ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

『鉄塔』の使い魔@第三塔

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だれでも歓迎! 編集
あの召還騒ぎから半日近く経過し、もう空には二つの月が浮かんでいた。

「うく・・・くっ・・・」

もう限界だった。
いや、よくここまで我慢した、そう自分を褒めてやりたかった。
どうする? どうするルイズ・フランソワーズ??
いやそれだけはできない、由緒正しきヴァリエールの血を引く私がこんなところで・・・!
空腹いい、我慢しよう、ベットがないのもいい、屈辱だが耐えて見せよう。
だがこれは! これだけは!!

「くぅぅぅぅぅ、誰か、せめてアヒルさんを・・・!」

もはや足元がくがくの状態で鉄塔にしがみついていると


ドゴォォォォォォォォン!

本日何度目の爆音であろうか、鉄塔の突き破られもろくなった屋根がガラガラと崩れ落ちる。
そこから現れたのはとてつもない大きさのゴーレム。

「あらあら、私としたことが。ごめんねお嬢さん、ちょっと浮かれててゴーレムの操作失敗しちゃったわ」
「ミス・ロングビル! 一体何を」
「あらあら、これは鳥籠のお嬢ちゃん。いやー恩に着るわ、あなたのおかげでこんなにも仕事早く
 仕事が片付けれるなんて」

彼女の手には見たこともない奇妙な杖が握られていた。

「まさかそれ・・・そういえば最近貴族専門の泥棒が暴れてるって・・・」
「お察しの通り、破壊の杖確かにいただきました。オスマンのじじいにはそう伝えといてね」

あははははは、と上機嫌にロングビル・・・いや、土くれのフーケは笑う。
なんてこった。まさかミス・ロングビルが土くれのフーケだったなんて。
そしてあの厳重な宝物庫をこうも簡単に攻略できたのはほかならぬ自分の失態だ。
忌々しげにゴーレムを見上げ、そして鉄塔を睨む。
鉄塔はご主人様のピンチに戦ってくれるわけでもなく、やっぱりいつも通りだった。

「く・・・待ちなさい土くれのフーケ! 無事に逃げられると思ってるの」
「ええおかげさまで。ほんと助かったわ」
「待ちなさい! ええい待ちなさいって言ってるでしょ、土くれ! 落ちぶれメイジ! 年増!」

ピタ
学園を去ろうとしていたゴーレムの動きが止まる。

「誰が・・・年増ですって・・・?」

かかった!
ルイズは心の中でガッツポーズをした。

「私とあなたのほかに誰がいるって言うのかしら。ああ嫌だわ、更年期障害って」
「私はまだ23よ! 小娘が!」
「23! そんな年にもなってまだそんなことやってらっしゃるなんて・・・ああごめんなさい。
 貴族の感覚で物を言っては失礼でしたわね、『ミス』・ロングビル」

そう言って恭しく頭を下げるルイズ。
プッツ~~ン
その時、フーケの中で決定的な『何か』が切れた。
ずいぶん切れやすい気もするが、彼女にはそれが決定的な事だった。

「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
 いってくれるじゃないのおおおおお、小娘ぇえええええ!
 貴族の感覚? は、私はそういうのが一番嫌いなのよ!
 年増? まだ小便くさいガキよりはましよ!
 いいわ、見逃してあげるつもりだったけどそこまで言うなら相手をしたげる『これ』でね」

フーケは肩に破壊の杖を担ぐ。

「破壊の杖・・・どれくらいの力があるのか知らないけど効果は分かるわよね。多分名前のまんまだろうし。
 ふふふふふ、お嬢ちゃん覚悟はできた?」
「あら、あなたが盛大に吹っ飛ばされるのを見て笑いを堪えることかしら? 自信はないわね」
「・・・・・・・・もういいわ、バイバイ、小鳥さん」


ドシュウウウウウウウウウ
破壊の杖から『魔法』が発射される。
そして

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
先ほど屋根が壊れたとき以上の爆発と衝撃があたりに響く。
もうもうと砂煙があがり辺りが硝煙の匂いが鼻を突く。

「これが・・・破壊の杖の力・・・ふふふ、こりゃいいわ。下手な火の魔法なんかより断然」
「ええそうね、さすがの威力ね。可哀相なくらいに」

砂煙の中彼女は、ルイズは立っていた。
圧倒的な破壊の魔法は彼女に届くことなく『鉄塔』に吸収された。

「そんな・・・あの爆発を防いだというの? どうやって」
「ええそうね・・・まあそういうことになるんでしょうね。ちなみにどういう原理かは私も知らない。
 教えてくれないからね、こいつ」
そういってルイズは鉄の柱を指差した。

フーケには今日一つの幸運があった。それは苦せずして破壊の杖を盗み出せたこと。
フーケには今日二つの不幸があった。それは破壊の杖の使い方が分かってしまったこと、そして

『鉄塔の性質を知る機会がなかったこと』

ウォン! ウォン! ウォン!

キュルケのときとは比べ物にならない鉄塔の咆哮があたりに響く。

「・・・・・・・・・・・・」

これから起こる事を想像し、ルイズはフーケに同情した。しかし
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この股間の冷たさが彼女を冷酷に変えた

言うなれば『私残酷でしてよ!』と言ったところか、はたまた『お前の場合ちっとも可哀相とはおもわん!』か。
とにかく自分に最大限の侮辱を与えてくれたフーケにかける情けなどはない!


「はてさて・・・こういう時ってなんていえばいいのかしらえっと・・・」

しばらく考え込みそしていい言葉が思いついたのかニヤリと笑う。
鉄塔の咆哮も最大限に達する。
限界まで蓄えられた破壊のエネルギーがフーケとゴーレムに向けて収束する。

「私があなたに贈る、最後の言葉よ」





「なんだかわからんが、くらえッ!!!」


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