ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

杖をとりかえしにいこう! その①

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匿名ユーザー

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ゼロの使い魔ジョルノ編 杖をとりかえしにいこう! その①

ぼくの名前はジョルノ・ジョバーナこと汐華初流乃。
何の運命の因果かこの奇妙な世界に飛ばされ、あまつさえある少女の使い魔(手下のようなものらしい)にされてしまった。
これでは夢もなにもあったもんじゃあない。日夜もとの世界に戻れるよう努力してるものの、手がかりはいまのところゼロだ。
いや、しいて挙げるとするなら以前シエスタを助けたときのあのエロ本か。
アレの存在でぼく以外に異世界に飛ばされる現象が以前にもあったと推定できるが……それ以上はわからない。

とはいえ、なんだかんだでこっちの生活も楽しんでいたりする。ルイズはやかましいし、キュルケはいつもぼくに付きまとって邪魔だが、
優しいシエスタさんもいるし、お金もギーシュから巻き上げているので基本不自由しない。
あのマンモーニはぼくがここに来たばっかのとき、調子に乗ってぼくに決闘を挑んでちょっと気合を入れてやって以来、
いい友好関係を結んでもらっている。ちょっとやりすぎと思うときもあるが、ま、彼は貴族なんだし、堪えてもらおう。

話は使い魔の品評会とやらで、ぼくがゴーレムに殺されそうになった日からしばらくたってからのことだった。

 ***

「ジョルノ! あんたどこ行ってたのよ。使い魔ならいつも私のそばにいなさい!」

突如ルイズの妙に甘ったるい叫び声が脳髄に響く。
屋外のテーブルでのんびり昼食をとっていたぼくは、ちょっと癪だったのでなるべくゆっくり声に反応する。
まったく、せっかくのお昼をシエスタさん特製のピッツァマルガリータを食べて過ごしていたというのに。

「……なにか用ですか?ルイズ」
「フーケを捕まえにいくわよ。来なさい」

やめとーけと、言うベーきか~……どうせ徒労か。

「フーケ……と言うと、先日の泥棒でしたっけ。どういうことです?」

事情を説明すると、ぼくがランチを堪能している間、ルイズは校長らにフーケの件で呼ばれたらしい。
ミスロングビルが街中の聞き込みから浮かび上がった、森の奥に潜む怪しい人物が彼女かどうか確かめるためだと。
実際、目撃証言をもとに書かれた絵は、確かにフーケの姿だったらしい。
そこでフーケに奪われた『破壊の杖』奪還のために人を募ったのだが、いかんせん相手はあのフーケ、
教師たちは皆顔を見合わせるだけでなかなか挙げる人がいない。

「で、どういうワケかルイズ、あなたが杖を挙げてしまった、
それに続いてキュルケとタバサも挙げてしまった、と」
「なによ、その言い草は。ひっぱたかれたいの!」
「いえ、別に。まぁキュルケやタバサ、それとミスロングビルもついてくるそうですし、
心配する必要はなさそうです。しかしルイズ……」
「なによ?」
「なにか妙だとは思いませんか? いままで何の証拠も残さず獲物を奪っては消えていったという
フーケの手がかりが、こんなあっさり見つかるなんて。
彼女の罠かなにかと思ってもいいんじゃあないでしょうか?」
「なんでフーケが私たちを罠にはめなきゃならないのよ?それに罠かどーかなんて、
行ってみなきゃわかんないじゃない!それに……」
「?」

そこまで調子よくまくし立てていたルイズは、突然言葉を詰まらせた。
少しうつむいて、何か思いつめたような表情をしている。

「アンリエッタ様が……今回の事件で責任を取らされるかもしれないって。
姫様は私が困ったときにいろんなことをしてくれた。だから、今度は私が……」

アンリエッタ……あの時のお姫様か。そういえば二人とも仲良かったみたいだし、
エロ伯爵の件も彼女が穏便にするよう取り計らってくれたらしい。
先日、その例の王女がお忍びでルイズのところまで来たことを思い出す。
……なるほど、それで後先考えず杖を挙げたってわけか。

「……わかりました。王女には以前、貴族の件でお世話になりましたし。
フーケにも先日の借りを返したいと思ってたところです。行きましょう、ルイズ」

と言うわけで、ぼく、ルイズ、キュルケ、タバサ、そしてミスロングビルの5人はフーケの
いるらしい山小屋に向かったのだった。

 ***

「ジョルノ~あ~ん」
「いえ、自分で食べます。ああ、美味しいですねこれ」
「もう、シャイなんだから。あ、でしょ~? ゲルマニア特製のフルーツなのよ」
「ちょっと! あたしの使い魔に勝手にエサやらないで!」
「いいじゃない、移動中ヒマなんだし。ねぇタバサ」
「知らない」

屋根を取り払ったような馬車での移動中、ふと疑問に思ってルイズに聞く。

「ところで、フーケが魔法を使っていたと言うことは彼女は貴族なわけですよね?
なぜ貴族が泥棒なんかやってるのでしょうか」
「メイジが全員貴族とは限りませんわ」

答えたのは、たずなを握っていたロングビルだった。

「元は貴族でも、さまざまな理由で貴族から平民となったものも多いのです。
そのなかには傭兵に身をやつした者や、犯罪に手を染めるものもおりますわ。
この私だって……」
「ええっ、ミスロングビルはオールドオスマンの秘書なんじゃ……」
「オスマン氏は、貴族や平民にとらわれない人ですから」
「へえ~、それじゃどういった事情で貴族の名を?」
「ちょっと、失礼じゃないゼルプストー」

「なによ、いいじゃない。ちょっとおしゃべりしたかっただけよ。
あ~あ、つまんないの。ねぇダーリン、この前あなたの洋服にピッタリのブローチみつけたの。
今度一緒に買いにいきましょう」
「結構です。僕も忙しいので。それより胸を押し付けるのはやめてください。
あんまり人と近距離でいたくないんです」

この人はどうも苦手だ。何というか、母親を思い出す。

「あたしの前でイチャイチャするなーーーーッ!! このコルネ――ッ!」

……杖を奪還する前にぼくが倒れてしまいそうだ。精神的な疾患かなんかで。
それより……

元貴族……ミスロングビル……犯罪者……フーケ……
ルイズの話によると、フーケの情報を持ってきたのはミスロングビル。似顔絵も、先日の姿そのままだったらしい。
結構人に見られたというのに、変装もなにもしないまま……
ロングビル……フーケ……同じ緑の髪……
まさか、ね……


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