ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔の兄貴(姉貴)!!-2

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匿名ユーザー

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―ここでいったん時間はルイズがくぼみの中に入る場面に戻る

ほとんどの生徒がまだ笑っている中、三人の生徒だけはまったく違った反応をしていた。
一人は先ほどの爆発のため起きた爆風をもろに喰らってしまい、壁に衝突、血まみれで反応のできない状態になっているちょっと、いや、かなりぽっちゃりとした少年。
一人は先ほどからの騒ぎの中でもわれ関せずというようにさきほど自分が召喚した風竜にもたれかかって本を読んでいる、透き通るような白い肌と青い髪を持った少女。
そしてもう一人は・・・

使い魔の兄貴(姉貴)!!~となりのキュルケ~

「ねぇ、タバサ、見た!?見た!!?あの子成功したわよ!!やっぱりやればできるじゃない!!
でもあの子あんな見ず知らずのどこの馬の骨ともわからない平民に近づいちゃって、へんな事されたり怪我したりしないかしら?大丈夫かしら?ねえ!ねえってば!!
どうしよう、もしあそこで寝てる男がルイズに襲い掛かったりしたら・・・危ないわ、うん、ものすごく危ない!!ルイズが心に傷を負っちゃったりしたらどうしよう
・・・いや、考えようによってはそれも良いかも。その傷ついたルイズの心を私が誠心誠意癒せば、彼女は私なしでは生きられなくなるってことよね、そうなったらはれてルイズと私は、私はルイズを、ルイズが私で、私がルイズで・・・・・・・・・うふふふふふ」
と召喚したルイズ本人よりもいろんな意味で興奮しているグラマラスな身体と褐色の肌、燃えるような真っ赤な髪を持つ美女。
タバサと呼ばれた少女は腕にまとわりついてくるその美女、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーを振り払い一言
「心配ない」
とだけ言う。

そう、心配ないのだ。召喚に成功すれば後は契約のキスをするだけ。さすがにキスするだけならルイズでも問題なく行えるはずだ。
しかしキュルケの妄言は止まらない。
「え、そう?ほんとに大丈夫かしら?もし、もしよ!あの変なやつに変な事されたら…」
「ミス・ツェルプストー、少し静かにできませんか?」
挙句先生に叱られる。いつものパターンだ。
「でも先生」
「静かにできませんか?」
「・・・すみません」
まったく、何故こんなに溺愛しているのだろう。
隣でまだそわそわしているキュルケを見ながらタバサは思う。
親同士は因縁浅からぬ関係であり、その上ルイズはキュルケのことを毛嫌いしている。
なのに彼女は自分の表現できる範囲で最大限の愛情を彼女に注いでいる。
どういう経緯があったのかは知らないが自分が出会ったころからそうだった。
このままでは穴に飛び込みかねない、そう思いタバサがもう一度声をかけようとした、まさにそのときだった。
「さっきからうっせェーんだよ!!」 ゴチイィィン

さわやかな春の風が草むらをゆらした

(…なんだろう、今の音は)
明らかに普通じゃない、たとえるのならば精錬された剣同士を競わせた音を三オクターヴほど低くしたような音だった。
さっきまで聞こえていた私語がなくなり一瞬の静寂が訪れる。
皆何が起こっているのか理解できていないのだろう。
タバサは辺りを見回してみた。完全に皆凍りついている。
コルベール先生はみんなの私語をやめさせようとしていたらしい、こちらを振り返って口をあけた状態でとまっている。ある意味滑稽。
隣からはカチカチと歯を鳴らす音が聞こえてくる。何が起こっているのかは見なくてもわかる。
そして・・・

「イッテエェェェーーーー!!」タバサは聞いた、穴の中の謎の人物の声を。
「あ、あああ、あああああルイズーーーー!!」タバサは聞いた、隣で真っ青になっている友人の声を。
「誰かかまってくれても良いじゃないか・・・」タバサは聞いた、体を張ったのに誰からもいじられなかった少年の声を。

―場面は再びくぼみの中へ

(何なんだ今のは!?)
飛び起きたエルメェスの目の前にあったのは少女の顔。
まずいと思った時にはすでに十分な加速がついてしまっていた。その結果、正面衝突。
しかも頭と頭ではなく顔面と顔面、接触面積が大きい分こちらのほうがかなり痛い。
まったく状況がつかめない。
ここはどこなのか、自分は死んだのではないのか、目の前の少女は誰なのか、仲間はどうなったのか、何が自分に起こっているのか、エルメェスには今自身に起きている出来事のうちひとつも理解できていない。

