ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

slave sleep~使い魔が来る-20-2

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匿名ユーザー

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「どうやら、追いついたみたいだぜ。」
アヌビスが立ち止まってしまったブチャラティを前にして言う。
(クソッ!こいつに会う前に桃色の髪の女が放った爆発で食らったダメージが残ってるな…。
コイツが人並みはずれた丈夫さを持っているとはいえかなりまずいかもな。)
ブチャラティが待ち構えていた場所は何の変哲もない広場だった。
辺りに細い柱が数本立っているが、流石のブチャラティもこの柱には隠れられそうにない。
これと言って罠を仕掛けている気配もなく、デルフリンガーを左手に持ってアヌビスを睨み付ける。
「さっきの女に剣を持たせて二人がかりで戦ってくるというオチはないって判断していいのか?
まあ、戦いやすい場所を選んでくれたことには感謝してやるがね。」
しかし、ブチャラティからの返事はない。
その代わりにブチャラティが再びジッパーの紐で繋がった剣の刃をアヌビスめがけて左斜め上の角度から放つ。
「おっと!」
しかしアヌビスが憶えた技を真正面から使って来ても通用するはずもない。すぐさま反応『しようとした』。
しようとしたが、失敗したのだ。

不意に左から柱が倒れ、繋げているジッパーの紐を押したからだ。
凛と張っている紐は柱に押されて刃の角度が急変化する。

「うおおッ!?ちょっとばかし切れたか?」
結果、角度の関係で撫で斬る様なパワーが少々殺されてしまったような攻撃になってしまったが、アヌビスに攻撃があたる。
胸の辺りを斬られたアヌビス。だが次に反応したのは即座に距離を詰めようとするブチャラティ。
ジッパーの紐を持って鎖鎌のようにデルフを叩きつける。
アヌビスも即座に対応するが鎖鎌は不規則な動きをするのでなかなか受け辛いのだ。
数百年前ほど前に戦った時もスタンド使いでもない相手にそういう風にほんのちょっぴり手こずった事を思い出しながら言う。
「あの時も鎖鎌の不規則な動きを受けるのは苦労したぜ。最も今はその時のデータを憶えているから
対処するのはたやすいモンだがな!」
ガキンッ!!と簡単にはじき返したが、ブチャラティはその後ろからすでにスティッキィ・フィンガースを
放ってたたみかけようとする。
しかしアヌビスは冷静に対処を図った。
「そろそろとどめと行こうか?ただしこのブチャラティ抜け目ない奴。安全策を取ってからとどめといくか。
さっき背中を斬ったおかげで…。用意は出来ているッ!」
アヌビスは一歩後ろに下がって横薙ぎに剣を振るう。
一歩下がったせいでスティッキィ・フィンガースにかすりもせず空を切った。完全に空振りだった。

振るった事でさっき背を斬った時に刃についたブチャラティの血が目元に飛ばなければ完璧に大ハズレだった。

「ぐうッ!?」
ブチャラティが思わず目をつぶってしまう。
先ほどの不意打ちをもう一度やる気か。自らの感覚は次の攻撃を予測した。
しかしもう遅かった。すでにアヌビスは背後に飛んでいた。
「どうだ!この血の目潰しはッ!勝ったッ!死ねィッ!!」
声で方向を把握する。右後ろだ。

ブチャラティは対処しようと手を背中に向けようとしてやめた。
代わりに薄目で見たのは前方の入り口。
「とうとうあきらめやがったか。動かなければ楽に死ねるぜ!」
「いや、あきらめるんじゃあない。やめたんだよ。どうやらいい具合でかけつけてくれたみたいだからな。」
「あ?」
ブチャラティは上の太陽を薄目で見て角度を確かめる。

「そろそろ30分だったか。べネ。おかげで思いのほか簡単に倒せそうだ。」

不意に、後ろで何かが大きな物に叩きつけられるような物音がする。
まるで後ろの奴が『エア・ハンマー』を叩きつけられたような音だった。
やがて入り口から広場に入って来た3人のうちの一人がブチャラティに話しかける。
「間に合った、のかな?少なくとも君のピンチギリギリには間に合った気はするけど。」
「いや、十分だ。来てくれてうれしいよ。」
ウェールズ、ギーシュ、マリコルヌの三人だった。ブチャラティがわざとノロノロ時間をかけて逃げ回り、
30分後に広場にたどり着くよう時間つぶしをしていたのだ。
一人で倒せない相手なら複数の力をぶつけて倒すしかないからである。
「重ね重ねすまないがウェールズ。奴がひるんでるうちに『トルネード』を奴を中心にして作って奴を閉じ込めてくれないか。
後ギーシュ、『ワルキューレ』を出せる数全部出してくれ。…ん?お前たち少し怪我してないか?」
特にウェールズの肩にある傷はおのハルケギニアではなかなかお目にかからなそうな傷。――――弾痕だ。
肩から後ろへ銃弾で貫通している。ルイズに聞いたこの国にあると言うマスケット銃より威力がありそうな傷。

