ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ジョルノ+ポルナレフ-15

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匿名ユーザー

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あ、ありのまま今起こっていることを説明するぜ!

今私はルイズ達と『土くれのフーケ』を追って魔法学院から馬車で移動している。
アンリエッタ王女が王都に報告し、警察に当たる連中とかが対処するんだろうが、魔法学院の連中はそうは考えなかった。

奴らにも面子ってもんがあるし、今回はフーケがどこに逃げ込んだか情報が手に入っちまったんだ。
その情報が入った時点で既に一日が経過していた。
王国の対応を待っていると更に何日もが費やされ、敵が来る前にフーケは逃げちまうだろう。
悠長に国に報告なんぞしてられん…全盛期には、魔法を使って隣国ガリアの王城ヴェルサルテイル宮殿の風呂場さえ覗いたという『栄光』を掴んだ男、私たち漢の間では伝説の男、尊敬と軽蔑の視線を今尚集め続ける『オールド・オスマン』学院長は有志を募った。

私はほんのちょっぴりだが興奮していた。このトリスティンには他国の漢達の尊敬と軽蔑を集める漢達がいる。
そのトップの顔を私は始めてみた。

ちなみに有名なのは、その時目の前にいた生きる伝説「偉大なる(オールド)」オスマン。
類稀なる妄想と知識、そして「巨乳はもっとも破壊的だ。だがそれだけでは寂しいと、この私は考えます。諸君、『胸』は見ようですぞ。見方を変えればいろんな楽しい事ができるのです(以下略)」の名言で有名な既に髪、いや神と呼ばれるコッパゲール大使。
帽子で視線を隠し、そのつばを基準に偏在であらゆる角度から観察する『スカウター』あるいは、一瞬で計り終え姿を消すことから『閃光』のロリド子爵。
平民に手を出しまくっている事がバレバレ過ぎて違う意味で有名な『オープン(全力全開な)・ザ・モット』伯。
その石像作品を見た漢達から『多分、いや間違いなく彼は隠れクビレフェチ』と言われ、奥方を見た者が口を揃えて言う『マゾ野郎』ヴァリエール公爵…知ってるか?
マゾ野郎なんて言葉は、こちらの漢達の世界では存在しねぇ。
ヴァリエるなら使われているッ。
「このマゾ野郎ッ」ではなく、「このヴァリエストがッ」なら使ってもいい。
表立って口にするのは恐ろしすぎるから、あくまで隠語だがな。
私達の世界でマゾの語源が…話が逸れたな。
嘘か真か、オールド・オスマンは、オルレアン公が風呂場でいちゃついている所さえトリスティンにいながら目撃したという…いやこれも話が逸れてるのか。

なんだっけ…えーっと…ああ、理由は幾つかあった。
学院としての面子、宝物庫の宝を取り戻したいって連中、宝はともかくやられっぱなしでは国からの干渉を受けると先の事を考えてるのもいる。

私は宝物庫の宝『破壊の円盤』に興味があったんで、最初からそれに志願するつもりだった。
だが私がそうするまでもなく、ルイズが手をあげた。

教師が誰も手をあげなかったからだ。
妙な感じだぜ。はっきり言って異常な程貴族である事に、ルイズは拘ってるらしい。
それに対抗心を見せて、あの破壊力抜群なキュルケとその友人であるタバサも志願し、私たち四人はさっさと準備を済ませて、朝のうちに学院を出発した。

だが、その情報を持ってきたのも今案内をしてるのも、オールド・オスマンの秘書を努めるミス・ロングビルだ。
私はマジシャンズレッドを出して御者台で手綱をとるミス・ロングビルの顔と長いローブに覆われた太ももを見る。

…どうみてもマチルダお姉さんです。本当にありがとうございました。

な、何を言ってるかわからないと思うが私にも何が起こっているのかわからなかった。
これは見間違いとか勘違いとかじゃねぇ!
もっと恐ろしいマチルダお姉さんの企みの臭いがするぜ!

だがしかし、しかしだ。
何を考えてるのか私にはさっぱりわからねぇ…一体どうすりゃいいんだ?

