ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

杖をとりかえしにいこう! その④

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
『杖をとりかえしにいこう その④』
あらすじ
どういうわけかルイズの使い魔になっちったァ~ジョルノ・ジョバーナ
仲間たちとともに盗賊退治にでかけたのだ
色々あって杖をゲットしたものの、ゴーレムが強襲!!
出来もしないくせに飛び出したルイズにゴーレムの魔の手ッ
ジョルノとルイズはダメージを追いながらも「破壊の杖」でゴーレム撃破!!
と、思いきやゴーレムは無傷でした! どうする、ジョルノ!?
(詳しい内容を知りたい人はまとめwikiにあるのでよかったら見てくださいすいません)

 ***

「なんで……当たったはずなのに!」

確かに弾はゴーレムに命中した。
その証拠にゴーレムの腹の辺りにはそれらしいヒビが入っている。
だが、それだけだった。
ゴーレムは特に動きに師匠をきたしたわけでもなく、先ほどと同様緩慢かつ力強い動きで僕らのほうへ近づいてきた。

「どうしようジョルノ!! あたしたちもうダメっ」
「落ち着いてくださいルイズ。……これでいいんです」
「嫌よジョルノォ、こんなところで死ぬのがいいわけないじゃない……」
「ですからルイズ……これでいいんです……『目的』は達成されました……
破壊の杖……ロケットランチャーを命中させた時点で、僕たちの勝利は決定しました」
「……? 言ってる意味がわからない……ジョル……」

その時、地響きが一つ、ドシンと鳴った。
僕と僕に抱きついて泣いていたルイズは、肩膝をついて苦しそうにしている(ように見える)ゴーレムを見た。

「何、これ……? 攻撃は効かなかったはずなのに……」
「確かに、『破壊の杖』そのものの爆発は大したダメージを与えなかったようです。
正直、予想以上でした……結構びっくりです。まあ、そんなことは今更どうでもいいんです、ルイズ。
肝心なのは『破片をヤツの体に埋め込んだ』かどうか、です。思い出して下さい、僕の能力。
先ほど発射するときすでに……弾にゴールドエクスペリエンスの生命を与えました。
外から破壊できなければ、内部から壊してもらえばいい……弾は……『木の根』となって今! 発動するッ!!」

ゴーレムは、なんとか体勢を直そうと立ち上がろうと試みたが、さらに苦しみ悶えだした。
表面に僅かしかなかったヒビが、いまは巨大な亀裂と化していた。
そして亀裂からは十分に成長した木の根と蔓が飛び出す。

「ゴーレムが壊されていく……!? 外からの一時的な衝撃じゃなくて、
中からのゆっくりで、でも確実な力が……頑丈な鎧を砕いてるっていうの……」
「さて、足のほうもうだうだしてるうちに治りましたし、ルイズも怪我は無さそうですし、
いいかげんトドメをさしましょうか……」

亀裂から飛び出した蔓と根は、いよいよゴーレムをがんじがらめにした。
身動きとれず崩壊寸前なゴーレムの真ん中あたりの根を、さらに伸ばす。
それを僕らのいる場所まで伸ばして地面に張れば、ゴーレムへの橋が出来上がる。
僕は立ち上がり、その橋を使ってゴーレムのところまで一気に駆け上がる。

「僕の足の分、それに僕の仲間たちを危険に晒した分、それとルイズの涙の分。
まあ一番は足の痛みとして……まとめて受け取るんだな。
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ無駄ァ――――ッ!!!!」

僕のスタンドのラッシュはそこまで強いものではなかったが、
瀕死のゴーレムのトドメには効いたようだ。
ゴーレムの上半身は完全に崩壊し、送れて下半身も魔力を失い土くれと化した。

砂塵舞う中を着地すると、ルイズが駆け寄ってきた。
その頭越しに、タバサらの竜(そういえば居たっけ)が近づくのが見えた。

「ジョルノ、足はもう大丈夫なの?」

ルイズにしては珍しく素直な態度だった。

「はい、もう平気です。まだ埋め込んだばかりなので少し違和感があるくらいですが」
「そう、よかった……もしあの時ジョルノが死んじゃったら……私……」

まだ泣きそうな顔をしていたルイズはそこまで言ってから、
突然我に返ったように突然顔を赤らめ、
いつもの突っ張った表情をして僕を突き飛ばした。

「べ、別にそーゆー意味じゃないからねっ! あたしの使い魔が死んだら示しがつかないでしょ!?
と、とにかく使い魔としてはよくやったわ! 後でご褒美あげるから、今のことは忘れてよねっ!」
「はいはい、僕のご主人様。しかし……こうするとやはり……」