ウェールズがそこで肩をおさえながら『トルネード』でアヌビスを閉じ込めてから説明する。
「いや、少々奇妙な奴にさっき会ってね。どうも彼は誰かから逃げているようだったが…。
かなり挙動が怪しいし、服装も珍しかったからどうやらこの騒動に一枚噛んでいたみたいだと判断して尋問しようとしたんだが、
肩を撃たれて逃げられてしまった。奇妙な奴だった。銃を持ち歩いてたようには見えなかったのにいつのまにか銃をもっていてね…。」
ウェールズが肩を抑えながら言うが、彼は気がついていなかった。広場に立つ木の一本に小さく折られた紙が枝にかかってたことに。
「アイツらオレをつけているのか!?しばらく隠れて身を隠そうとしてたのによ!」
「どうやらぼくらはそうとう運が悪かったらしいな……。しかしこうやって隠れているのはいいかもしれない。
あのブチャラティ、ぼくのカンではなにかこれから先目の前に立ちふさがりそうなヤバイ奴だと言うことはよくわかったからな…。」
ホル・ホースがニヤリと笑って喋る本に話しかける。
「オレたちのスカウトを断られる場合もあるしな。どうだ?『観察』の調子はよ?」
「あと少しだ…。奴の顔色は悪い。多少の恐怖はうかがえる。あともう少しで奴の恐怖のサインを見つける
ことができそうだぜホル・ホース。ところで…。」
「どうした?」
「奴のあの左手なんだけど、なんか気になるんだよな…。スタンド使いという事は奴は地球から来た人間のはずだろう。それはほぼ間違いない。
だが、だからこそあの『ハルケギニアの文字が書かれた左手』は少し不自然だと思わないか…?」
ホル・ホースが自らの目でそれを確認し、その言葉に答える。
「少し、高みの見物と行こうかね…。あのルーン、オレには見覚えがあるッ!!こいつはひょっとしたら想像以上の土産になるかもしれねぇからな。フフフ…。」


『トルネード』で閉じ込めたはいいがアヌビスが脱出の用意をしている。トルネードくらい簡単に突破できると言う事だろうか。
「ぬぅんッ!真上に飛んでしまえばトルネードなんざ屁でもねーぜッ!」
飛びぬけたと同時に辺りを警戒。閉じ込められている間に体制を直し、一気に叩きにくると読んでいたアヌビスが身構える。
予想は的中ッ!5体の青銅の人形たちがアヌビスを襲う。
「芸がねーな。いくら数増やしたって一度憶えた手は絶対使わないといってるだろーがッ!」
アヌビスがワルキューレの攻撃をテンポ良く受け流しつつ、続いて来るであろうブチャラティたちの攻撃に備えて、

おもいっきり背中をスタンドで殴られてしまった。

「ゴガァッ!!な、えッ!?なんでゴーレムからスタンドが!?」
その答えは簡単に判明した。またブチャラティだ。ブチャラティはすでにアヌビスに近づいていた。
すでにワルキューレにジッパーで潜り込んでいたのだッ!警戒されている以上、一瞬でも目をだます必要があったためである。
しかし背中を気にした一瞬が良くなかった。すかさずウェールズの一撃。
「『ライトニング・クラウド』ッ!!」
虚をついた一撃はアヌビスに見事決まるッ!
「ヤ…ベェ…!こいつら無駄なく攻撃をかまして来やがる…!マズイッ!今のでまたブチャラティを見失ったッ!
どのワルキューレに潜んでいるんだ!?」
目の前のワルキューレを斬ってもブチャラティの血は吹き出ない。
2体、3体と切り刻んでもハズレばかりだ。4体目を斬ったところでアヌビスが言う。
「ということはッ!そこかブチャラティッ!」
残るワルキューレからブチャラティが出てくる。完全に虚をつけた。
「アリアリアリアリ!!」
スティッキィ・フィンガースが拳でアヌビスを叩く。手ごたえあり。勝負あった。