襲われた時、すぐに外に飛び出せる方がいいということで選んだ、屋根の無い荷車のような馬車に揺られながら私は首を捻る。
私が首を捻る間も、馬車はゆっくりと進んでいく。

糞っ、こんな事なら出発前に無理やりにでも時間を作ってルイズ達にこのことを話しておくべきだったぜ。

こんな馬車じゃなけりゃ馬車の中でも話せるだろうと甘く見ちまったんだ。
いらいらした私は髪をかきむしり、その後丁寧にヘアスタイルを直す。
いい案はまだ浮かばなかった。
苛立つ私のことには当然だが、全く気付かないルイズ達はまだ緊張感の欠片もない、リラックスした様子で暇を持て余していた。
余りにも暇だったのか、キュルケが口を開く。

「ミス・ロングビル…、手綱なんて付き人にやらせればいいじゃないですか」

話しかけられたマチルダお姉さんは振り向いてにっこりと笑った。

「いいのです。私は貴族の名をなくした者ですから」

キュルケはきょとんとする。
貴族の名をなくした者には二種類いる。
自分から捨てた者と、家を潰された者だ。
マチルダお姉さんは笑顔だったが、テファの事を知る私には内心、かなり忌々しいことだろうなと思った。
その事を知らないキュルケはマチルダお姉さんに尋ねる。

「だって、貴女はオールド・オスマンの秘書なのでしょ?」
「ええ、でもオスマン氏は貴族や平民だということに、あまり拘らないお方です」

私はマチルダお姉さんの言に納得した。
そりゃ『偉大なる』オスマンだからな。
マチルダお姉さんを、たかが貴族の名を失くした程度じゃあ見逃しはしないだろう。
罠かもしれないと思いながらも秘書にするその態度に、私は敬意を表するぜ。

「差し支えなかったら、事情をお聞かせ願いたいわ」

マチルダお姉さんは優しい微笑を浮かべた。それは言いたくないだろと思ったが、キュルケを見るとその顔は好奇心に満ち溢れていた。
キュルケの悪い所なんだろうな。付き合いの短い私だが、年の功でなんとなくそう感じた。

「いいじゃないの。教えてくださいな」

キュルケは興味津々といった顔で身を乗り出す。
御者台に座ったマチルダお姉さんは余り動くこともできずに困った様子だった。
それを見かねて、ルイズがその肩を掴んだ。キュルケは振り返ると、ルイズを睨みつける。

「なによ。ヴァリエール」

刺々しい口調に聊かむっとしたようだが、ルイズは我慢してキュルケに言う。

「よしなさいよ。昔の事を根掘り葉掘り聞くなんて」

ふん、とキュルケは呟いて荷台の柵に寄りかかる。つまらなさそうに頭の後ろで腕を組んだ。
それにまたルイズは機嫌を悪くしたようだ。マチルダお姉さんの事をちょっぴり知り、私自身あまり言いふらしたくない過去を持っているから、その態度には憤りを感じた。
胸は素晴らしいが中身はちょっと付き合いづらい奴かも知れんな。

「暇だからおしゃべりしようと思っただけじゃないの」
「あんたのお国じゃどうか知りませんけど、聞かれたくないことを無理やり聞き出そうとするのはトリスティンじゃ恥ずべき事なのよ」

キュルケはそれに答えず、足を組んだ。

ふむ…まぁ、暇なら仕方ないかもしれんな…何も見てませんよ?

足を組みなおし、眩しいまでに黒いキュルケが嫌味な調子で言い放つ。

「ったく…あんたがカッコつけたおかげで、とばっちりよ。何が悲しくて泥棒退治なんか…」

愚痴るキュルケをルイズはじろりと睨んだ。

「とばっちり? あんたが自分で志願したんじゃないの」
「あんたが一人じゃ、…あんた、の使い魔が危険じゃないの。ねぇ、ゼロのルイズ」

口は悪かったが、キュルケの目を見て私は苦笑した。
私の事をあげちゃいるが、言葉はどうあれキュルケの眼差しはルイズを心配しているように私には見えた。
私の勘違いかもしれないがな。

なんせ、魔法が使える事が貴族たる証って感じなのに、その魔法が使えないんだからな。
足が動かない奴を、その事で馬鹿にするようなもんだ。
本人がその事を気にしない性格ならまだいいんだが、ルイズはその事にコンプレックスを持ってる。
その事は忌々しい、不名誉な二つ名を口にされたルイズが剣呑な目をしたことで、鈍い私にもよくわかった。
わかってないはずねぇんだが、それでもあえてそこを突くキュルケがどういうつもりなのか私にはよくわからん。

ルイズはわかっていて、あえて聞いているのかもしれないがキュルケに尋ねた。

「どうしてよ?」
「いざ、あの大きなゴーレムが現れたら、あんたはどうせ逃げ出して後ろから見てるだけでしょ? ゼロのあんたにできることと言ったら使い魔を戦わせて高みの見物。そうでしょ?」