「ジョルノ~ルイズ~。大丈夫―――?」

キュルケの声がした。タバサの竜から二人が降りてくる。

「あのゴーレムを倒しちゃうなんてぇ~さっすがあたしのダーリンねぇ~」」
「ちょっと、やめてもらえません、一応さっきまで足折ってたので。
それに、今のはほとんどルイズのおかげです。彼女がいなかったらやられてたかもしれません」
「ジョ、ジョルノ……? あたし、なにも……」

予想外の僕の言動にルイズは動揺した様子だった。否定しようとしたルイズの言葉をさえぎる。

「ルイズ。あなたの勇気と示した『覚悟』の姿は素晴らしく美しいものでした。
僕が言う立場ではないのかもしれませんが、ルイズ、あなたは立派な貴族です。
もっと胸を張って堂々としていてください」
「ジョルノ……」
「……フーケは何処に……」

タバサが言った直後、ミスロングビルが木陰から姿を現した。
みんなは気づいていないようだったが、その表情はいつもの柔和な印象のそれとは少し違っていた。

「ご苦労様」
「ミスロングビル!? いままで何処に?」
「さすが破壊の杖ね、私のゴーレムが粉々じゃない」
「私のゴーレムって、まさか!?」

メガネをとったその姿は、僕らの知るミスロングビルじゃあなかった。
氷のように冷たい眼光。それはあの学園の秘書の目ではない、
むしろ僕のよく知る世界、ドス黒い闇の世界にいる人のそれだった。

「やはり……あなたでしたか。ミスロングビル、いえ、土くれのフーケ」
「そんな、ミスロングビルが……くっ」
「動かないでっ!! ……この破壊の杖、手に入れたはいいけど、使い方がわからなくて困ってたのよね。
魔法学院の誰かなら、上手く使ってくれると思ったのよね。教師じゃなかったのは見当違いだけど、
そこの使い魔なら出来ると思ったわ、さすが『ガンダールグ』ね」
「あんた、僕のいた世界のこと知ってるのか……?」
「さあね、私が知ってるのはあなたの手の紋章がすごいものってことだけ。
いずれにしろあんたたちには必要ないわ。ここで死んでもらうから」
「ひっ……!!」
「紋章……。ロケットランチャーも気になりますが、
とりあえず今はあなたの知ってることを教えてくれません? なんでもいいのですが」
「ジョルノ!?」
「はぁ? あんた今の状況わかってるの? それとも死ぬのが怖くないとか?」
「いいから教えてくださいよ……あなたの知ってること、別に減るもんじゃあないんですから……」
「(イカれてんの、こいつ。人間とはいえ、所詮は使い魔か)
だから知ってるのはさっき言ったことまでよ。さよなら、使い魔クン」
「ダメぇっ!! ジョルノ――――-――!!!!」

フーケは、先ほど僕がルイズに教えたようにランチャーのボタンを押した。
それでさっきと同じように、僕らを粉々に出来ると思ったのだろう。
しかし『破壊の杖』は起動しない、何も教えてくれない。
僕の体が昔より大きくなったからじゃあない。

「何ッ!? どうして……?」
「それは僕の世界の武器でね……単発式で、ここじゃあ一回こっきりの武器なんですよ。
さっき使った時点でそれはもうただの鉄屑、というわけですね」
「くっ、そんな……」

フーケは悔しそうに顔をしかめると、ランチャーを捨てようとした。が、それはできなかった。
彼女の腕から体にかけて、異形の姿になったランチャーが巻きついていたからだ。

「こ、これは、一体!?」
「既にあなたの敗北は決定していたということですよ、フーケ。
先ほど、ゴーレムを倒した際、ついでにそれを『大蛇』に変えておきました。僕の能力でね」
「馬鹿な……ぐうぅ!!?」
「フーケさん、まさかさんざ僕らの命を狙っておいて、それで助かろうなんて甘いこと考えてませんよね?」
「がはっ……嫌っ、た、助け……」
「何も知らないのならもう聞く必要もありませんし。それではさ よ う な ら、フーケさん」