        • かに思えた。
だがアヌビスにとどめを差したと錯覚したブチャラティが気づくッ!
「ブチャラティ!叩いたのはアヌビスじゃない!影武者だぁーーーーッ!『エア・ハンマー』ッ!!」
マリコルヌが叫ぶと同時に呪文を放つッ!
ブチャラティの背後を取ったアヌビスは冷静に対処しようとハンマーを切り裂く。
「空蝉の術だっ!やはりおまえの上を行ったのは!このオレだったようだなァーーーーッ!!」
ブチャラティが気づくッ!スティッキィ・フィンガースを出しながら振り返り、すでに自分を一刀両断しようと
向かって来たアヌビスを把握する!
ブチャラティが白刃取りのかまえを取る、白刃取りでもないかぎり受けられそうにない。
「白刃取りも緊急回避も無駄だぜッ!緊急回避した場合は腹の辺りで斜めに払って切り裂くッ!
言っただろうがマヌケッ!このオレに憶えた技は通用しないとッ!」
「わかっているとも。だから考えたッ!新しい『策』をッ!おまえを確実に掴み取りやぶる策をッ!!デルフッ!」
「おし!『大鋏』了解ッ!!」
その時だ。デルフの刃が縦に裂ける。ジッパーでハサミのように縦に開いたのだ。
そのままアヌビスの刃に向かって掴み取ろうとする。
「こいつ!掴むものが増えたからなんだと言うんだ!すり抜けておまえの頭を切り裂けば終わりだッ!」
アヌビスがさらに前に。もう引くことなど出来ない。こんどこそ決着がつく。
だがブチャラティは引こうとしない。一歩も引かない。冷静にアヌビスに告げた。

「よく見ろ。掴み取ると言ったのはお前の首の事だッ!!」

アヌビスがハッとした。スタンドは自分を掴もうとしているがデルフの鋏は首を取ろうとしている。
断面がジッパーだから首を切断しようとしてるわけではない。
首から掴んで横に投げつけてやりすごすつもりか。
「それにしては遅すぎるんじゃあないか!?スピードが足りてない何度言わせれば気が済むんだァーーー!?」

アヌビスが自分を信じて前に踏み込んだその時だ。

バチンッ!!とアヌビスの刀を持つ手が払われる。

「え…?」
ブチャラティ自身の二つの手はデルフを持っている。スティッキィ・フィンガースの手は白刃取りしようと
前に出てるはず。
この『5本目の手』による攻撃などありえないはずだった。
「おおおおッ!!」
そのままスティッキィ・フィンガースの手がアヌビスの肩に当たる。肩からジッパーが発現する。
そしてキャラバンの意識が目覚めようとした時に最後の攻撃の正体を知った!
「こいつ…!ジッパーの能力で…!」

(確かにシルフィ…イルククゥはおかっぱさんみたいにスタ…ンド…だったっけ?それが使えたりはしないのね。
でも相手はどんどん技を覚えていくんでしょう?だったら一人じゃ危険だわ!でも協力すればもしかしたら…!)
(イルククゥ。お前に言われなくともオレは奴が一人で相手をするにはいささか危険な相手だということも
リスクを背負いでもしないと勝てないことも最初からすでにわかってる。だから必ず勝つためにもう一度忠告しよう。『隠れてろ』イルククゥ。)
うな垂れるイルククゥ。かみ殺したような声で言った。
(お願い…。お姉さまと同じくらい私はアナタに死んでほしくないのね…。心配で手を出さずには…!)
(タバサを助けたい。オレも助けたい。両方やらなくちゃいけないのがお前の言い分か?
お前の覚悟を感じ取った以上、言われなくともオレはお前を最大限まで使うつもりだ。
だから言ってるんだ。隠れろと。)

「オレのジッパーは…。人間につけてその中に入る事も可能だ。それも入られた本人も違和感ないまま
動くことができる。これが何を意味してるかわかるか?
つまり逆に使えば、オレの体内に人間をしまうことだって出来るということだ。」
「コイツッ!さっきの女を体内に隠してやがったァーーーーーッ!!!!」
イルククゥがタバサの杖で両手を失ったアヌビスに狙いを定めて言う。
「この杖はッ!おおおこの杖はッ!!お前がお姉さまを操って使ってた杖だぁーーーーー!!!」
ガキンッ!と音を立てて頭部に思いっきり振りかぶるッ!!
「がああああああああああああッ!!!」
「お前がいかに憶えるのが速くても…。全く予測できない技を出されればそれまで…。
お前に本当に必要だったのは、相手がどんな攻撃をしえるか予測する発想力だったようだな。
そして、ルイズの仇を今こそ取ってやるぜ。」
「うっ、うっ、うっ、うっ…!」

「うわあああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ
アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!」

スティッキィ・フィンガースでキャラバンに機関銃のように高速の拳を叩きつける。
その目に慈悲の心などなかった。
「ガッ!ぼっ!ぐがっ!!あがっ!バカな…!ちくしょおおおおおおおッ!!!」

「アリーヴェデルチ!(さよならだ)」

キャラバンの五体がバラバラに砕け散る。
ブチャラティがアヌビスを触らないように鞘にしまう。
そしてブチャラティの手の中でアヌビスが6等分になって完全に行動不能になった。
イルククゥはキャラバンのほうを見る。
「死んじゃったの…?」
「生かしたところで、ルイズを付け狙うのをやめるとは思えなかったからな。
こいつもルイズを殺そうとした以上、逆に殺される覚悟も出来てるだろうさ…。」

ポカンとしているギーシュとマリコルヌ。
ウェールズも息を呑んでいた。こうもあっさりと冷徹に徹したブチャラティを前にし、
少しばかり驚いていた。
しかし、直後ブチャラティがそのまま倒れる。
「おかっぱさん!?」
「大丈夫、気を失っただけだ。手当てしてやればまだ目を覚ましてくれるはずだ。」
フードを被りなおしたウェールズがブチャラティを押さえた。
「彼には、まだ聞かなければならないこともあるしね…。」
しばらくして、二人を抱えるキュルケとウェールズの率いていた小隊が追いついたのだった。


夕暮れになってからブチャラティは目を覚ました。
傷は小隊の水のメイジの魔法で少しばかり癒えていた。
「何考えてるのよアンタッ!アイツから逃げていればこんな怪我しなかったのに!」
「足のアキレス腱を断ち切られたお前には言われたくないな。」
ウェールズはブチャラティの説明を聞き、今後の対処法を練っていた。
「ああ言う変則的なスタンドは対処法があっても倒せない場合がある。勝つことよりも
動きを徹底的に封じるほうがいいだろう。自分から姿を現したりするのは近距離パワー型の能力だと判断していいから
相手のパワーに気をつけるんだ。」
「ありがとう。これからはより良く敵と渡り合って行けそうだ。ん?ちょっと待ってくれ。」
部下からなにか話を聞いて言う。
「…すまない。突然なんだが緊急事態だ。これからこの場を離れなきゃいけない。
また会えることを楽しみにしているよ。『破壊の杖』を見つけたら教えてくれ。もしかしたらアレは…。」
「…破壊の杖?」
ルイズが耳をピクリとして聞き返す。
「いや、ではこの辺で!ありがとうブチャラティ!!」
ウェールズはそのまま去っていった。
ルイズはその後姿を見て、首をかしげる。
彼の姿がなにか引っかかっているのだ。
「あの人どこかで見たような…。ブチャラティ、あの人は何者なの?」
「そういえば最後まで何者なのかわからなかったな…。まあ、いずれ会えるかもしれない。
スタンド使いって言うのは厄介なことを引き続ける代物だからな。」
その時、後ろからキュルケが抱きついてきた。
豊満な胸を押し付ける。男としては心踊るシチュなのだが。
「あーん!ダーリン!!もう心配しちゃったわよ!背中大丈夫!?」
「たった今傷口が開きそうになった。」
「もー意地悪!」
後ろから見ていたタバサは大きな杖で体重を支え、親友をジト目で見る。
綺麗な唇が開いて静かに言う。
「どっちかというと意地悪はキュルケ。」

そしてタバサがイルククゥ、もとい人間姿のシルフィードを無表情なまま見る。
無表情だからどのくらい怒っているのかわからなくて怖い。
「後で、はしばみ部屋行き確定。」
「きゅい~!お姉さま~!もうしないからそれはかんべんしてほしいのね~!きゅいきゅい!」
だがタバサは怒りが急に収まった様子でブチャラティのほうを向く。
「あなたは先に行かなくちゃいけない。彼に別れを告げるなら今。」
「あ、そうね…。きゅい。」
彼女はブチャラティに近づいた。