キュルケの返事は、ルイズに劇的な変化を齎した。
貴族である事に拘るルイズにとって、キュルケが今言った言葉は侮辱に等しいからだ。
顔を真っ赤にし、眉を逆立てたルイズは怒気を孕んだ声で言い返す。

「誰が逃げるもんですか。私の魔法で何とかして見せるわ…!」

だがその言葉はキュルケに鼻で笑われる。

「魔法? 誰が? 笑わせないで!」

二人は火花を散らし始めた。
もう一人の志願者であるタバサは相変わらず本を読んでいる。
仕方なく私は口を挟んだ。

「やめろ二人共! こんな所から仲間割れしてどうするんだ!」
「「カメナレフは黙ってなさい!」」

…なんだよ。めちゃ仲いいじゃねぇか。
馬鹿らしくなりながら、私は基本的にはキュルケの言うとおりになってくれることを望んでいた。
確かにルイズは、私を戦わせて高みの見物なんてつもりはないだろう。
むしろ、誰よりも躊躇いなくあの巨大ゴーレムに向かっていくはずだ。

だが、そんなルイズの魔法は期待できない。
攻撃は塔にひびを入れた位だから使えなくも無いが、ルイズはうまく当てることはできない。
フライだったか?
素早く空を飛ぶ為の魔法所か、浮く事もできないルイズじゃああのゴーレムの射程に入ったら、当てる前にいつか直撃を食らっちまう。
いや、それどころかあのゴーレムの腕がちょっぴり掠っただけでチェックメイトだ。

誰でもわかるそれを、本人がわかっていないような様子だから、キュルケは怒っているのかもしれねぇ。
それに巻き込まれにいった自分にも怒ってるようだがな…言っておくが、これは私が色気にやられて贔屓目で見てるからじゃあないぜ?
いや本当だ。

しかし…本当にどうしたものか。
止めても聞かないんで、二人を止めるのを諦めた私はまたどう対処するか悩み始めた。

このまま考え無しに突っ込んでいくのはできれば避けたい。
だが、そうするとマチルダお姉さんに聞かれちまう可能性が高い。
聞かれちまったら、この捕らえる機会をみすみす逃す事になりそうな気がしてならんぜ。

私の目的はマチルダお姉さんが盗んだ『破壊の円盤』だ。
多分、私のマジシャンズレッドと同じく、何かのスタンドディスクなんじゃねぇかと疑ってるんだが、それを確かめて、あわよくばGetしておきたい。
その為には、テファには悪いがマチルダお姉さんは捕まえなくちゃならねぇ。

なんせディスクだったとして、ディスクは私に渡す。
フーケは逃がすなんてことになったら、学院側の誇りは全く回復されねぇからな…落とし所としては、少なくとも一度マチルダお姉さんには捕まってもらわなきゃならんだろう。
そして、アドリブばっかりになるだろうが、オールドオスマンにちょっぴり事情を話すなり、最悪私がマチルダお姉さんの脱出を手伝うなりするしかないだろう。
困難だろうが、私が取れる最良の手はそれしかない。
まぁそれも、まず困難なマチルダお姉さんを捕らえるって任務をクリアしてからの話だがな。

そう考えるうちに、馬車は深い森に入ろうとしていた。
うっそうとした森が、恐怖を煽っていく。昼間だと言うのにその森は薄暗く、気味が悪かった。

まだどうやってあのゴーレムを攻略し、マチルダお姉さんを捕らえるかは考え付かない。
一体どうすりゃいいんだ?

もう余り時間がねぇ…ちょっとずつ、私を焦りが包んでいた。
隣にはルイズ、向かいにはキュルケにタバサ。こんなに近くにいるのに相談する事もできねぇ…馬車が止まった。

「ここから先は、徒歩で行きましょう」

マチルダお姉さんがそう言って、全員が馬車から降りていく。
キュルケは髪をかきあげて、タバサは本を閉じ、タバサには長すぎる杖を携え。
私の入った亀は、ルイズに抱えられた。
出しっぱなしのマジシャンズレッドの森を通る道から、小道が続いているのが見える。
もう余り考える時間は残されてねぇようだ。

心を決めなくちゃいけねぇ。
私の武器は、アブドゥルのスタンド『マジシャンズレッド』
アブドゥルがこいつを操ってるんなら、私は何の心配もしてねぇだろう。

奴が操るこいつは炎を自在に操り、それこそ自然の法則なんぞ無視して鉄でも何でも溶かしちまう。
それにかかりゃ土のゴーレム位則お陀仏だ。

だが、私が使っているせいか、今のマジシャンズレッドはそこまでのパワーを発揮できてない。
適正だけじゃなく、馴れってのも案外必要らしく、ちょっとずつ使えるようにはなっちゃいるが、アヴドゥル程とはとても言えない。

やるしかねぇのか…そう私が覚悟を決めようって時だった。

あれ?
良く考えると、マチルダお姉さんが何か考えてる。
それだけじゃねぇのか?

フッ…私はこっちに来てから冴えてるな。
私は気合を入れ、ニヒルな笑みを浮かべた。
誰も見てくれねぇのが残念だが、まぁしかたねぇ。

『マジシャンズ・レッド!!』

私の意思に呼応して、マジシャンズレッドが動き出す!
マジシャンズレッドは狙い違わずマチルダお姉さんを押し倒すッ。
「ぐえっ」なんてカエルが潰れるような声を上げて、マチルダお姉さんは昏倒した感触が、マジシャンズレッドから伝わってきた。

「勝った! 第一巻完ッ!!」

勝ち誇る私に、周囲から悲鳴のような声があがった。

「ちょっと待てカメナレフ!! 今言ったこともわかんないけど、手を離しなさいっ!」
「ゼロのルイズッ! 貴女使い魔もちゃんと教育できないの!?」

全く、うるさい連中だな。
私の素晴らしい思いつきだって言うのに…私はため息をついて、マチルダお姉さんの意識が無い事を確認してから手を離させた。

「落ち着けよ。ミス・ロングビルは『土くれ』のフーケだ」
「「はぁ?」」

二人から呆れたような声があがる。
タバサも、声こそ出さなかったが、会ってからあんま変わることがなかった表情に呆れが見えるぜ。
ルイズ達はため息をつきながらも一応話を聞く気はあるようだ。キュルケが私の入った亀を覗き込んでくる。絶景だぜ。

「…で、カメナレフ。それは何を根拠に言ってるのかしら?」
「あの太ももは間違いない。盗みに来た時にも見えたから間違いないぜッ!」

私の返事を聞いた三人の表情は、一気に氷点下まで温度を下げた。
話に聞いた『ホワイト・アルバム』も真っ青な速度だぜ。

私から視線を外し、キュルケがルイズを咎めるような目で見た。
ルイズは何故かそっぽを向く。

「ゼロのルイズ、貴女。本当に使い魔も教育できないの?」
「う、うるさいわねっ! カメナレフは元々こうなのよ!」
「…使い魔のした事は、主人の責任」

タバサの言葉に、ルイズは本当に嫌そうな顔で私を見下ろした。

「アンタ、ミス・ロングビルが起きたら謝りなさいよ!!」
「何故だ!? 私は間違った事は言ってない! あの太もm」

最後まで私は言うことができなかった。
亀を地面に叩きつけられ、それどころじゃなかったからだ。

「この亀ッ! カメナレフ!! エロナレフッ!!」

慌ててマジシャンズレッドで防ぐが、それでも手を踏まれ、蹴られ、罵られるのはかなり厳しかった…言葉の刃はスタンドじゃあ守りきれないんだぜ?
私が蹴られる間に、マチルダお姉さんは意識を取り戻す。

「う……一体、何が起きたんですか?」
「ミス・ロングビル。この亀が本当に吸いませんでした…この亀が悪いんです。この亀がッ! このエロ亀がッ!!」

マチルダお姉さんが目覚めたお陰で止んだってのに、また酷いスパンキングが始まりそうになったのを見て、私は慌ててマジシャンズレッドを操りルイズの足をかわす。

「カメナレフ、ほら、早く謝っちゃいなさいよ」

キュルケのいたずらした子供にでも言うような言葉とタバサの無言の圧力に押されて、私は釈然としないものを感じながら言う。

「…セクハラして本当にすいませんでした」
「え? …いえ、まぁ謝ってくださればそれで構いませんが」

多分私に気付いたんだろう。
なんだか哀れんだような目で言うマチルダお姉さんに、私はもうどうにでもナーレと思ってソファに寝転んだ。
なんだか目の前がぼやけているような気がしたが、多分きのせいだ。きっとな。
だって私は立派なフランスの漢なんだぜ?


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