き出した。
口ではそう言ってひいても耳が赤くなっているのがシーザーから見れば一目瞭然であったが敢えて言わなかった。
今まで付き合った女の子の性格にこのように扱い難い子も居たのだ。そしてそれを指摘したら怒るということも。

 折角元気出したんだ。例え短い時間でも不機嫌になるのは嫌だしな

 ちょ、ちょっとはご飯を多めにしてもいいかもね。躾の基本はアメとムチだものね!

そう両者は思ったとか


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