最初に彼女が考えたのは第三者のスタンド攻撃という可能性。
しかしあの状況で瀕死の自分だけを別の場所に呼び出し、なおかつ落ちていたはずの腕をくっつけることを考える第三者が存在するのだろうか?
答えはNO。よってこの可能性は違うと判断。
次に彼女が考えたのは世界が一巡してしまったという可能性。しかしコレもおかしい。神父が自分を生き返らせることで起きるメリットなどないからだ。
ではどうして自分はこんなところに、とエルメェスが考えているといきなり彼女の左手を焼きごてがあてられたようなような痛みが襲った。

「ん?なあああぁぁぁぁ!!?」
エルメェスは確信した。この現象がスタンドを持つものの仕業であると。
「チクショオ!!『キッス』!!」
先ほど攻撃を受けた左手をかばいながら自身のスタンドを発現させる。
『キッス』、破壊力に優れ、物を二つに増やすことのできるシールを作り出す能力を持っている自分の精神の像(ヴィジョン)。
キッスで周囲を警戒したまま、目の前に横たわっている少女を調べる。
常識はずれな服装と髪の色をはずせば、12~13歳くらいの普通の少女。気絶している点から、彼女が本体ではないと考えられる。
(となると・・・どこかに本体が!?)
自分の目の前の少女が違うということは、マックイィーンのような遠距離でも効果を及ぼすスタンドかリキエルのようなほかの生物を操るスタンドといったところか。
(ほかにスタンドを使ってそうなヤツは・・・)
残念ながらエルメェスの意識もここで途切れてしまう。赤毛の美女の跳び蹴りによって。
「私のルイズに何してんのよおぉぉぉ!!!」
エルメェスが最後に見たのは真っ赤なパンティだった。


(予感的中。)
タバサは心の中でそうつぶやいた。
謎の人物の声が聞こえるとすぐに、キュルケは素っ頓狂な声を上げた。
褐色の肌が青を通り越して白に近くなるほどである、相当驚いたのだろう。
キュルケはまず私の肩をつかみ何かわからない言語を叫びながらがくがくと私を揺さぶった。
次にコルベール先生のほうへ行って心配だ、心配だと叫ぶこと十三回。
彼女が召喚したサラマンダーを抱えてはおろし、抱えてはおろし、これを繰り返すこと七回。
コルベール先生に落ち着いてといわれ、できるわけが無いと叫ぶこと三回。
穴の中から新しい声が聞こえた。
「キッス!!」
声の主はやはりルイズではなくもう一人の召喚された人物のものだ。

二度目の声の後、ついにキュルケが壊れた。
「私のルイズに何してんのよぉぉぉ!!!」
叫ぶのが早いか、彼女は周りの生徒をなぎ倒し、先の予想どうりくぼみに飛び込み、くぼみの中心、ルイズの召喚した人物の顔にとび蹴りをかます。
召喚された人物は綺麗な弧を描いて吹き飛び、そのまま意識を失ったようだ。ピクリとも動かない。
「先生、ルイズが、ルイズが息をしていないのでじ、じじじじ人工呼吸をしししても良いですか!!?」
キュルケが鼻血をたらしながらコルベール先生に聞く。ここまで下心丸見えな質問も無いだろう。
「ミス・ヴァリエールは気を失っているだけのようですからその必要はありません。
それとミス・ツェルプストー、鼻血をぬぐいなさい。まがりなりにも淑女なのですから身だしなみには気をつけるように。」
「じゃあ、じゃあ、ほほほほほ保健室まで私が運んでもいいいいいですねッ!?」
キュルケは持っていた真っ白なハンカチで出ていた鼻血を拭き、ところどころ声を裏返らせながらこう提案した。
興奮状態の彼女にしては、いい提案である。
打ち所が悪かったらいけないし、こんなところで寝かしておくよりもベッドの上に寝かしておいたほうが回復も早いだろうから。
同じことを先生も考えたのだろう。すぐにその提案を受け入れた。
「それならば、私が運んで・・・」
「先生はあのゲスで野蛮なピチグソ野郎のルーンでも写し取って置いてください!!」
「・・・わかりました、ならばお願いします。それよりもミス・ツェルプストー、言葉遣いはどうにかなりませんか?」
小言になど耳をかさず、ルイズを背負い(このときにもう一度鼻血が出て、それをぬぐったために真っ白だったハンカチは真っ赤になった)そしてそのまま学園のほうへと飛んでいった。
飛んでいったキュルケを見送ったあと、コルベール先生は解散を告げ、ルイズの使い魔を自分の研究室へと運んでいく。
ほかの生徒たちは今までの出来事がまだ飲み込めていないらしく、唖然として、キュルケの飛び去っていったほうを見続けている。
「誰か僕のことも運ぼうって思わないのかい・・・?」
無論、血まみれの肉団子を運ぼうとする人はいない。
さわやかな春の風がもう一度草むらを吹き抜けた。