言い終わった直後、フーケは膝をつき、そして白目を向いてパタリと倒れた。同時に大蛇を元に戻す。

「ジョ、ジョルノ……ほ、ほんとうに……?」
「いえ、ただ落としただけです。まさか、本当に殺すわけないじゃあないですかルイズ」

本気で取られたら嫌なのであえて軽い調子で言ってみたがなんだか雰囲気が微妙だった。
ルイズの僕に対する目がなんか化け物かなんかを見ているように見えたが気のせいと思うようにしておく。

「これで任務完了、といったところでしょうか。さ、帰りましょう。シエスタさんのピッツァが恋しいです」
「あ~んちょっと怖いジョルノも最高~ん」
(……じゃまくせえ)

 ***

その後、フーケの身柄は兵隊に引き渡され、そして盗賊を討伐したということで、ルイズ、キュルケ、タバサの三人は
王室から褒章をもらえることになったらしい。

「ジョルノ君、残念だが、君は貴族ではないのでな……」
「いえ、そんなのは別にどうでもいいです。それより、少し時間をいただけませんか? 聞きたいことがあるんです」
「ジョルノ……」

ルイズたちを先に退室させ、部屋にはオスマンと、コルベールとかいう禿げた教師と僕が残った。

「前にも言いましたが、僕はこっちの世界の人間じゃあないんです。どういうわけか、ルイズに召還されてこっちにきたんです。
あの武器、破壊の杖は僕の世界の武器でした……どういう経緯であれを?」
「なんだって!? 君が……まさか」
「ふむ、そうか、やはりのう」

僕の存在については前々から感づいていたのか、オスマンは慌てず落ち着いた物腰で経緯を話し始めた。
なんでもあの武器は、その昔、オールド・オスマンが危機に面していたところを助けてくれた男の遺留品だということだ。
その男は見たこともない格好をしていて(恐らく兵士だったのだろう)二本のロケットランチャーのうち一本を使って彼を助けたらしい。
その後その男は死んで、残りのロケットランチャーは破壊の杖と名して宮廷に献上したと言う。

「そうですか、帰られる手がかりが見つかったと思ったのですが……残念です」
「まさか君が彼と同じ世界から来ていたとはのう。まあそう気を落とすでない。手がかりについては私も協力しよう。
それにここも住めば都だぞ? なんならいい嫁さんを見つけてあげてもいいぞ? いや、君なら女のほうから寄ってくるかの?
なんてな、ハッハッハッハ」
「………………ありがとう、ございます」

 ***

その晩、予定通りパーティーが開催された。
大広間には豪華な服を着飾った男女に溢れ、テーブルには高級そうな料理が並んでいた。
食べてみたらどれも美味しかった。やはりあの料理人たちは最高だ。
シエスタさんが僕に特製のピッツァを振舞ってくれた。
キュルケは相変わらず男たちに囲まれてさしずめ女王様、といったところだった。
タバサはその小さな身体に似合わずえらく大きな肉を淡々と食べていた。
ルイズはまだ姿を見せていなかった。
おなかも膨れたし、どうもパーティーな気分にはなれないので、ひとりテラスから外を眺めている次第だ。
夜空を照らす二つの月は相変わらず綺麗だった。

「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール女の、
おなあああああWRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY」
(今、妙に懐かしい父親のような響きが……気のせいか?)

階段からあがってきたルイズの姿は、いつものルイズとは違う、その、言いたくはないが、今宵の月のように綺麗だった。
ドレスに身を包み、髪をまとめた姿は確かに貴族らしい、美しくも いでたちだった。
いつもはからかってる男子生徒たちが、意外なほど綺麗なことが判明したルイズに
(新学期に見たとき意外と可愛くなってる委員長に気がついたときの心境か)我先にとダンスを申し込んでいた。青春だねえ。
ふとルイズと目が合った。ルイズは男子生徒の申し込みを巧みにかわして、まっすぐ僕のほうへ歩いてきた。

「やあルイズ、いつもと違って綺麗じゃないですか。馬子にも衣装ってやつですかね?」
「うっうるさい。なにぼけっとしてんのよ!」
「別にいいじゃあないですか。言いつけがない以上、僕がどこでなにしてようと僕の勝手です」