「おかっぱさん!」
ブチャラティは青髪の女性を見た。イルククゥともシルフィードとも名乗るこの女の子を。
「イルククゥ。どうした?」
ルイズが「そういえば結局この女はアンタとどういう関係なの?」と聞いてくるが無視し、
イルククゥは、シルフィードに戻るために別れを告げる。
「あの、その、おかっぱさん…。」
「?」
イルククゥは少しどもって、顔を赤らめるが言う。
「その、イルククゥとお姉さまを助けてくれてありがとう!」
ぺこり、と頭を可愛らしく下げて言った。
ブチャラティも普通に返した。
「ああ、こっちこそグラッツェ。お前こそ助けてくれた。」
そしたらイルククゥはもっと近づいて言う。
「えっと、人間はお礼の挨拶がわというか、ごほうびにこんなことするんだったっけ?きゅい…。」
「?」
「何?言っとくけど人の使い魔にあまりべたべたしないでほしいんだけど…。」

というルイズの制止を無視し。

イルククゥの唇がブチャラティの頬に当てられた。


一番に驚いたのはルイズだった。
顔を真っ赤にして手をばたばたさせ、「な、あ、ああ、アンタ、使い魔だって言ってるのに…!」
とうろたえにうろたえる。
キュルケもこれには驚いた。
「あら、意外と大胆じゃない…。」
ブチャラティ自身もわずかだが動揺し頬に手を当てる。
イルククゥはブチャラティに背を向けて言った。

「ありがとう!また会おうねおかっぱさん!」

そう言って青い韻竜は夕焼けへと走っていった。
タバサがそれを見て一言。
「…惚れた?」

一方、ホル・ホースたちは仲間の女性シェフィールドと合流していた。
妖艶な空気を纏うシェフィールドは少しばかり落胆したように言う。
「で?結局失敗して逃げ帰ったという事ね。ずいぶんとあきらめよく帰ってきたようだけど。」
「無論、他の土産があるからだぜ、シェフィールド。」
「そうそう。僕らも手ぶらで帰るのも気が引けたからこうやって手土産を用意したんだ。」
シェフィールドはにらんだような目で見続ける。
「そこまで言うからには相当おおきな土産なのでしょうね。」
「アヌビス神よりも大きな土産だぜ。大ニュースだ。海老で鯛を釣ったようなモンだ。

シェフィールドがホル・ホースを見据えたままだ。
ホル・ホースの次の発言を聞くまでは。
「今回調べろといわれてたスタンド使いはあるメイジの使い魔になっていた。この意味がわかるか?」
目を見開くシェフィールドをみてホル・ホースはしめたと思った。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「何を言ってるのか…わかっているのかしら?」
「テルがブローノ・ブチャラティの左手に奇妙なハルケギニア文字に気づいてな、調べていたんだ。
奴は、インテリジェンスソードを持った瞬間、急に身体能力とスタンドパワーが上がった。
この効果は…たしか、何だったけか?」
「神の左手…ガンダールヴ…!」
シェフィールドが冷静さを崩さないように言う。
「使い魔という事は…主人は?」
「桃色の髪のレディだったぜ。学生だったようだがな。」
「おそらく、疑惑を持っていた人物の一人だわ…。そいつはおそらくヴァリエールの三女ルイズ・フランソワーズ!
想像以上の収穫をしてくれた…。」
「立場が立場だから手ぶらでは悪いと思ってな。」
ニヤリと女は笑って言う。

「流石はホル・ホースといったところかしら?この私直属のスタンド使い遊撃隊『隊長』ホル・ホースと…。」
「おれとしては副隊長のほうがよかったんだけどな。」

「いいわ。お咎めはなし。あなたには正式に報酬を与えましょう。次の作戦まで待機しなさい。」
「へいへい。行こうぜ、テル。あと、お前が隊長かわらないか?」
「本が隊長になってはまずくないか?」

一人になったシェフィールドが武者奮いをしながら笑う。
「もうすぐ…。もうすぐ作戦は始まる…。ウフフフ…。」
風が彼女の髪を捲る。
その額にはブチャラティの左手のようなルーンが刻まれていた。


キャラバン・サライ―――――死亡
アヌビス神―――――――――捕獲、宝物庫送り。
              時々、夜中に「イヤアアアアアア。ユルシテエエエエエエ。」という声が聞こえるらしい。

To Be Continued... 


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