ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

味も見ておく使い魔 第三章-03

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匿名ユーザー

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「で、私達は、今タバサの風竜にのってタルブの村に行く途中なんだけど……」
「そのとおりだね、キュルケ。でもなんで、そんなに説明口調なんだい?」
「なんであなたまで一緒に乗っているの? ギーシュ?」

「この竜は僕くらい簡単に乗せられるだろう? なんで僕が責められるのさ?
 逆に、ヴェルダンデを泣く泣く学院に残していった僕に同情してくれてもいいくらいさ!」
「きゅ、きゅい~」(そ、それは私でもキツイのね~)
「そのような問題ではない」

ルイズはたまらずに口を挟む。
「あのね、タバサやキュルケが言いたいのは、『なんであなたまでついてくるのか』ってことよ。
 今度の旅は、ブチャラティのためにピッツァを食べに行くだけなんだからね!」
「いいじゃないか、ちょっとくらい! 
 僕だってたまにはおいしいものが食べたいんだ! 
 君達には、モンモン特製の魔法文カード巻きはしばみ草とか、特製香水入り石鹸
 を食べさせられる苦悩なんてわからないだろうさ!」

「あなたたち…ラヴラヴなんじゃなかった?いつの間にそんな大人の関係に…」
「ええ、間違った意味で……」
「頼むから、僕のことはほっといてくれたまえ……」

唖然としたルイズは、気を取り直し、改めて風竜の背に座りなおして体勢を整え、
学院から持ってきた一冊の本を手にとった。

「あら? ルイズ、あなた読書? 太陽の光で本の文字を読むと、目を悪くするわよ」

「読書じゃないのよ」
そういったルイズは、手に持った本をキュルケたちに開いて見せた。
「なにこれ。真っ白じゃない」
「トリステイン王家に伝わる『始祖の祈祷書』らしいわ」

「それじゃ、すごいお宝じゃないの!……と思ったけど。どう考えてもまがい物ね、これは」

キュルケたちは知っていた。
ハルケギニアには、始祖ブリミルが残したという遺物が幾千万も保管されているこ
とを。
だが、その中で真正といえるものはほとんどなく、ほぼすべてが贋物、という有様
であった。
その収蔵物の有様は、各王家の所蔵品とて例外ではない。

伝承では一冊しかないはずの『始祖の祈祷書』も、ご他聞にもれず。各地に、それ
こそ多量に伝わっていた。
実際に、以前キュルケは、ゲルマニアに伝わる『始祖の祈祷書』を二冊ほど見せて
もらったことがある。
だが、それにしても。
この祈祷書はいい加減すぎるわ、とキュルケは思った。
キュルケが見せてもらったゲルマニアのそれは、まがりなりにもそれらしき古代ル
ーン文字が書かれていた。

「私だってこれが本物だとは思っていないわよ」
ルイズがむくれたようになった。
「で、なんであなたがそれを持っているわけ? 
 いくらまがい物の出来損ないといっても、一応は王家の宝物でしょう?」

ルイズは説明した。
アンリエッタ王女がゲルマニア皇帝と結婚すること。
それが正式に発表されるのが明日だということ。
その発表と同時に、トリステインはゲルマニアと軍事同盟を結ぶこと。
「トリステイン王家の伝統では、結婚式にはこの『始祖の祈祷書』を手にもって式
 の詔を詠みあげる習わしになっているのよ。今回アンリエッタ姫様の結婚式では、
 詔を詠みあげる巫女に、私が選ばれたってわけ」

「よみあげるって……なにも書かれていないじゃあないか!」
ギーシュが素っ頓狂な口を出した。

「そうよ。だから、私がこれの本を手にとって感じたことを適当に考えてでっち上げ
 なくちゃいけないのよ」
「ふ~ん。変わっているわ。トリステインの伝統とやらは大変ねえ、タバサ」
キュルケの母国、ゲルマニアはそのような形式ばった行事はあまりない。
なぜなら、そのような面倒くさいことは片っ端から廃止してしまうのがゲルマニア
貴族の風潮なのだ。
「ガリアも同じ。変わっているのはゲルマニアのほう」
タバサが無表情に、キュルケの発言をとがめた。