「・・・ここは?」
顔がひりひりしている、真っ赤なパンティの女のとび蹴りをもろに喰らったからだ。
先ほどとは違いおぼろげながら記憶はある。
しかし、蹴りを喰らったのはこんなにごちゃごちゃした部屋だっただろうか。
エルメェスはゆっくりと上体を起こす。怪我をしているのは顔だけのようだ。
「目覚められたか。」
「ッ!?」
不意にかけられた初老の男性を想像させる声。
「誰だッ!?」見回してみても誰もいない。
「そう警戒しないでくれ、もうすぐ終わるから。」
声の主は意外と、いや、かなり近くにいた。
四十過ぎくらいの毛根死滅頭皮を持つ男が地面に座り込み、あたしの左手を持って一生懸命何かを写し取っている。
左手といえばさっき攻撃を受けた場所だ。その左手を観察しているということは・・・
「テメェが本体ってワケか!!」あたしは急いで『キッス』を発現させる。

しかしその男はというと
「本・・・体・・・?何のことかはわからないがとにかくルーンの書き写しは終わったよ。それにしても珍しいルーンだ。どこかで見たことがある気もするが・・・ふむ」
とあたしを無視して部屋の奥へと歩いていく。
「ヘイ!無視すんじゃねぇ!それ以上勝手な行動をとればあたしの『キッス』をお前にぶち込むぜ!!さぁ、答えろ。テメェが本体か?」とあたしが問えば、
「何故私が君にキスをされなければいけないかは知らないが、とりあえず質問があるのならば聞こう。」と男は答える。
どうも話がかみ合わない。しかもその男はキッスのほうには見向きもせず、あたしをずっと見つめている。
ためしにキッスを男の目の前まで迫らせたが何の反応も返ってこない。
顔面に拳を打ち込もうとしても男は瞬きひとつせずにこちらを見ているだけ。

もしかして、あたしのキッスが見えていないのだろうか?
ならば本当に質問を聞こうとしているだけか。
しかし本体で無くとも、その関係者かもしれない。
あたしはキッスの拳をその男の目の前に構えたままとりあえず質問をしてみた。
「テメェ、あたしの左手に何をしてた?」
「なんてことはない、儀式で刻まれたルーンを書き取らせてもらっていたまでだ。何か問題があるのかね?」
儀式?ルーン?何の事だかさっぱりわからない。視線を左手に落とすと、そこには見慣れない文字が掘り込んであった。
「オイ、どういう冗談だ?コレ。」
「冗談じゃあない。君がミス・ヴァリエールの使い魔だということを表すルーンだ。」
「何だよ使い魔って、大体ここはどこだ!?あんたは誰だ!?あたしは海にいたんじゃあないのか?・・・そうだ、世界はどうなったんだ!?
徐倫は!?アナスイは!?承太郎さんは!?エンポリオは!?神父はどこに行ったんだ!?オイ、答えろ、毛根死滅禿頭親父!!」
言い終わってから気づいた、最後の言葉はNGワードだったのだと

あたしの目の前で男の顔(頭)が真っ赤に染まっていく、コレはやばい。
「いや、よく見るとまだはげてねェな、ちょっとおでこが後退しちまってるだけだな・・・・・・スマン、あたしが言い過ぎた。」
男は仰々しく咳払いをして、ゆっくりと話し始めた。
「ここはトリステイン王国にあるトリステイン魔法学校、私はこの魔法学校で教師をしているコルベールというものだ。
君が召喚される前のことは一切わからない。何故なら平民召喚など前例が無いからだ。
そして使い魔については・・・保健室にミス・ヴァリエールがいるはずだから、彼女に聞いてくれ。それでは。」
コルベールと名乗った男はもう一度立ち去ろうとする。しかしあたしの疑問はまだ尽きない。
「ちょっと待ってくれ、そのミス・バリカン?っていうやつをあたしは知らないし、保健室の場所も知らねぇ。いったいどうしろっつーんだよ。」

「そうか、ならば少し待ってくれ。」
コルベールはさっきまであたしの左手の文字を写し取っていた紙を少し破り、そこに何かを書いてあたしに突きつけた。
「地図だ。コレがあれば迷わないだろう。」コルベールは書いた地図をあたしに突きつけ、また奥のほうへと歩いていく。
「オイ、まだ聞きたいことが・・・」
「後はその地図に従い、保健室へ行き、そこでミスヴァリエールに聞いてくれ。では。」
そのままコルベールは部屋の奥へと姿を消した。

