ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔の兄貴(姉貴)!!-3

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匿名ユーザー

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命が運ばれてくると書いて運命、だっけ?
この言葉を最初に言った人物と、自分の運命にルイズは感謝した。
「人が、このぜんぜんわからない地図頼りに来てみれば・・・なんだ、オイ!?いたのはミス・バリカンとかいうやつじゃあなくて二人の女、しかも色事の途中だと?
・・・ざけんじゃねえぞ!!コルベールの野郎、残ってた数少ない生存毛根も全部死滅にしてやるッ!!」
入ってきたのは自分の召喚した使い魔、エルメェスだった。
(チャンス!)
さっきは不意をつかれ失敗したけど、今度は相手がいきなり起きる事はない。
キュルケは反応に困っているのか、それとも羞恥のためか先ほどまでルイズを押さえていた腕の力は抜け、肩を震わしている。
ルイズはすかさず、声を張り上げた。
「あ、あんた!!ちょっとこっちに来なさい!!こっち!!」
「アァ!?色ボケ野郎共にゃ興味ねェーんだよ!!」
エルメェスが反論をする時足を止めルイズのほうに振り返ったその瞬間を、彼女は見逃さなかった。
靴は脱がされているし服も脱がされているが、しかしなりふりにかまっている時間はない。
ルイズはキュルケの腕を振り払い、エルメェスのところまで(といっても数メイルだが)全力疾走。その加速を利用して、一気にエルメェスの目の前まで跳躍。首に腕を回し、そして・・・
ズキュゥゥーーーz___ン

使い魔の兄貴(姉貴)!!~第一印象(ファースト・インプレッション)~

「・・・どう?」
恐る恐るエルメェスの唇から唇を離しそう聞くルイズ。
もちろんこれはキスの上手さなどではなく、契約についてである。
ここで契約が成功したのなら、すぐにコルベールのもとへ行き、儀式を続けなければならない。そして自分の成功を認めさせなければならない。
すべては留年阻止のため、自分の伝説撤廃のため。
彼女は必死だった。

出会い頭にいきなり見ず知らずの人からキスをされると、人はどういう反応をするだろうか。
たぶん、ほとんどの人が戸惑ってしまい何もできないだろう。
しかしエルメェスの場合は違った。
何故ならその少女にエルメェスは見覚えがあったからだ。
(こいつは最初の・・・頭突き女?)

エルメェスはもう一度考えてみる。
最初の攻撃のとき一番近くにいたのは?―――こいつだ。
最初にあったときにこいつは何をしようとしていた?―――頭突き。しかも顔面と顔面。
今こいつは何をした?―――キスをして、その後「どう?」と尋ねた。
出来事を整理してみよう。
最初に出会ったときの頭突き、と思っていたあれはキスをしようとしていたのではないのか。
そういえばあの時かすかに唇同士が触れ合っていたような気もする。
その後の左手の痛み、刻み込まれていた文字。
確かコルベールは左手の文字は使い魔のあかしといっていた。
元はといえばあのキスが引き金だったのではないのか。
エルメェスの中でひとつの仮定が出来上がった。

「ひとつ聞いてもいいか?」
「疑問文を疑問文で返すなッ!!聞いてるのは私よ、どうだったかって聞いてるの!」
「何が?」
「あぁー、もう!!何かこう、何かが刻まれたような痛みとか、ない!?」

ここでもう一度考えてみよう。
なぜこの少女は自分の左手のことを知っている?―――こいつは知っているからだ、自分に何が起こっているのかを。
間違いない、エルメェスは確信した。
コルベールの言っていたミス・バリカンというのはこいつだと。

「ああ、痛かったぜェーーー。左手が、すッごくなあ。」
エルメェスは左手の文字を見せながらゆっくりとキッスを発現させる。
彼女が二十三年生きてきて育んだ常識の中でこんな常識離れしたことができるのはスタンド使いだけだ。
(マホー?コルベールもそんなことを言っていたがあたしは非常識的なものは信じない主義なんだよ。
大体、マホーなんて存在するわけネェだろ、ファンタジーやメルヘンじゃああるまいし、あのコッパゲ野郎がッ!)
エルメェスは内心でコルベールにそう毒づく。
そう、魔法などではなく、これはスタンド攻撃。目の前の少女こそが本体。
能力は違う空間から完全な状態で生き物を呼び出し、そして文字を彫り付ける。
エルメェス単体を呼び出したところを考えると仲間ではなく、敵。
影響範囲から考えてマックイィーンと同じタイプだろう、反撃は考えられない。
キッスで威嚇しつつエルメェスはルイズに問いかける。
「さてと、今度はこっちが聞く番だ。テメェの目的は何だ?」
ルイズはうつむいていて、顔を上げようとしない。