「ところで、なんかいい詔は考え付いたのかい?」
この男、のんきなものである。

「一応は考えてみたんだけれど……なかなか良い詔にならないのよ」
「へえ、あなたもう考えているんだ。ルイズ、私たちに聞かせてくれない?」

「いいけど……」
まず、四大元素に感謝の祈りをささげるの。
ルイズはそういいながら、目を閉じ、ためらいがちに詩を口ずさみ始めた。

『風は強者だけが真理』
『炎は分裂、Yes,I am!』
『水はクラゲに吸い取らせる』
『砂だったのに音だった、いつのまにかぁ~!』

ふう、とルイズは目を開ける。
「どう?」


「まあ、こ、個性的でいいんじゃあないかしら……」
「……ユニーク」
「なに言ってるんだい君らは? 僕にはちっともわからないよ! 
 詩ですらないとこのギーシュは思うn……ゴブァ……」

「あら、どうしたのギーシュ?」
ひじでなにやら妙な動作をするキュルケを見て、ルイズは何をしているのかしら、と思った。

「な、なんでもないです……そうだ! この本、トリステイン王室に伝わるんだろう?」

「ええ、そうね。だから何?」
キュルケとタバサの冷たい目線にもめげず、ギーシュはルイズに話しかけた。

「この祈祷書こそが、本物ということはないだろうか?」
「まずないわね。第一、真っ白なのよ? 祈祷書ですらないのよ!」

ギーシュはう~んと悩み始めたが、一瞬の後、満面の笑みを浮かべて一同を見回した。

「わ、わかったぞ!」


「なに?ギーシュ?」
「どうしたっていうのよ?」

「この本の題名は『始祖の祈祷書』だ…」
「みんなも知ってのとおり始祖ブリミルは『虚無』の使い手だ…」

「そしてこの本の内容は『空白』。つまり『虚無』だ!」

「「な、なんだってー!!」」

みなが驚く。
ギーシュの人気株が急上昇だ。

「そ、それでどうなるの?」
「詳細が知りたい」
「教えて、ギーシュ!」


「それで……どうなるんだろうな……」

ギーシュの株価がブラックマンデー到来。この日が月曜かどうかは定かではないが。

「僕にだって……わからないことぐらい……あるさ……」
ギーシュは、この発言を最後に、キュルケのひじの動きによって、気絶させられた。
彼の意識が戻るのは、風竜がタルブ村へ到着して後のことであった。

アルビオンの港町、ロサイスでは。
この日、クロムウェルが共を引き連れて、改装中の軍船、『レキシントン』を視察
していた。
ロサイスはアルビオンが王国時代であったころから軍港として使用されてきた港で
ある。
そこには赤レンガで造られた、巨大な造船施設が所狭しと軒を連ねていた。
また、その建物の傍らには、石炭や風石が所狭しと山積みにされていた。

出迎えた『レキシントン』艦長、ボーウッドに案内を頼みながら、クロムウェルは
得意そうに、『レキシントン』を見上げた。
「すばらしいじゃあないか。
 みろ、アレを! あの新型の砲を。なんともうつくしいじゃないか」
「あの砲の射程に匹敵する砲を、トリステインとゲルマニアは持っていないはずです」
「そのとおり。すべては、ミスタ・シェフィールド。君のおかげだ」

クロムウェルはそういいながら、彼の傍らにいる、フードをかぶった少年に語りかけた。
「君のもたらした東方の最新技術によって、わが王国の技術力は世界一、あいや、
 ガリアについで世界二になることができましたぞ!」

クロムウェルのそのような賛辞を聞き流した少年は、ふと、思い出したように語りだした。
「そのようなことより。我々が貸与した『マンダム』を、君はなくしてしまったそう
 ですね」
「そうなのだ。本当にすまない。ワルド君によると、ニューカッスル城でなくしたら
 しいから、探させて入るのだが……」

クロムウェルはすまなそうに、その少年に頭を下げた。
その様子を見て、ボーウッドは驚いた。
今をときめく『皇帝』に頭を下げさせるなど。この少年はいったい何者だ?
彼は政治には関連せず、ひたすら職務を全うすべしと感じた空軍将校である。
そのため、内戦にはどちらにも参加しなかった。
で、あるから、平民にもかかわらず、処刑も去れずに、艦長という重職につくことが
できていた。
そのような彼であるから、アルビオンの政治には全くといっていいほど詳しくない。

クロムウェルにお辞儀をされた少年は、当然という風にその礼を受けた。
「それはいいとしましょう、ミスタ・クロムウェル。
 ロハンとブチャラティに、それだけの能力を温存していたということですから」
「おお、許してくれるのかね!」

「それはそうと、ミスタ・ワルドの意見を聞きたいのですが」
少年はそういって、クロムウェルに傅くワルドに向かい合った。
「奇妙なことを聞くようですが……
 ブチャラティは、『スタンド』を使っていましたか?」
「ああ、使っていたよ。
 彼の『ジッパー』のせいで僕のウェールズ公暗殺は失敗したのだからね」
「そうですか……ありがとうございます」

その後、クロムウェル一行はシェフィールドと分かれた後、『レキシントン』の指揮
所に足を運んだ。

「さて、今回貴公にトリステインに向かってもらうわけであるが」
「はっ。トリステインとの親善を深めてまいります」
直情を理念とするボーウッドは敬礼を返した。
それにたいし、クロムウェルはフルフルと首を左右に振った。


「残念ながら、違うのだ。君には詳細を教えていなかったね」
「どういうことですか?」
「君には戦争をしてもらう」
「何ですと!?」

ボーウッドは驚愕した。
今回の親善訪問は、トリステインに対する砲艦外交でもあった。
しかし、だからこそ、交戦などは忌避されるべきものであるはずだ。
ボーウッドはそう信じて疑っていなかった。少なくとも、この瞬間までは。

「違うのだ。アルビオン帝国は卑劣にも奇襲してきたトリステインに対し、いやいや
 ながらも戦争を行うのだ。戦争を終わらせるための戦争だよ、君」
そういって、クロムウェルはボーウッドに近寄り、一言二言、耳打ちをした。
ボーウッドは憤りのあまり、体の震えが止まらない。
「あなたは、この国まで裏切られるおつもりですか!『アルビオンは背徳国家』と、
 他国にののしられますぞ!」

「確かにそうだろう。まったくもって君の言うとおりだ。
 だがね、ハルケギニアに、わが国家しかないとしたら?
 その場合、どの国が我々をののしるのかね?」
その言葉に、ボーウッドは絶句した。
呆然とする彼を知ってかしらずか、クロムウェルは一人の男を彼の前に立たせた。
「さて、ボーウッド君。随伴させる竜騎士部隊に、ひとり、役者をくわえたい」
「ワルドです。よろしく」
やけに凛凛しい姿なりをした男が、気障に礼をして見せていた。

シェフィールドと名乗った男は辺りをうかがうと、ロサイスの町のうらぶれた暗がり
に、人知れず消え去っていった。
その方向から、わずかに声が聞きだされる。
「『ブチャラティは能力を失っていない』か……」
「ええ。彼は死んでからこの世界に召喚されたはずなので、スタンドを失っている可
 能性もあるかと思ったのですが……」
「いや、なんでも前例を参考にするのは良くない。前回死んだものは『スタンド』を
 失った。ブチャラティの場合は死んでも『スタンド』を失わなかった……
 ただ、それだけのことだ……」

To Be Continued...

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