聞きたいことはまだあったのに、コルベールは止まってはくれなかった。
(どこだって言ってた、あいつ・・・トリステイン?アメリカじゃあないのか?・・・マホー?ふざけてんのか?そもそも使い魔ってなんだよ・・・)
一人で考えていても埒が明かない。
とりあえずそのミス・なんとかいうやつから情報を聞き出さなければ。
そう思い、エルメェスは部屋を出て保健室へ行こうとする、が
「・・・おいおい、マジかよ・・・」
地図はぜんぜん知らない文字で書かれていた。
コルベールに聞こうにも彼はもう部屋の奥、出てきてはくれないだろう。
文字なしで理解できるのは地図そのものと目標地点であろう場所につけてある丸印だけ。
仕方なくエルメェスは絵だけを頼りに歩き始めた。


「・・・ここ、どこ?」
真っ白なベッドの中、軽い疲労と頭痛を感じながらルイズは目覚めた。
白を貴重とした部屋作り、鼻を突く独特の薬のにおい、どうやら保健室のようだ。
ルイズはまだうまく働いていない頭で考える。
確か自分は契約をしようとしていたはず。キスをしようとした瞬間に召喚した旅芸人が起きて、そして・・・
「そうだ!!契約!!」
ルイズの意識は一気に覚醒した。
まだ契約は終了していない、早く契約しなければ二年生をもう一年続行ということになってしまう、留年だけは免れなくてはいけない。
体はまだうまくは動かせないが、がんばれば召喚の儀を行っていたあの草原まではいけるはずだ。

「早くしなきゃ・・・」
ルイズはベッドから下り、靴を履きなおす。
やはりまだふらふらとしている、が休んではいられない。
多少ふらつきながらもドアまでたどり着いた。幸い、担当の先生や付き添いの生徒は今席をはずしているらしい。
あと何百メイルも残っているのだろう、しかしレビテーションやフライの使えない自分はその距離をこの状態で歩いていかなくてはいけない。
(やっぱり最悪だわ・・・)と思いながら保健室のドアを開けると、ドアの外でルイズはとてもやわらかい何かにぶつかった。

(何これ?)
とてもやわらかい、マシュマロのような弾力が行く手を阻んでいる。
何とか前へ進もうとルイズがもがいていがそのマシュマロは少しも動こうとはしない。
逆にそのマシュマロはルイズを奥へ進ませようとしないようにその体を羽交い絞めにする。
「何!?マシュマロのくせに邪魔する気!?あんまり私を怒らせないほうが良いわよ!」とルイズは言ったつもりだった。
しかしマシュマロに圧迫されていて実際には「ふがふが」と繰り返しているだけにしか聞こえない。
そうこうしていると急にルイズの体が浮き、そしてそのままルイズをベッドのほうへと運んでいく。
「ちょっと!逆よ!私は外に、契約をしに行かなきゃ行けないのよ!!!」
コレも実際には先ほどと同じような感じだ。
しかし今回はマシュマロからちゃんと返事が返ってきた。
「ダメよ、ルイズ。ちゃんと寝てなくちゃ。
いくら私と一緒に寝たいからって無理して私を探そうとなんてしなくていいの。
ほら、この通りちゃんと帰ってくるからね。さ、ベッドに戻りましょうね。
大丈夫よ、お望みどおりちゃんと一緒に寝てあげるからね。ルイズの甘えんぼさん。」


最高だと思った。
ようやく私の思いが伝わったのだと。
今日はいいことがあるような気がした。
朝起きて最初にしゃべったのがルイズという時点で今日はいいことがあると確信した。
ルイズを背負って保健室まで飛んでくるとき、最高だった。
そして扉を開けると、ルイズの方から私に抱きついてきた。
キュルケは初めて、心から神様に感謝した。

マシュマロの正体はキュルケだった。
キュルケが何故か恍惚とした表情で私をベッドの方へ抱きかかえて連れて行く。
コレは絵的にやばい。私の人生的にはもっとやばい。
「何やってんのよキュルケ!契約しなきゃいけないのよ、放して!」
「うふふ~・・・るいずぅ~、ねんねしましょ~ね~、大丈夫よ、やさしくするから。
力を抜いておけばすぐに気持ちよくなれるわ、ね?」
「ちょ、キモイってば、離れて!!いいから、もう寝なくて良いから!
いや、脱がなくても良いから!!や、ダメ、脱、脱がすな!!誰か!誰か助けて!!」
抵抗むなしくルイズはもといたベッドまで戻されてしまう、しかも下着だけになったキュルケとともに。
もうだめだ、とあきらめかけたとき、偶然救いの手は差し伸べられた。
「なんだ!?ふざけてんのか!?」
旅芸人のような格好をした人物の登場により、ルイズの貞操はなんとかまもられた。

TO BE CONTINUED・・・


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