さっきは勝手に質問しておいて、今度は黙り込み。ルイズのこの態度にただでさえ短いエルメェスの堪忍袋の緒が完全にプッツンした。
エルメェスはうつむいているルイズの頭を両腕ではさみ、顔を無理やり自分のほうへ向ける。
「何回も言わせんじゃあねぇぞ、あたしの質問に答えろっつってんだ!
もしいつまでも黙り込むようならそンときは容赦しねえ、あたしのキッスをテメェのツラにぶち込むことになる!!
二度と見られないようなツラになりたくないなららさっさと答えろ、テメェの目的は何だ!!?」
言い終わってからエルメェスは後悔した。
ちょっと威嚇しすぎたのかもしれない、と。
ルイズの目がだんだんと潤んでいき、首の後ろに回していた腕もゆっくりと離れていく。
腕が離れ終わると同時にルイズは力なくその場にへたり込み、そしてそのまままたうつむいて泣きはじめた。
もう瞳をうるうるさせるなんてレベルじゃあない。マジ泣きだ。
これにはエルメェスも当惑せざるをえない。
「え、えぇ!?そんなに怖かった・・・のか?イヤ、脅したのはわるかった。ほんとにキッスをぶち込むってワケじゃあないんだ。
脅し、いわゆるあれだ、冗談なんだよ!徐倫だったら笑い飛ばすだろうってくらいの脅しだぜ?
キッスだってそんなに見た目は悪くないだろ。F・Fと比べたら可愛いもんだぞ?
何が悪かったんだ?ええ、オイ、泣いてばっかじゃあわからないんだって。」
あたふたしているエルメェスの前でルイズは泣き続けている。

この場面をもし第三者が見ていたらどう思うだろう。
かたや全裸に近い状態でその場に座り込み泣いている少女。
かたやそんな少女にあれこれと言葉をかけるいかつい人物。
しかもその少女はその人物とキスをした後に怒声を浴びせられ、泣き出した。
会話さえ聞かなければ、その二人には何か深い関係があるように見えてしまうだろう。
そしてここで忘れてはいけないことがある。
二人がいる保健室、その奥には、一部始終を見ていた第三者がいたということだ。

エルメェスの焦りとは反比例して、ルイズの泣き声はどんどん小さくなっていく。
「オイ、どうしたんだ!?オイ、オイ!!」
しまいには声が聞こえなくなった。
どうやらルイズは先ほどまで自分の意識を保たせていた緊張の糸が契約成功の確認をしたことで切れてしまい、泣き出すと同時に召喚の疲労が襲ってきてそのまま眠ってしまったようだ。
エルメェスはますますワケがわからくなった。気絶するならまだしも、何で自分の呼び出した敵の前で寝ることができるのだろうか。
「おい、起きろ、起きろって!!この!!」
頬を軽く叩いてみても反応がない。
「ちょっと待てって!聞きたいことが・・・」
揺さぶっても反応はない。もう少し力強くやってみるしかない。
エルメェスは腕に力をこめ、大きな声で
「オイ「私のルイズに近づくなあぁぁぁぁああ!!!!」
大きな声で、牽制された。

声の主はもう一人いた半裸の美女、キュルケだった。
ナイスなプロポーションを隠そうとせず、杖をエルメェスのほうに向けている。下半身を真っ赤なパンティでかくしている以外は一糸纏わぬ姿、ここに男がいたのなら一瞬でKOされていただろうというほど艶やかな姿である。
エルメェスはそんな美女の唯一身に着けているパンティにデジャヴを覚えた。
真っ赤なパンティ、自分はあの下着を見たことがあるはずだ。
確かあれは、コルベールが穿いていた・・・のではなく、その前、気絶する寸前に見たものと同じだ。
「テメ「しゃべるな!!!」
叫ぶと同時にキュルケの杖が火を吹いた。

「んなァッ!!」
エルメェスは半身をそらせてキュルケの出した火の玉をよける。
数ヶ月とはいえ、常人離れした人間と戦ってきて、その結果鍛え抜かれた彼女の反射神経が無意識のうちにそうさせたのだ。
この相手の行動には両者とも動揺を隠せなかった。
(こいつ木の枝から火を、こいつもスタンド使いかッ!!)とエルメェス。
火を操るスタンドということはシールを貼ろうとしても無効化されるということ。まぁ、見えない敵よりはマシだが、これは戦い方を考えなければいけない。
(あの距離で私のファイヤ・ボールを、あの痴漢ただ者じゃない!!)とキュルケ。
ルイズに当たらないようにと少し力を抑えはしたが、自慢のファイヤ・ボールを数メイルの距離でよけられた経験などないに等しい。初見でそれを避けきるとは相当戦い慣れしているのだろう。
これは、全力で行かなくてはいけない。
二人の間に緊張が走った。

「何が狙いだ?」
精神の戦いといっても過言ではないスタンド勝負において、会話のイニシアチブをとるのが有効な手だと思ったのだろう、最初に声を発したのはエルメェスだった。
「何であたしをこんなところにつれてきた?」
「連れてきたんじゃあないわ。ルイズが呼び出したのよ、本当に認めたくないことだけれど」
キュルケは杖を構えたまま、相手との距離を保つことだけに専念している。
相手が魔法を使えるのならば何か術を撃ってくるはず、しかしそれをしないということは目の前の女は魔法を使えない、というのがキュルケの判断だった。
ならば距離さえ開けておけば攻撃される危険はない。
キュルケは言葉を続ける。
「あなたこそ何が狙い?ルイズを追いかけてまで無理やりキスするなんて、男らしくないんじゃあない?女の子を泣かせても言いなんて親に習ってないでしょ。
男なら男らしくもうちょっとスマートにできないの?」
「ちょっと待て、なんか勘違いしてねえか?あたしは無理やりキスしたんじゃあなくて、無理やりキスされたんだぞ。」
エルメェスはじりじりと距離をつめながらそういった。
キュルケの読みどおりエルメェスは接近しなければ攻撃ができない。
あたりに落ちているものをシールで増やして片方を投げ、シールをはがすということで遠距離攻撃はできるが先に能力の全貌を現してしまうことは不利以外の何にもならない。
その点を考えるとやはりもっと近づくしかない。
その距離5~6メイル、まだエルメェスの射程範囲にキュルケはいない。

(あと3メートル弱ってとこか・・・)
エルメェスは目算で自分と相手の位置を測る。
キッスの射程距離およそ1~2メートル、二人の距離は5メートル。3メートル近づくことができれば、キッスを打ち込むことができる。
ここで気をつけなければいけないのは敵の攻撃。あれほどの大きさの炎を頭に喰らえば無事ではいられないだろう。
しかし炎は反応さえできればよけられるし、どうやらまっすぐにしか進まないようだ。
となると作戦は決まってくる、油断させておいて距離をつめ一気に叩く、これしかないだろう。
エルメェスは相手を睨みながら、距離をつめていく。

(あと3メイルってところね・・・)
撃っても避けられるというのならば、避けられない距離で撃てばいい。
それがキュルケの作戦だった。
相手は会話に乗じてじりじりと距離をつめている。
自分の攻撃を当てるためのその行動こそが命取りとなる、近づけば近づくほど自分の命の導火線を燃やすことになる。相手を強いと認めたからこその作戦。
しかしその作戦にも穴がある。相手の攻撃方法だ。もし敵が何らかの方法で遠距離攻撃をしてくれば自分は応戦しなくてはならない。
一発分の呪文は今完成しているから応戦するのはたやすいが、もし相手がそのファイやボールを避け、近距離攻撃の射程距離内に自分が入ってしまえば作戦は失敗、自分のほうがジ・エンドとなる。
この結果を迎えないためには相手が正確な判断のできない状態にしてしまえばいい。
ならばやることはひとつ、挑発。
「何でルイズが契約終了してるもう用無しの男に、無理やりキスして泣き出さなきゃいけないのよ、あなたこそ勘違いを・・・」
相手の問いかけに答えると同時に一気に距離をつめよう、そう思っていたエルメェスに意外な答えがキュルケから返ってきた。
「何でルイズが契約終了してるもう用無しの男に、無理やりキスして泣き出さなきゃいけないのよ、あなたこそ勘違いを・・・」
「ちょっと待て。」
エルメェスは彼女の言った言葉で腑に落ちない部分があった。
どこかはわからないが、とても大きな違和感。
彼女は今キュルケが言った言葉をたどりその違和感を探す。
(契約終了、これじゃない。コルベール曰く契約はもう終了しているらしい
無理やりキスして泣き出す、これでもない、これも事実だ。
もっと根本的な・・・何か。)
「何?この期に及んで言い訳、それとも命乞い?男らしくないわよ。」
エルメェスはそのキュルケの一言で、違和感の正体に気づいた。
それは、会話とか、意思の疎通とかそういうもの以前の本当に根本的な問題だった。
「勘違いしているようだから言っとくけどよォ」
「言い訳はもう十分。来るの来ないの?怖気づいたってワケ?本当に男らしく・・・」
「あたしは女だぞ?」
「へぇっ!?」
キュルケは完全にストップした。

「あら、じゃあルイズったら単に泣き疲れて寝ちゃってたのね。うふふ、私ったら勘違い。ごめんなさい。」
ペロッと舌を出しておどけてみせるキュルケ、でもそんなことしたところでエルメェスとしては許せるはずはない。
「うふふじゃねぇよ!ってか、お前は誰だよッ!!」
「誰だ、ですって?礼儀がなってないわね。人の名を聞くときはまず自分から名乗るものよ?」
「礼儀の話をするんなら、もうちょっとちゃんとした服を着るこったな。」
「あら、失礼。」
キュルケはエルメェスの皮肉を真正面から受け止め、服を着始める。

どうやら、そんなに悪いやつではないらしい。
自分に背を向けながら着替えるキュルケを見ながら、エルメェスはそう思う。
女です発言の後、キュルケは情報の交換を求めた。
キュルケはエルメェスが男ではないこととルイズに危害を加えていたのではない事、つまりは自分の敵ではない事がわかると、手のひらを返したようにやさしくなった。
どうやら本当にルイズのことを心配していただけらしい。
それにしても何故自分を男と見間違えるのだろうか。
エルメェスはゆっくりと自分の体を見てみる。
客観的に見ても、なかなか女らしいプロポーションはしてると思う。
肩幅が他人より少し広いといえば広いが、胸だってちゃんとあるし(まぁ、シリコンが多少入っているが)出るところは出ていて引っ込むところは引っ込んでいる、ある意味理想的な体型だろう。
どこをどう見れば男と間違えるのだろうか。エルメェスは不思議でならなかった。

まことに残念なことだが、このことに突っ込みを入れるべき徐倫やF・Fはここにはいない.
本作のツッコミ役ルイズも召喚から来た身体的疲労と、プレッシャーからの精神的疲労によって眠っている。
手元に鏡がなかったことも残念といえるだろう。
その残念な環境にエルメェスは気づくことなく物語は進んでいく。

「最初に謝っておくわ、着替えながらでごめんなさいね。私の名前はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー、キュルケで構わないわ。ゲルマニアの出身で貴族の娘、そしてルイズの心の恋人よ。どうぞよろしく。」
後ろ向きながら、キュルケは礼儀正しくそう名乗った。
貴族の娘にそこまでされればエルメェスも自己紹介をしなければならない。
エルメェスは頭をかきながら自己紹介を始めた。
「エルメェス・コステロだ。エルメェスでいい。アメリカから来た。」
「そう、じゃあエルメェス、手が空いてるんだったらルイズの服を頼めるかしら?」
キュルケが自分の服のボタンを留めながらエルメェスにそう頼む。
「何であたしがそんなことをしなきゃいけないんだよ。」
「本当は私がしたいわよ、ええ、したくてしたくて仕方がないわ。その権利が売られてるんなら何百、ううん、何千エキューだろうと買おうってくらい。
だって考えただけでもぞくぞくしちゃうじゃない。可愛い可愛いルイズの体、今それを隠しているのは下着だけ。下着だけよ?天使のような寝顔をしていて、その姿は官能的な、そう、まるでいたずら好きの小悪魔のように私を誘う・・・。
ああ、でも脱がすなんて興ざめな事はしないわよ。全部脱がしちゃうのはいつでもできるからね、いつでも。
柔らかいルイズの肌の感触を指で楽しみながらゆっくりゆっくり一枚一枚丁寧に丁寧に着せていくの。でも着せている途中できっとルイズは起きるわ。そして私にこういうのよ。『何勝手に着せてるのよ!!』って。
じゃあ脱がしてもいいの?ってあたしが尋ねるでしょ!そしたら彼女、きっとちょっと驚いた顔して『それは、それは・・・』って顔を赤くしながら言葉に詰まったようにうつむくの。
最後は耳まで真っ赤にして、聞き取れるか聞き取れないかってくらい小さな声で『馬鹿・・・』ってつぶやいて、あたしの服のそでをあの小さなおててできゅっと握って潤んだ瞳でこういうのよ、『どうせダメって言っても脱がせるんでしょ』って!!
もうそこまでルイズに言わせといて、手を出さないわけにはいかないじゃない!?据え膳食わねば、って言うくらいだし!私はすぐにルイズを抱き上げて、ああ、このときもちろんお姫様抱っこよ、定番よね。そのままそこのベッドで私とルイズは、ルイズと私は、ルイズに、ルイズの、ルイズで、ルイズを・・・・・・・・・うふふふふ」
体をくねらせながらキュルケは自分の妄想を語っていく。その光景には先ほどとは違った恐怖が見て取れる。
「キモッ!ッつーか、答えになってねえよ!」
「ああ、そうね。だって、私も着替えなきゃならないし、それに」
キュルケはゆっくりとマントを身に着けて、エルメェスのほうにを振り返りこういった。
「血って結構落ちにくいのよ。」
なるほど、とエルメェスは納得した。いや、納得せざるを得なかった。
キュルケの制服の胸部分は結構な量の鼻血で赤く染まっていた。

ルイズの部屋を目指しながら、エルメェスはキュルケからいろいろなことを聞いた。キュルケが言うには彼女とルイズ、そして二人の家同士は浅からぬ仲なのだそうだ。
使い魔とはどういうものなのかや、左手の文字は何なのか、マホーとは何なのか、ここはどこなのか、ルイズはどういう目的でエルメェスを呼び出したのかについても聞いた。
どれもこれもコルベールのときとは違い、丁寧に教えてくれた。
「つまり、使い魔っつーのは主人の補佐をしたり主人を守ったりする存在だと。」
「そういうこと、ちなみにこの子が私の使い魔のサラマンダーのフレイム。フレイム~」
フレイムと呼ばれたトカゲは呼ばれたのがわかったのだろう、答えるように小さく火を噴いた。
「・・・いろんなモンがいるんだな。使い魔って。」
「平民を出すほうが珍しいのよ。前例が無いくらいにね。」
その前例が無い大仕事をやってのけた張本人は今エルメェスの背中で寝ている。
エルメェスはキュルケにおぶってもらおうと思ったが、さすがに廊下に血で矢印を書くわけにはいかないだろうということでしぶしぶおぶって二人で部屋を目指す。
しかし、聞けば聞くほどおかしな世界だ。
自分の住んでいた世界とはまるで違う。
アメリカなんて存在せずハルケギニアという大陸ひとつ、貴族だけが通う学校、使い魔という存在(ついでにドラゴンとかも)、そしてエルメェスが一番驚いたのが、
「炎はスタンドじゃあなくて、魔法、ねェ~」
「さっきからブツブツ言ってるけど何なの?スタンドって。」
「ん、ああ・・・」
スタンドについては言うべきかどうか迷っていた。
選択肢は三つある。

①エルメェスは何が起こるのかわからないので一応隠しておいた。
②さわりだけでも説明をしておく。
③隠しきれない、現実は非常である。

正直言っても良いような気はした。
挨拶のときの行動や、その後の問答からキュルケはルイズさえ関わっていなければとても常識があり、そして頼れる存在であるように見える。
しかし、この学校にほかのスタンド使いがいるかもしれない、という可能性がエルメェスの頭によぎった。
類は友を呼ぶ、ということわざがあるように、スタンド使いはスタンド使いと引かれあう。このことはエルメェスもその身をもって理解している。
それならば、やはり情報を漏らしてしまうのはいけないだろう、エルメェスは心の中で選択肢①にチェックを入れた。
「気にしないでくれ。」
当たり障りのない言葉でその場を取り繕い、二人はまた歩き出す。
「そう、じゃあ良いわ。で、あそこが私の部屋。そしてその奥がルイズの部屋よ。」
いつの間にか部屋のだいぶ近くまできていたらしい。
キュルケはドアを開け、自分の部屋へと入っていく。
「それじゃあ、エルメェス、また今夜。」
「おう、じゃあな」
ちょっと気になる挨拶だったが、エルメェスは今とても疲れていた。黙って部屋に入る。
そして、エルメェスの使い魔としての永い初夜が始まる。

TO BE CONTINUED・・・


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