どうやら中身は変わってなかったらしい。口を開けばいつものルイズへと戻っていた。
どういうわけかその当たり前の事実に少し安心した。彼女は僕の知ってるルイズだ、と。
ふと部屋の照明が少し暗くなり、管弦楽団による緩やかなワルツが流れ始めた。
僕は音楽はプリンスとジェフベックしか聴かない主義だけどね。
ルイズは少しの間ためらうようにうつむいていたが、僕に向き直ると、口を開いた。

「……その、踊ってあげてもよろくてよ?」
「はい?」
「だーかーらっ。あたしと踊ってあげるっていってるのっ!」
「普通、『私と踊ってくれませんか?』じゃあないんですか。よく知りませんけど」
「も~っなんでいつもいつもあんたは~~っ。……今日だけだからね」

ルイズはドレスのスカートの両側を軽くつまんで、僕にお辞儀をした。よく映画でみるようなアレだ。
その瞬間、また階段から上がってきたときのような、僕の知らない淑女なルイズになっていた。

「わたくしと一曲踊ってくれませんこと? ジェントルマン」

その姿が、それこそ映画でみるような、僕の知らない世界の、いわゆる貴族にしかもちえない気品にあふれる、
いわゆる貴族そのものだったので僕はあやうく返事をするのを忘れるところだった。

「ええ、喜んで」

とりあえず映画で見たように、それっぽい仕草で手を差し伸べる。
ルイズはその手をとり、音楽のリズムに身を合わせ始めた。

「僕ダンスなんて知らないのですが、どうすれば?」
「適当にあたしに合わせればいいのよ。……そう、そんな感じ」

ただ伴奏に合わせてフラフラ動くだけの、どこが楽しいのかと最初は思ったが、やってみると意外と楽しかった。
これを気にちょっとならってみようかな。

「……信じてあげる」
「? 何をですか?」
「だから、あんたが別の世界から来たってこと」
「今頃ですか? というかまだ信じてなかったんですか? あれだけスタンドも出したのに」
「今まで半信半疑だったけど、あれをみたらね……破壊の杖、貴方の世界の武器なんでしょ?」
「ええ、まあ」

しばらくの間、僕らは踊り続けていた。こういう会話の間を埋めるのにも、踊りは便利だった。

「ねえ、帰りたい?」
「そりゃあ、帰りたいですよ」
「そうよね……」

さすがに『向こうの世界ではマフィアのボス、いわばギャングスターやってたんですよ』
とまでは言わなかったが。言ったところで信じないだろうけど。

「あの、ありがとう」
「どうしたんですかルイズさっきから。熱でもあるんじゃあないですか?」
「ゴーレムに潰されそうになったとき、助けてくれたじゃない。足が酷いことになったのに。
そのお礼よ……もう足大丈夫よね?」
「いえ、当然のことをしたまでです。もうどこも問題ないですよ」
「どうして……どうしてそこまでしてくれるの?」
「決まってるじゃあないですか……あなたの使い魔だからですよ」

うん、たまにはこうしてみるのも、悪くはないかもしれない。
向こうの世界に戻りたいという気持ちはまだ強いままだけど、
ここの世界もそこまで悪くはなさそうだ。

 ***

音楽に合わせ、キュルケもまたファンの男子学生と踊っていた。
しかしその数があまりに多いため、3分交代制となっており、
それでも男子学生の列が人気アトラクションに並んでいるように長蛇の列だった。

「あら、ルイズ、ジョルノと踊ってるの。さっすがゼロのルイズ、使い魔と踊る貴族なんて前代未聞じゃない」
「あ、あのキュルケ、さん……」

器用にも踊りながらルイズらのほうへ首だけ向けているキュルケ。
ルイズの姿を見て意外に思うも挙動や使い魔と踊るあたり、
まだまだ私には及ばないわね、と高慢半分、安心半分といったところだった。
当然踊っている相手は無視、というか今誰と踊っているかについても把握していなかった。

「クス……まあでも、お似合いの二人じゃない?」

着飾って本来持っていた貴族の気品をみせたルイズだが,
相手のジョルノもルックスとスタイルの良さ、そして全体から放たれる不思議で魅力的なオーラは
誰よりも今夜のルイズの相手にふさわしく見えたのだった。

To Be Continued……

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー