入り口にあった松明に火をつけ、タバサたちは鍾乳洞の中を進む。
先導していたミノタウロスが部屋のように開けた場所で立ち止まる。
そこには机、椅子、炭などの生活用品だけではなく、
秘薬のつめられた瓶や袋、マンドラゴラの苗床や奇妙な道具などが整理されておかれていた。
棚には奇妙な人形や仮面、鉱石、そしていくつか本が並んでいる。
先導していたミノタウロスが部屋のように開けた場所で立ち止まる。
そこには机、椅子、炭などの生活用品だけではなく、
秘薬のつめられた瓶や袋、マンドラゴラの苗床や奇妙な道具などが整理されておかれていた。
棚には奇妙な人形や仮面、鉱石、そしていくつか本が並んでいる。
「粗末な物しかないが、座りたまえ」
腰掛けたタバサが男に問いかける。
「あなた、何者?」
「ラルカスという。元は、いや今もだが貴族だ、十年前にミノタウロスを倒した」
「その格好は?」
「ああ、気になるだろうな…端的に言えば、禁忌である脳移植を行なったのさ、
人間の体、そして不治の病と引き換えにこの恐ろしいほどの生命力を持つミノタウロスの体を手に入れた」
「それで、魔法が使えるし、言葉も通じるのね!」
シルフィードがワムウの後ろから口をはさむ。
「その通りだ、しかし魔法が使える、といっても人間のときとは比べ物にならないね。
人間のときもかなりの腕の水と火のメイジだと自負していたが、今やスクウェア以上の腕はあるのではないか、と思う。
もっとも、比べる相手がいない以上本当のところはわからぬがな」
ラルカスは口の端を歪める。
「寂しくはないのね?」
シルフィードが質問する。
「もともと独り身だ、絶縁こそされなかったが事実上ただの放蕩貴族、洞窟だろうと大して変わらぬ」
「でも、おいしいもの食べられなさそうなのね、お肉はちゃんと食べてるのね?」
腰掛けたタバサが男に問いかける。
「あなた、何者?」
「ラルカスという。元は、いや今もだが貴族だ、十年前にミノタウロスを倒した」
「その格好は?」
「ああ、気になるだろうな…端的に言えば、禁忌である脳移植を行なったのさ、
人間の体、そして不治の病と引き換えにこの恐ろしいほどの生命力を持つミノタウロスの体を手に入れた」
「それで、魔法が使えるし、言葉も通じるのね!」
シルフィードがワムウの後ろから口をはさむ。
「その通りだ、しかし魔法が使える、といっても人間のときとは比べ物にならないね。
人間のときもかなりの腕の水と火のメイジだと自負していたが、今やスクウェア以上の腕はあるのではないか、と思う。
もっとも、比べる相手がいない以上本当のところはわからぬがな」
ラルカスは口の端を歪める。
「寂しくはないのね?」
シルフィードが質問する。
「もともと独り身だ、絶縁こそされなかったが事実上ただの放蕩貴族、洞窟だろうと大して変わらぬ」
「でも、おいしいもの食べられなさそうなのね、お肉はちゃんと食べてるのね?」
ラルカスの口が数秒止まるが、慌てた様に話しを始める。
「……出たところの森で生き物ならいくらでもとれる、火も見ての通りあるしな」
「その森の生き物に人間の子供を食う奴がいるのか?」
唐突にワムウが話を変えたので、ラルカスは首をかしげながら答える。
「オーク鬼だっているし探せば剣牙虎くらいはいるかもしれんが、それがどうした?」
「質問を変えるか、ここの入り口に埋まっていた人間の骨は、誰の食べ残しだ?」
「……出たところの森で生き物ならいくらでもとれる、火も見ての通りあるしな」
「その森の生き物に人間の子供を食う奴がいるのか?」
唐突にワムウが話を変えたので、ラルカスは首をかしげながら答える。
「オーク鬼だっているし探せば剣牙虎くらいはいるかもしれんが、それがどうした?」
「質問を変えるか、ここの入り口に埋まっていた人間の骨は、誰の食べ残しだ?」
場が静まる。
「そ、それは本当なのね!?」
タバサは杖を構え、椅子から立ち上がる。
「そ、それは本当なのね!?」
タバサは杖を構え、椅子から立ち上がる。
険しい顔になったラルカスが声をだす。
「……あれはこのあたりに住むサルの骨だ」
「そうか、化け物なら化け物らしく残さず食えばよかったものを」
「……あれはこのあたりに住むサルの骨だ」
「そうか、化け物なら化け物らしく残さず食えばよかったものを」
ワムウがワンステップで飛び掛かり、ミノタウロスを思いっきり蹴りあげる。
「待つんだ、話を聞いてくれ」
「俺は戦いに飢えている、戦う理由ができたというのに話し合う戦士がどこにいる。
嘘ならもう少しまともな嘘をつくんだな、もっともそれでも俺が聞く保証はないがな」
「待つんだ、話を聞いてくれ」
「俺は戦いに飢えている、戦う理由ができたというのに話し合う戦士がどこにいる。
嘘ならもう少しまともな嘘をつくんだな、もっともそれでも俺が聞く保証はないがな」
杖を抜いたラルカスが放つ水の弾をいなし、もう一度胴体を蹴りあげると、堅い皮膚は破れ、肉体が露出する。
露出した胴体をワムウは一部食い、既にラルカスは致命傷のようだった。
露出した胴体をワムウは一部食い、既にラルカスは致命傷のようだった。
「なんだ、この程度か。わざわざ遠出したというのに手応えがないな」
ぶつぶつと回復魔法を唱えるが、ほとんど傷はふさがらない。
ぶつぶつと回復魔法を唱えるが、ほとんど傷はふさがらない。
小さな声でもごもごと話す。
「…二男として生まれ、不治の病に侵され、放蕩し、俺を超える化け物に殺されるのか」
「貴様ごとき化け物ではないな、所詮人間だ」
「そうか、俺は人間か、ならば悲劇だろうか、この俺の人生は」
「そんなことはあの世で決めろ、お前の身の上話に付き合っている暇はない」
「喜劇は無理でも、英雄談、くらいはめざせるかもしれんな」
「人間にしては強いかもしれんが、メイジとしては二流以下だな。狩りに慣れても実戦でそれを生かすのには長い時間がかかる」
「……俺は人間を超えたかったのだ、このまま死ねん、このまま悲劇では終わらせん」
右手が棚にあったある物をつかむ。
ワムウが驚く。
「なぜ、そんなものがここにあるのだ!」
ラルカスは血まみれの手で、それを顔にかざす。
「…二男として生まれ、不治の病に侵され、放蕩し、俺を超える化け物に殺されるのか」
「貴様ごとき化け物ではないな、所詮人間だ」
「そうか、俺は人間か、ならば悲劇だろうか、この俺の人生は」
「そんなことはあの世で決めろ、お前の身の上話に付き合っている暇はない」
「喜劇は無理でも、英雄談、くらいはめざせるかもしれんな」
「人間にしては強いかもしれんが、メイジとしては二流以下だな。狩りに慣れても実戦でそれを生かすのには長い時間がかかる」
「……俺は人間を超えたかったのだ、このまま死ねん、このまま悲劇では終わらせん」
右手が棚にあったある物をつかむ。
ワムウが驚く。
「なぜ、そんなものがここにあるのだ!」
ラルカスは血まみれの手で、それを顔にかざす。
「俺は人間を超越する!」
石仮面は、ラルカスの顔で輝いた。
石仮面は、ラルカスの顔で輝いた。
「な、なんなのねあれ!」
「あれは石仮面」
「知っているのお姉様!?」
場が静まる。
「そ、それは本当なのね!?」
タバサは杖を構え、椅子から立ち上がる。
「あれは石仮面」
「知っているのお姉様!?」
場が静まる。
「そ、それは本当なのね!?」
タバサは杖を構え、椅子から立ち上がる。
『石仮面』とは
非常に堅い石でできており、古来では鈍器として使われていたという説もある。
いつごろからハルケギニアにあったかは不明で、現在はロマリア皇国が数個保持しているいわれているが、
教皇はそれを否定しており、機密情報とされている。ただし確認された事例として、使い魔召還の儀式で
召還されてきた、鎮魂歌の洞窟などで拾えた、宝箱に入っていた、円盤の入った容器と一緒に届いた、などの報告がある。
これを被った生き物は、恐ろしい生物に生まれ変われるといい、その化け物は、首だけでも生きていられる、何十年何百年も
海の底で暮らせる、ひからびても血を浴びせるだけで蘇る、相手の血を飲み干した場合は、相手の魂を取り込むことができる、
ジェットエンジンをつけて空を飛んだ、女性型アンドロイドを従える、幻想郷を霧で覆うなど数多くの伝説を残しており、
人々から長い間恐れられてきた。始祖ブリミルは恐ろしいこの怪物を倒すために四人もの使い魔を従えたという説もあり、
しかもその内ガンダールヴ以外の伝説の使い魔の死因はこの化け物によるものである、という伝説もゲルマニア東部には
根強く残っており、宗教研究家の間ではこの化け物とはエルフを指している、という説が有力である。
(出典 ブリミル書林刊「豪華哀鈴」より)
非常に堅い石でできており、古来では鈍器として使われていたという説もある。
いつごろからハルケギニアにあったかは不明で、現在はロマリア皇国が数個保持しているいわれているが、
教皇はそれを否定しており、機密情報とされている。ただし確認された事例として、使い魔召還の儀式で
召還されてきた、鎮魂歌の洞窟などで拾えた、宝箱に入っていた、円盤の入った容器と一緒に届いた、などの報告がある。
これを被った生き物は、恐ろしい生物に生まれ変われるといい、その化け物は、首だけでも生きていられる、何十年何百年も
海の底で暮らせる、ひからびても血を浴びせるだけで蘇る、相手の血を飲み干した場合は、相手の魂を取り込むことができる、
ジェットエンジンをつけて空を飛んだ、女性型アンドロイドを従える、幻想郷を霧で覆うなど数多くの伝説を残しており、
人々から長い間恐れられてきた。始祖ブリミルは恐ろしいこの怪物を倒すために四人もの使い魔を従えたという説もあり、
しかもその内ガンダールヴ以外の伝説の使い魔の死因はこの化け物によるものである、という伝説もゲルマニア東部には
根強く残っており、宗教研究家の間ではこの化け物とはエルフを指している、という説が有力である。
(出典 ブリミル書林刊「豪華哀鈴」より)
「カーズ様の作った石仮面はこんなところにまで広がっていたのか」
「きゅい!?カーズ様って誰なのね?」
「話はあとだ、あの堅い皮膚に再生能力をもたれるとなると、かなり楽しめそうだな」
「きゅい!?カーズ様って誰なのね?」
「話はあとだ、あの堅い皮膚に再生能力をもたれるとなると、かなり楽しめそうだな」
仮面がラルカスから落ちる。
すでに腹部の傷は再生しきっていた。
ワムウは飛び掛かろうとし、ワンステップで高く跳躍する。
すでに腹部の傷は再生しきっていた。
ワムウは飛び掛かろうとし、ワンステップで高く跳躍する。
ワムウは、突然現れた人形に空中で殴り飛ばされる。
屈強な体つきで、そして頭部にハートのマークがある。
着地したワムウが呟く。
「スタンド、とやらか」
「ほう、ご存じか。その通りだ。先ほどはあまりのスピードで身を守る暇もなかったが、今は別だ。
力に、精神力に、動体視力に、体力に、全てに満ちあふれている。素晴らしいぞ、この体は!」
屈強な体つきで、そして頭部にハートのマークがある。
着地したワムウが呟く。
「スタンド、とやらか」
「ほう、ご存じか。その通りだ。先ほどはあまりのスピードで身を守る暇もなかったが、今は別だ。
力に、精神力に、動体視力に、体力に、全てに満ちあふれている。素晴らしいぞ、この体は!」
杖を振ってでてきた、水が鍾乳石を切り裂く。
「どうだ、この魔法は。ミノタウロスのときですら、俺は水の魔法について勘違いをしていた。
水の本質は治療でも洗脳でもない、ダイヤモンドすら切り裂く圧倒的圧力だ!」
「どうだ、この魔法は。ミノタウロスのときですら、俺は水の魔法について勘違いをしていた。
水の本質は治療でも洗脳でもない、ダイヤモンドすら切り裂く圧倒的圧力だ!」
ラルカスはスタンドを従え、杖をこちらに振るう。
鍾乳洞と、ワムウの皮膚が切れる。
ワムウの顔色が、変わった。
鍾乳洞と、ワムウの皮膚が切れる。
ワムウの顔色が、変わった。
杖を構え、ワムウたちに向き合う。
「スタンドの名を名乗ろう、クレイジー・ダイヤモンドだ」
「スタンドの名を名乗ろう、クレイジー・ダイヤモンドだ」
To Be Continued...